日本園芸協会〜園芸情報サイト

季節の園芸作業

[10月の庭園仕事]

 徐々に涼しくなってきました。台風も二つ一度に来たりしますので、背の高いものは支柱を立てたり、鉢物は倒しておいたり、縛って固定したり、対策をしっかりとっておきましょう。毎日気温を気にしながら、戸外で管理していた観葉植物など寒さに弱いものは、早めに室内に取り込みましょう。

【特集1】買い物情報

カクトラノオ(Physostegia virginiana)

 北アメリカ原産のシソ科の多年草です。茎が直立して、高さが20〜120cmくらいになり、花壇で高さを演出することはもちろん、白やピンクの筒状の花が密になって総状花序を作るので、切花としても用いることもできます。日当たりの良い、排水の良い土地を好みます。秋や春に株分けで増やすことができます。

カクトラノオ
▲カクトラノオ
高さのある草丈
ユーコミスの花
▲カクトラノオの花
淡い色の花を密につけます
アキメネス(Achimenes sp.)

 メキシコ周辺のイワタバコ科の球根植物です。長い筒状の先に大きな花弁を開きます。花は5月から晩秋と長めに楽しめます。鉢栽培で、春秋は日向〜半日陰、夏は風通しのよい日陰で管理し、水は乾いたらたっぷり与えます。冬は鉢のまま水やりをせずに冬越しさせます。

アキメネス
▲アキメネス
下に向かって飛び出すような花
アキメネスの花
▲アキメネスの花
長い管の先に大きな花弁を開きます
ロニセラ・ニティダ(Lonicera nitida)

 中国原産のスイカズラ科の常緑低木です。低木ですが水平に伸び、花壇でグラウンドカバーとして使うことができます。卵型の葉は光沢があり、明るい緑色をしているので花壇を明るく演出してくれます。強い性質で耐寒性があり、土質を選ばず、日当りと排水さえよければよく育ちます。

ロニセラ・ニティダ
▲ロニセラ・ニティダ
明るいライムグリーンの葉が印象的
ダリア ’エタニティ’’ブラックナイト’(Dahlia sp.)

 中南米原産のキク科の多年草です。ダリアの種類にも、黒味がかかった銅葉の種類が秋らしくてよいですね。ピンクや黄色と、明るい花色とのコントラストでくっきりとした存在感を持っており、秋の寄せ植えや花壇で活躍します。
 日当たりと水はけのよい場所を好み、水やりは土が乾いたらたっぷりとあげます。花後は、花のあった場所の少し下に腋芽がでているところで切り戻します。冬は、花壇であったら鉢あげし、寄せ植えであれば寄せ植えごと凍らないようなところで管理します。

ダリア‘エタニティ’
▲ダリア‘エタニティ’
銅葉とピンクが秋らしく演出
ダリア‘ブラックナイト’
▲ダリア‘ブラックナイト’
背が高めで寄せ植えに使いやすい

【特集2】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>

 今年は7月まで涼しく、残暑が厳しかったため、夏花壇の維持が難しかったのではないでしょうか。最近になって雨が多い分、秋の作業も進められない面もあります。土が湿りすぎているのもいやですね。秋植え球根類の植え付けや種子まき、秋冬花壇の草花の植え付けは、遅れないようにしましょう。

<花木・庭木>

 そろそろムラサキシキブ類ウメモドキヒメリンゴなどの実物類や冬の花のサザンカが庭を彩ってくれるようになります。庭木の手入れで、マツ類のコモ巻きは寒くなる前に行います(マツケムシが降りてくる前)。生垣の止め刈りを済ませていない方は早めに行いましょう。

<花鉢物・観葉植物>

 夜の気温の下がり方が大きくなりますので、寒さに弱い熱帯性の鉢植え類は、早めに取り込むようにしましょう。
 ただ、蕾ができるのに低温が必要なクンシランシンビジウムデンドロビウムは、霜が降りだす前までは戸外の日当たりのよい場所で管理します。また、シクラメン(ミニシクラメン)が早くも売り出されています。ラベルにガーデンンシクラメンとあっても、耐寒性のない中大輪性種の小鉢仕立てのものもありますので注意しましょう。

<家庭菜園・ハーブ>

 秋野菜の収穫の時期です。雨の合間をぬって、ハクサイキャベツブロッコリーホウレンソウシュンギクニンジンなどは、大きく育ってきたものから収穫しましょう。また、サツマイモの収穫は霜が降りる前の晴れた日に行います。冬収穫用のネギ・ワケギ類レタス、ナ(菜)類の定植時期です。ポット苗が販売されていますので早めに入手して植えつけましょう。
 ハーブでは、センテッドゼラニウムヘリオトロープは室内に取り込み、半耐寒性のレモングラスナスターチウムメキシカンセージなど亜熱帯性のセージ類は、早霜などで傷めないようにひさしの下などに移しておきます。

【特集3】宿根草の植え替え

 宿根草は、同じ場所でそのまま植え続けていると、株が込みすぎたり、土質が劣化して、花が咲かなくなったり株の勢いが衰えたりすることがあります。庭植えのものは4、5年、鉢植えのものは2年くらいを目途に植え替え・株分けするようにしましょう。
 これからの時期(10月中旬〜11月)に植え替えする宿根草は次の種類です。

<植え替え・株分けする種類>

 スズランシランフクジュソウキキョウアマドコロニホンサクラソウプリムラ・ポリアンサ類、花の終わったシュウメイギクホトトギスなど。

<植え替え・株分けの方法>

 一回り大きく掘り上げ、土を落とし、それぞれ1株に2〜4芽くらい付けて分け、新しい場所に植え付けます。同じ場所に植える場合は、土を入れ替えるか、堆肥や腐葉土を多めにいれて土質を改善するようにします。
 なお、クリスマスローズシャクヤクは根の動き出しが早いので、鉢植えのものだけ、土を落とさないように一回り大きな鉢に移すようにします(庭植えのものは、開花後か9月に行います)。

【特集4】鉢物類の取り込み

 今年は気候が不安定で、夏のように暑かったり、初冬のように寒くなったり、なかなか安定しませんが、夜間、冷え込みを感じることも多くなってきたようです。夏の間、戸外で管理してきた観葉植物や熱帯花木、花鉢物もそろそろ室内に取り入れる準備をしましょう。

◎取り入れる前の準備

枝と根の切り詰め
 直接、地面の上に置いてしまった鉢は、底から根が出ていることがあります。こうしたものは、鉢から抜き、根を切り詰めて、同じ鉢か一回り大きな鉢に植え直しておくとよいでしょう。同時に枝も多少切り詰めるようにします。植え直しをしなかった場合も、枝は軽く切り詰めておきます。また、普通の鉢も長く伸びた枝やツルは1/2から2/3ほど切り詰め、茂りすぎたところの枝は風通しがよくなるよう、元から切り取ります。
薬剤散布とナメクジの駆除
 害虫が付いた株を室内に取り込むと、被害が大きくなります。取り込む前に葉の裏や株元、鉢の裏などをチェックしましょう。アブラムシやカイガラムシなどにはスミチオンやオルトランを散布して、退治しておくのがベストです。
鉢上げ
 ハイビスカスなど庭に植えて育てたものを、鉢に上げて冬越しさせる場合は、掘り上げる1か月くらい前に、根鉢よりも1回り小さくスコップを入れて太根を切り、細根を出させておく(この作業を根切りといいます)と、植え替えしやすくなります。
清掃
 植物の幹や枝を布で拭き、鉢やプランターの周囲はたわしなどで洗い、ごみや汚れを落としておきます。鉢の底も忘れずに洗っておきましょう。雨の当たらない軒下に置いてあった鉢は、葉が汚れていることがありますので、頭からシャワーで洗い流しておきます。

◎取り入れの目安

最低温度が15℃くらいになったら取り入れる種類
 高温性のアローカシア、アカリファ、アンスリウム、カラテア、カリアンドラ、クロトン、サンセベリア、セントポーリア、ドンベヤ、バオバブ(落葉したら)、フィトニア、プルメリア、ポインセチア、ユーチャリス(アマゾンリリー)、高温性の洋ラン類(カトレア、ファレノプシスなど)ほか
最低温度が10℃くらいになったら取り入れる種類
 中低温性のアジアンタム、ホヤ類(ハートホヤ、サクラランなど)、アナナス類、カラジウム、ジャガランダ、ドラセナ、ハイビスカス、パキラ、フィロデンドロン、ブーゲンビレア、ペペロミア、ポトス、中低温性の洋ラン類(オンシジウム、デンドロビウム、シンビジウムなど)ほか
最低温度が6、7℃になったら取り入れる種類
 低温性のアスパラガス、プレクトランツス、ピレア、アブチロン、インドゴムノキ、クワズイモ、クジャクサボテン、クンシラン、ゲッカビジン、シェフレア、デュランタ、トケイソウ、トラディスカンチア、ノボタン、ランタナほか

<室内での管理の注意>

 日照を好むものは、窓際の明るいところに置き、日照に弱いものはレースのカーテン越しのところに置くなど、置き場に注意しましょう。10月中はまだ光が強いので、室内の日当たりは温度が上がりすぎることがありますので、注意が必要です。また、室内は戸外よりも空気が乾燥していますので、土の乾き方をチェックするとともに、葉水などを与えるようにしましょう。

【特集5】JGSボタニカルアート展のお知らせ

 来る10月19日(金)〜21日(日)、上野の日展会館にて、国内最大級、トップクラスの植物画(ボタニカルアート)の公募展が行われます。ボタニカルアートとは、図鑑の絵のように、植物をモチーフとして植物学的な視点から精密に描き、しかも芸術として表現された絵画のことです。これまで当展覧会からは多くのボタニカルアーティストが巣立ち、各界で様々な活躍をされています。芸術の秋、ぜひこの機会にボタニカルアートの世界に触れてみてはいかがでしょうか。ご来場お待ちしております。
詳しい情報はこちらをクリック

【特集6】イベント情報

県名 イベント名 期間・場所・連絡先
東京 日本園芸協会
JGSボタニカルアート展
期間:10月19〜21日
場所:台東区・日展会館
TEL:03-3465-5171
URL:http://www.gardening.or.jp/bota_art/2012/index.html
全国都市緑化フェアTOKYO
「緑の風がふきぬける東京」
期間:9月29日〜10月28日
場所:都内各地
TEL:03-5320-5339
URL:http://greeneryfair-tokyo.jp/
丸の内仲通り
ガーデニングショー2012
期間:9月29日〜10月14日
場所:千代田区・仲通り一帯
TEL:03-3265-8300
URL:http://www.mn-garden.com
日比谷公園ガーデニングショー 期間:9月29日〜10月28日
場所:千代田区・日比谷公園
TEL:03-3232-3137
TOKYOガンダムプロジェクト2012
「フラワーガンダムトピアリー」
期間:9月29日〜10月28日
場所:江東区・ダイバーシティー東京
URL:http://www.tokyo-gundam-project.jp/
Hanging Basket Art
〜歩いて感じる光と
風と花のささやき〜
期間:10月23日〜28日
場所:国立西洋美術館前
TEL:052-807-2751
北海道 北海道ガーデンショー 期間:6月2日〜10月8日
場所:清水町・十勝千年の森
TEL:0156-63-3400
URL:http://www.hgs.co.jp/
茨城 きのこ展 期間:10月20日〜28日
場所:つくば市・つくば実験植物園
TEL:028-851-5159
千葉 国際フラワーEXPO 期間:10月10日〜12日
場所:千葉市・幕張メッセ
TEL:03-3349-8511
URL:http://www.ifex.jp/
まちなかガーデニングフェスタ2012 期間:10月13日〜14日
場所:市川市・市内の民家等
TEL:047-704-0003
埼玉 盆栽×写真vol.2
糸崎公朗作品展
期間:10月5日〜11月28日
場所:北区・大宮盆栽美術館
TEL:048-780-2091
新潟 フラワーメッセinにいがた 期間:10月16日〜18日
場所:新潟市・朱鷺メッセ
TEL:025-226-3567
静岡 フラワーアート展 期間:9月30日〜10月8日
場所:浜松市・はままつフラワーパーク
TEL:053-487-0511
愛知 名古屋まつり
フラワーカーパレード
期間:10月20日〜21日
場所:名古屋市内
TEL:052-972-7611
URL:http://www.nagoya-festival.jp/
愛知県
食肉・花き・市場まつり
期間:10月21日
場所:名古屋市・愛知名港花き地方卸売市場
TEL:052-747-8700
岐阜 岐阜県寄せ植えコンテスト 期間:10月18日〜21日
場所:可児市・花フェスタ記念公園
TEL:058-272-8436
奈良 おふさ観音秋のバラまつり 期間:10月19日〜11月30日
場所:橿原市・同観音境内
TEL:0744-22-2212
大阪 花の日本画展 期間:10月2日〜8日
場所:大阪市・花と緑と自然の情報センター
TEL:06-6694-8788
秋季 手作り盆栽展 期間:10月23日〜28日
場所:大阪市・花と緑と自然の情報センター
TEL:06-6694-8788
兵庫 宝塚植木まつり 期間:10月5日〜8日
場所:宝塚市・あいあいパーク
TEL:0797-82-3570
ダリア展 期間:9月22日〜10月21日
場所:加西市・兵庫県立フラワーセンター
TEL:0790-47-1182
URL:http://www.flower-center.pref.hyogo.jp
第35回兵庫県連合菊花展覧会 期間:10月14日〜11月18日
場所:加西市・兵庫県立フラワーセンター
TEL:0790-47-1182
URL:http://www.flower-center.pref.hyogo.jp
長崎 ガーデニングワールドカップ・
フワラーショーinナガサキ
期間:9月29日〜10月8日
場所:佐世保市・ハウステンボス
TEL:0956-27-0369
URL:http://www.gardeningworldcup.jp/