日本園芸協会〜園芸情報サイト

季節の園芸作業

[6月の庭園仕事]

 5月は気持ちの良い陽射しと十分な温かさのある日が続きました。だんだん湿度があがってきます。梅雨を迎えると病害虫が発生しやすくなりますので、気をつけてまいりましょう。

【特集1】買い物情報

スファエラルケア (Sphaeralcea sp.)

 カナダ南部からアメリカ南西部の草原や山地に自生するアオイ科の多年草です。葉や茎に白みがかかり、シルバーリーフとして楽しめます。枝の先端に花がつきますが開花期が長く、春から秋まで楽しめます。伸びすぎたら葉のついた数節を残して切り戻すと、側枝が伸びてまた花をつけます。寄せ植えや、花壇にも使えます。日当たりが良く、水はけのよい土を好みます。土が乾いてから水をたっぷり与えます。

スファエラルケア’
▲スファエラルケア
綺麗なシルバーリーフ
スファエラルケア花
▲スファエラルケア
花弁は繊細で薄く、次々と咲きます

フジマメ (Dolichos lablab)

   ヨーロッパやアジアに20種ほど分布するハナシノブ科ハナシノブ属の多年草の園芸品種です。葉に黒味がかかっていますが花色は薄い紫のものです。花壇や鉢植えで利用します。ハナシノブは山地の明るい草原に生育するので、日当りを大変好み、水はけのよい土を好み、葉は込み合っている場合は間引きます。

フジマメ
▲フジマメ
紫色の葉がシックです
フジマメ花
▲フジマメ花
マメ科らしい竜骨弁のある花

バロータ・プセウドディクタムヌス (Ballota pseudodictamnus)

  ギリシア、エーゲ海地方諸国に分布するシソ科の多年草です。軟らかい毛が生えたようなシルバーリーフが、寄せ植えや花壇を明るくしてくれます。日当たりのよい場所を好みますが、梅雨の多湿にやや弱いので、必ず水はけの良い土で管理します。

バロータ
▲バロータ
ふわふわの白い姿に思わずさわりたくなります
バロータ花
▲バロータ花
伸びすぎたら低く刈り込むとわき芽が伸びます
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【特集2】季節の手入れポイント

花壇・ガーデニング
 雨が多いこの時期は、庭に出る機会も少なくなります。花壇では、アブラムシやヨトウムシ類などの害虫類、うどんこ病や灰色かび病などの病気が多い時期ですから、雨がやんだときは見回りが欠かせません。雨が続きそうで薬剤を散布できないときは、害虫類は手や箸でつまんで退治し、病気が広がっている葉は摘み取るだけでも、効果があります。
<花木・庭木>
 春に伸び出した芽の勢いが止まる時期で、常緑樹などは移植や植付けができます。庭の模様替えを考えられている方は、今月中に行ないましょう。
 キョウチクトウやキンシバイ、アベリア類、ムクゲ、フヨウ、ザクロなど夏咲きの花木は、今年伸びた枝に蕾ができ花を咲かせますので、今の時期に枝先を切るのは禁物です。
 ナツツバキ・ヒメシャラ、ライラックは花が終わったら花がらを摘みます。基本的に自然樹形で育てますので、夏場は徒長枝の切り詰めや込みすぎた枝を間引く程度にとどめます。サツキは花が終わったらすぐに刈りこみましょう。ただし、あまり強く刈りこみますと、翌年の花付きが悪くなりますので、刈りこみは去年の枝の元ぐらいにとどめます。
花鉢物
 春に入手したレケナルティア(初恋草)、ボロニア、ホワイトツリー、エリカ、クリアンツス、グレビレア、サザンクロス、スカエボラなどオーストラリアや南アフリカ原産の鉢物は、これからが栽培の難しい時期になります。もともと乾燥気味のところが原産ですから、高温多湿を嫌い、長雨に当てると、過湿になって根腐れを起こしがちです。これからの雨の多い時期は、軒下などに置き、雨が当たらないようにしてやりましょう。
家庭菜園・ハーブ
 そろそろ、早めに植えたキュウリやナス、ピーマン、トマトなど果菜類の収穫が始まるころです。ただ、最初の2、3果は熟させずに若もぎしてやると、株の負担が少なくなり、その後の生育が順調で、収穫が多く楽しめるようになります。
 植えつけはニガウリ、オクラ、夏キュウリ(ポット苗)、種子では、エンツァイやモロヘイヤ、ツルムラサキなど暖地性種がまき時です。
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【特集3】夏向きの草花類

 暑い夏に長く咲き続けてくれる貴重な草花類を紹介します。

ニチニチソウ(キョウチクトウ科)
 マダガスカル原産の多年草ですが、寒さに弱いので、園芸上は一年草扱いされています。日当たりと乾燥を好み、痩せ地にも耐えます。最近は、花が小型のもの、花がスパイラルになるものや、パステル調の花色のものなど品種が多くなりました。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。

ポーチュラカ(スベリヒユ科)
 熱帯アメリカ原産といわれる耐暑性の強い宿根草。強健で高温・乾燥に強く、日当たりで元気よく育ってくれます。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。ただ、寒さには弱いので、秋早めに挿し芽で苗を作って室内で越冬させます。

インパチエンス(ツリフネソウ科)
 小型で日当たりにも耐えるアフリカホウセンカと、大型で半日陰向きのニューギニアインパチエンスがあります。どちらも、水切れに弱いので、注意しましょう。アフリカホウセンカは花壇植えもでき、八重咲き品種も出回っています。ニューギニアインパチエンスはやや高温に弱い面がありますので、通風のよい場所に置きます。肥料は8月を除き、月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。

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【特集4】夏の風物詩!? 怖い?面白い? 育てやすい食虫植物

 植物なのに、虫を捕らえて栄養源にしている食虫植物。その習性の面白さや変わった姿から、注目される存在です。なぜか夏に近づくと食虫植物の仲間が出回ります。その中でも、入手しやすく、育てやすい種類を紹介します。

<食虫植物栽培のポイント>
 食虫植物は湿地原産のものが多いので乾燥は禁物。植え土(ミズゴケ)を乾かさないように注意しましょう。また、サラセニア以外は根が強くないので、肥料は避けたほうが無難です。その代わりに、たまに小さな虫をあたえる程度でよいでしょう。逆に、面白いからといってたくさん与えるのは、禁物、葉(捕虫葉)が早く老化します。病虫害は、ナメクジが付きやすいので、見付け次第捕殺します。

サラセニア
 サラセニア科の宿根草。北アメリカの東部原産。つぼ型の捕虫葉に落ちた虫を消化して栄養にします。ただ、食虫植物の中では根が発達していますので、特に虫を与えなくても育ちます。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。

ハエトリソウ(ディオネア)
 モウセンゴケ科の宿根草。北アメリカ東部原産。二枚貝の貝に似た捕虫葉の中心近くにある3対ほどの毛(感覚毛といいます)に虫が2回触れたら、目にも止まらぬスピードで葉を閉じて虫をとりこにするという、驚くべきメカニズムを備えた狩人です。性質は比較的強く、日当たりのよいところで(真夏は半日陰)、乾かさないようにし(水やり1日1回ほど)。ただ、滞水を嫌いますので、腰水は避けます。植え替えは早春、新しいできれば太めのミズゴケで植え替えます。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。

サスマタモウセンゴケ
 モウセンゴケ科の宿根草。オーストラリア・ニュージーランド原産。モウセンゴケは葉に粘液を出す腺毛が密生し、この葉に触れた虫を絡めとるタイプです。葉先が二又や三叉になり、日本のモウセンゴケよりも背が高くなります。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。繁殖は種子ができないので、葉挿しでふやします。

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【特集5】シャドーガーデンを作りましょう

 建物や塀の陰や樹木の下などの日陰地を利用してシャドーガーデンを作りましょう。日陰地は緑も単調になりやすいので、耐陰性の強い草花類や葉色に変化のあるカラーリーフを多く用いるのが良いですね。朝晩など多少でも日射の入るところや、半日陰地なら多くの種類が利用できます。

<シャドーガーデンに向く種類>

 ・花物  インパチエンス、ツルニチニチソウ、クリスマスローズ、エビネ、スズラン、
 ホトトギス、モナルダ
 ・葉物  コリウス、ラミウム、ヒューケラ、ギボウシ、ハラン、アイビー、レックスベゴニア、
 ポトス

<植え付け前の準備>
 建物の陰などの日陰地は土が湿りがちで、ゼニゴケなどが生えやすいので、土質の改良をしましょう。
 まず、土をよく耕し、堆肥や腐葉土などの有機物を多めに(1uあたり大きめのバケツ2杯)と、苦土石灰(1uあたり一掴みほど)をすきこみます。周囲をレンガなどで囲って、回りの土面よりも少し高くなるようにして、表面をならします。周囲に木が茂っているようなら、枝抜きをして風通りを図ります。

<植え付けと注意>
 丈の高くなる種類(クリスマスローズハランなど)は奥に、丈の低い種類は手前に植えるようにします。株間は15〜20cmほどとっておきます。株数が少ないときは、インパチエンス、ツルニチニチソウ、コリウス、ラミウムなどは、植え付けのときに枝を切り取って挿し芽しておけば、すぐに発根しますので、後から補植すればよいでしょう。
 ハランアイビーは斑入りの品種を選びます。レックスベゴニアポトスは秋になったら掘り上げ室内に移します。

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【特集6】早期発見早期駆除を心がける 病害虫の防除

 雨で庭に出ることも少なくなり、病害虫の発生を見逃してしまうこともでてきます。病害虫対策は、病気は予防、害虫は早期駆除が原則ですから、心がけましょう。

ケムシ類
 チャドクガが盛りになります。なるべく早めに見つけて、群生しているときに退治しましょう。葉ごと切り取って捕殺するか、スミチオンなどの殺虫剤を散布します。葉裏の卵の痕や脱皮殻もきれいに整理しましょう。サクラやウメ、ハナミズキ、プラタナスなど多くの樹種にアメリカシロヒトリ、ウメケムシなどのケムシ類が、針葉樹でもマツカレハなどのケムシ類が発生します。なるべく発生の初期に発見してスミチオンやディプテレックス乳剤などを散布して退治しましょう。

カキのヘタムシ
 カキの果実が大きくなり始めた初期に落ちてしまうのは、ヘタムシ(カキミガの幼虫)が果実のヘタから侵入して中を食い荒らしたせいです。このヘタムシは5月下旬〜6月と8月の2回発生します。
 対策としては、今の時期に1週間おきに2、3回、スミチオン乳剤かパダン乳剤を散布します。併せてトップジンM水和剤を混合散布すれば炭そ病などの予防もできて、効果的です。

エカキムシ
 ナスターチウムやレモンバーム、ペチュニアなどの葉に、絵を描いているかのように白い線が入っているのは、エカキムシ(ハムグリバエ類の幼虫)の被害です。被害のひどい葉は摘み取って処分し、スミチオン乳剤かオルトラン水和剤を1週間おきに2、3回散布するようにしましょう。被害が大きい場合は黄色の粘着テープ(ハエ取り紙みたいなもの)を低い位置で設置すると、効果があります。粘着テープの入手についてはお近くの農協に問い合わせて見てください。

アブラムシ
 枝葉が茂ってくると、アブラムシの発生も多くなります。アブラムシは発生が少量ならば指でつぶすのがよいのですが、多い場合は殺虫剤(スミチオン、マラソンなど)を散布します。草花類や鉢植えではオルトラン水和剤(鉢物ならば粒剤でよい)やアドマイヤーなどの浸透移行性殺虫剤を散布しましょう。効果は2週間続きますので、月に2回散布すれば万全です。晴れの日が続く場合は、牛乳生のままスプレーしても効果があります(必ず虫の体にかかるように)。

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【特集7】イベント情報

県名 イベント名 期間・場所・連絡先
北海道 パンジー・ビオラcollection2014 期間:4月26日〜6月22日
場所:札幌市・国営滝野すずらん丘陵公園
TEL:011-592-3333
URL:http://www.takinopark.com/
花フェスタ2014 期間:2月25日〜5月6日
場所:旭川市・旭川大雪アリーナ
期間:6月21日〜29日
場所:札幌市・大通公園4〜7丁目
TEL:011-863-5550
茨城 クレマチス園公開 期間:5月3日〜6月8日
場所:つくば市・筑波実験植物園
TEL:029-851-5159
URL:http://www.tbg.kahaku.go.jp/
バラまつり 期間:5月24日〜6月22日
場所:石岡市・茨城県フラワーパーク
TEL:0299-42-4111
URL:http://flowerpark.or.jp/
神奈川 特別展示<再発見 歌麿「深川の雪」> 期間:4月4日〜6月30日
場所:足柄下郡・岡田美術館
TEL:0460-87-3931
ローズフェスティバル〜春〜2014 期間:5月10日〜6月22日
場所:平塚市・花菜ガーデン
TEL:0463-73-6170
新潟 香りのばらまつり 期間:5月31日〜6月22日
場所:長岡市・国営越後丘陵公園
TEL:0258-47-8001
静岡 全国都市緑化しずおかフェア「花と緑のオーケストラ〜水辺で奏でる未来の暮らし〜」 期間:4月5日〜6月15日
場所:浜松市・はままつフラワーパーク
TEL:053-487-0511
城ヶ崎あじさいまつり 期間:5月31日〜6月29日
場所:伊東市・伊豆四季の花公園
URL:http://izushikinohana.com/
大阪 春のローズフェスタ2014 期間:4月25日〜6月15日
場所:枚方市・京阪園芸
TEL:072-844-1781
URL:http://www.keihan-engei.com/
花菖蒲とアジサイ展 期間:6月6日〜15日
場所:大阪市・花と緑と自然の情報センター
TEL:06-6694-8788
クレマチスが見頃 期間:6月中旬まで
場所:河内長野市・花の文化園
TEL:0721-63-8739
兵庫 サラセニア品種展示会 期間:4月26日〜6月15日
場所:加西市・兵庫県立フラワーセンター
TEL:0790-47-1182
URL:http://www.flower-center.pref.hyogo.jp/
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