5月は気持ちの良い陽射しと十分な温かさのある日が続きました。だんだん湿度があがってきます。梅雨を迎えると病害虫が発生しやすくなりますので、気をつけてまいりましょう。
中国原産のサクラソウ科の多年草です。あのプリムラとは似つかわしくない穂状のユニークな花をつけます。つぼみが濃紅、花色が紫色の美しい姿です。8月頃花が終わると枯れてしまうことが多いので、毎年秋に種子を撒いて水はけのよい土で育てましょう。地植えのほうが大きな花序になります。
南ヨーロッパ原産ムラサキ科の一年草です。背の高い茎の先に首をもたげるように重なるように苞がつき、その先端にぶら下がるように下向きに花が咲きます。やや乾燥を好みますので、水はけのよい土で水のやりすぎに注意します。大きく育ちますので、株間をあけて植えます。花の後に種ができますので、10月に撒きますと翌春から楽しめます。
北アメリカ原産アカバナ科の多年草です。白い花は別名ハクチョウソウともいい、白いチョウチョのような花の形を現し、ピンクの花はヤマモモソウと色味から別名がつけられています。耐暑性、耐寒性ともにあり、日当たりと水はけのよい土ならばよく育ちます。
暑い夏に長く咲き続けてくれる貴重な草花類を紹介します。
●ニチニチソウ(キョウチクトウ科)
マダガスカル原産の多年草ですが、寒さに弱いので、園芸上は一年草扱いされています。日当たりと乾燥を好み、痩せ地にも耐えます。最近は、花が小型のもの、花がスパイラルになるものや、パステル調の花色のものなど品種が多くなりました。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。
●ポーチュラカ(スベリヒユ科)
熱帯アメリカ原産といわれる耐暑性の強い宿根草。強健で高温・乾燥に強く、日当たりで元気よく育ってくれます。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。ただ、寒さには弱いので、秋早めに挿し芽で苗を作って室内で越冬させます。
●インパチエンス(ツリフネソウ科)
小型で日当たりにも耐えるアフリカホウセンカと、大型で半日陰向きのニューギニアインパチエンスがあります。どちらも、水切れに弱いので、注意しましょう。アフリカホウセンカは花壇植えもでき、八重咲き品種も出回っています。ニューギニアインパチエンスはやや高温に弱い面がありますので、通風のよい場所に置きます。肥料は8月を除き、月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。
植物なのに、虫を捕らえて栄養源にしている食虫植物。その習性の面白さや変わった姿から、注目される存在です。なぜか夏に近づくと食虫植物の仲間が出回ります。その中でも、入手しやすく、育てやすい種類を紹介します。
<食虫植物栽培のポイント>
食虫植物は湿地原産のものが多いので乾燥は禁物。植え土(ミズゴケ)を乾かさないように注意しましょう。また、サラセニア以外は根が強くないので、肥料は避けたほうが無難です。その代わりに、たまに小さな虫をあたえる程度でよいでしょう。逆に、面白いからといってたくさん与えるのは、禁物、葉(捕虫葉)が早く老化します。病虫害は、ナメクジが付きやすいので、見付け次第捕殺します。
●サラセニア
サラセニア科の宿根草。北アメリカの東部原産。つぼ型の捕虫葉に落ちた虫を消化して栄養にします。ただ、食虫植物の中では根が発達していますので、特に虫を与えなくても育ちます。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。
●ハエトリソウ(ディオネア)
モウセンゴケ科の宿根草。北アメリカ東部原産。二枚貝の貝に似た捕虫葉の中心近くにある3対ほどの毛(感覚毛といいます)に虫が2回触れたら、目にも止まらぬスピードで葉を閉じて虫をとりこにするという、驚くべきメカニズムを備えた狩人です。性質は比較的強く、日当たりのよいところで(真夏は半日陰)、乾かさないようにし(水やり1日1回ほど)。ただ、滞水を嫌いますので、腰水は避けます。植え替えは早春、新しく、できれば太めのミズゴケで植え替えます。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。
●サスマタモウセンゴケ
モウセンゴケ科の宿根草。オーストラリア・ニュージーランド原産。モウセンゴケは葉に粘液を出す腺毛が密生し、この葉に触れた虫を絡めとるタイプです。葉先が二又や三叉になり、日本のモウセンゴケよりも背が高くなります。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。繁殖は種子ができないので、葉挿しでふやします。
建物や塀の陰や樹木の下などの日陰地を利用してシャドーガーデンを作りましょう。日陰地は緑も単調になりやすいので、耐陰性の強い草花類や葉色に変化のあるカラーリーフを多く用いるのが良いですね。朝晩など多少でも日射の入るところや、半日陰地なら多くの種類が利用できます。
<シャドーガーデンに向く種類>
・花物 | インパチエンス、ツルニチニチソウ、クリスマスローズ、エビネ、スズラン、 ホトトギス、モナルダ |
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・葉物 | コリウス、ラミウム、ヒューケラ、ギボウシ、ハラン、アイビー、レックスベゴニア、 ポトス |
<植え付け前の準備>
建物の陰などの日陰地は土が湿りがちで、ゼニゴケなどが生えやすいので、土質の改良をしましょう。
まず、土をよく耕し、堆肥や腐葉土などの有機物を多めに(1uあたり大きめのバケツ2杯)と、苦土石灰(1uあたり一掴みほど)をすきこみます。周囲をレンガなどで囲って、回りの土面よりも少し高くなるようにして、表面をならします。周囲に木が茂っているようなら、枝抜きをして風通りを図ります。
<植え付けと注意>
丈の高くなる種類(クリスマスローズやハランなど)は奥に、丈の低い種類は手前に植えるようにします。株間は15〜20cmほどとっておきます。株数が少ないときは、インパチエンス、ツルニチニチソウ、コリウス、ラミウムなどは、植え付けのときに枝を切り取って挿し芽しておけば、すぐに発根しますので、後から補植すればよいでしょう。
ハランやアイビーは斑入りの品種を選びます。レックスベゴニアやポトスは秋になったら掘り上げ室内に移します。
雨で庭に出ることも少なくなり、病害虫の発生を見逃してしまうこともでてきます。病害虫対策は、病気は予防、害虫は早期駆除が原則ですから、心がけましょう。
●ケムシ類
チャドクガが盛りになります。なるべく早めに見つけて、群生しているときに退治しましょう。葉ごと切り取って捕殺するか、スミチオンなどの殺虫剤を散布します。葉裏の卵の痕や脱皮殻もきれいに整理しましょう。サクラやウメ、ハナミズキ、プラタナスなど多くの樹種にアメリカシロヒトリ、ウメケムシなどのケムシ類が、針葉樹でもマツカレハなどのケムシ類が発生します。なるべく発生の初期に発見してスミチオンやディプテレックス乳剤などを散布して退治しましょう。
●カキのヘタムシ
カキの果実が大きくなり始めた初期に落ちてしまうのは、ヘタムシ(カキミガの幼虫)が果実のヘタから侵入して中を食い荒らしたせいです。このヘタムシは5月下旬〜6月と8月の2回発生します。
対策としては、今の時期に1週間おきに2、3回、スミチオン乳剤かパダン乳剤を散布します。併せてトップジンM水和剤を混合散布すれば炭そ病などの予防もできて、効果的です。
●エカキムシ
ナスターチウムやレモンバーム、ペチュニアなどの葉に、絵を描いているかのように白い線が入っているのは、エカキムシ(ハムグリバエ類の幼虫)の被害です。被害のひどい葉は摘み取って処分し、スミチオン乳剤かオルトラン水和剤を1週間おきに2、3回散布するようにしましょう。被害が大きい場合は黄色の粘着テープ(ハエ取り紙みたいなもの)を低い位置で設置すると、効果があります。粘着テープの入手についてはお近くの農協に問い合わせて見てください。
●アブラムシ
枝葉が茂ってくると、アブラムシの発生も多くなります。アブラムシは発生が少量ならば指でつぶすのがよいのですが、多い場合は殺虫剤(スミチオン、マラソンなど)を散布します。草花類や鉢植えではオルトラン水和剤(鉢物ならば粒剤でよい)やアドマイヤーなどの浸透移行性殺虫剤を散布しましょう。効果は2週間続きますので、月に2回散布すれば万全です。晴れの日が続く場合は、牛乳を生のままスプレーしても効果があります(必ず虫の体にかかるように)。
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