5月初旬は涼しい日もありましたが、気持ちの良い陽射しと十分な温かさのある日が続きました。だんだん蒸し暑くなってきました。梅雨を迎えると病害虫が発生しやすくなりますので、気をつけてまいりましょう。
北アメリカ原産のシソ科の多年草です。サルビアというと連想する赤花のものとはかなり形が違い、花が目立たない独特の草姿をしています。濃い紫色の葉は、花が咲いていない時期でもカラーリーフプランツとして利用できます。
日当りが良い場所で水はけの良い土を好み、耐暑性も耐寒性も強いので、育てやすく、花壇でも鉢でも育てることができます。水やりは、土が乾いてからたっぷりと与えます。こぼれ種でふえていきます。
エゾセンノウとガンピの交配種とされているナデシコ科の多年草です。鮮やかなくっきりとした花が、銅葉に対して鮮やかに映えて、寄せ植えや花壇を明るく演出してくれます。
耐暑性、耐寒性があり、比較的丈夫なので、花壇でも鉢植え、寄せ植えにも使えます。日当りがよい場所を好み、乾燥に少し弱いので水切れに注意します。
インドなど熱帯原産のキク科の一年草です。オレンジだけでなく、赤や黄色の花色の品種もあります。細い茎の先端に、小さな花が集まってひとつの丸いボタンのような形の花をポンポンと咲かせます。この花の形がカーテンタッセルの形に似ているので、英名は「タッセルフラワー」といいます。丈夫な性質なので、花壇でも鉢植えでも育てやすく、こぼれ種で増えていきます。
早春に花壇やプランターに種子を直接まいて、発芽後間引きながら育てます。日当りの良い場所で、水はけのよい土を好みます。乾燥には比較的強いので、過湿に注意します。土が乾いたらたっぷりと水やりをします。
暑い夏に長く咲き続けてくれる貴重な草花類を紹介します。
●ニチニチソウ(キョウチクトウ科)
マダガスカル原産の多年草ですが、寒さに弱いので、園芸上は一年草扱いされています。日当たりと乾燥を好み、痩せ地にも耐えます。最近は、花が小型のもの、花がスパイラルになるものや、パステル調の花色のものなど品種が多くなりました。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。
●ポーチュラカ(スベリヒユ科)
熱帯アメリカ原産といわれる耐暑性の強い宿根草。強健で高温・乾燥に強く、日当たりで元気よく育ってくれます。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。ただ、寒さには弱いので、秋早めに挿し芽で苗を作って室内で越冬させます。
●インパチエンス(ツリフネソウ科)
小型で日当たりにも耐えるアフリカホウセンカと、大型で半日陰向きのニューギニアインパチエンスがあります。どちらも、水切れに弱いので、注意しましょう。アフリカホウセンカは花壇植えもでき、八重咲き品種も出回っています。ニューギニアインパチエンスはやや高温に弱い面がありますので、通風のよい場所に置きます。肥料は8月を除き、月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。
植物なのに、虫を捕らえて栄養源にしている食虫植物。その習性の面白さや変わった姿から、注目される存在です。なぜか夏に近づくと食虫植物の仲間が出回ります。その中でも、入手しやすく、育てやすい種類を紹介します。
<食虫植物栽培のポイント>
食虫植物は湿地原産のものが多いので乾燥は禁物。植え土(ミズゴケ)を乾かさないように注意しましょう。また、サラセニア以外は根が強くないので、肥料は避けたほうが無難です。その代わりに、たまに小さな虫をあたえる程度でよいでしょう。逆に、面白いからといってたくさん与えるのは、禁物、葉(捕虫葉)が早く老化します。病虫害は、ナメクジが付きやすいので、見付け次第捕殺します。
●サラセニア
サラセニア科の宿根草。北アメリカの東部原産。つぼ型の捕虫葉に落ちた虫を消化して栄養にします。ただ、食虫植物の中では根が発達していますので、特に虫を与えなくても育ちます。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。
●ハエトリソウ(ディオネア)
モウセンゴケ科の宿根草。北アメリカ東部原産。二枚貝の貝に似た捕虫葉の中心近くにある3対ほどの毛(感覚毛といいます)に虫が2回触れたら、目にも止まらぬスピードで葉を閉じて虫をとりこにするという、驚くべきメカニズムを備えた狩人です。性質は比較的強く、日当たりのよいところで(真夏は半日陰)、乾かさないようにし(水やり1日1回ほど)。ただ、滞水を嫌いますので、腰水は避けます。植え替えは早春、新しく、できれば太めのミズゴケで植え替えます。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。
●サスマタモウセンゴケ
モウセンゴケ科の宿根草。オーストラリア・ニュージーランド原産。モウセンゴケは葉に粘液を出す腺毛が密生し、この葉に触れた虫を絡めとるタイプです。葉先が二又や三叉になり、日本のモウセンゴケよりも背が高くなります。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。繁殖は種子ができないので、葉挿しでふやします。
建物や塀の陰や樹木の下などの日陰地を利用してシャドーガーデンを作りましょう。日陰地は緑も単調になりやすいので、耐陰性の強い草花類や葉色に変化のあるカラーリーフを多く用いるのが良いですね。朝晩など多少でも日射の入るところや、半日陰地なら多くの種類が利用できます。
<シャドーガーデンに向く種類>
・花物 | インパチエンス、ツルニチニチソウ、クリスマスローズ、エビネ、スズラン、 ホトトギス、モナルダ |
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・葉物 | コリウス、ラミウム、ヒューケラ、ギボウシ、ハラン、アイビー、レックスベゴニア、 ポトス |
<植え付け前の準備>
建物の陰などの日陰地は土が湿りがちで、ゼニゴケなどが生えやすいので、土質の改良をしましょう。
まず、土をよく耕し、堆肥や腐葉土などの有機物を多めに(1uあたり大きめのバケツ2杯)と、苦土石灰(1uあたり一掴みほど)をすきこみます。周囲をレンガなどで囲って、回りの土面よりも少し高くなるようにして、表面をならします。周囲に木が茂っているようなら、枝抜きをして風通りを図ります。
<植え付けと注意>
丈の高くなる種類(クリスマスローズやハランなど)は奥に、丈の低い種類は手前に植えるようにします。株間は15〜20cmほどとっておきます。株数が少ないときは、インパチエンス、ツルニチニチソウ、コリウス、ラミウムなどは、植え付けのときに枝を切り取って挿し芽しておけば、すぐに発根しますので、後から補植すればよいでしょう。
ハランやアイビーは斑入りの品種を選びます。レックスベゴニアやポトスは秋になったら掘り上げ室内に移します。
雨で庭に出ることも少なくなり、病害虫の発生を見逃してしまうこともでてきます。病害虫対策は、病気は予防、害虫は早期駆除が原則ですから、心がけましょう。
●ケムシ類
チャドクガが盛りになります。なるべく早めに見つけて、群生しているときに退治しましょう。葉ごと切り取って捕殺するか、スミチオンなどの殺虫剤を散布します。葉裏の卵の痕や脱皮殻もきれいに整理しましょう。サクラやウメ、ハナミズキ、プラタナスなど多くの樹種にアメリカシロヒトリ、ウメケムシなどのケムシ類が、針葉樹でもマツカレハなどのケムシ類が発生します。なるべく発生の初期に発見してスミチオンやディプテレックス乳剤などを散布して退治しましょう。
●カキのヘタムシ
カキの果実が大きくなり始めた初期に落ちてしまうのは、ヘタムシ(カキミガの幼虫)が果実のヘタから侵入して中を食い荒らしたせいです。このヘタムシは5月下旬〜6月と8月の2回発生します。
対策としては、今の時期に1週間おきに2、3回、スミチオン乳剤かパダン乳剤を散布します。併せてトップジンM水和剤を混合散布すれば炭そ病などの予防もできて、効果的です。
●エカキムシ
ナスターチウムやレモンバーム、ペチュニアなどの葉に、絵を描いているかのように白い線が入っているのは、エカキムシ(ハムグリバエ類の幼虫)の被害です。被害のひどい葉は摘み取って処分し、スミチオン乳剤かオルトラン水和剤を1週間おきに2、3回散布するようにしましょう。被害が大きい場合は黄色の粘着テープ(ハエ取り紙みたいなもの)を低い位置で設置すると、効果があります。粘着テープの入手についてはお近くの農協に問い合わせて見てください。
●アブラムシ
枝葉が茂ってくると、アブラムシの発生も多くなります。アブラムシは発生が少量ならば指でつぶすのがよいのですが、多い場合は殺虫剤(スミチオン、マラソンなど)を散布します。草花類や鉢植えではオルトラン水和剤(鉢物ならば粒剤でよい)やアドマイヤーなどの浸透移行性殺虫剤を散布しましょう。効果は2週間続きますので、月に2回散布すれば万全です。晴れの日が続く場合は、牛乳を生のままスプレーしても効果があります(必ず虫の体にかかるように)。
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