[7月の庭園仕事]
6月は初夏の温かさと梅雨の寒さで体調を崩された方も多かったのではないでしょうか。あと少しで梅雨が明け、猛暑がやってきます。東京ではまもなく入谷の朝顔市、浅草のほおずき市が開催されます。夏の風物詩ですね。
【特集1】買い物情報
ゴンフォスティグマ(Gomphostigma virgatum)
アフリカ南部に分布するフジウツギ科の常緑低木です。暑さ寒さに強く、一年中シルバーリーフを楽しめます。初夏から秋に開花し、花後の剪定で枝数を増やすことができます。
▲ゴンフォスティグマ
葉の形などはローズマリーに似ています。 |
▲ゴンフォスティグマ花
花のつき方がローズマリーとは 全く違います。 |
●ペンステモン‘ジングルベル’(Penstemon barbatus)
北アメリカなどに分布するゴマノハグサ科の多年草です。しゅっとした背の高い草姿に、3cmくらいのやや下向きの筒状に近いベルのような形の花を咲かせます。過湿に弱いので、夏の管理は特に注意して行います。
排水の良い土に植え、風通しのよい所に置き、水は土が乾いたらたっぷり与え、湿り過ぎないようにします。花がおわったら花茎ごと切り戻します。
▲ペンステモン‘ジングルベル’
1m近くの背の高い草姿。 |
▲ペンステモン‘ジングルベル’花
ベルというより鮫のようです。 |
●イオニマス(マサキ)(Euonymus japonicus)
日本に広く分布しているニシキギ科の常緑低木、マサキを、ガーデニング用に学名の「イオニマス」とカタカナ表記にして、まるで別物のように販売されています。変種や品種が多く、白い斑入り、黄色い斑入り、葉の形もさまざまなバリエーションがあります。
暑さや寒さに強くとても丈夫です。生垣などにも良く用いられ、挿し木で増やすことができます。水はけが良く、日当たりの良い場所で育てます。土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。
▲イオニマス
マサキですが斑入りだと印象がまた違います。
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▲イオニマス
葉を縁取るような斑は大変きれいで 見栄えがします。 |
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【特集2】季節の手入れポイント
<花壇・ガーデニング>
梅雨の間、あまり手入れのできなかった花壇では、病害虫が発生していたり、茂りすぎた株もでてきます。早めに見回って、薬剤散布や害虫の捕殺、茂りすぎた枝の間引き剪定をして、夏に備えましょう。
<花木・庭木>
ツバキ・サザンカ、ウメ、ツツジ・シャクナゲ類などの春咲きの花木類は、これからの時期に来年の花芽を作ります(これを「花芽分化」といいます)。今の時期に枝を切ったり、肥料をやったりすると、この花芽分化のメカニズムが乱されますので、注意しましょう。株の根元から出た台芽や徒長枝の切り詰めるほかは、特に込みすぎた枝の間引きや、伸びすぎた枝の先を止める程度にします。
<花鉢物>
梅雨が明けると、多くの鉢物類には厳しい日本の夏が始まります。これまで日当たりに置いていたフクシアや球根ベゴニア、シャコバサボテン、マーガレット、ユーリオプシスデージー、シンビジウムなども強い直射日光の当たらない、半日陰程度の風通りのよい涼しい場所に移しましょう。<br> なお、鉢物類の水やりは朝の涼しい時間にたっぷりと与えます。夕方までに土が完全に乾いてしまう場合は、置き場所を変えるか鉢を一回り大きなものに植え直しましょう。
<家庭菜園・ハーブ>
ナスやトマト、キュウリなど夏野菜の収穫の盛期になります。肥切れさせないよう、2〜3週間おきに定期的に追肥をあたえ、根元に土寄せしましょう。また、晴天が続くようになったら、土が乾燥しすぎないように涼しい朝か夕方にたっぷりと水やりしましょう。
ハーブ類は夏の高温多湿を嫌う種類が多いので、茂りすぎた株は枝を切りすかし、ラベンダーなど、花が終わった株は切り詰めます。
【特集3】夏に強い多肉植物
最近、多肉植物の仲間が人気になっているようです。一口で多肉植物といっても多くの種類があります。意外と知られていないのは、多肉植物には、夏の暑さに弱い種類が多いこと。メセンやコノフィツムなどのように夏は完全に休眠する種類もあり、そこまでいかなくても暑い時期は水を控えてすごさせる種類が多くあります。そのなかで、夏も元気よく育ってくれるのは夏成長型のエケベリアやセダム、カランコエなどベンケイソウ科の仲間(一部、夏に弱い=冬成長型もあります)。丈夫で乾燥に強く、よくふえてくれるものうれしいですね。寄せ植えやタペストリーに作る場合は、同じ性質(生育型、日照の好みなど)のものを用いるようにしましょう。
<多肉植物の夏の管理>
- 置き場所 よく日の当たる雨の当たらないところ。夏に休眠する種類は半日陰の涼しいところがよい。セダム類やカランコエ類の丈夫な種類は戸外の雨ざらしのところでもよい。
- 水やり 夏生育型の種類も、原則控えめ。土が乾いてきてから1日待って、葉にかけないように水やりする。1回の量はたっぷりと行う。葉の付け根に水がたまると、腐り込みやすいので注意。
- 肥料 夏の間は、原則として不要。
- 植え替え 小鉢の場合は年1回。大鉢の場合も2年に1回はしたい。冬成長型は秋(10月)、夏成長型と春秋成長型は春(4、5月)が無難。
- 繁殖 株分けや挿し芽は植え替えと同時期に行える。葉ざしはほとんどの種類可能(セネシオなどを除く)。方法は、乾いた土・砂の上に葉を置いて、芽が出るまで半日陰のところで管理し、芽が出たら日向に移す。芽が伸びてきたら霧吹きで水を与え、芽が3センチくらい伸びたら鉢上げし、以後は普通の管理でよい。
【特集4】アサガオとホオズキの鉢物
アサガオやホオズキの鉢物が目立つ季節です。各地のほおずき市や朝顔市で入手される方もおいででしょう。このアサガオやホオズキは、本来は真夏の花で、今頃の鉢物は促成で仕立てたもので、鉢植えとして見栄えをよくするために、鉢の大きさよりも多く株が植えられています。そのため、すぐに鉢いっぱいに根が回ってしまい、アサガオでは花の数が少なくなったり、花が小さくなったりします。また、水切れしやすくなり、葉や蕾、果実が落ちたりすることが多くなります。できたら、鉢底から長く根が出てくる前に、1、2回り大きな鉢に植え替えてやりましょう。
朝ちょっと早起きし、日が照りつける前に鉢からそっと抜き、一回り大きな鉢に植え直します。用土は市販の培養土でよく、用土に肥料を混ぜる必要はありません。行灯仕立てのアサガオには、行灯の外側に一回り大きな行灯を立て、新しくの伸びてきたツルは外側の行灯に誘導するようにします。植え替えたら、たっぷりと水やりし、その日は半日陰のところに置き、翌日から日のあたる場所に移します。1週間位したら、小さじ一杯くらい、マグアンプKなどの緩効性固形肥料を鉢の表面にばらまけばよいでしょう。
【特集5】秋咲き球根の植えつけ
土の中から、いきなり蕾をもたげて鮮やかな花を咲かせてくれるリコリスやアマリリス・ベラドンナは、庭の表情を変えさせてくれる魔法の球根類です。今が、この秋咲き球根の植え付け時期です。
<リコリス類> ヒガンバナの仲間で、英語では花びらが細長いのでスパイダーリリー。日本や中国原産なのに、なぜかエキゾティックな感じがします。欧米の改良種が出回るようになっています。
- 植え場所 日当たりと水はけがよい肥沃地。夏に乾燥しないところがベストです。明るい落葉樹の下などでもよい。中国原産とされるヒガンバナやナツズイセンは耐寒性がありますが、日本原産のショウキランやシロバナヒガンバナは関東地方以南の暖地向きです。
- 植え時期 なるべく早めに、8月中旬には植え付けます。
- 植え方 植える前にあらかじめ堆肥をすきこんでおき、根を広げて植えること(リコリス類は休眠中も根が生きているので、根を切らないように)。株間は10〜15センチ、覆土は球根1球分。
- 管理 花後に有機配合肥料を1つかみ株元にすきこめばよいでしょう。
- 鉢植え 6、7号鉢に3〜5球植え。ナツズイセンなど大球性の種類は1〜3球。植え替えは毎年か2年に1回。夏も土をあまり乾かさないように。
<アマリリス・ベラドンナ> 南アフリカ原産のユリに似た大輪で香りのよい花を咲かせます。別名はベラドンナリリー。リコリス類よりも寒さに弱いので鉢植えが無難です。関東地方以南の暖地ならば庭植えもできます。
- 植え時期 早めに植えつけ、遅くとも8月中旬頃までに植えつけます。
- 用土と鉢 チッソ分の多い用土を嫌うので、市販の培養土ではなく、川砂か赤玉土に腐葉土を2割くらい入れた用土を調合します。鉢は、球根類よりもやや大きい程度の小さめの鉢にします。
- 植え方 球根の先端がちょっと出るくらいの浅植えにします。
- 管理 花が咲いたら葉が出てくるので、冬までは戸外の日当たりで管理します。霜が降りる前に、室内の凍らない日当たりに取り入れ、春また外に出します。葉が枯れてきたら、日の当たらない涼しい場所に移し、水やりも月に1回くらいにします。
- 施肥と植え替え 肥料は春と秋にハイポネックスの液肥を月2回ほど与えればよく、植え替えは好まないので3、4年に1回でよいでしょう。
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