日本園芸協会

園芸ファン通信 VOL.212 【7月号】

 梅雨の季節は病害虫が蔓延しやすいので、日々管理されている植物の観察は怠らないようにしましょう。湿度が高いので、水やり調節も難しくなります。さてまもなく東京・入谷の朝顔市(7/6〜8)、浅草のほおずき市(7/9〜10)が開催されます。夏の風物詩ですね。

★今号の記事一覧★

  1. 【特集1】買い物情報
  2. 【特集2】季節の手入れポイント
  3. 【特集3】夏に強い多肉植物
  4. 【特集4】アサガオとホオズキの鉢物
  5. 【特集5】秋咲き球根の植えつけ
  6. 【特集6】通信販売のご案内
  7. 【特集7】7月のイベント情報
  8. 【特集8】日本園芸協会機関誌のご案内

【特集1】買い物情報

クレオメ (Cleome hassleriana)

南アメリカ原産、フウチョウソウ科の一年草です。花から出る長い雄しべと雌しべ、可憐な花弁が蝶のように見えるところから「セイヨウフウチョウソウ(西洋風蝶草)」の別名を持ちます。
 夏の暑さに強いのであまり手がかからず、花壇、鉢植えで楽しむことができます。日当たりと水はけのよい場所を好みます。

クレオメ
▲クレオメ
ピンクや白色があります
クレオメ
▲クレオメ
蝶々のような花の形

●ホルムショルディア (Holumskioldia tettensis)

 南アフリカ原産、クマツヅラ科の半つる性常緑低木です。
 花弁に見える薄ピンク色の部分は苞(ほう)で、中心の紫色に開くのが花です。薄ピンク色のお皿に紫の蝶がとまっているようなおもしろい形です。
 夏の花後バランスよく樹形を整えるため、伸びすぎたつるを切り戻します。日当たりを好みますが、特に夏場の水やりは注意します。鉢土は乾きかけたらすぐに水やりします。

ホルムショルディア
▲ホルムショルディア
茎が堅いので木本であることがわかります
ホルムショルディアの花
▲ホルムショルディアの花
ピンク色が苞、紫色が花です

ガイラルディア (Atriplex rubura)

 アカザ科の一年草です。春頃は緑色を帯び裏面が鮮やかな紫色ですが、夏にかけて赤や紫色を帯びて変化し、全体的に白く粉がかかったような優しい質感になります。寄せ植えや花壇でシックな色合いにまとめるときに活躍します。手がかからず、日当りと水はけの良い場所で育てます。水は、土が乾いたらたっぷり与えます。

ガイラルディア
▲ガイラルディア
ビビッドで夏らしい色です
ガイラルディア花
▲ガイラルディア花
ヒマワリと並べても明るく演出できそうです
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【特集2】季節の手入れポイント

花壇・ガーデニング
 梅雨の間、あまり手入れのできなかった花壇では、病害虫が発生していたり、茂りすぎた株もでてきます。早めに見回って、薬剤散布や害虫の捕殺、茂りすぎた枝の間引き剪定をして、夏に備えましょう。
<花木・庭木>
 ツバキ・サザンカ、ウメ、ツツジ・シャクナゲ類などの春咲きの花木類は、これからの時期に来年の花芽を作ります(これを「花芽分化」といいます)。今の時期に枝を切ったり、肥料をやったりすると、この花芽分化のメカニズムが乱されますので、注意しましょう。株の根元から出た台芽や徒長枝の切り詰めるほかは、特に込みすぎた枝の間引きや、伸びすぎた枝の先を止める程度にします。
花鉢物
 梅雨が明けると、多くの鉢物類には厳しい日本の夏が始まります。これまで日当たりに置いていたフクシアや球根ベゴニア、シャコバサボテン、マーガレット、ユーリオプシスデージー、シンビジウムなども強い直射日光の当たらない、半日陰程度の風通りのよい涼しい場所に移しましょう。
 なお、鉢物類の水やりは朝の涼しい時間にたっぷりと与えます。夕方までに土が完全に乾いてしまう場合は、置き場所を変えるか鉢を一回り大きなものに植え直しましょう。
家庭菜園・ハーブ
 ナスやトマト、キュウリなど夏野菜の収穫の盛期になります。肥切れさせないよう、2〜3週間おきに定期的に追肥をあたえ、根元に土寄せしましょう。また、晴天が続くようになったら、土が乾燥しすぎないように涼しい朝か夕方にたっぷりと水やりしましょう。
 ハーブ類は夏の高温多湿を嫌う種類が多いので、茂りすぎた株は枝を切りすかし、ラベンダーなど、花が終わった株は切り詰めます。
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【特集3】夏に強い多肉植物

 多肉植物の仲間が人気です。一口で多肉植物といっても多くの種類があります。意外と知られていないのは、多肉植物には、夏の暑さに弱い種類が多いこと。メセンやコノフィツムなどのように夏は完全に休眠する種類もあり、そこまでいかなくても暑い時期は水を控えてすごさせる種類が多くあります。そのなかで、夏も元気よく育ってくれるのは夏成長型のエケベリアやセダム、カランコエなどベンケイソウ科の仲間(一部、夏に弱い=冬成長型もあります)。丈夫で乾燥に強く、よくふえてくれるものうれしいですね。寄せ植えやタペストリーに作る場合は、同じ性質(生育型、日照の好みなど)のものを用いるようにしましょう。

<多肉植物の夏の管理>
置き場所
 よく日の当たる雨の当たらないところ。夏に休眠する種類は半日陰の涼しいところがよい。セダム類やカランコエ類の丈夫な種類は戸外の雨ざらしのところでもよい。

水やり
 夏生育型の種類も、原則控えめ。土が乾いてきてから1日待って、葉にかけないように水やりする。1回の量はたっぷりと行う。葉の付け根に水がたまると、腐り込みやすいので注意。

肥料
 夏の間は、原則として不要。

植え替え
 小鉢の場合は年1回。大鉢の場合も2年に1回はしたい。冬成長型は秋(10月)、夏成長型と春秋成長型は春(4、5月)が無難。

繁殖
 株分けや挿し芽は植え替えと同時期に行える。葉ざしはほとんどの種類可能(セネシオなどを除く)。方法は、乾いた土・砂の上に葉を置いて、芽が出るまで半日陰のところで管理し、芽が出たら日向に移す。芽が伸びてきたら霧吹きで水を与え、芽が3センチくらい伸びたら鉢上げし、以後は普通の管理でよい。

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【特集4】アサガオとホオズキの鉢物

 アサガオやホオズキの鉢物が目立つ季節です。各地のほおずき市や朝顔市で入手される方もおいででしょう。このアサガオやホオズキは、本来は真夏の花で、今頃の鉢物は促成で仕立てたもので、鉢植えとして見栄えをよくするために、鉢の大きさよりも多く株が植えられています。そのため、すぐに鉢いっぱいに根が回ってしまい、アサガオでは花の数が少なくなったり、花が小さくなったりします。また、水切れしやすくなり、葉や蕾、果実が落ちたりすることが多くなります。できたら、鉢底から長く根が出てくる前に、1、2回り大きな鉢に植え替えてやりましょう。
 朝ちょっと早起きし、日が照りつける前に鉢からそっと抜き、一回り大きな鉢に植え直します。用土は市販の培養土でよく、用土に肥料を混ぜる必要はありません。行灯仕立てのアサガオには、行灯の外側に一回り大きな行灯を立て、新しくの伸びてきたツルは外側の行灯に誘導するようにします。植え替えたら、たっぷりと水やりし、その日は半日陰のところに置き、翌日から日のあたる場所に移します。1週間位したら、小さじ一杯くらい、マグアンプKなどの緩効性固形肥料を鉢の表面にばらまけばよいでしょう。

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【特集5】秋咲き球根の植えつけ

 土の中から、いきなり蕾をもたげて鮮やかな花を咲かせてくれるリコリスやアマリリス・ベラドンナは、庭の表情を変えさせてくれる魔法の球根類です。今が、この秋咲き球根の植え付け時期です。

<リコリス類>
 ヒガンバナの仲間で、英語では花びらが細長いのでスパイダーリリー。日本や中国原産なのに、なぜかエキゾティックな感じがします。欧米の改良種が出回るようになっています。

・植え場所
 日当たりと水はけがよい肥沃地。夏に乾燥しないところがベストです。明るい落葉樹の下などでもよい。中国原産とされるヒガンバナやナツズイセンは耐寒性がありますが、日本原産のショウキランやシロバナヒガンバナは関東地方以南の暖地向きです。

・植え時期
 なるべく早めに、8月中旬には植え付けます。

・植え方
 植える前にあらかじめ堆肥をすきこんでおき、根を広げて植えること(リコリス類は休眠中も根が生きているので、根を切らないように)。株間は10〜15センチ、覆土は球根1球分。

・管理
 花後に有機配合肥料を1つかみ株元にすきこめばよいでしょう。

・鉢植え
 6、7号鉢に3〜5球植え。ナツズイセンなど大球性の種類は1〜3球。植え替えは毎年か2年に1回。夏も土をあまり乾かさないように。

<アマリリス・ベラドンナ>
 南アフリカ原産のユリに似た大輪で香りのよい花を咲かせます。別名はベラドンナリリー。リコリス類よりも寒さに弱いので鉢植えが無難です。関東地方以南の暖地ならば庭植えもできます。

・植え時期
 早めに植えつけ、遅くとも8月中旬頃までに植えつけます。

・用土と鉢
 チッソ分の多い用土を嫌うので、市販の培養土ではなく、川砂か赤玉土に腐葉土を2割くらい入れた用土を調合します。鉢は、球根類よりもやや大きい程度の小さめの鉢にします。

・植え方
 球根の先端がちょっと出るくらいの浅植えにします。

・管理 
 花が咲いたら葉が出てくるので、冬までは戸外の日当たりで管理します。霜が降りる前に、室内の凍らない日当たりに取り入れ、春また外に出します。葉が枯れてきたら、日の当たらない涼しい場所に移し、水やりも月に1回くらいにします。

・施肥と植え替え
 肥料は春と秋にハイポネックスの液肥を月2回ほど与えればよく、植え替えは好まないので3、4年に1回でよいでしょう。

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【特集6】通信販売のご案内

 日本園芸協会代理部では、庭での作業がはかどる園芸資材をご紹介しています。ぜひご利用ください。


http://www.catalog-shopping.co.jp/shop/eg1/index.html


注文先:日本園芸協会 代理部(日本カタログショッピング)
TEL:0120-22-1128
FAX:0120-161-418
E-mail:info@catalog-shopping.co.jp

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【特集7】イベント情報

北海道
札幌市
札幌市緑化植物園豊平公園
エアープランツ展 〜奇妙な植物たち〜
期間:7月3日〜8日
お問い合わせ
TEL:011-811-6568
URL:https://www.sapporo-park.or.jp/toyohira/
第5回北海道フィールドトライアル
2018
期間:7月13日〜15日
場所:札幌市・学校法人八紘学園北海道農業専門学校特設会場
TEL:011-851-8236
URL:http://www.hft.jpn.org/
栃木
栃木市
とちぎ花センター
ざんねんな植物展〜ざんねんな植物の集まる残念寺へ〜
期間:7月18日〜9月2日
お問い合わせ
TEL:0282-55-5775
URL:http://www.florence.jp/
埼玉
さいたま市
大宮盆栽美術館
企画展「山水涼景〜盛夏の水石展」
期間:6月29日〜7月25日
企画展「彩の十二景―『盆石』の旅」
期間:6月29日〜7月25日
お問い合わせ
TEL:048-780-2091
URL:http://www.bonsai-art-museum.jp/
千葉
佐倉市
国立歴史民俗博物館(くらしの植物苑)
伝統の朝顔
期間:7月31日〜9月9日
お問い合わせ
TEL:043-486-0123
URL:http://www.rekihaku.ac.jp/
東京
入谷 朝顔まつり 期間:7月6日〜8日 5時〜11時
場所:台東区・入谷中央商店街
TEL:03-3841-1800
URL:http://www.asagao-maturi.com/
浅草寺 ほおずき市・四万六千日 期間:7月9日〜10日
場所:台東区・浅草寺境内
TEL:03-3842-0181
URL:http://www.senso-ji.jp/
夏休み特別企画「ドクターマキノと道草たんけん」-空飛ぶ胴乱号にのって- 期間:7月14日〜9月24日(火曜日休館)
場所:練馬区・練馬区立牧野記念庭園記念館
TEL:03-6904-6403
URL:http://www.makinoteien.jp/
第63回涼風七夕いけばな展 期間:7月15日〜16日
場所:東久留米市・創美流華道会館
TEL:042-471-4022
静岡
浜松市
はままつフラワーパーク
花のウォーキング(先着30名)
期間:7月14日
アサガオ展
期間:7月21日〜22日
食虫植物を観察しよう!(要事前申込)
期間:7月28日〜29日
お問い合わせ
TEL:053-487-0511
URL:http://e-flowerpark.com/
愛知
尾州徳川の花相撲 期間:4月20日〜8月26日
場所:名古屋市・ヤマザキ マザック美術館
TEL:052-937-3737
URL:http://www.mazak-art.com/
京都
京都市
京都府立植物園
食虫植物展
期間:7月20日〜29日
観蓮会 -蓮を楽しむ3日間
期間:7月21日〜23日
お問い合わせ
TEL:075-701-0141
URL:http://www.pref.kyoto.jp/plant/
兵庫
加西市
兵庫県立フラワーセンター
サラセニア品種展示
期間:4月22日〜11月4日
羽蝶蘭と初夏の山野草展示即売会
期間:7月21日〜9月11日
お問い合わせ
URL:http://www.hyogo-park.or.jp/flower-center/
広島
広島市
広島市植物公園
夏のカラフルリース展
期間:6月20日〜7月16日
世界の食虫植物展
期間:7月21日〜8月19日
お問い合わせ
TEL:082‐922-3600
URL:http://www.hiroshima-bot.jp/
高知
高知市
高知県立牧野植物園
食虫植物展
期間:7月21日〜9月2日
お問い合わせ
TEL:088-882-2601
URL:http://www.makino.or.jp/
長崎
ゆり祭 期間:6月23日〜7月16日
場所:佐世保市・ハウステンボス
URL:http://www.huistenbosch.co.jp/event/
大ひまわり展 期間:7月14日〜8月5日
場所:佐世保市・ハウステンボス
URL:http://www.huistenbosch.co.jp/event/
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【特集8】日本園芸協会機関誌のご案内

 「植物と園芸を学ぶ、楽しむ専門誌」プランツ&ガーデン夏号(177号)が発行されています。
 特集『市民農園で野菜栽培!』、新連載『季節の寄せ植え』をはじめ、根巻きや剪定枝の結び方が学べる『庭で役立つロープワーク』、農薬の専門家による『サインを見逃すな!病害虫防除法』など、庭木の手入れ・ガーデニング・日本庭園・病害虫などに関する情報が盛りだくさんです!

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毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。
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