日本園芸協会

園芸ファン通信 VOL.218 【1月号】

 新年明けましておめでとうございます。今年も花でいっぱいの一年にしましょう。

★今号の記事一覧★

  1. 【特集1】買い物情報
  2. 【特集2】季節の手入れポイント
  3. 【特集3】春の花といえばプリムラ
  4. 【特集4】クリスマスローズの購入と管理
  5. 【特集5】洋ランの手入れ
  6. 【特集6】多肉植物人気上昇中!!
  7. 【特集7】イベント情報

【特集1】買い物情報

●八重咲きパンジー‘フェアリーチュール’(Viola ‘Fairytulle’)

 冬に販売される植物の種類は少なく、ビオラやパンジーが定番となっています。これらの色や形の品種改良も盛んで、これまでの鮮やかな色とは別に、シックな色合いで上品さを追求したものもでています。これは八重咲きで優しいグラデーションの色合いであるパンジーです。耐寒性が強く戸外の花壇や寄せ植えに大活躍します。水はけの良い土で日当りのよいところにおきましょう。厳冬期は根の凍結を避けるため、晴れた日の午前中に水やりをすませ、夜には余分な水分が土の中に残らないようにしましょう。

八重咲きパンジー‘フェアリーチュール'
▲八重咲きパンジー‘フェアリーチュール’
ピンクを主としたグラデーション。
花の拡大
▲花の拡大
このほかにもオレンジや濃い目のピンク
などの種類もあります。

●アカエナ・イネルミス‘プルプレア’(Acaena inermis)

 ニュージーランド原産のバラ科の多年草です。小ぶりで美しい赤色の葉で、耐寒性があるので、冬の花壇で活躍します。ほふくさせてグランドカバーにしたり、寄せ植えに使えます。水はけの良い土で日当たりの良い場所に置いてください。水は土が乾いたら午前中にたっぷりと与えます。株分けなどで増やすことができます。

アカエナ・イネルミス‘プルプレア’
▲アカエナ・イネルミス‘プルプレア’
冬の花壇を明るく演出。
アカエナの葉
▲アカエナの葉
鋸歯のあるかわいらしい形の葉。

●フイリヒサカキ‘残雪’(Eurya japonica‘Variegata’)

 日本に分布するツバキ科の常緑低木です。挿し木繁殖した背の低い苗は寄せ植えのアクセントとして重宝し、和風、洋風、どちらのスタイルにもあいます。斑入りでないヒサカキは、昔から庭の生垣や植え込みに重宝されていて、育てやすい植物といえるでしょう。植物の腐食質を多く含む肥沃な土で、半日陰を好みます。

フイリヒサカキ
▲フイリヒサカキ
葉に白斑と黄斑が散在します。
フイリヒサカキ拡大
▲フイリヒサカキ拡大
新芽は赤みも帯びます。

●カロケファルス・ブラウニー(Calocephalus brownii)

 オーストラリア原産の、キク科の低木です。よく枝分かれし、葉は小さく枝と区別がつきません。全体的に銀灰色で、丸い株を形作り、シルバーリーフとして寄せ植えや花壇によく用いられます。温暖な気候を好むため、室内で管理します。

カロケファルス・ブラウニー
▲カロケファルス・ブラウニー
丸い株を作ります。

カロケファルス拡大
▲カロケファルス拡大
短い葉が枝についていますが、
色が同じで区別がつきません。
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【特集2】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>

 戸外での作業は特にはありません。空いている花壇があったら天地返しをしておきましょう。シャベルなどで花壇を掘りかえし、下の土を上に出しほぐして空気にさらします。30〜50cmくらいの深さでちょっと大変ですが、頑張りましょう。寒さや乾風、日光に当てることで、春からの病害虫の発生を減らすことができます。

<花木・庭木>

 針葉樹、落葉果樹・花木の剪定を年末までに行えなかった方は、無理に今月に行うことはありません。厳冬期を避け、2月になってからでよいでしょう。バラの冬の剪定や元肥やりは今月からの作業です。同時に薬剤を散布するとよいでしょう。

<花鉢物>

 室内に取り入れた熱帯花木類や草花類の具合はいかがですか。落葉性のものや枝を切り詰めた鉢物は吸水する力が弱くなっていますので、水は控えめにします。水やりの基本は、鉢の土が乾いてきてから与えることです。また、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニが発生しやすいので注意しましょう。表側だけでなく、定期的に葉裏や葉の付け根、株元の葉の重なりあっているところをチェックします。
 新しく購入した鉢物類で花が次々と咲く種類には、追肥と花がら摘みを行いましょう。

<家庭菜園・ハーブ>

 家庭菜園はおやすみの時期。越冬させている種類も少なくなりましたね。ホウレンソウやシュンギクなど、ビニルトンネルやべたがけシートをかけて育てているものは、中でアブラムシなどの病虫害が発生していないか、時々調べてみましょう。また、ビニルトンネルを利用すれば、ニンジン、コマツナ、カブ、ダイコンなどの種子がまけます。今、種子をまけば、春〜初夏にかけて収穫できます。

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【特集3】春の花といえばプリムラ

 春の代表的な鉢花がプリムラ。この「プリムラ」という名前は、サクラソウ科のサクラソウ属の学名ですが、園芸的には欧米で改良されたサクラソウ属の草花を呼ぶ名前になっています。

<プリムラ類の管理ポイント>

 冬の鉢花の中では寒さに比較的強く、凍らない程度の低温でよく、逆に高温になると株が早く弱ります。日当たりを好むので、暖房のない部屋の日当たりのよい窓辺などに置くと良いでしょう。開花時期が長いので追肥をして肥切れさせないようにします(液肥なら2週間に1回、置き肥なら1、2か月に1回)。空気が乾燥しているとハダニが付きやすいので、殺ダニ剤の散布か葉裏にシリンジ(噴霧)します。花がらはこまめに摘み、咲き進んだ花茎は切り取ると花茎が次々にあがってきて、長く楽しむことができます。

<プリムラの種類と特徴>

●ポリアンサ(P.×polyanthus)とジュリアン(P.×juliae)
 ヨーロッパ原産のサクラソウの交雑で生まれたポリアンサに、コーカサス原産のジュリアエを交配して作られたのがジュリアン。大輪で花茎がたつのがポリアンサで、小輪で花が地際で花が咲くのがジュリアンだったのですが、改良が進んで見分けにくくなっていますので、購入する際には札をよく見ましょう。八重咲き(バラ咲き)やパステルカラー、グラデーションやフリンジの花色も多くなっています。夏涼しくすごさせれば、夏越しできます。
●マラコイデス(P.malacoides)とフィルクネラエ(P.filchnerae)
 マラコイデスは多花性で優しい草姿で人気があります。近年出回るようになったフィルクネラエ(雲南サクラソウ)は、より大輪でボリュームのある姿になります。この2種は夏越しが難しいので、毎年種子で更新します。中国原産。
●オブコニカ(P.obconica)
 花が大輪で、プリムラの中では日陰に耐える種類です。寒さには弱いので、室内管理で。夏の暑さには強く、夏越ししやすい種類です。中国原産。
●デンティキュラータ (P.denticulate) とロゼア(P.rosea)
 玉咲きで、開花が進むに連れて花茎が伸びるデンティキュラータと、それよりもやや小型のロゼア。共にヒマラヤ地域原産で耐寒性が強いので外で育てます。本来は宿根草ですが、高山性のため暖地では夏越しは困難。消耗品と考えるのが実際的です。
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【特集4】クリスマスローズの購入と管理

 冬の寒さに負けず、屋外で咲いてくれるクリスマスローズ(キンポウゲ科ヘレボルス属)は貴重な花ですね。八重咲き品種など豊富な色・形の交配種が安価で入手できるようになりました。

<花付き株を入手したら>

・選び方
 有茎種も無茎種もこの時期に蕾・花がついていなければ、今年の花は望めません。なるべく蕾の多くついているものを選びましょう。クリスマスローズは蕾が小さくても、大体は開花します。
・置き場所
 1〜3月まではよく日の当たる軒下などの陽だまりに置きます。強い風が当たるところは避けましょう。 
・水やり
 クリスマスローズは今が生長期なので、水を切らさないように注意しましょう。風が強い日は乾きが早いので要注意です。特に、蕾の上がってきた株は、花が開くのに水が必要ですから、鉢の土が乾いてきたら、暖かい日の午前中にたっぷり与えます。
・肥料
 緩効性の固形肥料を月に1回一つまみほど、液肥なら月2、3回程度。庭植えのものには、春と秋に緩効性の固形肥料1、2回与えればよいでしょう。
・植え替え
 クリスマスローズは根が大きくなる植物です。株の大きさよりも鉢のほうがやや大きく見えるもの(秋か冬の初めに植え替えられたもの)はよいのですが、株と鉢のバランスがよい感じのものは、根詰まりの危険があります。こうしたものは、花が終わったら、一回り大きな鉢に植え替えます。庭(落葉樹の下の、夏に半日陰になるところ)やプランターに植えるときは、軽く根をほぐします。

<苗の場合>

 ポット植えの苗は、1年で根がポットに回ります。ポットの土を押してみて、硬い感じなら根詰まりに近くなっているものです。すぐに、軽く根をほぐして二回りほど大きな鉢に植え替えます。なお、施肥は、植え替え後、3週間ぐらいしたら始めます。

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【特集5】洋ランの手入れ

 年が明けると各地で洋ラン展が開かれます。ご家庭でも、シンビジウムやパフィオペディルムなど蕾が上がってきてくれるころです。あなたの愛蘭の咲き具合はいかがですか。

<花つきの株を入手した場合>

●置き場所
 よく日の当たる夜間10℃程度が保てる暖かい場所(暑すぎないように)。暖房の風の直接当たるところは避けます。
●水やり
 水やりは鉢の用土が乾いてから2、3日後に(週に1、2回程度)、室温より少し高めの30℃くらいのぬるま湯を湿らす程度与えます。蕾のある株では暖かい日にシリンジ(噴霧)をしましょう。
●肥料
 花の咲いている間は不要。春になって、芽が動いてきてから与えます。

<持ち込み株の管理>

 温室があれば別ですが、あまり温度が保てない場合は高温性のカトレアやファレノプシスなどは花が咲くのが遅くなります。低温性のシンビジウムやパフィオペディルム、ノビル系デンドロビウムは蕾があがってきます。花茎が折れたり曲がったりしないよう、支柱を立てましょう。また、空気が乾燥しがちですので、シリンジをマメに行います。

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【特集6】多肉植物人気上昇中!!

 多肉植物の人気が急上昇しているようで、ガーデンセンターでは多肉植物系統の売り場が拡充しているところが目立っています。多肉植物は、その性質さえ理解してしまえば、栽培管理に手間がかからないこと、年中、変わらない姿が楽しめること(花がきれいな種類もあります)、種類・品種が多く、コレクションの楽しみがあることなど、多肉植物園芸は楽しみの多い分野です。

<入手のポイント>

・名前つきのものを選ぶ
 ミニポットで売られているものは名前の付いていないものがあります。こうしたものは寄せ植えやタペストリーなどにはよいのですが、コレクションには不向きです。多肉植物は、葉挿しや株分けで易しくふやせるものが多いですから、多少高くてもちゃんとした名前つきのものを選ぶようにしましょう。
・ネット通販で珍品も
 最近は一般的な種類はガーデンセンターなどで入手できるようになっています。品揃えの面では専門店が一番です。インターネットで珍しい種類の苗や種子を販売しているところも多くなっていますので、そういうところを利用するのもよいでしょう。また、多肉植物の趣味の会に入会すると、交換会などで珍品を求めることもできます。外国の種子屋さんを利用すれば、珍しい原種を育てることもできます。

<国内のナーサリーと趣味の会>

・山城愛仙園
豊中市原田南1-10-7 Tel 06-6866-1953
http://www.aisenen.com/

・奈良多肉植物研究会
奈良市法蓮町1417-23 Tel 0742-27-3266
http://www3.kcn.ne.jp/~sakainss/

・国際多肉植物協会(ISIJ)
http://www.ne.jp/asahi/isij/japan/
会費3000円(年間)。詳しくはホームページをご覧ください。

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【特集7】イベント情報

 
北海道
札幌市
札幌市緑化植物園豊平公園
カラーリーフ展
期間:1月29日〜2月11日
お問い合わせ
TEL:011-811-6568
URL:https://www.sapporo-park.or.jp/toyohira/
埼玉
さいたま市
大宮盆栽美術館
コレクション名品展
期間:12月7日〜1月30日
お問い合わせ
TEL:048-780-2091
URL:http://www.bonsai-art-museum.jp/
川口市
川口緑化センター
錦糸南天展
期間:1月25日〜27日
お問い合わせ
TEL:048-296-4021
URL:http://www.jurian.or.jp/
千葉
佐倉市
国立歴史民俗博物館(くらしの植物苑)
冬の華・サザンカ
期間:11月27日〜1月27日
お問い合わせ
TEL:043-486-0123
URL:http://www.rekihaku.ac.jp/
第39回千葉県フラワーフェスティバル 期間:1月11日〜14日
場所:千葉市・そごう千葉店6階催事場
TEL:043-245-2429
東京
山田壽雄が描く園芸植物 −牧野富太郎が信頼した画家− 期間:10月20日〜12月24日(火曜日休館)
場所:練馬区・練馬区立牧野記念庭園記念館 企画展示室
TEL:03-6904-6403
URL:http://www.makinoteien.jp/
草月いけばな展「The Space」 期間:1月16日〜21日
場所:横浜市・横浜島屋ギャラリー(8階)
TEL:045-311-5111
第29回八丈島産業祭 期間:1月26日〜27日
場所:八丈町・八丈町役場多目的ホール「おじゃれ」
TEL:04996-2-1377
愛知
名古屋市
東山植物園
木の実草の実展
期間:12月4日〜1月6日
ガイドボランティア作品展
期間:1月8日〜2月3日
お問い合わせ
TEL:052-782-2111
URL:http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/
名古屋市
久屋大通フラリエ
名古屋愛蘭会 第68回新春洋蘭展
期間:1月4日〜8日
お問い合わせ
TEL:052-243-0511
URL:http://www.flarie.jp/
第89回銘風盆栽展 期間:1月12日〜14日
場所:名古屋市・吹上ホール
TEL:0564-21-5678
URL:https://chububonsai.jimdo.com/
滋賀
第68回長浜盆梅展 期間:1月10日〜3月10日
場所:長浜市・慶雲館
TEL:0749-65-6521
URL:http://bonbai.jp/
大阪
大阪市
長居植物園
招福おもと展
期間:1月8日〜14日
お問い合わせ
TEL:06-6694-8788
URL:http://www.nagai-park.jp/
大阪市
咲くやこの花館
POPなきのこ展
期間:1月12日〜27日
お問い合わせ
TEL:06-6912-0055
URL:http://www.sakuyakonohana.jp/
兵庫
奇跡の星の植物館クリスマスフラワーショー 期間:11月17日〜1月20日
場所:淡路市・県立淡路夢舞台温室
TEL:0799-74-1200
URL:http://www.kisekinohoshi.jp/
宝塚市
あいあいパーク
迎春フェア
期間:11月10日〜1月14日
お問い合わせ
TEL:0797-82-3570
URL:http://www.aiaipark.co.jp/
加西市
兵庫県立フラワーセンター
根茎ベゴニア展
期間:1月2日〜3月31日
お問い合わせ
TEL:0790-47-1182
URL:http://www.hyogo-park.or.jp/flower-center/
広島
広島市
広島市植物公園
新春小品盆栽展
期間:1月5日〜7日
冬の鉢花展
期間:1月12日〜2月11日
お問い合わせ
TEL:082‐922-3600
URL:http://www.hiroshima-bot.jp/
徳島
第20回全国シンビジウム逸品展 期間:11月27日〜1月31日
場所:美馬市・河野メリクロン あんみつ館・お蘭見広場
TEL:0120-53-1187
URL:https://www.anmitsukan.jp/index.php
高知
高知市
高知県立牧野植物園
押し葉標本30万点記念特別企画「標本展」
期間:11月10日〜1月14日
お問い合わせ
TEL:088-882-2601
URL:http://www.makino.or.jp/
長崎
大胡蝶蘭展 期間:12月1日〜2月18日
場所:佐世保市・ハウステンボス
URL:http://www.huistenbosch.co.jp/
沖縄
おきなわ花と食のフェスティバル2019 期間:1月26日〜27日
場所:那覇市・奥武公園
TEL:098-831-5565
URL:http://www.hanashoku.jp/
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