日本園芸協会

園芸ファン通信 VOL.263 【10月号】

 冬の兆しが見えてきました。秋の台風や寒さなどで傷ついた庭の植物は、アフターケアをしっかり行い、来年も元気良く育つようにしましょう。

★今号の記事一覧★

  1. 【特集1】買い物情報
  2. 【特集2】季節の手入れポイント
  3. 【特集3】バラ大苗の植え付け
  4. 【特集4】大菊秋苗の植え方
  5. 【特集5】書籍のご案内

【特集1】買い物情報

●オルトシフォン・ラビアツス (Orthosiphon labiatus)

 南アフリカに自生するシソ科の多年草です。良く枝分かれし、初夏から晩秋まで、淡い桃色の花を次々と咲かせるのでボリュームがあります。鉢植えでも夏の花壇でも活躍し、葉は芳香があり、花も香りも楽しめる使い勝手の良い花です。水はけと日当りのよいところで管理し、土が乾いたら水をたっぷり与えます。0度前後の低温に弱いため、冬場は鉢あげして霜のあたらないところで管理します。 ボリュームがあり、背丈がある程度伸びるので、花が終わったら切り戻します。

オルトシフォン・ラビアツス
▲オルトシフォン・ラビアツス
別名ピンクセージとも呼ばれます
オルトシフォン・ラビアツス花
▲オルトシフォン・ラビアツス花
唇形のほっそりとした花をたくさん咲かせます

●コレア‘タスマニアベル’(Correa ‘Tasmaniabell’)

 タスマニアに分布するミカン科の低木です。少し縮れたような丸い葉のつけねに、名前のようにベル形の花をつけます。鉢植えや花壇で楽しみますが、冬の霜にはあたらないようにします。砂質の水はけのよい土を好みますので、雨の多い時期は雨のあたらないところで管理します。

コレア
▲コレア
裏に短毛があり、よれているような変わった形の葉
コレア花
▲コレア花
鮮やかなベル形の花

ペニセツム・グラウクム(Rivina humilis)

 アフリカ原産のイネ科の多年草です。銅葉などカラーリーフのグラス類が秋の花壇や寄せ植えを彩ります。日当たりと水はけのよいところ好みます。水やりは土が乾いたらたっぷり与えます。繁殖力が強いので、株が広がったら困る場合は、プラスティック板(30cm深さ)で根を囲んで外に伸びないようにしておきます。

ペニセツム・グラウクム
▲ペニセツム・グラウクム
銅葉が秋らしい風情

ペニセツム・グラウクムの穂
▲ペニセツム・グラウクムの穂
たわしのようにしっかりとしており、
穂は直立します
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【特集2】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>

 花壇の草花の生育はいかがですか。霜が降りる頃になると、長く花を咲かせつづけてくれたコスモスやサルビア、マリーゴールドなどの秋花壇も見おさめの時期。草姿も乱れてきていますので整理しましょう。手で抜ける株は手で、コスモスなど根の張っているものはシャベルで掘り上げます。枯れ枝や古根を取り除いた後は、土を掘り返し、堆肥や苦土石灰などをすき込んでから平らにならします。コガネムシの幼虫やヨトウムシがいたら、捕殺しましょう。
 パンジーやビオラ、デージー、ハボタンは耐寒性が強いので、根付いてしまえば多少霜が降りても大丈夫ですが、スイ―トアリッサムやクリサンセマム・ムルチコーレはやや寒さに弱いので、霜よけや風除けを作るか、軒下に移すのが無難です。球根では、ユリやスイセンが植えられます。

<花木・庭木>

 マツ類の“もみ上げ(古葉とり)”は今が適期です。早めに済ませて、正月をきれいな庭で迎えましょう。また、チャボヒバ、イトヒバ、スイリュウヒバなどのヒバ類も庭の格を高めてくれる樹木です。一緒に手入れをすれば、庭がより見事になります。
 また、落葉の花木・果樹の植えつけの時期です。ウメモドキ、オオデマリ、ガマズミ類、モクレン・コブシ類、カエデ、ボケ、カイドウ、サクラ類、果樹ではウメ、モモ、リンゴ、ナシ、クリ、カキ、ブドウなどが植え時です。

<花鉢物>
 外が冬景色になってくると、室内鉢物の出番ですね。定番のシクラメンにプリムラ類、花期の長いシンビジウムやデンドロビウムなどの洋ラン類、クリスマスに欠かせないポインセチアやクリスマスカクタス(シャコバサボテン)、クリスマスベゴニアなどが出始めています。良質の株を入手することが、鉢物を長持ちさせる秘訣です。
 戸外で管理してきた非耐寒性の鉢物類には、保護が必要になります。低温に強いタイプの洋ラン類(シンビジウム、デンドロビウム、オンシジウムなど)、エンジェルストランペット、クンシラン、ノボタンなどの鉢物類なども、霜の降りる前に室内や軒下にとりこみましょう。
 なお、室内は通風が悪く、ワタカイガラムシやアブラムシ、ハダニなどが大発生しがちですから、とりこむ前に、殺虫剤や殺ダニ剤を散布して退治しておきましょう。シンビジウムなどは葉の付け根にカイガラムシが潜んでいることがありますので要注意。また、鉢の底のナメクジにも気をつけましょう。

<家庭菜園・ハーブ>

 菜園やハーブガーデンもそろそろ冬支度ですね。
 夏秋まきのネギやニンジン、タカナ、カラシナなどの収穫時期です。あまった野菜類は土寄せをすれば、しばらく保てます。また、ホウレンソウやコマツナなどには霜よけをつくってやりましょう。
 地上部が枯れてきたハーブ類は株元で切り取り、根元を腐葉土や堆肥でマルチングしておきます。まだ取り入れていない非耐寒性のハーブがあれば、早めに室内やフレームなどに取り入れます。

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【特集3】バラ大苗の植え付け

 バラの大苗(接ぎ木2年生苗)の植え付けの時期です。品種が揃っているうちに好みの種類を購入しましょう。

<良苗の条件>
 この時期のバラ苗には、ポット植えのものと、根巻き苗(根を麻布やビニール布で包んだもの)があります。すぐに植えるのでしたら、株の充実した根巻き苗(通信販売は大体、根巻き苗)でよく、そうでないなら、ポット植えの苗の方が安心です。ただ、細長いポット(スリムポット)に植えられたものは、このまま長期間育てることができませんので、秋の間に庭ないし大鉢に定植するようにしましょう。良苗は太く充実した幹が2〜3本以上でていて、幹に傷が無いものです。すぐに植えられない場合は、根巻き苗は布をはずしてから、風の当たらない日陰地に仮植えしておきます。

<庭植えの仕方>
★植え場所の整備
 日当たりがよく、水はけ、水もちがよい場所を選ぶ。植え穴は大きさ、深さとも50cmくらい掘り、植える1ヶ月前に牛ふん、鶏ふん、腐葉土や堆肥、石灰類(ほかより2週間前に)などをすき込んでおく。
★苗を調整する
 植える前に土を落とし、長すぎる根を切り詰めから、水を入れたバケツなどにいれる。幹はそれぞれ、接ぎ目から20cmほど上で、外に向いた太い芽のところで切り詰める。
★植え方
 上記の土の用意が間に合わなかった場合は、穴を掘って土に腐葉土か堆肥を混ぜ込み、穴の底に元肥として有機完熟肥料を300gほど入れて土と混ぜる。その上に、無肥料の土を戻して根を広げて植える。植える高さは、接ぎ木の接ぎ目が地面よりちょっと高くなる程度。土が根のあいだによく入るように、棒で突っつきながら土を根ぎわまでいれる。
★水やり
 この段階でたっぷりと水やりし、株をゆすって土と根をなじませる。水が引いたら、さらに土を接ぎ口くらいまで被せる。
★支柱
 風で倒れたりしないよう、簡単な支柱をつけておくとよい。
★マルチング
 冬は乾燥するので、稲ワラか堆肥などを株元に敷きつめる(マルチング)。

<鉢植えの場合>
 鉢は8号(24cm鉢)から10号(30cm鉢)くらいの大鉢、用土は市販のバラ培養土でよいでしょう。植え付けの方法は、庭植えの場合と同じですが、元肥は入れません。根付いた頃(植え付け1ヵ月後)に、有機固形肥料をひとつかみほど与えます。

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【特集4】大菊秋苗の植え方

 キクの盛りの時期です。苗も出回り始めていますので、来年は大輪のキクを咲かせてみませんか。今の時期のキク苗は秋苗(秋挿し苗)といい、9月に挿し芽をして作られたものです。この苗を育てて、来年の5月に挿し芽(この挿し芽株に花を咲かせるのです)をする親株とするものです。

<取り入れる前の準備>
 直接、地面の上に置いてしまった鉢は、底から根が出ていることがあります。こうしたものは、鉢から抜き、根を切り詰めて、同じ鉢か一回り大きな鉢に植え直しておくとよいでしょう。同時に枝も多少切り詰めるようにします。植え直しをしなかった場合も、枝は軽く切り詰めておきます。また、普通の鉢も長く伸びた枝やツルは1/2から2/3ほど切り詰め、茂りすぎたところの枝は風通しがよくなるよう、元から切り取ります。
●鉢と用土
 4.5〜5号の駄温鉢に1本植えが基本です。用土は赤玉土4+腐葉土5+くん炭(籾殻を蒸し焼きにしたもの)1の混用土ですが、市販のキク用培養土でもよいでしょう。
●植え方
 鉢底に防虫網を敷き、排水用にゴロ土を2列ほど入れ、培養土を入れます。キク苗は大きい蕾は摘み取り(小さな蕾は残しておく)、根を3cmくらいに切りそろえて植えます。植える高さは、苗の根元が鉢の縁より1cmくらい低い程度です。根鉢の表面にもくん炭を1cmほど敷き、粒状の化成肥料を4〜5gほどばら撒きます(根に当たらないよう土に混ぜてもよい)。最初から肥料を混ぜてあるタイプの市販の培養土の場合は、必要ありません。
●その後の管理
 植え終わったらたっぷりと水やりします。以後は、土が乾いてきて、葉がしおれ加減になってきたら水やりするようにします。4〜5日は強い風の当たらない半日陰に置き、活着したら、よく日の当たる軒下に置きます。

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【特集5】書籍のご案内

葉っぱのかたちから樹木が調べられる原寸大植物図鑑をご紹介します。



『葉っぱでおぼえる樹木』
●日本で見られる身近で代表的な樹木300種を精選!

原寸大で葉っぱの写真を収録した植物図鑑です。 葉の形状を15タイプに分類した表から、植物の名前を簡単に調べることができます。
散策や山歩きで目にする日本の代表的な樹木300種類を収録しています。 あなたも身近にある植物の名前を図鑑を使って調べてみませんか。


■B5判、336ページ ■柏書房
価格:3,740円(税込)
※送料660円(税込)
https://www.catalog-shopping.co.jp/shop/eg1/book/happajumoku/index.html



『葉っぱでおぼえる樹木2』
●果樹や薬用の樹木など235種を掲載した第2巻!

山野に自生する国産樹木から、公園などに植栽される外国産樹木まで、計235種を収録した第2巻。 食用の果樹や薬用で植えられる樹木も多く取り上げています。
第1巻とあわせれば、北海道から沖縄まで広く分布する樹木のほとんどが見分けられるようになります。


■B5判、292ページ ■柏書房
価格:3,740円(税込)
※送料660円(税込)
https://www.catalog-shopping.co.jp/shop/eg1/book/happajumoku/index.html


注文先:日本園芸協会 代理部(日本カタログショッピング)
TEL:0120-22-1128
FAX:0120-161-418
E-mail:custom@catalog-shopping.co.jp      

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