日本園芸協会 日本園芸協会

 園芸ファン通信 VOL.54

この秋は暖かい日が多かったのですが、 ようやく初冬らしい冷え込みが続くようになりました。
地でも紅葉は終わりに近づいたようです。 そろそろ、本格的に冬を迎えるようになりました。
冬囲いや霜の対策などはしっかりとしておきましょう。

■マツのもみ上げと庭木の手入れ

マツ類のもみ上げは9月から3月まで行えますが、
正月をすっきりとした姿で迎えるためには、今の時期までに行いたいものです。
ヒバ類も、やはり今の時期が手入れの好期です。


●マツのもみ上げの方法
(1)込みすぎた部分の枝や枯れ枝をはさみで切り落として樹形を整える
(2)枝先の古い葉(去年出た葉)を手でむしりとってすっきりさせる

・クロマツは下に垂れている古葉を全て取る(横向き以上の葉を残す)
・アカマツは垂れ葉を少し残してしなやかな感じ
・ゴヨウマツは古葉も多少残して葉群をこんもりさせる

このもみ上げは、手袋をして行うと手にヤニがつかないですみます。
はさみで葉先を切るのは禁物です。

11〜3月頃のもみ上げの作業
11〜3月頃のもみ上げの作業
樹種によるもみ上げのやり方の違い
樹種によるもみ上げのやり方の違い

●ヒバ類の手入れの方法
(1)葉のかたまりごと掌ではさんで軽くもみ、古葉を落とす
(2)長く伸びた枝、垂れすぎた枝や立ち枝をはさみで切り取る
(3)葉先を丸い感じやイチョウ形に整える

面倒だからといって、葉先をばっさりとはさみで刈りこむ方法は禁物です。
葉先が赤茶けて見苦しくなります。


平鉢に密植させたイトラッキョウ
チャボヒバのもみ上げ


■ユリ類が植えつけられます

夏の球根花壇の主役といえば、やはりユリですね。
今年は、「コンカドール」というOTハイブリッド(オリエンタルハイブリッド
<カサブランカなどの系統>とトランペット咲きのオーレリアンハイブリッドを
掛け合わせて生まれた新しい系統)の最新品種が出回りはじめ、彩りを工夫できるようになりました。
ユリ類は、ほかの秋植え球根よりも、植え付けが遅くてよい種類です。
まだ植えてないのなら、ぜひ、今年はユリを植えましょう。

コンカドール
コンカドール
ササユリ
ササユリ

●良球の条件

・鱗片がよくしまり、持ったときに重たく感じられるもの
・球根の下から出ている根が多くて、根の元から先まで白く生き生きとしているもの
・球根や根にカビが生えていたり、鱗片が干からびていたり、褐変していないもの。

●庭植えの方法

・植え場所
大きくなるオリエンタルハイブリッドやOTハイブリッドは、庭植えでのびのび育てると、真価を発揮します。
適地は、日当たりで腐植質が多く水はけのよい土がよく、日当たりからちょっと日陰になる

ところで、下草などで、茎の下部に日が当らないようにするとよく育ちます。
アジアチックハイブリッドはよく日の当る花壇が適します。

・植え方
植え方は図を参照。植える深さは、球根の高さの3〜4倍とり、植え付けと同時に支柱を建てておきます。

ユリの植え方
ユリの植え方

●ユリの鉢植えの方法

・鉢
オリエンタルハイブリッドなどの大きくなる園芸品種やヤマユリは、
10号鉢(30センチ鉢)に3球植え程度。球根が小さい場合は5球くらい
植えられます。
最近新品種が多くなっているアジアチックハイブリッド
(スカシユリやオニユリの系統)は、8号鉢(24センチ鉢)に5球程度です。

・用土
赤玉土(中)7に腐葉土3くらいの混用土。市販の培養土を使う場合は、
水はけのために川砂2つかみくらい混ぜておきます。

・植え方
(1)鉢底に鉢の高さの1/5程ごろ土を入れます
(2)ごろ土の上に2センチほど土(オルトラン粒剤とマグアンプkなどの緩効性肥料を
それぞれ小さじ1杯ほど混ぜたもの)を入れます
(3)球根をバランスよく配置し、支柱や支柱リンクを立て、土を入れます。
土の量は鉢の上部2センチを空ける程度。
ユリの植えつけは、上根(発芽後に茎から伸びる根)が伸ばせるように、
深植えにするのがポイントです。


■季節の手入れポイント

●花壇・ガーデニング
冬花壇の草花の生育はいかがですか。パンジーやビオラ、デージー、ハボタンは耐寒性が強いので、
根付いてしまえば多少霜が降りても大丈夫ですが、スイ―トアリッサムやクリサンセマム・ムルチコーレは
やや寒さに弱いので、霜よけや風除けを作るか、軒下に移すのが無難です。
球根では、ユリやスイセンが植えられます。

●花木・庭木
マツ類の“もみ上げ(古葉とり)”は今が適期です。早めに済ませて、正月をきれいな庭で迎えましょう。
また、チャボヒバ、イトヒバ、スイリュウヒバなどのヒバ類も庭の格を高めてくれる樹木です。
一緒に手入れをすれば、庭がより見事になります。

●花鉢物
庭を早めに冬支度しなければならなかっただけに、室内は花鉢物で飾りたいですね。
定番のシクラメンにプリムラ類、花期の長いシンビジウムやデンドロビウムなどの洋ラン類、
クリスマスに欠かせないポインセチアやクリスマスカクタス
(シャコバサボテン)、
クリスマスベゴニアなどが豊富に出回っています。
良質の株を入手することが、鉢物を長持ちさせる秘訣です。
『協会のホームページ・季節の園芸仕事』に鉢物の選び方と管理のポイントが
載っていますので、ご覧ください。
http://www.gardening.or.jp/colum/index.html

最近広まってきた黄色系のシクラメン
最近広まってきた黄色系のシクラメン
人気のある覆輪系のシクラメン
人気のある覆輪系のシクラメン

香りのいいリグニア
香りのいいリグニア


●家庭菜園・ハーブ
菜園やハーブガーデンもそろそろ冬支度ですね。
夏秋まきのネギやニンジン、タカナ、カラシナなどの収穫時期です。
あまった野菜類は土寄せをすれば、しばらく保てます。
また、ホウレンソウやコマツナなどには霜よけを作ってやりましょう。
地上部が枯れてきたハーブ類は株元で切り取り、根元を腐葉土や堆肥でマルチングしておきます。
まだ取り入れていない非耐寒性のハーブがあれば、早めに室内やフレームなどに取り入れます。


他にも、日本園芸協会のホームページには役立つ園芸情報をたくさん掲載しています。
毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。

http://www.gardening.or.jp/colum/index.html


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