日本園芸協会 日本園芸協会
植物博物館  http://www.horcul.com/top/

 園芸ファン通信 VOL.60

日本の夏は、熱帯地方よりもきついといわれます。
特に、夜間の温度が下がらないのはこたえますね。
山野草や、熱帯植物でも高地原産の植物は、なるべく涼しいところで過ごさせましょう。

■夏に涼しげな白〜緑色系の鉢物

蒸し暑い夏には、白〜緑色系の花を見ると目が救われた感じになりますね。
こうした鉢物を集めれば即席のワイトガーデンが作れます。庭に涼しげなコーナーを作りましょう。

<日向の花壇向き種類>

●ホワイトキャンドル(キツネノマゴ科)
アフリカ中部原産の半耐寒性常緑小低木。真夏は半日陰に置き、水切れに注意。
冬は室内の明るい窓辺。学名はWhitefieldia elongata.



●オレガノ「ケントビューティー」(シソ科)
ハーブのオレガノの園芸品種。地中海地方原産。
緑白色の包に薄紫桃色の花がかわいらしい。日当たりでやや皮かし気味に管理。
耐寒性はあるので、厳寒地以外では露地で越冬する。。



●斑入りマルバマンネングサ(ベンケイソウ科)
日本原産のマルバマンネグサの覆輪品種。セダム・マキノイ・バリエガタの名前で販売されることもある。
日当たりと、水はけよい用土でよく日に当てて育てるようにする。
セダムのなかでは水を好むタイプなので、強く乾燥させないように。



●白花コバノランタナ(クマツヅラ科)
ランタナの小葉種。南アメリカ原産の常緑小低木。
日当たりが悪かったり、肥料(特にチッソ分)を多くすると花が咲きにくくなる。
水やりも少なめがよいが、真夏は水切れしやすいので注意。
半耐寒性だが、関東南部以南までなら、霜の当たらない軒下などで越冬する(落葉する場合もある)。




■鉢物の夏場対策

日本の夏は、ほとんどの植物にとってつらい季節。
鉢物などを枯らすのも、この時季が多いものです。今年はしっかりと対策をとって、夏を乗り切りましょう。


<乾きやすい鉢の対策>
小さい鉢や、鉢に比べて植物が大きい場合は、鉢土が乾きやすい面があります。観察していて、鉢土が乾きやすいものには次の対策をとりましょう

(1)半日陰に移す

(2)鉢ごと庭に埋め込む(水やりを忘れないように)

(3)二重鉢にする(2回りほど大きな鉢に入れ、鉢と鉢の間に土や川砂、ミズゴケを詰める)

(4)根鉢を崩さないように1回り大きな鉢に植え替える

<夏の水やりのコツ>
水やりは、鉢の土が乾いてきてから与えるのが基本です(目安は土の色が白く変わってきたら)。
朝、水やりして、昼間に葉が萎れてきても、土にまだ湿り気があれば、気温が下がれば自然に回復します。
この場合を追加の水やりは不要で、夕方、軽く葉水をやる程度でよいでしょう。
ただ、昼すぎのもっとも高温になる時期に鉢内に水分が多いと、根痛みのもとになります。
山野草など、高温に弱いものは水やりを夕方に変えてみるのもよいでしょう。

<夏の肥料やりのポイント>
アサガオやニチニチソウ、ハイビスカス、ムクゲなど、夏でも元気よく成長し、花を咲かせ続ける種類には、
定期的な追肥が必要です。
暑さで花が止まったものや生育を休んでいる普通の鉢物には、夏は施肥を控えます。
過肥は根痛みの原因になります。

<水切れさせてしまった鉢の手当て>
まず涼しい日陰に移し、鉢の温度が下がってから、たっぷり水やりします(水を入れたバケツに鉢ごとつけてもよい。
鉢の土が水を吸ったら、鉢を出す)。
回復した鉢は、3、4日半日陰のところで養生させます。
葉が萎れて枯れたものでも、養生を続ければ、新しく芽を吹くこともあります。

<急に葉が萎れてきた株の手当て>
水切れさせたわけでもなく、病害虫がついたわけでもないのに、葉が萎れてきた場合は、
根痛みか暑さ負けの可能性があります。
とりあえず、半日陰の涼しい場所に移し、水やりは控えめにし(鉢の土が乾いてきてから水やり)、
しばらく様子を見ましょう。肥料は絶対に与えないようにします。

■夏野菜の手入れと秋の準備

ご自分で栽培し、完熟させたトマトやスイートコーンは本当においしいですね。
こうした夏野菜こそ、家庭菜園作りの醍醐味のような気がします。
ただ、トマトやキュウリは夏に弱りやすく、暑さが続くと、果実が小さいままになったり、奇形果になりやすいものです。
収穫の終わったトウモロコシやサヤインゲンともども、畑を整理して、秋の準備にかかりましょう。

●畑を片付ける目安
種子まきの目安は、ダイコン(8月下旬〜9月上旬)、ハクサイ(8月中旬〜9月上旬)、キャベツ・ブロッコリー(7月下旬〜8月上旬)、レタス(8月下旬〜9月上旬)です。
ハクサイやキャベツ類、 レタスはポットにまいて育苗するのですが、ダイコンは直播になります。
ですから、ダイコンの種子まき時期にあわせて、8月の中旬には畑を空け、準備をします。

●畑のならしと準備
(1)夏野菜を引き抜き、畑をよく掘り起こす。
(2)引き抜いた野菜の株や掘り起こした根は、すべて処分する。
(3)苦土石灰を1?当たり100〜200gばら撒き、スコップなどでよく混ぜ合わせ、表面を平らにならす。
(4)1週間後に1平方m当たり堆肥2Kg,配合肥料100gくらいを混ぜ合わせる。

●種子まき
まくのが少量の場合は、3号ポットに4、5粒まいて、発芽したら3芽に間引く。
用土は市販の培養土。時期的にアオムシ類がつきやすいので、寒冷紗のトンネルをかぶせるとよい。  
肥料は発芽したら、週1回、液肥を与えるか、種子まき用土に配合肥料を少量まぜておく。


■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
ペチュニア類、サルビア、マリーゴールドなど夏花壇の草花も暑さで弱って花数が少なくなりがちです。
茂りすぎたところは枝を間引き、伸びすぎた枝は切り戻し、元気のよい枝を出させるようにします。
水切れに弱いインパチエンス、トレニア、宿根バーベナなどには、早朝や夕方に株元にたっぷりと水やりしましょう。
冬春花壇用のパンジーやハボタンの種子まき時期になります。
*協会のホームページ“季節の庭園仕事”にパンジーやハボタンの種子まきの仕方が載っています。
ご覧ください。

<花木・庭木>
ウメや花モモなどは、枝が茂ってきましたね。
茂りすぎると鬱陶しい感じなので、つい枝を詰めたくなるものですが、ここは我慢しましょう。
というのは、夏は春咲きの花木類の花芽分化(花芽の元ができること)の時期で、今の時期にむやみに剪定をすると、花芽分化がうまく行えなくなったり、枝の中で出来た花芽を切り落としてしまうことになってしまいます。
夏の剪定は、徒長枝の切り詰めや特に茂りすぎたところの枝を間引き(枝の基から切ること)にとどめましょう。
協会のホームページ“季節の庭園仕事”に今の時期に多い病虫害の防除方法が載っています。ご覧ください。

<花鉢物・観葉植物>
夏は鉢土の乾きが早く、水切れさせがちです。
一度水切れさせるとダメージが大きく、時に夏場は回復しないことがあります。
ほかの鉢や植物の陰になっているものは、見落としがちですから注意しましょう。
水やりは、朝早めにたっぷりと行います。鉢土が夕方までに乾いてしまう場合は、夕方にも与えます。
まだ土に多少湿り気が残っている場合は、葉水を与える程度でよいでしょう。
また、暑さに強く、夏中花を咲かせ続けるハイビスカスやアブチロン、サンタンカ、アメリカンブルー、ポーチュラカ、デュランタなどの鉢物は、肥切れしないように定期的に追肥します。

<家庭菜園・ハーブ>
夏野菜の収穫の盛期です。
株に元気がある間は、肥切れさせないよう、2〜3週間おきに定期的に追肥をあたえ、根元に土寄せしましょう。
また、晴天が続くときは土が乾燥しすぎないように、涼しい朝か夕方にたっぷりと水やりしましょう。
ナスは枝が込み合ってくると、収穫が悪くなります。
枝を順次1/2〜1/3ほど切り戻してやると、秋によいナスが収穫できます。
併せて株元から3、40センチ離してスコップを突き刺して根切りし、1株あたり化成肥料を1握りほど追肥しておきましょう。


他にも、日本園芸協会のホームページには役立つ園芸情報をたくさん掲載していま す。
毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。

http://www.gardening.or.jp/colum/index.html

植物に関するいろいろな情報を満載したサイト「植物博物館」です。
植物を鑑賞したり、図鑑のように調べたり、様々な情報を無料で得ることができます。

http://www.horcul.com/top/

園芸ファン通信を、テキスト形式でご希望の方は
お手数ですがこちらからお申し込みください。。
http://www.gardening.or.jp/mail/index2.html


【園芸ファン通信に関するご意見、ご要望】
info@gardening.or.jp

【登録解除、アドレスの変更】

http://www.gardening.or.jp/mail/index2.html

※このメールは、園芸ファン通信の配信を希望された方にお送りしています。
※園芸ファン通信に掲載された記事を転載希望の方はご連絡ください。

※バックナンバーは下記でご覧になれます。  
http://www.gardening.or.jp/mail/index.html


http://www.gardening.or.jp/mail/htmlmail/060/mailmaga_60.html


日本園芸協会 〒151-8671 東京都渋谷区元代々木町14-3  
http://www.gardening.or.jp