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 園芸ファン通信 VOL.62

紅葉前線もだいぶ南下し、平地でも色づいた木々が目に付くようになりました。
庭ではキクが咲き出し、各地から菊花展の便りが届きます。
そろそろ本格的な冬春花壇に模様替えをするしきになったようです。
また、冬囲いや霜の対策などは早めにおこないましょう。

■キク苗の植え付け

菊花展などで豪華に咲き誇るキクを見ると、自分でも咲かせてみたくなりますね。
売店が同設されていたら、気に入った品種の苗を求めるのがよいですね。

さて、今の時期に販売されているキク苗は、9月ごろに挿し芽された「秋苗」です。
入手したらなるべく早めに鉢に植えつけます。



(1)鉢と用土
鉢は4.5〜5号鉢程度の駄温鉢でよいでしょう。 用土は、市販のキク培養土か、赤玉土に堆肥を4割くらい混ぜたもの。
(2)苗の植え方
苗に花が咲いている場合は摘み取り、蕾が小さな場合や、わき枝の蕾は残します。
これは、花を咲かせてしまうと株の勢いが弱るからで、蕾を残すのは、その方が根が活発に活動するからです。
根元に近い葉を3、4枚摘み取り、その部分まで埋まるくらいの深植えにします。
こうすると、埋めた葉のところから出た新芽に根が生えるからです(春になったらこの芽を分けます)。
(3)置き場所
霜と寒風のあたらない陽だまりで春まで管理します。
寒さの厳しい地域では、無加温のフレームにいれるのがベストです。

*菊花展情報が協会のホームページ「季節の庭園仕事」に載っています。ご覧ください。


■マツのもみ上げと庭木の手入れ

マツ類のもみ上げは9月から3月まで行えますが、正月をすっきりとした姿で迎えるためには、今の時期までに行いたいものです。ヒバ類も、やはり今の時期が手入れの好期です。

<マツのもみ上げの方法>
(1)込みすぎた部分の枝や枯れ枝をはさみで切り落として樹形を整える
(2)枝先の古い葉(去年でた葉)を手でむしりとってすっきりさせる   
・クロマツは下に垂れている古葉を全て取る(横向き以上の葉を残す)   
・アカマツは垂れ葉を少し残してしなやかな感じ   
・ゴヨウマツは古葉も多少残して葉群をこんもりさせる
このもみ上げは、手袋をして行うと手にヤニがつかないですみます。はさみで葉先を切るのは禁物です。  




<ヒバ類の手入れの方法>
(1)葉のかたまりごと掌ではさんで軽くもみ、古葉をおとす
(2)長く伸びた枝、垂れすぎた枝や立ち枝をはさみで切り取る
(3)葉先を丸い感じやイチョウ形に整える  面倒だからといって、葉先をばっさりとはさみで刈りこむ方法は禁物です。
葉先が赤茶けて見苦しくなります。

■新顔の観葉植物・熱帯花木3種の冬越し

●ジャカランダ(ノウゼンカズラ科 Jacaranda acutifolia)
南アメリカ原産。熱帯地方では街路樹などに使われていますが、最近、繊細で優しげな葉姿から観葉植物として人気が出てきています。うまく育つと夏に藤色の美花を咲かせます。耐寒性は意外と強く、東京以南ならば庭植えできますが、この場合は葉を落とすことが多いようです。寒さが心配の場合は室内の日当たりに取り込み、水やりを控えめにして越冬させます。日当たりが悪かったり、空気が乾燥している場合は落葉しがちです。

優しげな葉のジャガランダは観葉植物として人気。

●バオバブ(パンヤ科 Adannsonia digitata)
アフリカ原産。元来が大木になる樹種ですが、成長が遅く(生育期間5月中下旬〜10月)、苗の間は根元がふくらんだ変わった木姿の観葉植物として楽しめます。葉が落ちたら室内に取り込み、水を控えて(水やり1、2か月に1回)越冬させます。ゴールデンウィークをすぎ、遅霜の心配がなくなったら、戸外の日当たりに出し、水やりを再開します。葉が出て来たら、あとは普通の管理でかまいません。

根元がふくらんできた2年生のバオバブ。

●ドンベヤ(アオギリ科 Donbeya )
アフリカ原産。冬咲きの熱帯花木として人気が出てきました。霜が降りる前に日当たりのよい室内に取り込むと、年末くらいにベル状のかわいらしい花を房状に咲かせます。東京以南ならば霜と寒風を防げば戸外でも越冬できますが、この場合は花が咲きにくくなります。


■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
冬花壇の草花の生育はいかがですか。パンジーやビオラ、デージー、ハボタンは耐寒性が強いので、根付いてしまえば多少霜が降りても大丈夫ですが、スイ―トアリッサムやクリサンセマム・ムルチコーレはやや寒さに弱いので、霜よけや風除けを作るか、軒下に移すのが無難です。  
球根では、ユリやスイセンが植えられます。

<花木・庭木>
マツ類の“もみ上げ(古葉とり)”は今が適期です。早めに済ませて、正月をきれいな庭で迎えましょう。
また、チャボヒバ、イトヒバ、スイリュウヒバなどのヒバ類も庭の格を高めてくれる樹木です。
一緒に手入れをすれば、庭がより見事になります。 また、落葉の花木・果樹の植えつけの時期です。
ウメモドキ、オオデマリ、ガマズミ類、モクレン・コブシ類、カエデ、ボケ、カイドウ、サクラ類、果樹ではウメ、モモ、リンゴ、ナシ、クリ、カキ、ブドウなどが植え時です。

<花鉢物>
外が冬景色になってくると、室内鉢物の出番ですね。定番のシクラメンにプリムラ類、花期の長いシンビジウムやデンドロビウムなどの洋ラン類、クリスマスに欠かせないポインセチアやクリスマスカクタス(シャコバサボテン)、クリスマスベゴニアなどが出始めています。
良質の株を入手することが、鉢物を長持ちさせる秘訣。

『協会のホームページ・季節の園芸仕事』に鉢物の選び方と管理のポイントが載っていますので、ご覧ください。

<家庭菜園・ハーブ>
菜園やハーブガーデンもそろそろ冬支度ですね。  夏秋まきのネギやニンジン、タカナ、カラシナなどの収穫時期です。あまった野菜類は土寄せをすれば、しばらく保てます。また、ホウレンソウやコマツナなどには霜よけをつくってやりましょう。  地上部が枯れてきたハーブ類は株元で切り取り、根元を腐葉土や堆肥でマルチングしておきます。まだ取り入れていない非耐寒性のハーブがあれば、早めに室内やフレームなどに取り入れます。



日本園芸協会のホームページには役立つ園芸情報をたくさん掲載しています。
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