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 園芸ファン通信 VOL.63

北の地方からは根雪の便りも届き、街にはクリスマスイルミネーションが目立つようになりました。
いよいよ師走ですね。今年の冬は、気象庁の予測では前半はやや厳冬ということのようです。
冬囲いや霜除けはかかせませんね。まだすませていない場合は早めにおこないましょう。

■冬咲きの小球根類

最近人気が出てきた、南アフリカ原産の可愛いらしい花を咲かせる冬咲きの小球根類を紹介します。
寒さにも比較的強く、花の少なくなった今の時期に咲いてくれる貴重な種類です。

 
●ポリキセナ・エンシフォリア
香りがよい小花を丈の低い花茎に密生させ、小型のヒアシンスの風情があり、丈夫で育てやすい種類です。
桃花と白花があります。

●マッソニア・プスツラータ
マッソニア・ロンギペスの名前で出回ることもあります。
凹凸のある赤黒色地に茶褐色の斑が入った葉だけでも観賞価値があります。
別種で緑葉のマッソニア・デプレッサは遅咲き(1月頃)です。
●ラケナリア
多くの種類があり、筒状の在来の種類(アロイデス系統)のほか、壷状の花を咲かせるものや葉に斑の入ったものなどが出回っています。

<栽培方法>


置き場所
強い霜や寒風の当たらない日当たりのよい軒下など。
耐寒性は比較的強く−4、5℃くらいまでは耐えられるようですが、葉を凍らせると痛むことがあります。
ラケナリアはやや弱いようで、風が強い場合は室内に取り込んだ方が安全です。

水やりと施肥
水やりは鉢の表面の土が乾いたら暖かい日の午前中にたっぷりと与えます。水やりは葉の間に水がたまらないようにします。施肥は、花が終わってから、規定倍数に薄めた液肥を1、2週間に1回与えます(葉が枯れ始めるまで)。

そのほかの管理
春になって葉が枯れ始めたら水やりを控え、葉が枯れたら水やりをやめ、鉢もまま雨水のあたらない棚下などに移します。夏の間は完全に水を切って乾かしてすごさせます。
秋になったら 2年に1回、8月下旬〜9月に植え替えします。水やりは、9月中旬くらいから。水やりを控えめにすると、草姿がコンパクトに
また、秋植え球根では、ユリ類が植えられます。チューリップやクロッカスで球根が安くなっている場合は、1年だけ楽しむつもりで購入してもよいでしょう。

■バラ大苗の植え付け 

来年から立派な花が楽しめるバラの大苗(2年生株)の植え付け時期です。
イングリッシュローズ、オールドローズ、ハイブリッド・ティーの大苗を植えて、来年はローズガーデンを楽しみましょう。


●植え付けの時期
11月〜3月上旬

●よい苗の選び方
ポット植えのものと、根巻き苗(根を麻布やビニール布で包んだもの)があります。
すぐに植えるのでしたら、株の充実した根巻き苗でよく、そうでないなら、ポット植えの苗の方が安心です。
共に、太く充実した幹が3本以上でていて、幹に傷が無いものを選びます。


●植え場所と植え穴
日当たりがよく、水はけ、水保ちがよい場所がベストです。
植え穴は大きさ、深さとも50センチくらい掘り、土に腐葉土や堆肥、石灰類などをすき込んでおきます。


●苗の調整
植える前に土を落とし、長すぎる根を切り詰めから、水を入れたバケツなどにいれます。
幹はそれぞれ、接ぎ目から20センチほど上で、外に向いた太い芽のところで切り詰めます。


●植え方
植え穴の底に元肥として有機完熟肥料を300グラムほど入れて土と混ぜ、10センチほど土を被せてから根を広げて植えつけます。植える高さは、接ぎ木の接ぎ口が地面よりちょっと高くなる程度です。
根のあいだに土が入るように棒で突っつきながら土を根ぎわまでかぶせます


●水やり
この段階でたっぷりと水やりし、株をゆすって土と根をなじませます。
水が引いたら、さらに土を接ぎ口くらいまで被せます。


●支柱
植え付け当初は、風で倒れたりすることがありますので、簡単な支柱をつけておきましょう。

●マルチング
冬は乾燥するので、稲ワラか堆肥などを株元に敷きつめておきます(これをマルチングといいます)。


<鉢植えの場合>
鉢は8(24センチ)〜10号(30センチ鉢)くらいの大鉢。用土は市販のバラ培養土でよいでしょう。
植え付けの方法は、庭植えの場合と同じですが、元肥は入れません。
根付いた頃(植え付け1ヵ月後)に、有機固形肥料を1掴みほど与えます。

■正月を迎えるための庭木の手入れ

そろそろ紅葉も終わるにかかりましたね。庭でも落葉が始まり、多くの庭木では休眠期に入るところです。
ウメやボケなどは葉が落ちると、花芽が見分けられるようになりますから、冬の剪定が行えます。
マツ類のもみ上げ(葉むしり)は春までのあいだに行えばよいのですが、なるべくこの時期に行いたいもの。
ヒバ類の整姿も同様です。正月をきれいな庭で迎えるために、庭木の手入れを行いましょう。
なお、雪の積もる地方では、根雪の前に手入れを終わらせます。


<マツのもみ上げの方法>
古くなって垂れ下がった去年の葉と、不要な枝を切り取り、木姿をすっきりとさせる作業です。
(1)込みすぎた部分の枝や枯れ枝をはさみで切り落として樹形を整える
(2)枝先の古い葉(去年でた葉)を手でむしりとってすっきりさせる   
・クロマツは下に垂れている古葉を全て取る(横向き以上の葉を残す)   
・アカマツは垂れ葉を少し残してしなやかな感じ   
・ゴヨウマツは古葉も多少残して葉群をこんもりさせる
このもみ上げは、手袋をして行うと手にヤニがつかないですみます。はさみで葉先を切るのは禁物です。  





<ヒバ類の手入れの方法>
(1)葉のかたまりごと掌ではさんで軽くもみ、古葉をおとす
(2)長く伸びた枝、垂れすぎた枝や立ち枝をはさみで切り取る
(3)葉先を丸い感じやイチョウ形に整える  
面倒だからといって、葉先をばっさりとはさみで刈りこむ方法は禁物です。
葉先が赤茶けて見苦しくなります。


<ウメとボケの剪定>
ウメやボケでは、葉が落ちる頃になると、花芽(丸くふっくらとした芽)と葉芽(先が尖がった細長い芽)が見分けられるようになります。込みすぎたところの枝を間引き、伸びすぎた枝を切り詰めます。短い枝によく花芽を付けますので、大切に残します。全体として、均等に花芽が残るように按配します。


■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
パンジーなど冬花壇の苗はうまく根付きましたか。
植付けて4、5で株が萎れてくるのは、根付かなかった証拠。
掘り出して水に漬けて吸水させてから、根を軽くほぐして植え直します。
チューリップを追加で植えるときは、外側の皮をむき、やや浅め(球根1個分くらいの深さ)にするのがポイントです。
秋まきの草花の中では、スイ―トアリッサムやクリサンセマム・ムルチコーレはやや寒さに弱いので、強い霜の降りる地方では、霜よけや風除けを作ってやりましょう。
パンジーやビオラ、デージー、ハボタンは耐寒性が強いので、根付いてしまえば、ダメージを受けることはほとんどありません。

<花木・庭木>
サザンカが満開を過ぎると、早咲きのツバキが咲きだし、庭も冬の装いに変わります。
お正月用にウメやボケの剪定をし、マツ類のもみあげ、ヒバ類(チャボヒバ、イトヒバ、スイリュウヒバ)の整姿をする時期です。
また、落葉果樹や庭木類の植え付けができます。新しく果樹や花木を取り入れて、庭の模様替えを行いましょう。

<花鉢物・観葉植物>
暗くなりがちな冬の室内を明るくしてくれるのは、シクラメンやプリムラ類、シンビジウム、デンドロビウム、ポインセチア、クリスマスカクタス(シャコバサボテン)、クリスマスベゴニアなど花鉢物類。
明るい窓辺に置き、水は葉が萎れない程度に少なめに与えるのが、長持ちさせるポイント。
特にポインセチアは多湿になると(低温で)、すぐに葉を落としてしまいますので、注意しましょう。
そろそろ初霜も心配になります。
まだ、取り入れていない非耐寒性の鉢物があれば、早めに室内や軒下に移しましょう。

 

<家庭菜園・ハーブ>
北の地方ではそろそろ根雪に入る時期で、関東あたりでも雨が冷たく感じられます。
菜園やハーブガーデンも冬支度になります。
ネギやニンジン、ハクサイ、タカナ、カラシナなどはそろそろ収穫の時期です。
収穫にあまった野菜類は土寄せをすれば、しばらく保てます。タカナなどは寒さに当たると、味に深みがまします。



また、これから育つ、ホウレンソウやコマツナなどには霜よけをつくってやりましょう。
地上部が枯れてきたハーブ類は株元で切り取り、根元を腐葉土や堆肥でマルチングしておきます。
非耐寒性のハーブは霜が降りる前に室内やフレームなどに取り入れます。





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