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 園芸ファン通信 VOL.71

うんざりするほど長く続いた梅雨もようやく明けました。
これからしばらくは、すっきりとした青空(と猛暑)が続くようです。
これはこれで、つらいですね。体に気をつけて、夏を乗り切りましょう。。

■夏を涼しく、観葉草花

夏の庭やベランダを涼しく演出してくれる観葉草花。
花壇のほか、寄せ植えやハンギングバスケットの彩りに使えて便利です。
今、植えておけば、秋まで楽しめます。

<日当たりを好む種類>

●ヒポエステス(キツネノマゴ科)
マダガスカル原産の非耐寒性宿根草。茎が伸びすぎたら切り戻せばよい。冬は5℃保てれば越冬。

★白や紅色などの斑入り葉がきれいなヒポエステス。

●イポメア(ヒルガオ科)
野菜のサツマイモの観葉種で、本来は宿根草だが、寒さに弱いので園芸上は一年草として扱う。
強健だが、コンテナ植えではあまり強く水切れさせないように。
伸び過ぎたらつるを切り詰める。グランドカバーにもよい。


★イポメアには黄色葉、銅葉、斑入り葉などの品種がある。

<半日陰を好む種類>

●コリウス(シソ科)
熱帯アジア原産の宿根草だが、寒さに弱いので園芸上は一年草として扱う。
水切れに弱いので注意。花を咲かせると株が弱るので、蕾が伸びてきたら、基から摘み取る。。


★コリウスには、葉の模様、葉型、葉の大きさなどが違った多くの品種がある。

●ラミウム(シソ科)
日本のオドリコソウの仲間。強健で、日陰地〜半日陰地のグランドカバーにもよい。水切れに弱いので注意。


■夏花壇の手入れ

長かった梅雨で、夏花壇の草花は、間伸びしてしまったものや、病気や害虫で痛んでしまったものもでているようです。これから途切れなく長く咲かせるためには、日頃の手入れが大切です。

・剪定
間伸びしてしまった枝や混みすぎたところ、花が終わった枝は、切り詰めて代わりの枝を出させます。サルビア、ダリアなどで、暑さで弱ってしまった株は、根元から15センチほどで剪定しておくと秋に再生させることができます。

・花がらつみ
咲き終わった花は種子ができないように、花がらをこまめに摘み取ります。蕾が出てきたコリウスは、花を咲かせないように蕾の根元から摘み取ります。

・追肥
液肥なら月に2回くらい、緩効性の固形肥料なら月に1回、1株に一つまみほど追肥します。

・水やり
適度にお湿りがある場合は、花壇には水やりは不要です。ただ、日照りが続いた場合は、表面から5、6cm下まで乾いてきたら、ホースを使ってたっぷりと水やりしましょう(ホースで水を引き、2〜30分流しっぱなしにする)。特にトレニアやインパチエンスは水切れに弱いですから、これらは土の表面が乾いてきたら水やりします。

・挿し芽
間伸びした株は、挿し芽で作りなおしましょう。ポーチュラカやマツバボタン、アメリカンブルー、ニチニチソウは、枝を切って清潔な砂か赤玉土に挿せば、すぐに発根します。


★挿し芽直後のポーチュラカ。

★2週間くらいで花盛りになる。


■バラの夏の管理と夏季剪定

高温多湿の夏は、バラ作りで一番難しい季節です。
病気や水切れで葉を落としたりすると、秋によい花が咲かなくなります。

・水やり
バラは水を好みますので、水切れに注意しましょう。特に鉢の場合は土の乾き具合を観察し、必要ならば朝夕の2回行うようにします。庭植えの場合も、晴天が続く場合は朝か夕方にたっぷりと散水しましょう。

・病害虫防除
高温乾燥時期はハダニが大敵です。専用の殺ダニ剤か殺ダニ成分の入っているスプレータイプの混合農薬を散布しましょう。黒点病にも注意が必要です(ダコニール、サプロールを定期的に散布)。カミキリムシ類は見つけたら捕殺し、幹に木屑が付いているときは幼虫が入ってしまったものですから、食入穴を見つけて、スミチオンなどの20倍液をスポイトで穴に注入し、ガムで穴をふさぎます。

・肥料
四季咲きの種類には、月1回、親指大の有機固形肥料を7、8粒と液肥を月2回くらい追肥します。一季咲きの種類の場合は、量を半分にします。

・イングリッシュローズやオールドローズ
四季咲きの品種の場合は、花がらを切り取った下から伸びる枝や株元から伸びるシュートに花を付けますので、そのまま伸ばします。一季咲きの種類は、枝もシュートも切り戻します。

・ハイブリッド・ティーローズ
夏はよい花が咲きませんので、蕾が出ても咲かせないで摘み取って体力を温存させます。夏の剪定は、冬の剪定よりも軽く、枝全体の1/3程度を切り詰めればよいでしょう。目安は、春に2番花を付けた枝の中間くらいです。小枝も、込みすぎたところ以外はなるべく残すようにします。時期は関東地方以西では、8月下旬〜9月の中旬ころ(日の最低気温26℃以下くらいになってから)、北の地方では早めに行います。フロリバンダローズも同様におこないます。


■台風対策を早めに

8月も後半になると台風が心配になりますね。ここ数年、上陸する台風が多くなっているようですから、警戒が必要です。台風対策は早めに済ませておきましょう

●茂りすぎたところは枝抜きをする
風が通り抜けるように、茂ったところは枝を間引いておきましょう。また、長く伸びすぎた枝は、切り詰めるようにします
●支柱を立てる
今年植えたばかりの樹木や細い苗木、根の少ない老木には支柱を立てます。また、長く伸びたマツの差し枝などは折れると仕立て直しが困難ですから、ところどころに支えを立ててやりましょう。
●鉢植えの対策
棚など風の強く当たるところから下ろし、背の高い植物を植えてある鉢は倒れないように横にしておきます。
●台風後の手入れ
台風は海から離れたところまで、潮風を運んできます。台風の通った後は、塩害対策のため葉の柔らかい樹木類には、頭からホースで水をかけて洗い流しておきます。また、樹木が風で倒れたときは、無理に起こさず、倒れた反対側を掘り起こし、折れた根を切り詰めて植えなおします。


■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
夏も後半になると、夏花壇も株が傷んだり、姿が乱れてしまったところも出てきます。こうした場合は、早めに夏花壇をあきらめ、秋花壇と入れ替えるのがよいですね。まだ、使える株は鉢やプランターに植替え、残りは抜き取ります。土は30cmほど掘り起こし、堆肥や腐葉土を入れてよく混ぜ合わせてから馴らして、コスモスなどの秋花壇用の草花を植えつければよいでしょう。

<花木・庭木>
ウメやカイドウ、ツバキ、ツツジ、シャクナゲ類など春咲き花木類の多くは、夏の初めに花芽分化し、今頃が蕾の充実時期です。これからしばらくの間は、多少、枝が込んできていても、むやみに剪定するのは避けましょう。特に切り込み剪定(枝を途中から切る剪定)は禁物です。台風対策などで、込みすぎたところをすかしたいときは、間引き剪定(込みすぎたところの枝を付け根から切り取る剪定)を行いましょう。

<花鉢物・観葉植物>
冬から春にかけて出回った、ボロニアやレシュノールティア(初恋草)などオーストラリアや南アフリカ原産の花鉢物類は、日本の夏の高温に苦手な種類が多くあります。本来は、日当たりを好む性質なのですが、真夏だけ風通りのよい半日陰で水やりを控えて管理すると、うまく夏越ししてくれるようです。また、月下美人の2回目の開花時期が近くなってきました。一夜花ですから、蕾が大きくなってきたら、室内に取り込んで鑑賞できるよう準備をしておきましょう。ハイビスカスやアブチロン、ランタナ類、アメリカンブルー、ポーチュラカ、デュランタなどは開花が続きます。肥切れしないように定期的(置肥なら月1回、液肥なら月1、2回)に追肥しましょう。

<家庭菜園・ハーブ>
ナスやピーマン、オクラなどはまだまだ収穫が続きますが、そのほかの夏野菜は衰えてきますので、次作の準備の時期になります。秋冬野菜の種子まきの目安は、ダイコン(8月下旬〜9月上旬)、ハクサイ(8月中旬〜9月上旬)、レタス(8月下旬〜9月上旬)、シュンギク(9月上旬〜10月上旬)、ホウレンソウ(9月上旬〜10月下旬)です。なお、早めに種子をまいておいたキャベツやブロッコリーは9月上旬に畑に植え付けます。



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