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 園芸ファン通信 VOL.78 【4月号】

何かと話題になった今年のサクラの開花ですが、関東以南ではソメイヨシノも盛りを過ぎたようで、
開花前線も順調に北上しているようです。春の園芸シーズンも佳境に入りつつあります。

【1】花鉢物のニューフェース紹介
・・・花鉢物の新品種と春の鉢物管理


【2】自分でふやそう
・・・ハーブ・草花類の挿し芽の仕方


【3】今が適期 樹勢を回復させる
・・・鉢物類の植替え


【4】春夏花壇の定番
・・・ペチュニア花壇の作り方


【5】植物の大敵!! アブラムシを退治しよう
・・・庭木の薬剤散布


【6】季節の手入れポイント
・・・花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

■花鉢物のニューフェース紹介
花鉢物の新品種と春の鉢物管理

エパクリス・レクリナタの花 エパクリス・レクリナタの花
●エパクリス・レクリナタ(Epacris reclinata)
エパクリス科の常緑小低木。オーストラリア原産で日当たりと水はけのよい土壌を好む。夏は風通りの半日陰で水を控えめに。耐寒性はやや弱いので、強い霜や寒風にはあてないように。

リーガースベゴニア「レネッサンスフローラ」
●リーガースベゴニア「ルネッサンスフローラ」
リーガースベゴニアの新品種で、葉にシワが入り、花は八重咲きの球根ベゴニアに似た華麗種。花が重たいので、支柱を立てるとよい。花柄をこまめに摘み、咲き疲れてきたら茎を切り戻す。

トラディスカンチア「胡蝶の舞」●トラディスカンティア「胡蝶の舞」
南アメリカ原産のトラディスカンチア・フルミネンシスの斑入り葉種。強健で、耐寒性も有り、関東地方南部程度なら露地で越冬できる(葉は枯れても、翌春根から発芽する)。



<冬越しさせた鉢物の管理>
室内の窓辺などで越冬させてきた熱帯性の植物達は、そろそろ外の空気が欲しくなる時期ですが、もうちょっと我慢してもらいましょう。暖かい日が続いても、急に温度が落ちる夜がくるものです。
低温に弱いクロトンやサンゴアブラギリなどは傷んでしまうことがありますから、最低温度が12、3℃を割ることがなくなるまで、待ってからが安全です。 
しかし、日が当ると室内は高温になりますから、換気には気をつけ、暖かく風が弱い日は、昼間だけ外に出して日光浴をさせるとよいでしょう。
ただし、冬の間、あまり光を当てていなかった種類を急に日に当てるのは、禁物。葉焼けを起こしてしまいます。
こうした場合は、薄日の光から慣らしてゆきます。  

ハイビスカスやブーゲンビレアなど、葉を落としたり、半落葉で越冬した種類も芽が動きだしてくる頃です。
様子を見ながら徐々に水やりをふやしてゆきましょう。
鉢が小さくなっているものは、気候が安定するのを待って(4月下旬以降)、植え替えをしてやります。  
そろそろ霜の心配もなくなる頃です。
プリムラ類やマーガレット、ゼラニウム、クジャクサボテンは日光に慣らしながら、外に出しましょう。
花芽が上がってきたクンシランは軒下など強い日射を避けられるところに置きます。

■挿し芽の適期です
ハーブ・草花類の挿し芽の仕方

パイナップルミントは挿し芽で簡単にふやせるミント類、レモンバーム、タイム類、セージ類、センティッドゼラニウム、ローズマリー、ラベンダーなどのハーブ類、ペチュニア、マーガレットなどの草花は、今の時期から挿し芽・挿し木で苗を作っておきましょう。

<挿し芽・挿し木の仕方>

(1)伸びた茎を5〜7センチ取る
(2)切口を鋭利なカミソリなどで切り直し、下葉も切り取る
(3)コップで2時間くらい水揚げする
(4)平鉢に清潔な川砂か鹿沼土をいれ、箸などで穴をあけてから、その穴に茎を1/3ほど挿す
(5)直射日光と風の当たらない半日陰の所に置く
(6)草ものなら2、3週間、木本の種類でも1〜1.5か月で発根してくる
(7)新しく芽が動き出してきたら、ごく薄めの液肥を与える
(8)葉が重なってくるようになったら、根を切らないように植え替える  

ポーチュラカは、5月中旬まで待ってから挿し芽する同様の方法で花壇用の草花類の挿し芽ができます。早めに挿し芽で苗を作ると効率的ですもう少し暖かくなればインパチエンスやポーチュラカなどの熱帯性の草花類、花の終わったミヤコワスレ、モス・フロックスなどの宿根草類なども同様に挿し芽ができますから試してみましょう。

■今が適期!! 樹勢を回復させる
鉢物類の植え替え

エンジェルストランペットは一周り大きな鉢に植え替える室内で越冬させてきた熱帯花木類や観葉植物類の低温に強い種類から、外に出すようにします。
長年植えている鉢は植え替えが必要です。

ハイビスカスなどで2年たっている鉢や、ゴムノキ、ベンジャミン、カポックなどで根が鉢の上に出てきている株や4、5年、植え替えしていない鉢は植え替えが必要です。
幹を切り詰めて越冬させていたエンジェルストランペットは一回り大きな鉢に植え直します。  

ポトスやモンステラ、ディフェンバキアなどの観葉植物も、3年に1回くらいで植え替えしましょう。
ヘゴ材(柱)にからませているものは、そのまま、鉢から抜いて、土を替えた後、また鉢に植え込みます。
枝が伸びすぎてしまったものは、伸びた枝を柱の下のほうに誘導して、針金か紐で固定するようにします。


ブーゲンビレアは2年に1回は植え替えたい  <植え替えの手順>
(1)鉢から株を抜く。根が鉢にこびりついて抜けない場合は、鉢を割らなければいけない場合もある。

(2)根をほぐし、黒く変色している部分を切り取り、長すぎる根は切り詰め、新しい鉢に入るようにする。

(3)一回り大きな鉢に植え直す。用土は、赤玉土6+腐葉土4くらいの混用土。

(4)根を多少切り落とすことになりますので、枝も、1/5〜1/3ほど、切り落してバランスをとる。ハイビスカスの場合も、枝を1/3ほど切り落として植えなおすとよい。 背が高くなりすぎたゴムノキやドラセナなどは、5月に入ったら取木をかけて更新すればよく、またゴムノキ、ドラセナ、ポトス、モンステラの挿し木も5月中旬くらいからが適期です。

■春夏花壇の定番
ペチュニア花壇の作り方

近年の“ペチュニア熱はすごいですね。新しい種類がいろいろ紹介され、八重咲き種や日本の夏にも耐える強健種が増えてきています。今年こそ素敵なペチュニア花壇を楽しみましょう。

<ペチュニア花壇つくりのポイント> 
八重咲きのペチュニア「ドレスアップ・ピンクベイン」・日当たりと水はけのよいところ
育種によってだいぶ改良されましたが、まだ高温多湿には弱い面が残っているので、花壇の設置場所には注意しましょう。できれば、雨のあたらないところがベストです。
・早めのピンチで枝数をふやす  
枝が伸びている場合はすぐに。そうでない場合は植えつけて落ち着いた頃、枝先を摘んで、枝数をふやしこんもり茂らしましょう。
・肥料を定期的に与えて、肥切れを避ける  
次から次と長期間花を咲かせている草花類は肥切れさせないように。1か月くらい肥効が続く固形肥料を定期的に与え、液肥(10日おきくらい)を追肥するとよいでしょう。 なお、ペチュニア類は低温に強いので、春先に挿し芽をして苗を作るのが効果的。今、挿せば5月の初めには立派な苗になります(上段で紹介している方法で挿し芽できます)。

■植物の大敵!! アブラムシを退治しよう
庭木類に薬剤散布

芽吹いてきた新緑は軟らかく、油断するとアブラムシにたかられてしまいます。
特にウメ、サクラ、バラ、モミジ・カエデ類、ツバキ・サザンカ、シャクナゲなどは気をつけましょう。  

バラには定期的に薬剤散布をしましょう(写真はチャールストン)アブラムシ類は農薬には弱いので、大体の殺虫剤で退治できますが、1度散布して退治しても、すぐに風に乗って新しい虫がやってきます。やはり、長期間薬効が持続する(1度散布すれば3週間くらいもつ)浸透移行性の殺虫剤(オルトランやモスピランなど)の散布が効率的です。  
なお、ウメやモミジ・カエデ類は薬に弱く、薬害を起こしやすいですから、 葉が固まるまで待ってから散布するようにしましょう。初めての種類の農薬を使うときは、テスト的に1枝程度に散布をして、異常がないことを確認して本格的に使うようにすると安心です。
また、薬剤散布は風がない日の、気温の低い朝のうちに行なうようにしましょう。  

バラは病害虫の多い植物です。芽出しから週に1回、殺虫剤(スミチオンなど)と殺菌剤(ダコニールなど)を混合散布します。

■季節の手入れポイント
花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

<花壇・ガーデニング>
暖冬の年はパンジーやビオラ、キンギョソウなどの成長が早く、茂りすぎによる蒸れや肥料切れがおきやすくなります。状態に応じて枝抜きをし、追肥や花がら摘みをしましょう。
ダリアやグラジオラスなど春植え球根の植え付けの適期です。また、低温性の春まき草花の種子まきもできます。

<花木・庭木>
サクラに続いて各種の花が咲き出し、新緑も鮮やかになります。ウメ、ロウバイ、サザンカ、ツバキなど咲き終わった花木から、剪定やお礼肥えなどの手入れをしましょう。また、アブラムシなどが活動を始めますので、薬剤散布も必要になります。庭木類の植えつけは早めに、早春に新しく植えた木には、晴れた日が続く場合は水やりをします。

プリムラの中でも開花期の長いオブコニカ。花がら摘みと追肥を欠かさない

<花鉢物・観葉植物>
新しく購入した花鉢物は、雨に当てないようにします。特に過湿に弱いオーストラリアや南アフリカ原産の種類は、雨が続きそうなときは、軒下に取り入れましょう。
また、シクラメンやプリムラなど、長く咲き続けてくれた鉢花も終わりに近づいてきたようです。様子を見ながら、追肥や花がら摘み、枯れた葉の抜き取りをしましょう。

収穫の盛期のサヤエンドウ
<家庭菜園・ハーブ>
先月に引き続き、野菜やハーブ類の種子まきや苗の植付けの時期です。遅霜に注意しながら行ないましょう。また、冬越しさせた野菜類は、日が長くなるととう立ちして、食べられなくなります。なるべく早めに収穫しましょう。3月にジャガイモを植えつけた場合は、芽が10cm以上に伸びてきたら、元気な芽を1、2本残して残りを元から摘み取り、あわせて5cmほど土寄せし、化成肥料を追肥します。



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