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 園芸ファン通信 VOL.79 【5月号】

ゴールデンウィークも中間になりましたが、いかがお過ごしでしたか。
今年は、全国的に見ると比較的天気がよかったようで、各行楽地もにぎわていたようです。
さて、そろそろ庭も夏の用意に入る時期です。
夏花壇の準備や夏野菜の植え付けの予定は、早めに立てるようにしましょう。

【1】長く咲き続ける鉢物の代表
・・・ゼラニウムの仲間


【2】新しいカバープランツで庭に彩りを
・・・ヒューケラとカラーリーフクローバー


【3】来年もたくさん花を咲かせるために
・・・ツツジ・サツキの花後の剪定・刈り込み


【4】早期発見!早期駆除!!
・・・ツバキ・サザンカのチャドクガ対策


【5】季節の手入れポイント
・・・花壇・ガーデニング、庭木・花木、花鉢物、家庭菜園・ハーブ


【6】イベント情報

長期間棚が咲き続ける
■ゼラニウムの新しい品種

ゼラニウムは南アフリカ原産のフウロソウ科の宿根草です。
この「ゼラニウム」の名前は昔の属名がそのまま使われているもので、現在はペラルゴニウム属(Pelargonium)になっています。ペラルゴニウムには多くの種類があり、近年は、ハンギングに向く這性のアイビーゼラニウム、大輪多花性のペラルゴニウム、二色咲きのパンジーゼラニウム、小輪咲きの原種系の品種もふえ、人気を呼んでいます。ゼラニウムの仲間は、総じて丈夫で手入れが簡単、挿し木でよくふえることもうれしいですね。
ただ、パテント品種や品種登録品種は、営利目的の増殖・販売は禁止されていますので注意しましょう。
行灯造りのアイビーゼラニウム●アイビーゼラニウム
ペラルゴニウム・ペルターツム(Pelargonium peltatum)を中心に改良された系統。葉がアイビー(ツタ)に似て、茎も這性でハンギングに向く種類。水やりは控えめがよく、夏はなるべく涼しいところで。

大輪で華やかなペラルゴニウム
●ペラルゴニウム
ペラルゴニウム・グランディフロールム(Pelargonium grandiflorum)を中心に改良された系統。大輪で、花色も鮮やかで華やかなものが多い。春〜夏の1季咲き。

パンジーゼラニウム「アリア」●パンジーゼラニウム「アリア」
ペラルゴニウム・ビオラレウム(Pelargonium violareum )。2色咲きが多いパンジーゼラニウムの品種の中では珍しいピンクの淡色花。葉は粉白色で花色とマッチして優しい草姿。多湿と過乾をきらいます。夏は涼しいところで。


庭にアクセントを付けよう
■カラーリーフのカバープランツ

葉物は、長期間色を保ってくれますので、庭のカラーコーディネートを考えるときに、便利ですね。特に、カラーリーフのグランドカバープランツは利用価値の高いものです。今回は、日当たりに向く種類と、半日陰に向く種類を1種類ずつ紹介します。

クローバー「ティンド・ルージュ」クローバー「ティント・ネーロ」

●クローバー(マメ科Trifolium repens)
牧草のアカツメクサです。ヨーロッパ原産。最近、カラーリーフ品種が日当たり地のグランウンドカバープランツとして使われるようになりました。水はけのよいところに向きます。やせてでもよく育ち、多肥は禁物。風通りが悪いと、夏に蒸れることがあります。


ヒューケラ「キャラメル」ヒューケラ「ファンタンゴ」

●ヒューケラ(ユキノシタ科Heuvhera)
北アメリカ南部原産のツボサンゴの仲間。シェードガーデンをカラフルに彩ってくれる半日陰向きの宿根草で、葉色の変化で多くの品種があります。強い日当たりだと、葉が焼けることがあるので注意。水切れに弱いので、乾燥地は避けます。ズダヤクシュ属(Tiarella)との属間交雑種のヒューケレラ(Heucherella)も作られており、ヒューケレラも同様に扱えます。


ヒューケレラ「ストップライト」

来年もたくさん花を咲かせよう
■ツツジ・サツキ、シャクナゲ類の手入れ

ツツジ「大紫」ツツジ「大紫」
花の咲き終わったツツジ・サツキ・シャクナゲ類の手入れは、早めに行いましょう。
生垣や玉作りにしているツツジ類の刈り込みは早めに、サツキも、花が終わったらすぐに行います。
遅くなると来年の花が少なくなります。 シャクナゲ類は自然樹形で仕立てます。
芽吹きが弱いので、枝を切るのは避けましょう。
込みすぎて日陰になっている弱い枝を元から抜く程度です。
必要なのは、芽摘みで、1つの節から伸びる芽を全て伸ばすと強い枝にならず、蕾も余りつかなくなります。
多数の新芽が伸びてきたら、強い芽を1本か2本残して、残りの芽は元から折り取ります。
このとき、粘っこい樹液が指につかないように、薄手のビニル手袋をするかポリ袋などを手にかぶせて作業するとよいですね。

ツツジ・シャクナゲ類で、葉の緑が部分的に薄くなり、絣模様になるのはスリップス(アザミウマ類)の被害を受けたものです。夏まで月に2回くらい浸透移行性の殺虫剤(オルトランなど)を散布して、防除します。

■チャドクガとカイガラムシ対策
早期発見・早期駆除がポイント

大輪で牡丹咲きのトウツバキ「ウイリアム・ハートリッチ」
これから梅雨どきが、病害虫の要注意時期です。特に気をつけたいのがツバキ・サザンカ、チャにつく毒蛾(チャドクガ)です。
卵からかえった直後で、葉の裏にかたまっているうちに退治するようにしましょう。
スミチオン乳剤を散布すればよいでしょう。
抜け殻や卵の跡なども見つけて始末しないと、風に飛んだりして肌につくとトラブルの元になります。
この時期に退治しておかないと、秋(8、9月)にもう一度発生して、被害が拡大します。
ウメやカリンなどのオビカレハ(ウメケムシ)、サクラなどに多いアメリカシロヒトリなども同じ薬で退治できます。

害虫で厄介なのがカイガラムシです。
ウメの幹に黒い小さなこぶのようにしがみついていたり、マツなどの枝先に白い粉がふいていたりするのはカイガラムシの仲間です。幹についたものは竹ベラなどでこすり取り、枝先についたものにはカルホスやデナポンを5〜6月に月2回ほど散布します。

季節の手入れポイント
花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

<花壇・ガーデニング>
今年は春の気温も高かったので、パンジーやロベリアなどの春花壇が長持ちしなかったところが多いようですね。早めに夏花壇に模様替えしましょう。サフィニアやペチュニアなどを植えるときに、込みすぎたところの枝を1、2本ずつ切り取っておいて、挿し芽すれば、今の時期ならば3週間ほどで新しい苗が作れます。

<花木・庭木>
サクラと同様、ツツジ類、ボタン、フジなども例年よりもやや開花が早かったようですね。花が終わったら、お礼肥えや花がら摘み、剪定をしておきましょう。
これから梅雨前ころまでは、樹木類は枝葉の充実期。常緑樹は剪定をしてもよいのですが、落葉樹は禁物。込みすぎた部分の間引きや徒長枝(勢いよく伸びた枝)の切り詰めなどにとどめましょう。また、病気(予防)や害虫(駆除)の発生時期ですから、薬剤散布の準備をしましょう。


<花鉢物>
花の終わったクンシランは植替え・株分けをしましょう(2、3年おき)。熱帯性の花木や観葉植物なども外に出せる時期になりました。ただ、日陰に置いてあった鉢を急に日向に出すと、葉焼けを起こしますので、段階を追って、徐々に強い光を当てるようにします。また、ハイビスカスやエンジェルストランペット、ランタナなどは、庭に植えつけると、夏中良い花を咲かせてくれます(10月下旬に掘り上げて、鉢に植え直す)。なお、デュランタなどは、根が自由に伸びられる間は花が咲きにくいですから、植え場所を考えましょう。

<家庭菜園・ハーブ>
ゴールデンウィークが明けると家庭菜園も忙しくなりますね。
トマトやナス、ピーマン、キュウリなどの夏野菜は、充分暖かくなったこれからが植付け時期です。苗は、芽出しの双葉まで生き生きとし、節間が詰まってがっちりとして緑の濃いものが良苗です。また、熱帯性のオクラ、モロヘイヤ、エンツァイ(アサガオナ)の種まきの時期です。  春早めに植えたジャガイモは収穫時期です。2、3日晴れが続いた時に収穫しましょう。

■イベント情報

●国立科学博物館「特別展 花〜太古の花から青いバラまで〜」(東京) 
3月24日〜6月17日 上野・国立科学博物館 連絡先Tel 03-5777-8600  http://www.asahi.com/hanaten/

●第9回国際バラとガーデニングショウ
(埼玉) 
5月16日〜20日 所沢市・グッドウィル(旧西武)ドーム 連絡先Tel 03-5551-9542   http://www.bara21.jp/

●さつきフェスティバル
(東京) 
5月25日〜31日  上野公園不忍池畔 連絡先 Tel 03-3821-8430

●鹿沼さつき祭
(栃木)
5月26日〜6月4日  鹿沼市花木センターほか 連絡先 Tel 0289-76-2310



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