日本園芸協会
園芸ファン通信 VOL.85 【11月号】
秋も順調に深まり、平地でも紅葉が見頃という地方が多くなってきたのに、日本近海で台風が急に発生し、本土に接近。油断ができませんね。
さて、各地から菊花展の便りが届きだしています。そろそろ冬に向けての準備が必要な時期になってきたようです。 冬囲いや霜の対策などは早めに行いましょう。

★今号の記事一覧
【1】今が入手・植え付けの好機!!・・・ バラの2年生苗の植え付け
【2】木の手入れの時期です・・・マツのもみあげとヒバ類の手入れ
【3】秋冬の花鉢物・・・サザンクロスとオキザリス
【4】季節の手入れポイント・・・花壇・ガーデニング、花木・庭木花鉢物、家庭菜園・ハーブ

今が入手・植え付けの好機!!
バラ大苗の植え付け

バラの大苗(接ぎ木2年生苗)の植え付けの時期です。品種が揃っているうちに好みの種類を購入しましょう。
<良苗の条件>
この時期のバラ苗には、ポット植えのものと、
根巻き苗(根を麻布やビニール布で包んだもの)が
あります。
すぐに植えるのでしたら、
株の充実した根巻き苗(通信販売は大体、
根巻き苗)でよく、
そうでないなら、ポット植えの苗の方が安心です。

ただ、最近多くなった細長いポットに植えられたものは、
このまま長期間育てることができませんので、
秋の間に庭ないし大鉢に定植するようにしましょう。

良苗は太く充実した幹が2、3本以上でていて、
幹に傷が無いものです。

すぐに植えられない場合は、根巻き苗は布をはずしてから、風の当たらない日陰地に仮植えしておきます。
スリムポット植えのバラ2年生苗
<庭植えの仕方>
1.植え場所の整備 
日当たりがよく、水はけ、水保ちがよい場所を選ぶ。
植え穴は大きさ、深さとも50センチくらい掘り、植える1ヶ月前に
牛ふん、鶏ふん、腐葉土や堆肥、石灰類(ほかより2週間前に)などをすき込んでおく。

2.苗を調整する
植える前に土を落とし、長すぎる根を切り詰めから、水を入れたバケツなどにいれる。
幹はそれぞれ、接ぎ目から20センチほど上で、外に向いた太い芽のところで切り詰める。


3.植え方 
上記の土の用意が間に合わなかった場合は、
穴を掘って土に腐葉土か堆肥を混ぜ込み、
穴の底に元肥として有機完熟肥料を300グラムほど入れて土と混ぜる。
その上に、無肥料の土を戻して根を広げて植える。
植える高さは、接ぎ木の接ぎ口が地面よりちょっと高くなる程度。
土が根のあいだによく入るように、棒で突っつきながら土を根ぎわまでいれる。

4.水やり
この段階でたっぷりと水やりし、株をゆすって土と根をなじませる。
水が引いたら、さらに土を接ぎ口くらいまで被せる。

●支柱 
風で倒れたりしないよう、簡単な支柱をつけておくとよい。
●マルチング 
冬は乾燥するので、稲ワラか堆肥などを株元に敷きつめる(マルチング)。


<鉢植えの場合>
鉢は8号(24センチ鉢)から
10号(30センチ鉢)くらいの大鉢、
用土は市販のバラ培養土でよいでしょう。

植え付けの方法は、庭植えの場合と同じですが、
元肥は入れません。
根付いた頃(植え付け1ヵ月後)に、
有機固形肥料を1掴みほど与えます。
スリムポットの根回りはピートモス。なるべく早めに植えつけるようにする
鉢に植え付けたところ。もう少し大きな鉢でもよい
庭木の手入れの時期です!
マツのもみ上げとヒバ類の手入れ

マツ類のもみ上げは9月から3月まで行えますが、
正月をすっきりとした姿で迎えるためには、今の時期までに行いたいものです。
ヒバ類も、やはり今の時期が手入れの好期です。
<マツのもみ上げの方法>
(1)込みすぎた部分の枝や枯れ枝をはさみで切り落として樹形を整える
(2)枝先の古い葉(去年でた葉)を手でむしりとってすっきりさせる   

・クロマツは下に垂れている古葉を全て取る(横向き以上の葉を残す)   
・アカマツは垂れ葉を少し残してしなやかな感じにする   
・ゴヨウマツは古葉も多少残して葉群をこんもりさせる このもみ上げは、手袋をして行うと手にヤニがつかないですみます。はさみで葉先を切るのは禁物です。     

<ヒバ類の手入れの方法>
(1)葉のかたまりごと掌ではさんで軽くもみ、古葉をおとす
(2)長く伸びた枝、垂れすぎた枝や立ち枝をはさみで切り取る
(3)葉先を丸い感じやイチョウ形に整える  
面倒だからといって、葉先をばっさりとはさみで刈りこむ方法は禁物です。
葉先が赤茶けて見苦しくなります。
秋冬の花鉢物
サザンクロスとオキザリス
●サザンクロス(ミカン科 Crowea saligna)
上品な桃色の可愛らしい花で人気のサザンクロスは、
早春の鉢物として定着していますが、
最近は秋から出回りだしてきました。
従来のものよりも一回り花が大きい
「パースピンク」が人気が出ています。
原産は西オーストラリア。

<管理> 
軒下などの雨の当たらず、よく日の当たるところに置きます。
水やりは土の表面が乾いてきたらたっぷりと与えます。
風の強いところだと水切れをおこしやすいので注意しましょう。
寒さには比較的強いのですが、
厳冬期は室内の日当たりに取り込むほうが無難です(耐寒性は0℃くらい)。
植替えは2年に1回。3月のはじめ頃が適期です。
一回り花の大きなサザンクロスの品種「パースピンク」
鉢物として定着したサザンクロス
●オキザリス(カタバミ科 Oxalis)
カタバミの仲間ですが、
花のきれいな種類が鉢物に喜ばれています。
今の時期に出回っているのは、
南アフリカや中南アメリカ原産の秋冬生育型の種類です。

<管理> 
本来、丈夫で育てやすい種類です。
水やりは少なめでやや乾かしぎみで育てます。
ただ、砂がちの用土で植えられている場合は、乾きやすいので、
あまり強く乾燥させないようにします。
置き場はやはり、軒下などの雨の当たらず、よく日の当たるところです。
日が当たらないと花が開かない性質があります。
寒くなったら、室内の日当たりに取り込めば、春まで花を咲き続けてくれます。
2週間に1回くらい液肥を与えます。
オキザリス「パルマ・ピンク」 葉も面白い大輪種。南アフリカのオキザリス・フラバ(半耐寒性種)に似ている
オキザリス「初恋」 小型で多花性の種類。中南米原産とされている
季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
冬花壇の草花の生育はいかがですか。
パンジーやビオラ、デージー、ハボタンは耐寒性が強いので、
根付いてしまえば多少霜が降りても大丈夫ですが、
スイ―トアリッサムやクリサンセマム・ムルチコーレはやや寒さに弱いので、
霜よけや風除けを作るか、軒下に移すのが無難です。
球根では、ユリやスイセンが植えられます。

<花木・庭木>
マツ類の“もみ上げ(古葉とり)”は今が適期です。
早めに済ませて、正月をきれいな庭で迎えましょう。
また、チャボヒバ、イトヒバ、スイリュウヒバなどのヒバ類も庭の格を高めてくれる樹木です。
一緒に手入れをすれば、庭がより見事になります。
また、落葉の花木・果樹の植えつけの時期です。
ウメモドキ、オオデマリ、ガマズミ類、モクレン・コブシ類、
カエデ、ボケ、カイドウ、サクラ類、
果樹ではウメ、モモ、リンゴ、ナシ、クリ、カキ、ブドウなどが植え時です。

<花鉢物>
外が冬景色になってくると、室内鉢物の出番ですね。
定番のシクラメンにプリムラ類、
花期の長いシンビジウムやデンドロビウムなどの洋ラン類、
クリスマスに欠かせないポインセチアやクリスマスカクタス(シャコバサボテン)、
クリスマスベゴニアなどが出始めています。
良質の株を入手することが、鉢物を長持ちさせる秘訣です。

<家庭菜園・ハーブ>
菜園やハーブガーデンもそろそろ冬支度ですね。
夏秋まきのネギやニンジン、タカナ、カラシナなどの収穫時期です。
あまった野菜類は土寄せをすれば、しばらく保てます。
また、ホウレンソウやコマツナなどには霜よけをつくってやりましょう。
地上部が枯れてきたハーブ類は株元で切り取り、
根元を腐葉土や堆肥でマルチングしておきます。
まだ取り入れていない非耐寒性のハーブがあれば、
早めに室内やフレームなどに取り入れます。



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