日本園芸協会
園芸ファン通信 VOL.90 【4月号】

 桜の開花前線は順調に北上しているようで、各地で花見のニュースが流れています。あなたの地域のお花見の予定はお決まりですか。そろそろ春の園芸シーズンも盛りになります。春植え球根や家庭菜園用の野菜苗の植え付け、草花苗の種子まきの時期になります。


★今号の記事一覧★
【1】花鉢物のニューフェース紹介 花鉢物の新品種と春の鉢物管理
【2】今が適期 樹勢を回復させる 鉢物類の植替え
【3】春夏花壇の定番 ペチュニア花壇の作り方
【4】植物の大敵!! アブラムシを退治しよう 庭木の薬剤散布
【5】季節の手入れポイント 花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

花鉢物のニューフェース紹介
花鉢物の新品種


ツルハナシノブ(Phlox stolonifera)

 北アメリカ原産のハナシノブ科の耐寒性宿根草。シバザクラ(モスフロックス)とオイランソウの中間的草姿で人気が出てきました。耐寒性・耐暑性が強く育てやすく、ランナーを伸ばして茂るので、花後に夏は半日陰になる排水のよい庭に移すと良いでしょう。花色は桃色と青色が出回っています。

プルモナリア「ブルーエンザイン」(Pulmonaria)

 ヨーロッパ原産のムラサキ科の耐寒性宿根草。水切れに弱いので、注意します。夏に蒸れると弱りますので、花後に株分けし、茎を切り詰めて(根際から7〜10cm)、半日陰の風通りのよいところで管理します。耐寒性は強いので、庭植えもよいでしょう。

コレオネマ「ピンク・ファンテイン」(Coleonema pulchrum)

 南アフリカ原産のミカン科の常緑低木。耐寒性が比較的強いので南関東以南なら露地で越冬できます。伸ばせば1〜1.5mくらいになりますが、低く保ちたい場合は花後に軽く切り詰め、秋に刈り込みます。水切れ、過乾に弱く、夏に枯れやすいので、挿し木(5月)で、苗を作っておくと良いでしょう。

▲ツルハナシノブ(桃)

 

▲ツルハナシノブ(青)

▲プルモナリア「ブルーエンザイン」

 

▲コレオネマ「ピンク・ファンテイン」

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今が適期!! 樹勢を回復させる
鉢物類の植え替え

長年植えたままの鉢物は、根が詰まってきて水はけが悪くなったり、樹勢が衰えてきます。ちょうどいい時期ですから植え替えてあげましょう。

 ハイビスカスなどで2年たっている鉢や、ゴムノキ、ベンジャミン、カポックなどで根が鉢の上に出てきている株や4、5年、植え替えしていない鉢は植え替えが必要です。幹を切り詰めて越冬させていたエンジェルストランペットは一回り大きな鉢に植え直します。

 ポトスやモンステラ、ディフェンバキアなどの観葉植物も、3年に1回くらいで植え替えしましょう。ヘゴ材(柱)にからませているものは、そのまま、鉢から抜いて、土を替えた後、また鉢に植え込みます。枝が伸びすぎてしまったものは、伸びた枝を柱の下のほうに誘導して、針金か紐で固定するようにします。

<植え替えの手順>
  1. 鉢から株を抜く。根が鉢にこびりついて抜けない場合は、鉢を割らなければいけない場合もある。
  2. 根をほぐし、黒く変色している部分を切り取り、長すぎる根は切り詰め、新しい鉢に入るようにする。
  3. 一回り大きな鉢に植え直す。用土は、赤玉土6+腐葉土4くらいの混用土。
  4. 根を多少切り落とすことになりますので、枝も、1/5〜1/3ほど、切り落してバランスをとる。ハイビスカスの場合も、枝を1/3ほど切り落として植えなおすとよい。

 背が高くなりすぎたゴムノキやドラセナなどは、5月に入ったら取木をかけて更新すればよく、またゴムノキ、ドラセナ、ポトス、モンステラの挿し木も5月中旬くらいからが適期です。

▲エンジェルストランペットは
一周り大きな鉢に植え替える。

 

▲ブーゲンビレアは
2年に1回は植え替えたい。

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春夏花壇の定番
ペチュニア花壇の作り方

 近年の"ペチュニア熱はすごいですね。新しい種類がいろいろ紹介され、八重咲き種や日本の夏にも耐える強健種が増えてきています。今年こそ素敵なペチュニア花壇を楽しみましょう。

<ペチュニア花壇つくりのポイント>

 3月に入って、天気もだいぶ落ち着いてきたようです。そろそろ桜の開花が気になりだしますね。そろそろガーデニングもシーズンインです。草花類の種子まきや春植え球根の植付けの時期です。種子や球根などは早めに手配しておきましょう。

日当たりと水はけのよいところ
 育種によってだいぶ改良されましたが、まだ高温多湿には弱い面が残っているので、花壇の設置場所には注意しましょう。できれば、雨のあたらないところがベストです。
早めのピンチで枝数をふやす
 枝が伸びている場合はすぐに。そうでない場合は植えつけて落ち着いた頃、枝先を摘んで、枝数をふやしこんもり茂らしましょう。
肥料を定期的に与えて、肥切れを避ける

 次から次と長期間花を咲かせている草花類は肥切れさせないように。1か月くらい肥効が続く固形肥料を定期的に与え、液肥(10日おきくらい)を追肥するとよいでしょう。

 なお、ペチュニア類は低温に強いので、春先に挿し芽をして苗を作るのが効果的。今、挿せば5月の初めには立派な苗になります。


▲八重咲きのペチュニア
「ドレスアップ・ピンクベイン」

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植物の大敵!! アブラムシを退治しよう
庭木類に薬剤散布

 芽吹いてきた新緑は軟らかく、油断するとアブラムシにたかられてしまいます。特にウメ、サクラ、バラ、モミジ・カエデ類、ツバキ・サザンカ、シャクナゲなどは気をつけましょう。

 アブラムシ類は農薬には弱いので、大体の殺虫剤で退治できますが、1度散布して退治しても、すぐに風に乗って新しい虫がやってきます。やはり、長期間薬効が持続する(1度散布すれば3週間くらいもつ)浸透移行性の殺虫剤(オルトランやモスピランなど)の散布が効率的です。

 なお、ウメやモミジ・カエデ類は薬に弱く、薬害を起こしやすいですから、葉が固まるまで待ってから散布するようにしましょう。初めての種類の農薬を使うときは、テスト的に1枝程度に散布をして、異常がないことを確認して本格的に使うようにすると安心です。また、薬剤散布は風がない日の、気温の低い朝のうちに行なうようにしましょう。

 バラは病害虫の多い植物です。芽出しから週に1回、殺虫剤(スミチオンなど)と殺菌剤(ダコニールなど)を混合散布します。

▲バラには定期的に薬剤散布をしましょう
(写真はチャールストン)

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季節の手入れポイント

 花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

<花壇・ガーデニング>

 暖冬の年はパンジーやビオラ、キンギョソウなどの成長が早く、茂りすぎによる蒸れや肥料切れがおきやすくなります。状態に応じて枝抜きをし、追肥や花がら摘みをしましょう。ダリアやグラジオラスなど春植え球根の植え付けの適期です。また、低温性の春まき草花の種子まきもできます。

<花木・庭木>

 サクラに続いて各種の花が咲き出し、新緑も鮮やかになります。ウメ、ロウバイ、サザンカ、ツバキなど咲き終わった花木から、剪定やお礼肥えなどの手入れをしましょう。また、アブラムシなどが活動を始めますので、薬剤散布も必要になります。庭木類の植えつけは早めに、早春に新しく植えた木には、晴れた日が続く場合は水やりをします。

<花鉢物・観葉植物>

 新しく購入した花鉢物は、雨に当てないようにします。特に過湿に弱いオーストラリアや南アフリカ原産の種類は、雨が続きそうなときは、軒下に取り入れましょう。

 また、シクラメンやプリムラなど、長く咲き続けてくれた鉢花も終わりに近づいてきたようです。様子を見ながら、追肥や花がら摘み、枯れた葉の抜き取りをしましょう。室内の窓辺などで越冬させてきた鉢物も熱帯性の植物で低温に弱いクロトンやサンゴアブラギリなど以外は、薄日の光から慣らしながら外に出していきます。花芽が上がってきたクンシランは軒下など強い日射を避けられるところに置きます。

<家庭菜園・ハーブ>

 先月に引き続き、野菜やハーブ類の種子まきや苗の植付けの時期です。遅霜に注意しながら行ないましょう。また、冬越しさせた野菜類は、日が長くなるととう立ちして、食べられなくなります。なるべく早めに収穫しましょう。3月にジャガイモを植えつけた場合は、芽が10cm以上に伸びてきたら、元気な芽を1、2本残して残りを元から摘み取り、あわせて5cmほど土寄せし、化成肥料を追肥します。

▲葉が特徴的な銅葉ダリア。
カラーリーフとしても楽しめる。

 

▲プリムラの中でも開花期の長いオブコニカ。花がら摘みと追肥を欠かさない。

 

▲収穫の盛期のサヤエンドウ。

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毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。
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植物を鑑賞したり、図鑑のように調べたり、様々な情報を無料で得ることができます。
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