日本園芸協会
園芸ファン通信 VOL.94 【9月号】

 今年の夏は、前半が猛暑で、後半は東日本で急に涼しくなるという変な年でしたね。このまま秋になってしまうのでしょうか。台風の襲来が少ない(気がします)のも、不気味な感じです。庭ではリコリス類やシュウメイギクなどの蕾が上がってきて、秋の気配が感じられるようになってきました。そろそろ、本格的な秋の園芸シーズンに入ります


★今号の記事一覧★
【特集1】新しい樹木鉢物
【特集2】秋の草花鉢物の入手と管理法
【特集3】宿根草や熱帯花木の挿し芽・挿し木
【特集4】季節の手入れポイント

【特集1】新しい樹木鉢物

○スイレンボク(Grewia occidentalis)
  シナノキ科の非耐寒性常緑低木。南アフリカ原産。開花時期6〜9月(温度があれば 通年開花)。日当たりのよいところにおき、水切れ、過湿に注意。冬は5℃以下にな らない室内の陽だまりで越冬させますが、ハダニが付きやすいので、時折、葉裏にシ リンジ(噴霧)します。植え替えは2年に1回、適期は春。用土は水はけと水持ちの良い用土。

○コンロンカ(Mussaenda parviflora)
 アカネ科の非耐寒性常緑低木。原産は南九州、沖縄から台湾。花は黄色い小花だが白 色で大きいがくが目立つ。花後に2/1〜3/1切り詰め、冬は10℃以下にならない室内 の日当たりで越冬させます。


▲最近見かけるようになったスイレンボク

▲白いガクが目立つコンロンカ

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【特集2】秋の草花鉢物の入手と管理法

 リンドウ、コスモス、クジャクアスター、シュウメイギク、ジョウロウホトトギスなど、いかにも秋を感じさせてくれる草ものが出回ってきました。
良品は、下葉までよく葉がついていて、しおれたり縮れたりした葉がないものです。

<種類別の管理法>

◎宿根アスター
  ユウゼンギクやミケルマスデージーなどシオン属を宿根アシターと呼んでいます。置き場所は日向から半日陰程度で。株が込んでいる場合は、一回り大きな鉢に植え直します。 高性(背が高い)の場合は、鉢が倒れやすいので、鉢ごと一回り大きな鉢に入れておくとよいでしょう。 エゾギクもアスターと呼ばれますが、こちらは別属(Callistephus)で一年草。

◎リンドウ
 日向に置き、水切れに注意します。強権で育てやすい種類ですが、蕾は日が当たらないと開きません。

◎コスモス
 株の大きさの割に小さめの鉢に植えられていることがほとんどなので、入手したら1〜2回り大きめの鉢の植え替えるのが長持ちさせるポイントです。。特に1鉢に複数植えされたものは、要注意。また日向に置かないと、株が徒長します。

◎シュウメイギク
 大株は水切れに注意。強い風の当たらない日向に置き、根が強いので一回り大きな鉢に植え直すか庭植えにします。

◎ジョウロウホトトギス
 半日陰の風通りのよい場所に置き、水切れに注意。春から夏は、半日陰の湿度の高いところで涼しくすごさせます。なお、コスモスや宿根アスターなど次々に花が咲き続ける種類には、液体肥料を2週間に1回追肥します (そのほかの種類には、花の時期には肥料は不要)。水やりは、鉢土の表面が白く乾いてきてからたっぷりと与えるようにします。


▲宿根アスター「バイオレット・キュート」

▲同じアスターで呼ばれても、こちらは1年草のエゾギク

▲鉢植えのリンドウ「福寿盃」

▲コスモスも鉢カバーで雰囲気が変わる

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【特集3】宿根草や熱帯花木の挿し芽・挿し木

 残暑がひと段落すると、挿し芽・挿し木の時期です。宿根草類や熱帯花木の伸びすぎた枝や茂りすぎた枝は、切り取って挿してふやしましょう。また、ニューギニア・インパチエンスやポーチュラカなど寒さに弱い宿根草は、秋に挿し芽した苗で越冬させると、場所をとらず便利です。

<挿し芽・挿し木できる種類>
 ユーリオプシス・デージー、マーガレット、木立ベゴニア、ストレプトカーパス、 トラディスカンチア、ヘリオトロープ、ニューギニア・インパチエンス、クジャクサ ボテン、ハイビスカス、フクシア、ハーブのミント類、タイム類、セージ類、マジョラム、ラベンダー類、ローズマリーなど。

<挿し芽の仕方>

・用土
清潔な川砂、バーミキュライト、鹿沼土など
・挿し床
駄温の平鉢、イチゴパック(底に水抜きの穴を開ける)
・穂木の調整と水揚げ
切り口を刃の鋭いナイフやカミソリで切り戻し、穂木の長さを7、8センチに調節します。茎の下1/3ほどの葉を切り除き、1時間ほど水を入れたコップなどに差して水揚げします。
・挿し方
箸などで穴を開けてから、穂木を1/4〜1/3挿しこみ、元を指で押さえます。
・挿し芽後の管理
新しく芽が動いてきたら、根が出ていることを確かめ(根元の土を少し掘ってみる)、薄い液肥(規定の2倍)を与えます。冬はそのままの鉢で冬越しさせます。寒さに弱い種類は室内で、 寒さに強い種類も、風の当たらないところで保護したほうがよいでしょう。

▲秋に挿し芽で苗を作れるマーガレット(黄花種)

▲大株になったパンシーゼラニウムは、
剪定してその枝を挿し芽すると良い

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【特集4】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
 そろそろ秋のガーデニングがシーズンインです。秋花壇をこれから作るなら、ジニアやサルビア、マリーゴールド、コスモスなど秋遅くまで咲き続けてくれる種類を選びましょう。 また、来年の春花壇を考える時期です。最近はナチュラルガーデンニにチューリップやスイセンなどの球根類を取り入れる方が多くなっているようです。チューリップならアクミナタや ユリ咲きのやさしい草姿のもの、スイセンならばジョンキラやキクラミネウス、トリアンドロスなどの原種系が使いやすいですね。もちろん大輪系でも、1か所に数球ずつ植えるようにすればよいでしょう。 秋の種子まきは、日中の最高気温が25℃以下になったころが目安です(例年ですと、9月15〜20日ごろから)。また、この頃が熱帯花木類や宿根草類、ハーブ類の挿し木・挿し芽ができる時期です


<花木・庭木>
 そろそろ本格的な台風シーズンに入ります。庭や建物などで、補強や手入れの済んでいないところがないか、早めにチェックしておきましょう。クチナシ類ではオオスカシバの発生期です。 油断すると丸裸にされてしまいますから、スズメバチに似たガが飛んでいたら要注意です。小さなときは殺虫剤、大きくなった場合は、箸でつまんで退治します。ツバキやサザンカではチャドクガが発生します。 なるべく小さなときに見つけて、オルトランやスミチオンなどの殺虫剤を散布します。また、収穫のすんだ果樹類ではお礼肥えを与える時期です。


<花鉢物・観葉植物>
 クリスマスローズは秋になると根が動き出します。鉢替えや株分けは早めに済ませましょう。短日(夜が長くなる)で花芽形成するポットマムやポインセチア、初恋草、カランコエには夜間の照明を避けましょう。 ミヤコワスレやシャコバサボテンも花芽形成時期です。よく日に当てるようにし、水やりを控えめにします。やはり充実期のノビル系デンドロビウムやオンシジウムも同様の管理です。夏の間、半日陰に移しておいた 鉢物類も、直射日光に弱いもの以外は日向に出すようにします。なお、ポインセチアやカランコエは、普通に管理していたのでは、クリスマスのシーズンに花(や包葉)が咲かないことがあります。 こうした種類を上手に楽しむためには、短日処理を行うのが確実です。ポインセチアは1月半くらい、カランコエは1月くらい短日処理(夕方の5時くらいから翌朝9時くらいまで、上から箱をかぶせて光を当てないようにします)


<家庭菜園・ハーブ>
 今月も秋冬野菜の種まきの時期。シュンギクは10月上旬、ホウレンソウ10月一杯にまけばよいでしょう。ダイコン、ハクサイ、レタス、キャベツ、ブロッコリーの苗は9月上旬に 畑に定植します。ナス、ピーマン、オクラは中旬に化成肥料を追肥し、土寄せしておきます。ハーブでも残暑が収まり、気温が25℃以下になったら種子まき、挿し木ができます。 また、花茎の出てきたバジルや夏越しできたナスターチウムは、切り戻ししておきましょう。


▲ポインセチアもカランコエもクリスマスに家庭で楽しむ時は短日処理が必要。

▲開花時期が長いジニア
「プロフュージョン・ホワイト」

▲小型で多花性のジニア・リネアリス

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