日本園芸協会
園芸ファン通信 VOL.95 【10月号】

 富士山では例年よりも大分早い初冠雪(8月9日?!)がありましたが、北海道の大雪山旭岳は9月24日と例年並み。今年の秋は暑いのか涼しいのかわかりませんね。とはいえ、季節は確実に移り変わっています。秋の園芸作業は早めに進めるようにしましょう。


★今号の記事一覧★
【特集1】秋の花鉢物・・・シーマニアとデンマークカクタスとダンギク
【特集2】そろそろ植え時期・・・秋植え球根の植え付けのポイント
【特集3】季節の風情を楽しむ・・・秋の可憐な山野草
【特集4】季節の手入れポイント・・・花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園

【特集1】秋の花鉢物
 

<シーマニアとシャコバサボテン>

●シーマニア・ネマタントーデス
 イアワタバコ科の非耐寒性多年草で、原産はペルー・ボリビア。普及しているオレンジ色 のシーマニア・シルバチカよりも花色が濃く(深赤色)て毛深いのが特徴です。栽培は秋 から春まで室内の14〜5℃以上が保てる明るいところ、夏は戸外の半日陰。水やりは控 えめで、鉢土が乾いてきてから与えます。ホコリダニが付きやすいので乾燥期(冬と夏)に は葉裏をスプレーでシリンジ(噴霧)します。肥料は春になったら薄い液肥を月1回秋(9月)まで与えます。

●デンマークカクタス「カミーラ」
 シャコバサボテン(デンマークカクタスのその系統)はクリスマスカクタスの名前があるよ うに、冬咲きですが、年々出回るのが早くなりました。入手したら、開花中は室内の温度 変化の少ない明るいところで鑑賞します。空気の乾燥しやすいところや温度変化の大きな ところですと、蕾が落ちやすいので注意しましょう。水やりは鉢土が乾いてきたら与えます 。肥料は春になってから、4〜6月に固形肥料(2回)か液肥(月1回)をあたえます。なお、 開花期間が1〜2ヶ月くらいですから、あまり早く入手すると、クリスマスまで持たないの で注意しましょう。

●ダンギク
 キクと付いてもキク科ではなく、九州や朝鮮半島南部原産のクマツヅラ科の落葉低木ない し宿根草。日光を好みますので、開花中は日当たりに置くのですが、水切れに弱いので 注意します。花が終わると葉が枯れますので、春まで棚下などで管理します。冬の間も土 が乾きすぎないように適宣水やりします。関東以南なら庭に下ろしたり(日当たりを選ぶ) 、鉢ごと土に埋めおいてもよいでしょう。寒冷地の場合は、室内で保護したほうが安全です。


▲シーマニア・ネマタントーデスは
冬は室内の明るいところに置く

▲デンマークカクタス「カミーラ」は
温度差の少ないところで管理

▲ダンギクは開花中は
水切れさせないように

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【特集2】そろそろ植え時期

<種類別の管理法>

 北の地方からは山の初冠雪の便りが届いても、関東以西では真夏日が続き、秋の気分が高まりませんね。でも、そろそろ秋植え球根の植え付けの時期になっています。忘れずに植えつけましょう。

◎球根の入手と植え付け◎
●チューリップ
 良球は皮につやがあり、傷がなく持って重みが感じられるもの。植え付けは、花壇植えの場合は、球間15cm、 植える深さは15cmくらい。鉢植えの場合は5号(15cm鉢)に3〜5球くらいで、深さは球根の頭が隠れるくらいで。

●クロッカス
 良球は傷がなく芽が欠けてないもの。植え付けは、花壇植えの場合は、球間8cm、 植える深さは5、6cmくらい。鉢植えの場合は4号(12cm鉢)に5球くらいで、深さは芽が隠れるくらい。

●ヒアシンス
 良球は傷や病斑がなく重みのあるもの。鉢植えや水栽培する場合は大きい球根を選び ます。植え付けは、花壇植えの場合は、球間15cm、植える深さは15cmくらい。鉢植えの 場合は6号鉢(18cm鉢)に3球くらいで、深さは芽が隠れるくらい。

●スイセン
  良球は傷や病斑がなく重みのあるもの。植え付けは、花壇植えの場合は、球間は球根3 個分あけ、植える深さは球根2個分の深さで。鉢植えの場合は6号鉢(18cm鉢)に3球(ラ ッパズイセン、大杯スイセン)から5球(房咲きスイセンなど)くらいで、植える深さは球根の頭が隠れるくらいで。

◎肥料と水やり◎
 花壇植えの場合は元肥として固形の配合肥料を1平方メートルあたり、ふた握りほど土に 混ぜておき、花後に同じものをひと握りほど追肥すればよいでしょう。鉢植えの場合は、植 え付け時に元肥としてマグアンプKなどを1鉢あたり一つまみほど土に混ぜ、ハイポネック スなどの液肥を追肥として、芽出し頃1回、花後に2回ほど行えばよいでしょう。 水やりは、花壇植えの場合は不要で、鉢植えの場合は土が乾いてきたらたっぷりと与えるのが原則です。


▲花壇植えのチューリップは株間を15cmほどとる

▲ラッパスイセンは3、4年で植え替える

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【特集3】季節の風情を味わう

<秋の可憐な山野草>
秋が深まってから花を咲かせてくれる山野草類を紹介します。ガーデンセンターや山野草の展示即売会で、入手することができるはずです。

●ダイモンジソウ(ユキノシタ科)
 “大”の字に似た可愛らしい小花を多数つける。花色は白色が基本だが、桃色や紅色の 花色のものや八重咲き、フリンジ咲きの品種も作られている。置き場は半日陰がよく、水 切れさせないように注意。植え替えは毎年4月。

●ヤマラッキョウ(ユリ科)
 小型で可愛らしいネギ(アリウム)の仲間。寒さに強く、日当たりと通風を好むので1年中、棚上で管理する。 排水のよい用土にやや密植気味にするとよい。植え替えは2年に1回(春か秋)。イトラッキョウ類も同様に育てられる。

●ノギク類(キク科)
 日本の野生キクの中でもノジギク、サツマノギク、アシズリノジギク、コハマギク、ダルマ ギク(エゾギク属)などは、可憐な花に小型の草姿で人気がある。5〜6月に挿し芽をして 、小鉢で仕立てるとよい。管理は1年中日当たりと通風のよい棚上で。夏は鉢が小さいの で水切れさせないように注意する。

☆新しく入手した鉢の管理
 ポット植えの花付き株を入手した場合は、花が終わってからか、早春に山草鉢などに植え直す。 春までは肥料は不要、水やりは鉢の土が乾いてきたら行う。


▲紅花のダイモンジソウ

▲紅花のサツマノギク

▲イトラッキョウ

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【特集4】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
 今年は雨が多かったせいか夏花壇の花が残っていることが多いようです。ただ、雨が多いぶん、秋の作業を進められない面もあります。 土が湿りすぎているのもいやですね。秋植え球根類の植え付けや種子まき、秋冬花壇の草花の植え付けは、遅れないようにしましょう。


<花木・庭木>
 そろそろムラサキシキブ類、ウメモドキ、ヒメリンゴなどの実物類や冬の花のサザンカが庭を彩ってくれるようになります。庭木の手入れで、 マツ類のコモまきは寒くなる前に行います(マツケムシが降りてくる前)。生垣の止め刈りを済ませていない方は早めに行いましょう。


<花鉢物・観葉植物>
 昼間は温かくても、夜の気温はだいぶ下がってきています。寒さに弱い熱帯性の鉢植え類は、早めに取り込むようにしましょう。 ただ、蕾ができるのに低温が必要なクンシランやシンビジウム、デンドロビウムは、霜が降りだす前までは戸外の日当たりのよい場所で管理します。 また、シクラメン(ミニシクラメン)が早くも売り出されています。ラベルにガーデンンシクラメンとあっても、耐寒性のない 中大輪性種の小鉢仕立てのものもありますので注意しましょう。


<家庭菜園・ハーブ>
 秋野菜の収穫の時期です。雨の合間をぬって、ハクサイやキャベツ、ブロッコリー、ホウレンソウ、シュンギク、レタス、ニンジンなどは、 大きく育ってきたものから収穫しましょう。また、サツマイモの収穫は霜が降りる前の晴れた日に行います。ハーブでは、センテッドゼラニウムや ヘリオトロープは室内に取り込み、半耐寒性のレモングラスやナスターチウム、メキシカンセージなど亜熱帯性のセージ類は、早霜などで傷 めないようにひさしの下などに移しておきます。


▲このミニシクラメンは花からみると本来は中大輪鉢用の品種のようで、耐寒性は疑問

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毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。
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