日本園芸協会
園芸ファン通信 VOL.96 【11月号】

秋も順調に深まり、庭でも紅黄葉する木ができたようです。各地から菊花展の便りが届きだしています。そろそろ冬に向けての準備が必要な時期になってきたようです。冬囲いや霜の対策などは早めに行いましょう。


★今号の記事一覧★
【特集1】冬の定番花鉢物・・・室内を暖かく飾ってくれる
【特集2】今が入手・植え付けの好機!!・・・バラの2年生苗の植え付け
【特集3】庭木の手入れの時期です・・・マツのもみあげとヒバ類の手入れ
【特集4】季節の手入れポイント・・・花壇・ガーデニング、花木・庭木花鉢物、家庭菜園・ハーブ

【特集1】冬の定番花鉢物

●クリスマスベゴニア
春まで長く咲き続けてくれる種類です。花がらをこまめに摘み、液肥を2週間に1回ほど与 えます。ベゴニア・エラリオールベ(リーガースベゴニア)も同様です。ベゴニア類は、高めの 温度(夜間温度12、3℃)を好みますので、やや暖かい部屋に置きましょう。

●クリスマスカクタス
空気が乾燥すると蕾が落ちやすいですから、シリンジをこまめにするか、夜だけポリ袋を 頭からかぶせて鉢元を軽く縛っておくとよいでしょう。1季咲きですから肥料は必要ありません。

●ポインセチア
過湿にすると根が傷み、下葉から枯れてきますので、水やりは鉢土が白く乾いてきて葉 が少ししおれかけてきてから与えるようにします。また、水を与えた日の夜は14、5℃が保 てる部屋に移すようにします。肥料は必要ありません。

▲クリスマスベゴニア「ラブミー」

▲クリスマスベゴニア「ピーターソン」

▲白系のポインセチア

▲ショッキングピンクが美しい
ユーホルビア「ドルチェローザ」
ポインセチアと他種との種間交雑
で作り出された新しいタイプ

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【特集2】今が入手・植え付けの好機!! バラの2年生苗の植え付け

バラの大苗(接ぎ木2年生苗)の植え付けの時期です。品種が揃っているうちに好みの種類を購入しましょう。

<良苗の条件>

 この時期のバラ苗には、ポット植えのものと、根巻き苗(根を麻布やビニール布で包んだもの)があります。 すぐに植えるのでしたら、株の充実した根巻き苗(通信販売は大体、根巻き苗)でよく、そうでないなら、ポット植えの苗の方が安心です。 ただ、最近多くなった細長いポットに植えられたものは、このまま長期間育てることができませんので、秋の間に庭ないし大鉢に定植するようにしましょう。 良苗は太く充実した幹が2、3本以上でていて、幹に傷が無いものです。すぐに植えられない場合は、根巻き苗は布をはずしてから、風の当たらない日陰地に仮植えしておきます。

<庭植えの仕方>

●植え場所の整備
 日当たりがよく、水はけ、水保ちがよい場所を選ぶ。植え穴は大きさ、深さとも50センチくらい掘り、 植える1ヶ月前に牛ふん、鶏ふん、腐葉土や堆肥、石灰類(ほかより2週間前に)などをすき込んでおく。

●苗を調整する
  植える前に土を落とし、長すぎる根を切り詰めてから、水を入れたバケツなどにいれる。幹 はそれぞれ、接ぎ目から20センチほど上で、外に向いた太い芽のところで切り詰める。

●植え方
 上記の土の用意が間に合わなかった場合は、穴を掘って土に腐葉土か堆肥を混ぜ込み 、穴の底に元肥として有機完熟肥料を300グラムほど入れて土と混ぜる。その上に、無肥 料の土を戻して根を広げて植える。植える高さは、接ぎ木の接ぎ口が地面よりちょっと高く なる程度。土が根のあいだによく入るように、棒で突っつきながら土を根ぎわまでいれる。

●水やり
   この段階でたっぷりと水やりし、株をゆすって土と根をなじませる。水が引いたら、 さらに土を接ぎ口くらいまで被せる。

●マルチング
 冬は乾燥するので、稲ワラか堆肥などを株元に敷きつめる(マルチング)。

<鉢植えの場合>
鉢は8号(24センチ鉢)から10号(30センチ鉢)くらいの大鉢、用土は市販のバラ培養土 でよいでしょう。植え付けの方法は、庭植えの場合と同じですが、元肥は入れません。根付 いた頃(植え付け1ヵ月後)に、有機固形肥料を1掴みほど与えます。


▲スリムポット植えのバラ2年生苗

▲スリムポットの根回りはピートモス

▲鉢に植え付けたところ。
もう少し大きな鉢でもよい。

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【特集3】庭木の手入れの時期です

マツのもみ上げとヒバ類の手入れ

 

マツ類のもみ上げ(古葉とり)は9月から3月まで行えますが、正月をすっきりとした姿で迎 えるためには、今の時期までに行いたいものです。ヒバ類も、やはり今の時期が手入れの好期です。

<マツのもみ上げの方法>
(1)込みすぎた部分の枝や枯れ枝をはさみで切り落として樹形を整える (2)枝先の古い葉(去年でた葉)を手でむしりとってすっきりさせる   ・クロマツは下に垂れている古葉を全て取る(横向き以上の葉を残す)   ・アカマツは垂れ葉を少し残してしなやかな感じにする   ・ゴヨウマツは古葉も多少残して葉群をこんもりさせる このもみ上げは、手袋をして行うと手にヤニがつかないですみます。はさみで葉先を切るのは禁物です。

<ヒバ類の手入れの方法>
(1)葉のかたまりごと掌ではさんで軽くもみ、古葉をおとす (2)長く伸びた枝、垂れすぎた枝や立ち枝をはさみで切り取る (3)葉先を丸い感じやイチョウ形に整える  面倒だからといって、葉先をばっさりとはさみで刈りこむ方法は禁物です。葉先が赤茶けて見苦しくなります。


▲去年出た古い葉をむしりとります

▲古葉をとったところ

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【特集4】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
 冬花壇の草花の生育はいかがですか。パンジーやビオラ、デージー、ハボタンは耐寒性が強いので、根付いてしまえば多少霜が降りても大丈夫ですが、ネメシアやスイ―トアリッ サム、クリサンセマム・ムルチコーレはやや寒さに弱いので、霜よけや風除けを作るか、軒下に移すのが無難です。球根では、ユリやスイセンが植えられます。


<花木・庭木>
 マツ類の“もみ上げ(古葉とり)”は今が適期です。早めに済ませて、正月をきれいな庭で迎えましょう。また、チャボヒバ、イトヒバ、スイリュウヒバなどのヒバ類も庭の格を高めてくれ る樹木です。一緒に手入れをすれば、庭がより見事になります。また、落葉の花木・果樹の植えつけの時期です。ウメモドキ、オオデマリ、ガマズミ類、モク レン・コブシ類、カエデ、ボケ、カイドウ、サクラ類、果樹ではウメ、モモ、リンゴ、ナシ、クリ、カキ、ブドウなどが植え時です。


<花鉢物>
 そろそろ室内園芸の季節に入りますね。暖かい花色の鉢物を飾って室内を明るく演出し ましょう。定番のシクラメンにプリムラ類、花期の長いシンビジウムやデンドロビウムなどの 洋ラン類、クリスマスに欠かせないポインセチアやクリスマスカクタス(シャコバサボテン)、 クリスマスベゴニアなどが出始めています。お店に並べられた直後の痛んでいない良質の株を入手することが、鉢物を長持ちさせる秘訣です。


<家庭菜園・ハーブ>
 菜園やハーブガーデンもそろそろ冬支度ですね。夏秋まきのネギやニンジン、タカナ、カラシナなどの収穫時期です。あまった野菜類は土寄せをすれば、 しばらく保てます。また、ホウレンソウやコマツナなどには霜よけをつくってやりましょう。地上部が枯れてきたハーブ類は株元で切り取り、根元を腐葉土や堆肥でマルチングして おきます。まだ取り入れていない非耐寒性のハーブがあれば、早めに室内やフレームなどに取り入れます。


▲大鉢で仕立てられたビオラ
「リトルオーキッド」

▲ブロッチの入らない
中輪のパンジー

▲ネメシアは強い霜に
当てないようにします

▲最近のシクラメンは中小鉢
仕立てでも豪華な花をつける

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毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。
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植物に関するいろいろな情報を満載したサイト「植物博物館」です。
植物を鑑賞したり、図鑑のように調べたり、様々な情報を無料で得ることができます。
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