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季節の園芸作業

[9月の庭園仕事]

ようやく、天気が安定してきたようですね。ただ、台風の襲来が少ないのが、ちょっと心配です。園芸の世界は秋の園芸シーズンに入ります。気の早いところでは秋植え球根も出回りはじめています。

買物情報

花壇用苗

 秋花壇を作る時期になりました。秋花壇の定番はサルビア、マリーゴールドですが、夏花壇と種類が同じになるのがちょっとつらいですね。広い面積が使えるなら、コスモスの大株を使う手もあります。最近、使われるようになった夏〜秋花壇材料にエンジェル・ラベンダーがあります。ラベンダーといってもシソ科ではなく、ゴマノハグサ科(アンゲロニア属Angelonia)。西インド原産の非耐寒性宿根草です。10月いっぱいくらいまでは使えるでしょう。

エンジェルラベンダー「ホワイトクラウド」

エンジェルラベンダー「ダークラベンダー」

観賞用トウガラシ

 果実が大きくてカラフルな観賞用トウガラシが出回っています。果実の色が黄色(赤に変わるものもある)、赤、黒赤など、葉も白い斑が入るものや銅葉(赤系統の葉色)のものがあります。栽培はやさしく、半日以上日の当たるところで、水やりは鉢の土が乾きかけてきたら、たっぷりと行います。強く水切れさせると果実が早く落ちてしまうことがありますので、注意しましょう。

鑑賞結用トウガラシ「ブラックパール」

斑入りトウガラシ
(斑が多く入る株は実付きが少ない)

五色トウガラシ

秋の山野草

 ジョウロウホトトギスや斑入りススキ、リンドウ、シュウメイギク、ダイモンジソウなど、秋の風情を感じさせてくれる山野草やハギなどの鉢植えが出回り始めます。シュウメイギクや斑入りススキ、リンドウ、ハギはよく日の当たる所、ジョウロウホトトギスやダイモンジソウは午前中日が当たり、午後は日陰になるところか、半日陰のところに置きます。晴天の日や風の強い日は、水が切れやすいので注意しましょう。

白花のシュウメイギク

台風対策は早めに

 今年は日本近辺に襲来する台風が少ないですね。でも、気圧配置も秋に変わったようで、本土に接近する台風も出てくるような感じです。台風対策はしっかりとしておきましょう。

支柱を立てる

 新しく植えた木や根元の弱い種類には、支柱を立てておきます。草物なども、支柱を立てて、それに縛り付けておくと被害が少なくなります。

剪定

 枝が茂りすぎていると、風で枝が折れたり、木を倒されることがあります。風の通りがよくなるように茂りすぎたところの枝抜きをします。

鉢など

 室内に避難させるか、あらかじめ鉢を倒しておきます。

薬剤散布の準備

 台風の後は病気が出やすくなりますので、すぐに薬剤散布(殺菌剤)できるよう、器具や薬剤の点検・手配をしておきましょう。

台風が通り過ぎた後

 塩害予防のために台風通貨直後に葉に散水し、折れた枝などは切り戻しておきます。木が倒れた場合は、倒れた反対側の根を掘ってから起こし、傷んだ根を切り詰めて植え直します。

夏越しさせたシクラメンの植え替え

上の図をクリックすると
大きな図が見られます

 そろそろ夏越しさせたシクラメンが、活動を始める時期です。残暑がおさまったら(9月中旬が目安)、植え替えしましょう。

休眠させて葉を枯らして夏越しさせた
鉢から抜いて、古い土を1/2ほど落とし、枯れた根や傷んだ根を整理して、新しい用土(市販の培養土にミリオンなど根腐れ防止剤1掴み混ぜる)で、一回り大きな鉢に植え直します。球根を土から1/2ほど上に出して植えるのがポイントです。

休眠させず、そのまま葉を茂らせて夏越しさせた株
枯れた葉や痛んだ葉を切り取ってから、鉢から抜き、古い土を1/3ほど落として、傷んだ根や腐った根を整理して、新しい用土で植え直します。このとき根はあまり痛めないようにします。用土や植え方は同じです。

植え替え後の管理
植え終わったら、たっぷりと水やりし、10日ほどは半日陰で管理し、以後はよく日の当たるところに置き、2週間に1回液肥を与えます。霜が降りる前に室内に取り込み、以後は普通のシクラメンの管理と同じです。

秋植え球根の植えつけと種子まき

キンセンカ

キンセンカは
いまが蒔き時

キンセンカ

上の図をクリックすると
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<球根の入手と植え付け>

 秋植え球根の売出しが始まっています。植えつけは10月中旬頃まで大丈夫ですが、お気にいりの花色や花形の品種があったら、早めに求めておきましょう。

 良球は皮に傷や病斑がなく、重くずっしりと感じられるもの。用土は市販の普通の培養土でよく、庭植えの場合は日当たりがよく水はけのよいところ。チューリップなどは球根の3倍の深さに植え、株間は球根3個分くらいとればよいでしょう。鉢に植える場合は、球根の先端が出るくらいの浅植えにします。ユリ(オリエンタル系)やフリージアはもう少し遅くなってからが植え時です。

ワンポイントメモ

<種子のまき方>

 ガーデニングは種子まきから始めるのが基本。ご自分で種子をまいて育てれば、費用も安く済み、お金を気にせずに贅沢に飾ることができます。

 秋の種子まきは残暑もおさまってきた彼岸頃が目安です。昼間の最高気温が22、3℃くらいの日が続く頃を目安にしましょう。ヤグルマソウやキンセンカなどは10月上中旬くらいまでにはまき終わるようにしましょう(スイートピーとヒナゲシはやや遅く10月いっぱいくらいまでに)。移植を嫌うラークスパーやベニバナなど以外は、平鉢にまき、本葉2、3枚程度で最初の移植をして、育ってきたらさらにもう一度移植をして育苗し、春に備えます。

ポインセチア・カランコエの短日処理

 ポインセチアやカランコエは、普通に管理していたのでは、クリスマスのシーズンに花(や包葉)が咲いてくれないことが多くあります。こうした種類を上手に楽しむためには、短日処理を行うのが確実です。

<短日処理をするわけ>

 1日のうちで、夜が長いときを短日といい、逆に昼の長いときを長日といいます。ポインセチアやカランコエのように、夜の時間が長くなると花を付ける性質の植物を短日性植物といいます。短日性の植物は、秋になると自然に花芽をつけるのですが、建物の照明や街路灯などの光があると短日の条件にならず、クリスマスまでにうまく色づいてくれないことがあります。そこで、人工的に光を遮断して確実に短日状態にすることが必要になります。

<短日処理の方法>

 夕方の5時から朝の9時くらいまでの間、株がすんなり入る程度の大きいダンボールをかぶせて光を遮断します。これを毎日繰り返します。

 ポインセチアでは1か月から1か月半もすると、花芽ができ、包葉が色づいてきます。そうしたら、もう、光に当ててかまいません。なお、あまり株が大きいとダンボールをかぶせにくくなるので、初夏に挿し芽をして株を更新し、その株を育てて8月中下旬に摘芯をして枝を出させるようにすると手ごろな大きさに仕上がります。

 カランコエの短日処理は1か月くらいでよく、今の時期に短日処理をすれば、クリスマスの頃に花を咲かせることができます。

果樹・花木のお礼肥え

 夏に収穫したブルーベリー、ウメやサクランボ、モモ、早めに収穫の終わったナシやクリなどの果樹類と、夏咲きの花木にはお礼肥えを施しましょう。

肥料の種類は

 果樹にはチッ素分の多い即効性の化成肥料を、花木類は3要素等量混合くらいの化成肥料か有機配合肥料を与えます。

施す量と与え方

 果樹類では、寒肥の時の半分くらいを、花木では、成木で軽く2握りくらいを根回りに浅く溝を掘って埋め込みます。

コスモスの名所案内

 秋の花の代表といえば「秋桜」とも呼ばれるコスモス。生まれは遠いメキシコですが、今では、日本の秋を飾る花として欠かせないものになっています。

 このほか、昭和記念公園(東京都立川市)、夢の平(富山県礪波市)、般若寺(奈良県奈良市)、遠賀川中の島(福岡県飯塚市)、高峠(鹿児島県垂水市)などもコスモスの名所として知られています。

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