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季節の園芸作業

[11月の庭園仕事]

 秋も盛りに入ってからは、比較的天気が安定し、紅葉も見事なところが多いようです。秋冬用の花壇作りや冬を迎えるための準備もはかどっていると報告をいただいています。紅葉前線も平地を南下し始めたようです。これからは園芸も室内の植物が中心になってきます。

買物情報

花鉢物

 クリスマス用の花鉢物が豊富に出回り始めています。シクラメンでは中大鉢が多くなり、ポインセチアも従来の大葉系のほか、原種系の小葉でやさしい木姿の品種も多くなっています。リグニア(アッサムニオイザクラ)、クリスマスカクタス(シャコバサボテン、デンマークカクタス)、クリスマスベゴニア(ベゴニア・ヒエマリス)、リーガースベゴニア、カランコエも買いごろです。この時期の草花は、花色が白〜ピンク〜赤〜紫のラインが多いですから、黄色系(黄色系シクラメン、リーガースベゴニアやカランコエの品種)を混ぜて温かさを演出するとよいでしょう。

 入手するときの注意 鉢物全般にいえることですが、お店に長く置いてあったもの、店外の吹きさらしの場所に置かれていたものは、水切れや乾燥、風などで傷みがちです。冬のシーズンは、一度調子を落とした鉢物を回復させるのは困難です。なるべく、入荷したてのものを選ぶようにしましょう。

秋咲きの山野草

 山草棚も寂しくなってきましたね。でも、秋も盛りになって咲きだす山野草の仲間があります。

ダイモンジソウ(ユキノシタ科)

 花の形が「大」の字に似ているからダイモンジソウ(大文字草)。野生種は白花ですが、紅色花や八重咲きのものが発見、作出されて人気が出てきました。栽培はやさしく、春以外は半日陰(春は日当たり)に置き、水切れに注意すればよいでしょう。なお、根づまりしやすいので、必ず年1回は植え替えます(適期は早春)。

ヒメショウジョウバカマ(ユリ科)

 最近、ヤエヤマショウジョウバカマという名前で販売されている小型のショウジョウバカマ。調べてみるとヒメショウジョウバカマ(コショウジョウバカマ)が正しい名前のようです。原産地は奄美・沖縄なのですが、寒さにも比較的強いようで関東地方南部ならば軒下の霜の当たらないところなら越冬するようです。冬〜春以外は、棚下の半日陰のところで。

ツルイワギリソウ(イワタバコ科)

 イワギリソウ属はイワギリソウだけの1属1種とされていましたが、中国に6、7種分布しているようです。本種もその1種のようですが、キリタ属にも似ています。ラベルには寒さに強いとか書かれていましたが、冬は霜や寒風の当たらない棚下や室内に保護したほうがよいようです。

花壇苗

 パンジーなど冬花壇用の苗の植え付けは、初霜の降りる2週間前くらいまで済ませると、活着もよく、苗傷みが少ないものです。花壇で大きな模様を描く場合は、あらかじめ大雑把なデザインを組んでから、品種ごとにまとめ買いするのがよいでしょう。また、落葉樹下などのナチュラル花壇や、宿根草花壇の飾りに使うときは、箱売りの混合株もの(古くなった株が多いのですが)が割安です。

 入手するときの注意 良苗は、茎のぐらぐらしない根張りの良い株。お店に長く置かれた株は、間伸びしたりアブラムシがついているものがありますので注意しましょう。入荷したての株を選ぶのが得策です。

フリルが強く花形が丸くなってきたシクラメン(関東東海花の展覧会にて)。

葉が小さくやさしい木姿の
ポインセチアの人気が出てきた。

透明感のる花色が人気のデンマーク
カクタス
(クリスマスカクタス)。

アッサムニオイザクラは花が終わったら茎を切り戻すと返り咲きする。

ダイモンジソウの八重咲き品種「白波

ダイモンジソウの赤花フギレ咲き品種

ダイモンジソウの桃花品種「伊予の華

小型で愛らしいヒメショウジョウバカマ

イワタバコ科の新導入山野草
ツルイワギリソウ

大菊秋苗の植え方

 キクの盛りの時期です。苗も出回り始めていますので、来年は大輪のキクを咲かせてみませんか。今の時期のキク苗は秋苗(秋挿し苗)といい、9月に挿し芽をして作られたものです。この苗を育てて、来年の5月に挿し芽(この挿し芽株に花を咲かせるのです)をする親株とするものです。

鉢と用土

 4.5〜5号の駄温鉢に1本植えが基本です。用土は赤玉土4+腐葉土5+くん炭(籾殻を蒸し焼きにしたもの)の混用土ですが、市販のキク用培養土でもよいでしょう。

植え方

 鉢底に防虫網を敷き、排水用にゴロ土を2列ほど入れ、培養土を入れます。キク苗は大きい蕾は摘み取り(小さな蕾は残しておく)、根を3センチくらいに切りそろえて植えます。植える高さは、苗の根元が鉢の縁より1センチくらい低い程度です。根鉢の表面にもくん炭を1センチほど敷き、粒状の化成肥料を4、5グラムほどばら撒きます(根に当たらないよう土に混ぜてもよい)。最初から肥料を混ぜてあるタイプの市販の培養土の場合は、必要ありません。

その後の管理

 植え終わったらたっぷりと水やりします。以後は、土が乾いてきて、葉がしおれ加減になってきたら水やりするようにします。4、5日は強い風の当たらない半日陰に置き、活着したら、よく日の当たる軒下に置きます。

秋花壇の始末と冬花壇の植えつけ

秋花壇を片付ける

 霜が降りる頃になると、長く花を咲かせつづけてくれたコスモスやサルビア、マリーゴールドなどの秋花壇もおさめの時期。草姿も乱れてきていますので、「ご苦労様」とお礼の言葉をかけて整理しましょう。手で抜ける株は手で、コスモスなど根の張っているものはシャベルで掘り上げます。枯れ枝や古根を取り除いた後は、土を掘り返し、堆肥に苦土石灰などをすき込んでから平らにならします。コガネムシの幼虫や夜盗虫がいたら、つまんでビニール袋などに入れて捨てましょう。

パンジー花壇の作り方

 色別に分けて植えたパンジーの回りを、草丈の低いクリサンセマム・ノースポールやディジー、ビオラで囲んだパンジー花壇は、失敗なく作れる冬花壇の定番です。ポイントは色を多くしすぎないこと。最低でも1色7、8株はまとめたいもの。配色は冬だけに暖色系の黄色(または赤)を中心にするのが無難です。黄色が引き立つように回りにピンクや薄い紫、白の株を添えればよいでしょう。株間は、最初はやや寂しいくらい(10センチほど)あけて植えると、春になって株が生長したときに慌てなくてすみます。強い霜の降りない地域では、花壇や寄せ植えの中心に、ユーリオプシスデージーを入れると立体的になります。

温かみのある黄色が持ち味の
ユーリオプシスデージー

落葉果樹類の植え付け

 最近、庭のシンボルツリーに果樹類を選ばれる方が増えているようです。ウメやスモモ、モモ、リンゴ、アンズ、ナシ、柑橘類は花もきれいですし、木姿も風格がありますから、ぜひ庭に何本かは植えておきたいですね。これから早春が落葉果樹苗の植え付けの時期です。あなたも果樹栽培にチャレンジしましょう。暖地では秋冬植え(厳冬時期は除く)、寒冷地では春(早春)植えがよいでしょう(柑橘類など常緑果樹は春植えがよい)。

植え付け場所と植え穴

 果樹類は日当たりを好むものですので、できるだけ日当たりの多いところを選びます。

 植え穴は、最低でも直径1メートル、深さ7、80センチは掘っておきましょう。植え穴はなるべく早めに用意し、有機物を混ぜておきます。

植えつけの方法

 苗木は6、70センチに切り詰め、根をよく広げて、根のあいだに土がよく入るように植えつけます。植えつけた後は支柱を立ててからたっぷりと水やりします。さらに、土の表面に腐葉土などをマルチング(敷きわら)し、乾燥と寒さを防ぎます。なお、その後の水やりは、乾燥が続いて特に土が乾くとき以外は必要ありません。

非耐寒性鉢物の取り入れ

 秋も深まり、そろそろ初霜の心配な時期になりましたね。戸外で管理してきた非耐寒性の鉢物類には、保護が必要になります。低温に強いタイプの洋ラン類(シンビジウム、デンドロビウム、オンシジウムなど)、エンジェルストランペット、クンシラン、ノボタンなどの鉢物類なども、霜の降りる前に室内や軒下にとりこみましょう。

 なお、室内は通風が悪く、ワタカイガラムシやアブラムシ、ハダニなどが大発生しがちですから、とり入れる前に、殺虫剤や殺ダニ剤を散布して退治しておきましょう。シンビジウムなど葉の付け根にカイガラムシなどが潜んでいることがありますので要注意。また、鉢の底のナメクジにも気をつけましょう。

エンジェルストランペット
もそろそろ室内に移行させる

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