日本園芸協会〜園芸情報サイト

季節の園芸作業

[3月の庭園仕事]

 2月は雪の日が多く、春の訪れを感じられる日がありませんでしたね。その影響か、東京のサクラの開花は遅めで今月末との予測が出ました。サクラといえば近年遺伝子組み換えでいつでも開花するサクラが作られたようですが、季節が感じられなくなるようでちょっと寂しい気がします。

 そろそろ本格的なガーデニングシーズンになります。草花類の種子まきや春植え球根の植付けの時期です。種子や球根などは早めに手配しておきましょう。

買い物情報

カランコエ(Kalanchoe)

 マダガスカル島〜南アフリカ原産のベンケイソウ科の多肉植物。原色でカラフルな色合いのものから、ベル咲きでシックな色合いのもの、全体的に白く粉の吹いたような白銀の美しい葉色を楽しむものもあり、一鉢で楽しむこともさながら寄せ植えにも映えます。室内の観葉植物で作る寄せ植えの彩りに最適です。

 12〜1月から園芸店で見かけますがこれは温室で育てたものなので、冬の寒い時期は室内の日当たりのよいところに置きます。自然の開花期は3〜5月です。多肉植物なので乾燥に強いですが過湿に弱く、水やりは鉢土が乾いてから施します(冬はさらに数日おいてから)。6月頃全体の半分くらいに切り戻し、一回り大きな鉢に植え替えます。


カランコエ「ウェンディー」
釣鐘のような花

カランコエ・プミラ「白銀の舞」
葉色が美しい

カランコエ・ブロスフェルディアナ
寄植えでよく見かけます

カランコエ
ビビットで華やかな八重咲き

カランコエ・ベハレンシス「ファング」
これもカランコエ

プリムラ・マラコイデス「ウィンティー」(Primula maracoides)

 従来にはなかったライムグリーン色の新品種です。耐寒性に優れており、冬の屋外や半日陰でも十分育ち、冬の庭やコンテナを明るく彩ります。夏の高温に弱いので、屋外の風通しの良い場所で育てます。水を好みますので、用土は極端に乾かさないようにしましょう。


プリムラ・マラコイデス「ウィンティー」
新しいライムグリーン色

セイヨウオダマキ(Aquilegia)

 北半球広く原産のキンポウゲ科の宿根草。多年生ですが3〜4年で老化するので増やす場合は株分けか種をまきます。鉢植えの場合9〜10月に伸びすぎた細い根を切り、太い根は傷つけないようにして植え替えます。

 寒さに強いですが夏の暑さに弱いので、西日の当たらない所で水はけのよい土で育てます。


セイヨウオダマキ
シックな赤・青・黄の多彩な色があります

セイヨウオダマキの花
ユニークな花の形で、
一重〜八重咲きまであります

ローダンセマム「アフリカンアイ(Rhodanthemum 'African eye')」

 北アフリカ山地原産のキク科耐寒性宿根草。花後に株分けし、茎数を1/3ほど間引いて、ひとまわり大きな鉢に植え替えると良いでしょう。日当たりを好みますが、過失に弱いので水やりも控えめし、長雨のときは軒下に取り込んで避難させます。4〜5月、挿し芽で増やせます。

ローダンセマム「アフリカンアイ」
白銀の葉色が美しく、上品な株

花鉢物の管理

 園芸店でも、外で育てられる鉢物が多くなってきましたね。ただ、もともと温室で栽培されたものですから、いきなり外に置くのは避けましょう。特に春先は風の強い日が多いので注意が必要です。晴れた暖かい日は風の当らない日なたに置き、夜間や風の強い日は、暖房の風が直接当らない室内で保護するのがベストです。  これまで、室内で育ててきた鉢も、同様に少しずつ外の空気に慣らしてゆきましょう。

シネラリア(キク科)

 本来は宿根草ですが、カナリア諸島原産ですので寒さ暑さに弱く、日本では1年草として扱われていす。葉が大きいので水切れに弱く、特に風が強いとすぐに水切れして葉がしおれます。風の強い日と寒い夜は室内に取り入れましょう。

 花が終わったら、早めに花茎を根元から葉っぱ3枚ぐらい残して切り戻すと、2番花を伸ばしてくれます。切り戻しと同時に液肥を追肥します(2週間に1回くらい)。

マーガレット(キク科)

 これも、カナリア諸島原産ですがシネラリアよりは丈夫です。白色のほか、桃色、黄色の品種も普及してきました。寒さには強いほうなので、直接霜に当てないようにすればよいものです。

 小さいポットに植えられているものは、根詰まりしている場合が多いので、入手したら根鉢を崩さずにひと回り大きな容器に植えなおすとよいでしょう。開花期間中、2週間に1回液肥を追肥します。

そのほかの鉢物の管理

 エレモフィラ、ボロニア(ミカン科)、ハーデンベルギア(マメ科)、レシュノルティア(初恋草、クサトベラ科)、ペーパーカスケード(キク科)、エリカ(ツツジ科)などオーストラリア、南アフリカ原産の鉢物は、水のやりすぎに注意。鉢の土が乾きだしてきてから、水やりするようにします。

 クンシラン(ヒガンバナ科)はそろそろ、花芽が上がってくる頃、クジャクサボテン(サボテン科)も花芽が作られる頃ですので、日によく当てるようにしましょう。ともに肥料は不要です。

エレモフィラ・ニベラ
寄せ植えや花壇に

ハーデンベルギア
「ステラマリス」

花壇・ガーデニング

 3月になると、まだ風は冷たくても日の光が強くなるのがわかりますね。パンジーやビオラ、キンギョソウなどの草花は蕾の上がる数も多くなります。花がら摘みをまめに行いましょう。大きくなりすぎた株では、茎の間引きや伸びすぎた枝の切り戻しをしましょう。

 肥料が切れると株の勢いが止まってしまいますので、急ぎのときは液肥を、余裕があるときは緩効性固形肥料(マグアンプKなど)を追肥しましょう。新しく咲く花が小さくなったり、次の蕾が上がるまで間があくようになったりするのは注意信号です。

種子まき

 種子まきの目安は低温で発芽するコスモスやアスター、ナスターチウムなどはソメイヨシノが散る頃、もう少し温度が必要なアゲラタムやジニア、ペチュニア類はヤエザクラが咲き始める頃、高温性のサルビアやマリーゴールド、ケイトウ類はヤエザクラが散る頃、アサガオやヒョウタンはさらに10日くらい遅くなります。また、ポット苗は遅霜の恐れがなくなったら植えつけられます。

球根の植え付け

 春植え球根のダリアやグラジオラス、ゼフィランサスなども同様で、アマリリスは少し遅く、ソメイヨシノが咲き出す頃、熱帯性のカンナやジンジャーはヤエザクラが咲き出す頃を目安にしましょう。

 秋に球根を植えつけられなかった場合は、花の長持ちするスイセンやヒアシンスなどの咲き出した鉢植えを入手して、寄せ植えなどに植え込んでも良いでしょう。この場合は、根鉢を崩さないようにそっと抜き取って植えつけます。

庭木・花木の手入れ

 落葉樹の剪定を済ませていない方は3月初旬に済ませましょう。木々の萌芽が始まると、アブラムシなど害虫類が発生しだします。早めに見つけてスミチオン、オルトランなどの殺虫剤を散布します。


ウメ・マンサク・ロウバイ・サンシュユの花後の手入れ

 ウメは花の咲いた枝を2、3芽残して切り、長い枝は切り詰めます。マンサクは自然樹形で育て、根元から出た徒長枝は3月中に間引きます。2、3年に1回、芽吹き前に強い剪定をしてよい枝を出させます。ロウバイは太い勢いのある枝を大切にします。枝先を軽く切り詰め、込みすぎたところの枝や細枝を間引くようにします。サンシュユも同様で、強い芽が出るように間引きと切り詰めをします。


樹木の購入

 3月は落葉樹、常緑広葉樹の植え付けの時期で、針葉樹の植え付けも始められます。お彼岸を中心に春の植木市が開かれるので、なるべく早く行って、よい木を選びましょう。よい木の条件は枝が四方に張っていて、幹などに傷がないこと、根鉢がしっかりしていて、細根が多いことです。

 根の状態がわからない場合は、幹や葉の勢いのよいものを選べば、失敗が少なくなります。

家庭菜園・ハーブ

 そろそろ家庭菜園も本格的に稼動を始めます。まずは野菜の種子まき。ホウレンソウ、カブ、コマツナは露地で、ネギ、パセリはトンネルでまきます。パセリは本葉1、2枚で移植します。  種子まきは苦手という方は、苗から始めましょう。双葉が黄化せずしっかりついているものを選び、遅霜の恐れがなくなってから定植します。

 ハーブでは、ミント類、レモンバーム、タイム類、ロケット、チャービルの種子がまけます。平鉢にまき、風の当らない日溜りで管理します。遅霜の心配があるときは室内や軒下に取りこみます。

 また、春苗を植えて短期間で収穫が楽しめる種類を紹介します。ただしこの場合入手は無農薬であることを確認しましょう。はっきりしない場合は、入手してから3週間ほどおいてから利用したほうが安全です。

ワイルドストロベリー

 日当たりからやや半日陰になる腐植質に富んだところが適地。すぐに子苗を出すので、株間をあけましょう。なお、花が黄色いものは別属(ヘビイチゴ属)ですから注意します。果実は生食、葉はティーに。


ミント類(ペパーミント、スペアミントなど)

 半日陰のところで、水を切らさないように。生育が早いので、苗からすぐに大きくなり、挿し芽でよくふやせます。葉や剪定でつんだ芽をティーに。


ナスターチウム

 蕾付きの株が売られています。日当たりのよいところで雨を当てないように。チッ素肥料は避け、水はやや控えめに。花や葉をサラダなどに。

セージ(コモンセージ)

 日当たりのよい肥沃なところで、やや水を控えめに。摘み取った葉を料理やティーに。

ローズマリー

 花つき株が売られています。日当たりのよいところで、水はやや控えめに。花や葉を料理の香り付けに使いますが、少量で十分に香るので苗の間は葉を摘み過ぎない様に。

サラダバーネット

 日当たりのよい肥沃なところで庭植えに。鉢植えの場合は水切れに注意。伸びた葉を摘み取り、サラダや肉・魚料理に。

イタリアンパセリ

 夏に枯れる2年草です。鉢植えで半日陰に置き、水切れに注意します。伸びた葉を摘み取り、スープやサラダに。

ロケット(ルッコラ)とチャービル

 この2種は種子をまいて3週くらいで利用できるようになります。半日陰で水を切らさないように管理します。

パイナップルミント

イタリアンパセリ

チャービル
美食家のパセリとも呼ばれ繊細な香りがする

世界らん展日本大賞2010

2010年2月13日〜21日に行われた「世界らん展」に行ってきました。

 「世界らん展」とは、年に一度、様々なジャンルのランを一堂に東京ドームに集めたランの祭典です。オーキッド・ロードには、今年は第20回ということで20種類のランをイヤーズプレートの形でディスプレイされていました。オーキッド・ロードの先に、今年大賞を受賞したランが展示され、迫力満点の会場となっていました。

 会場全体に広がるエントリーしたラン・ディスプレイの数々はさながら、ランをモチーフにしたボタニカルアートなどの工芸品、ブーケや着物に至るまでランにまつわる様々な素晴らしい作品が並べられていました。

 展示品から販売コーナーまで一通り見て周るだけでも3時間はかかってしまい、ラン好きの方はさながら、ランのことはよく知らない方でも、歩いているだけで楽しい会場でした。

http://www.jgpweb.com/

2010年の大賞
デンドロビューム・フィンブリアタム,オクラタム ‘ロング ウェル’

2010年の優秀賞
イダ・ジメンジー‘ワカクサ’

イヤーズプレートの形に植えられたラン
20種類並ぶ

オーキッドロードの先に大賞が

スケールが非常に大きいランの
ディスプレイ

風車の形に植えられたラン

販売されている種類も豊富

「初心者向け」といわれると
つい手が伸びます

イベント情報

大宮盆栽美術館オープン
期間:3月28日
Tel:048-829-1221
場所:さいたま市・大宮盆栽美術館


日本フラワー&ガーデンショウ
期間:3月26日〜28日
場所:千葉市・幕張メッセ
Tel:03-5919-4674
Webサイト:http://www.kateiengei.or.jp/


日本フラワーデザイン大賞2010
期間:3月26日〜28日
場所:横浜市・パシフィコ横浜
Tel:03-5420-8741
Webサイト:http://www.nfd.or.jp/


横浜バラクラ イングリッシュガーデン オープン
期間:3月19日
場所:横浜市・バラクライングリッシュガーデン
Tel:048-296-2321
Webサイト:http://barakura.co.jp/


横浜赤レンガ倉庫「フラワーガーデン2010」
期間:3月19日〜4月25日
Tel:0551-32-2970
場所:横浜市・赤レンガ倉庫


ららん藤岡ぐんまの洋蘭展
期間:3月12日〜22日
Tel:0274-24-8220
場所:藤岡市・ららん藤岡花の交流館


越佐雪割草展
期間:3月6日〜7日
Tel:0250-24-8787
場所:新潟市・新津フラワーランド


梅&早咲きの桜フェア
期間:2月6日〜3月14日
Tel:053-487-0511
場所:浜松市・はままつフラワーパーク
Webサイト:http://www.e-flowerpark.com/


フラワードーム2010
期間:3月12日〜17日
Tel:052-201-2111
場所:名古屋市・ナゴヤドーム


蘭のボタニカルアート展
期間:1月14日〜3月23日
Tel:052-243-0511
場所:名古屋市・ランの館


春の草花を用いたディスプレイ
期間:2月10日〜3月28日
Tel:0574-63-7373
場所:可児市・花フェスタ記念公園


浪華のロマン 未生流
期間:3月11日〜16日
Tel:06-6353-5281
場所:大阪市・阪神百貨店


早春の草花展
期間:2月23日〜3月7日
Tel:06-6694-8788
場所:大阪市・花と緑と自然の情報センター


花と自然の美を描いた絵画展
期間:3月2日〜7日
Tel:06-6694-8788
場所:大阪市・花と緑と自然の情報センター


チューリップまつり2010
期間:3月1日〜5月5日
Tel:0790-47-1182
場所:加西市・兵庫県立フラワーセンター
Webサイト:http://www.flower-center.pref.hyogo.jp/


神戸花物語2010
期間:3月5日〜7日
Tel:078-322-5355
場所:神戸市・神戸ハーバーランド


淡路花博2010花みどりフェア
期間:3月20日〜5月30日
Tel:0799-24-2001
場所:淡路市・淡路島全域
Webサイト:http://www.awajihanahaku2010.jp/


春爛漫ラン絵巻2010
期間:1月23日〜3月7日
Tel:0799-74-1200
場所:淡路市・淡路夢舞台
Webサイト:http://www.kisekinohoshi.jp/

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