日本園芸協会

園芸ファン通信 VOL.260 【7月号】

 今年も暑さが厳しく雨も多いため、高温多湿になりやすいです。日々の手入れで、植物の健康に気を付けましょう。また、体調を崩しやすい時期でもあります。お庭の作業はできるだけ早朝や夕方に行い、帽子や長袖の服などで陽射しを遮り、水分をこまめにとるなど、熱中症対策をしっかりとりましょう。

★今号の記事一覧★

  1. 【特集1】買い物情報
  2. 【特集2】季節の手入れポイント
  3. 【特集3】夏に涼を呼ぶ水草の楽しみ方
  4. 【特集4】秋咲き球根の植えつけ
  5. 【特集5】夏の病害虫防除
  6. 【特集6】早めに済ませる台風対策
  7. 【特集7】書籍のご案内
  8. 【特集8】イベント情報

【特集1】買い物情報

アスクレピアス(Asclepias sp.)

北アメリカとアフリカに分布するガガイモ科の多年草です。鮮やかな橙や黄色の丸い蕾を、パカッと割ったように花を咲かせます。数株をまとめて花壇に植えたり、鉢植えなどにしても映えますが、しっかりした茎を持っているので切り花にも使えます。有機質を多く含み、肥沃で水はけの良い土を好みます。水は、土が乾いたらたっぷりと与えます。株分けや挿し木で増やすことができます。

サルビア‘パープルプリンス’
▲アスクレピアスの草姿。
草丈は50cm前後、柳のような葉、
茎の先端にたくさん丸い蕾をつける。
サルビア‘パープルプリンス’花
▲アスクレピアスの花。
羽子板の羽根のような形の花をつける。

●フィランツス‘フェアリー’ (Phyllanthus)

 熱帯、亜熱帯に広く分布するトウダイグサ科の多年草です。銅葉のような薄い色で柔らかい葉が、やさしく涼しげな印象をもたらしてくれます。花は、葉のもとに紛れるように咲き色も黄色味のかかった薄い色で小さく、目立ちません。花後のこぼれ種でよく増えます。寄せ植えなど、鉢植えで管理し、夏は直射日光はさけて半日陰で管理します。肥沃で水はけがよい土を好み、水は土が乾いたらたっぷり与えます。

リクニス・ハーゲアナ
▲フィランツス‘フェアリー’。
銅色がかった小さな葉が美しい。
リクニス・ハーゲアナ花
▲フィランツス‘フェアリー’の花。
連なって咲く星型の花も可愛らしい。

(Scutellaria javanica)

 アジアなどに自生するシソ科の亜低木です。はっきりとした濃い紫色の花を持ち背丈は1m前後なので花壇や寄せ植えなどに使えます。強健な性質ですが、夏の直射日光はできれば避けて半日陰で管理するとなおよいです。排水がよいが、あまり肥沃でない土を好みます。水は土が乾いてからたっぷり与えます。

カカリア
▲スクラテリア・ジャワニカ。
濃い紫色の花が目をひく。
カカリア花
▲スクラテリア・ジャワニカの花。
筒状に唇形の花弁をもつ。
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【特集2】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>

・花がらつみ 咲き終わった花に種子ができないように、花がらをこまめに摘み取ります。コリウスは蕾が出てきたら、花を咲かせないで摘み取ります。
・剪定 混みすぎたところや長く伸びて花が付かなくなった枝は、切り詰めて代わりの枝を出させます。サルビア、ダリアなどで、暑さで弱ってしまった株は、根元から15cmほどで剪定しておくと秋に再生します。
・追肥 液肥(月に2回くらい)か、緩効性の固形肥料をひとつまみ追肥します。
・水やり トレニアやインパチェンスは水切れに弱いですから、花壇や庭に植えた場合も土の乾き具合を確かめ、雨が降らない場合は、2日に1回くらいたっぷりと水やりしましょう。
・挿し芽 間伸びした株は、挿し芽で作りなおしましょう。ポーチュラカやマツバボタン、アメリカンブルー、ニチニチソウは、枝を切って清潔な砂か赤玉土に挿せば、すぐに発根します。

<花木・庭木>
 ウメは枝が伸びていても、大きな剪定は我慢しましょう。特に茂りすぎたところの枝の間引きと、根元などから伸びた徒長枝の剪定(半分くらいに切りつめる)にとどめましょう。今の時期に枝を切りつめると、来年の花芽を切り落とすことになります。フジも伸びたつるは先を指でつまむ程度にします。この両種とも、冬に本格的な剪定をします。なお、ツバキでは8月以降がチャドクガの2回目の発生シーズンです。発生を見つけたら、スミチオン乳剤を散布します。

<花鉢物>
 夏の水やりは温度の高い時間帯は避け、夕方か早朝に行いましょう。うっかり水切れさせてしまって、夕方まで待てない場合は、鉢を日陰に移してからたっぷり水やりし、2〜3日半日陰のところで様子を見るようにします。根詰まりして水のしみこみの悪い鉢は、堅い箸などで鉢底近くまで突き刺し、水の入りをよくしておくとよいでしょう。なお、8月も後半になると、気温は高くても、植物の吸水は少なくなります。土の乾き具合を確かめて与えるようにしましょう。
<家庭菜園・ハーブ>
 夏野菜の収穫の適期です。肥切れさせないように追肥(月に2回ほど)をおこないましょう。ナスは8月の中旬くらいまでに枝の切り戻し(1/3〜2/3ほど)をします。
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【特集3】夏に涼を呼ぶ水草の楽しみ方

 庭やベランダに、小さくても池を設けると、雰囲気が変わりますね。その中に、水草などを植えれば、ちょっとしたビオトープガーデンになります。

 本格的な池がなくても陶器の色合いに似せたプラスチック池が出回っています。これを利用するのもよいでしょう。

植える植物の種類  *( )の中は鑑賞部位
 ・湿地性の種類 ハンゲショウ(葉)、ミソハギ(花)、シラサギスゲ(花)、トクサ(茎)、セキショウ(葉)
 ・抽水性の種類 パピルス(葉)、フイリヨシ(葉)、ガマ(葉)、フトイ(葉)、オモダカ(葉と花)、クワイ(葉)、チャワンバス(花と葉)、ポンテデリア(花と葉)
 ・浮遊性の種類 ボタンウキクサ(葉)、ホテイアオイ(葉と花)
スイレン(花)、コウホネ(葉)、ウォーターポピー(花)
●植え方 植物は、直接池に植えるのではなく、一つの種類ずつ鉢に植えて、池に入れると管理が楽です。土は田土か荒木田土がよいのですが、なければ赤玉土でもよいでしょう(ただし、表面に小石を敷いておく)。それぞれ、腐葉土を2〜3割ほど混ぜて用います。花物以外は、締めて小さく育てる方が、風情がありますので、肥料は入れません。
●鉢の置き方 鉢の下にレンガを置いたり、高さの違う鉢を用いて、高低の変化をつけましょう。また、湿地性の種類は根元が水面からちょっと出るように、抽水性の種類は鉢の表面が水面から4〜5センチ、浮葉性の種類は水面から10センチほど下になるように配置します。
●管理 ボウフラの予防用に金魚やメダカを飼う場合は、水温が上がり過ぎないように注意しましょう。水が汚れたり藻が繁殖するようなら、2〜3週間に1回、半量くらいずつ水替えします。

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【特集4】秋咲き球根の植えつけ

 秋咲き球根には個性的な種類が多く、また植え付けて短期間に花が咲くのもうれしいですね。今の時期に植えられる人気種を紹介します。

アマリリス・ベラドンナ
 ベラドンナリリーの名前で知られ、大輪・芳香性の花で人気があります。開花時期は9月。球根は、大きくて傷がなく、持ってみて重たく感じられるものを選びます。遅くとも8月中旬頃までに植えつけておきましょう。なお、チッソ分の多い用土を嫌いますので、市販の培養土は禁物。川砂、赤玉土に腐葉土を2割くらい入れた用土がベストで、球根よりもやや大きい程度の小さめの鉢に植えるのがポイントです。やや寒さに弱いので、庭植えは東京以南で、寒風の当たらない南向きの建物脇の花壇などに。

リコリス類 
 ヒガンバナの仲間です。開花時期8〜9月。なるべく早めに植えましょう(遅くても8月中旬までに)。植え方はアマリリス・ベラドンナと同じ要領でよいでしょう。秋に葉が出るタイプ(ヒガンバナ、ショウキラン、シロバナマンジュシャゲなど)と春に葉が出るタイプ(ナツズイセン、リコリス・スプレンゲリ)があり、前者は寒さに弱いものが多いので、関東以南では鉢植えにします。ヒガンバナは寒さには比較的耐えられますが、霜が強く降りるところでは落葉樹の下などに。
 ネリネ(ダイアモンドリリー)、サフラン、ステルンベルギア、コルチカムは8月いっぱいくらいまでに植えつければよいでしょう。

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【特集5】夏の病害虫防除

 夏の猛暑や日照りで株が弱ってくると、病害虫の被害を受けやすくなります。病虫害が出たら早めに見つけて、被害が大きくならないように対処しましょう。

●病害虫対策のポイント  害虫は早期発見、早期駆除。病気は発生しないように丈夫に育てるのがポイントです。油粕などチッソ肥料のやりすぎは、株が軟弱に育ち被害を受けやすくなります。草や木も、繁りすぎたところは枝をすかしてやり、風通しよく育てれば、病害虫の発生も少なく、たとえ発生してもすぐにわかるので早めの対策が取れます。

●うどんこ病 樹木類や草花の葉にうどん粉がまぶされたようになる病気です。サルスベリなどに発生すると、花が咲かなくなります。発生の初期に見つけて殺菌剤を散布しましょう。ハナミズキなどにも多く発生します。
毛虫や青虫など 大型の虫は、早めに見つけて箸などでつまんでビニル袋にいれて処理すればよいでしょう。大量に発生したときや、ツバキやサザンカにチャドクガが出たときは、やはり農薬の散布が必要です。虫の体に掛かるようスミチオン乳剤などの殺虫剤を散布します。
アブラムシなど小型の害虫 牛乳をスプレーで散布すれば退治できます。これは牛乳の脂肪分がアブラムシの体を被って窒息させたり、乾いて圧縮死させるものです。2〜3日後に潅水して牛乳分を洗い流しましょう。
●ハダニ コーヒーの飲み残しをそのまま散布します。ハーブ類(バジル、チャイブ、トウガラシ、ニンニクなど)の煮出し液も効果があるようです。

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【特集6】早めに済ませる台風対策

 台風対策は早めに済ませておきましょう。

●茂りすぎたところは枝抜きをする
 風が通り抜けるように、茂ったところは枝を間引いておきましょう。また、長く伸びすぎた枝は、切り詰めるようにします。
●支柱を立てる
 今年植えたばかりの樹木や細長い苗木、根の少ない老木には支柱を立てます。また、長く伸びたマツの差し枝などは、折れると仕立て直しが困難ですから、ところどころに支えを立ててやりましょう。 
●鉢植えの対策
 棚など風の強く当たるところから下ろし、背のある植物を植えてある鉢は倒れないように横にしておきます。
 ●台風後の手入れ
 台風は海から離れたところまで、潮風を運んできますので、台風の通った後に塩害対策をしましょう。葉の柔らかい樹木類には、頭からホースで水をかけて洗い流しておきます。また、樹木が風で倒れたときは、無理に起こさず、倒れた反対側を掘り起こし、折れた根を切り詰めて植えなおします。

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【特集7】書籍のご案内

葉っぱのかたちから樹木が調べられる原寸大植物図鑑をご紹介します。



『身近な薬用植物?あの薬はこの植物から採れる』

 モモやクチナシ、クズ、ウコン、クコ、シナモンなど身近な薬用植物60種を紹介。
 植物・薬としての特性はもちろん、その植物の逸話なども掲載しています。
 本書の記事は、臨床医向けの医療総合誌『メディカル朝日』(朝日新聞社)でも紹介された本格的な内容。カラー写真とエッセイで楽しみながら薬用植物を学ぶことができます。


■A5判、304ページ ■平凡社
価格:2,640円(税込)
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【特集8】イベント情報

北海道
第36回 ひまわりまつり 期間:開催中〜8月21日
URL:https://portal.hokuryu.info/sunflower/
栃木県
栃木市
とちぎ花センター
「食虫植物展〜食虫植物の世界に飛び込もう〜」
期間:開催中〜8月28日
「つち展」
期間:開催中〜8月28日
URL:https://www.florence.jp/
埼玉県
さいたま市
大宮盆栽美術館
「企画展 夏休み子どもぼんさい美術館」
期間:開催中〜8月31日
URL:https://www.bonsai-art-museum.jp/ja/
神奈川県
観蓮会 期間:7月29〜31日、8月5〜7日、11〜14日
場所:三渓園
URL:https://www.sankeien.or.jp/
京都府
京都市
京都府立植物園
夏の朝顔開園
期間:開催中〜8月14日
URL:https://www.pref.kyoto.jp/plant/index.html
兵庫県
加西市
兵庫県立フラワーセンター
木立性ベゴニア展示
期間:開催中〜8月16日
URL:https://flowercenter.jp/
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 【通信販売のご案内

 日本園芸協会 代理部(日本カタログショッピング)では、庭やベランダでの園芸作業がはかどる園芸資材をご紹介しています。ぜひご利用ください。


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【日本園芸協会のご案内】

 日本園芸協会にご入会いただくと、園芸の専門家による指導が受けられるとともに、年4回、植物と園芸の専門誌『プランツ&ガーデン』をお送りいたします。詳しくは下記のご案内をご覧ください。


https://ssl.gardening.or.jp/pg/rg/index.html


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