日本園芸協会

園芸ファン通信 VOL.265 【12月号】

12月は忙しい時期ですが、クリスマス、正月と、季節物がたくさん出回る時期です。らん、プリムラなど、冬〜早春の花を楽しみましょう。

★今号の記事一覧★

  1. 【特集1】買い物情報
  2. 【特集2】季節の手入れポイント
  3. 【特集3】早春の花・プリムラ
  4. 【特集4】らんの手入れ
  5. 【特集5】書籍のご案内

【特集1】買い物情報

クレマチス・アンスンエンシス(Clematis anshunensis)

 中国雲南地方原産の、キンポウゲ科の多年草です。下向きの釣鐘状の白い花を冬に開花させます。夏の暑さにも冬の寒さにも強い品種です。日当りと水はけのよい所を好み、冬は-5℃以下にならない場所で管理します。水は、土が乾いてからたっぷりと与えます。春に新しく伸びた枝に花芽をつけるので、6月までに切り戻しをします。秋に蕾が膨らみ始めた頃は水切れに注意し、日によく当て、追肥(有機質肥料)を施します。

クレマチス・アンスンエンシス’
▲クレマチス・アンスンエンシス
鉢植えはあんどん仕立てで楽しめます
クレマチス・アンスンエンシス花
▲クレマチス・アンスンエンシス花
釣鐘状のかわいらしい白い花

●スキミア‘ルベラ’ (Skimmia japonica‘Rubella’)

 日本や台湾に分布するミカン科の常緑低木です。和名「ミヤマシキミ」の方が聞きなれているかもしれませんが、外国でもいろいろな園芸品種が作られています。小さな花を楽しむのはもちろん、‘ルベラ’は、丸い紅色の蕾から楽しめる品種です。花色は白や紅があり、葉色は濃い緑から銅葉まであります。強健な性質なので育てやすく、半日陰や乾燥しない場所を好みます。

スキミア‘ルベラ’
▲スキミア‘ルベラ’
蕾の状態から見た目が華やかで楽しめる
スキミア‘ルベラ’花
▲スキミア‘ルベラ’花
蕾 玉のような形で、白色品種とあわせて
おめでたい雰囲気を演出できます。

斑入りヤブコウジ(Ardisia japonica)

 日本、台湾、中国などで分布するヤブコウジ科の小低木です。ヤブコウジは江戸時代などで親しまれてきた古典植物であり、奇形などがもてはやされ、たくさんの園芸品種があります。日陰や寒さにも強く、栽培が容易です。このヤブコウジは斑入りで、洋風なガーデニングや寄せ植えにも映えます。写真はガーデニング用の利用を強調するため、人工の赤い実の飾りがつけられて売られていたものです。

斑入りヤブコウジ
▲斑入りヤブコウジ
和風庭園もガーデニングにも使えます。赤い実は人工物です。

クローバー‘天使のピアス ビューティー’(Trifolium sp.)

 マメ科の多年草です。この品種は冬の寒さに強く、-10℃でも越冬します。赤い葉色が特徴的で、カラーリーフとして寄せ植えや花壇で活用できます。日当りと水はけのよい所で管理します。水は土が乾いたらたっぷり与えます。

クローバー‘天使のピアス ビューティー’
▲クローバー‘天使のピアス ビューティー’
赤いクローバーは寄せ植えや花壇のアクセントとして活躍します
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【特集2】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>

戸外での作業は特にはありません。空いている花壇があったら天地返しをしておきましょう。シャベルなどで花壇を掘りかえし、下の土を上に出しほぐして空気にさらします。30〜50cmくらいの深さでちょっと大変ですが、頑張りましょう。寒さや乾風、日光に当てることで、春からの病害虫の発生を減らすことができます。

<花木・庭木>
針葉樹、落葉果樹・花木の剪定を年末までに行えなかった方は、無理に今月に行うことはありません。厳冬期を避け、2月になってからでよいでしょう。バラの冬の剪定や元肥やりは今月からの作業です。同時に薬剤を散布するとよいでしょう。

<花鉢物>

室内に取り入れた熱帯花木類や草花類の具合はいかがですか。落葉性のものや枝を切り詰めた鉢物は吸水する力が弱くなっていますので、水は控えめにします。水やりの基本は、鉢の土が乾いてきてから与えることです。また、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニが発生しやすいので注意しましょう。表側だけでなく、定期的に葉裏や葉の付け根、株元の葉の重なりあっているところをチェックします。
新しく購入した鉢物類で花が次々と咲く種類には、追肥と花がら摘みを行いましょう。

<家庭菜園・ハーブ>
家庭菜園はおやすみの時期。越冬させている種類も少なくなりましたね。ホウレンソウやシュンギクなど、ビニルトンネルやべたがけシートをかけて育てているものは、中でアブラムシなどの病虫害が発生していないか、時々調べてみましょう。また、ビニルトンネルを利用すれば、ニンジン、コマツナ、カブ、ダイコンなどの種子がまけます。今、種子をまけば、春〜初夏にかけて収穫できます。
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【特集3】早春の花・プリムラ

 春の代表的な鉢花がプリムラ。この「プリムラ」という名前は、サクラソウ科のサクラソウ属の学名ですが、園芸的には欧米で改良されたサクラソウ属の草花を呼ぶ名前になっています。

<プリムラ類の管理ポイント>
 冬の鉢花の中では寒さに比較的強く、凍らない程度の低温でよく、逆に高温になると株が早く弱ります。日当たりを好むので、暖房のない部屋の日当たりのよい窓辺などに置くと良いでしょう。開花時期が長いので追肥をして肥切れさせないようにします(液肥なら2週間に1回、置き肥なら1、2か月に1回)。空気が乾燥しているとハダニが付きやすいので、殺ダニ剤の散布か葉裏にシリンジ(噴霧)します。花がらはこまめに摘み、咲き進んだ花茎は切り取ると花茎が次々にあがってきて、長く楽しむことができます。

<プリムラの種類と特徴>
ポリアンサ(P.×polyanthus)とジュリアン(P.×juliae)
 ヨーロッパ原産のサクラソウの交雑で生まれたポリアンサに、コーカサス原産のジュリアエを交配して作られたのがジュリアン。大輪で花茎がたつのがポリアンサで、小輪で花が地際で咲くのがジュリアンだったのですが、改良が進んで見分けにくくなっていますので、購入する際には札をよく見ましょう。八重咲き(バラ咲き)やパステルカラー、グラデーションやフリンジの花色も多くなっています。夏涼しくすごさせれば、夏越しできます。
マラコイデス(P.malacoides)とフィルクネラエ(P.filchnerae)
  マラコイデスは多花性で優しい草姿で人気があります。近年出回るようになったフィルクネラエ(雲南サクラソウ)は、より大輪でボリュームのある姿になります。この2種は夏越しが難しいので、毎年種子で更新します。中国原産。
●オブコニカ(P.obconica)
 花が大輪で、プリムラの中では日陰に耐える種類です。寒さには弱いので、室内管理で。夏の暑さには強く、夏越ししやすい種類です。中国原産。
●デンティキュラータ (P.denticulate) とロゼア(P.rosea)
 玉咲きで、開花が進むに連れて花茎が伸びるデンティキュラータと、それよりもやや小型のロゼア。共にヒマラヤ地域原産で耐寒性が強いので外で育てます。本来は宿根草ですが、高山性のため暖地では夏越しは困難。残念ですが消耗品と考えるのが実際的です。

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【特集4】らんの手入れ

 年が明けると各地でらん展が開かれます。ご家庭でも、シンビジウムやパフィオペディルムなど蕾が上がってきてくれるころです。あなたの愛蘭の咲き具合はいかがですか。 また、育てたことのない方もぜひ、各地の展覧会でらんの美しさに触れてみてください。

<花つきの株を入手した場合>
置き場所
 よく日の当たる夜間10℃程度が保てる暖かい場所(暑すぎないように)。暖房の風の直接当たるところは避けます。
水やり
 水やりは鉢の用土が乾いてから2、3日後に(週に1、2回程度)、室温より少し高めの30℃くらいのぬるま湯を湿らす程度与えます。蕾のある株では暖かい日にシリンジ(噴霧)をしましょう。
肥料
 花の咲いている間は不要。春になって、芽が動いてきてから与えます。

<持ち込み株の管理>
  温室があれば別ですが、あまり温度が保てない場合は高温性のカトレアやファレノプシスなどは花が咲くのが遅くなります。低温性のシンビジウムやパフィオペディルム、ノビル系デンドロビウムは蕾があがってきます。花茎が折れたり曲がったりしないよう、支柱を立てましょう。また、空気が乾燥しがちですので、シリンジをマメに行います。

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【特集5】書籍のご案内

葉っぱのかたちから樹木が調べられる原寸大植物図鑑をご紹介します。



『葉っぱでおぼえる樹木』
●日本で見られる身近で代表的な樹木300種を精選!

原寸大で葉っぱの写真を収録した植物図鑑です。 葉の形状を15タイプに分類した表から、植物の名前を簡単に調べることができます。
散策や山歩きで目にする日本の代表的な樹木300種類を収録しています。 あなたも身近にある植物の名前を図鑑を使って調べてみませんか。


■B5判、336ページ ■柏書房
価格:3,740円(税込)
※送料660円(税込)
https://www.catalog-shopping.co.jp/shop/eg1/book/happajumoku/index.html



『葉っぱでおぼえる樹木2』
●果樹や薬用の樹木など235種を掲載した第2巻!

山野に自生する国産樹木から、公園などに植栽される外国産樹木まで、計235種を収録した第2巻。 食用の果樹や薬用で植えられる樹木も多く取り上げています。
第1巻とあわせれば、北海道から沖縄まで広く分布する樹木のほとんどが見分けられるようになります。


■B5判、292ページ ■柏書房
価格:3,740円(税込)
※送料660円(税込)
https://www.catalog-shopping.co.jp/shop/eg1/book/happajumoku/index.html


注文先:日本園芸協会 代理部(日本カタログショッピング)
TEL:0120-22-1128
FAX:0120-161-418
E-mail:custom@catalog-shopping.co.jp      

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