日本園芸協会

園芸ファン通信 VOL.282 【5月号】

  これから台風が多くなってくる時期です。日本特有の高温多湿な気候によって、植物の健康状態も悪くなり、病害虫も発生しやすくなります。夏に花いっぱいの庭を楽しむためにも、こまめな手入れを欠かさないようにしましょう。

★今号の記事一覧★

  1. 【特集1】買い物情報
  2. 【特集2】季節の手入れポイント
  3. 【特集3】夏向きの草花類
  4. 【特集4】育てやすい食虫植物
  5. 【特集5】シャドーガーデンを作りましょう
  6. 【特集6】病害虫は早期発見
  7. 【特集7】通信販売のご案内
  8. 【特集8】イベント情報

【特集1】買い物情報

●セリンセ・マヨール‘イエローキャンディー’ (Cerinthe major)

 南ヨーロッパ原産ムラサキ科の一年草です。背の高い茎の先に首をもたげるように重なるように苞がつき、その先端にぶら下がるように下向きに花が咲きます。やや乾燥を好むので、水はけのよい土で水のやりすぎに注意しましょう。大きく育つので、株間をあけて植えます。

‘イエローキャンディー’
▲‘イエローキャンディー’の草姿
フジマメ花
▲セリンセ・マヨールの苞

ガウラ (Gaura lindheimeri)

 北アメリカ原産アカバナ科の多年草です。白い花は別名ハクチョウソウともいい、白いチョウのような花の形を現し、ピンクの花はヤマモモソウと色味から別名がつけられています。耐暑性、耐寒性ともにあり、日当たりと水はけのよい土ならばよく育ちます。

‘ガイザー’
▲ガウラ‘ガイザー’
‘ガイザー’
▲‘ガイザー’花
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【特集2】季節の手入れポイント

花壇・ガーデニング
 花壇では、アブラムシやヨトウムシ類などの害虫類、うどんこ病や灰色かび病などの病気が多い時期です。丁寧に見回りをしましょう。雨が続きそうで薬剤を散布できないときは、害虫類は手や箸でつまんで退治します。病気が広がっている葉は摘み取るだけでも効果があります。
<花木・庭木>
  春に伸び出した芽の勢いが止まる時期で、常緑樹などは移植や植付けができます。
 キョウチクトウやキンシバイ、アベリア類、ムクゲ、フヨウ、ザクロなど夏咲きの花木は、今年伸びた枝に蕾ができ花を咲かせるので、今の時期に枝先を切るのは禁物です。
 ナツツバキ・ヒメシャラ、ライラックは花が終わったら花がらを摘みます。基本的に自然樹形で育てるので、夏場は徒長枝の切り詰めや、込みすぎた枝を間引く程度にとどめます。サツキは花が終わったらすぐに刈りこみましょう。強く刈りこむと、翌年の花付きが悪くなるので、刈りこみは去年の枝の元ぐらいにとどめます。
花鉢物
 春に入手したレケナルティア(初恋草)、ボロニア、ホワイトツリー、エリカ、クリアンツス、グレビレア、サザンクロス、スカエボラなどオーストラリアや南アフリカ原産の鉢物は、これからが栽培の難しい時期になります。もともと乾燥気味のところが原産ですから、高温多湿を嫌い、長雨に当てると、過湿になって根腐れを起こしがちです。これからの雨の多い時期は、軒下などに置き、雨が当たらないようにしてやりましょう。
家庭菜園・ハーブ
 そろそろ、早めに植えたキュウリやナス、ピーマン、トマトなど果菜類の収穫が始まるころです。最初の2、3果は熟させずにもいでやると、株の負担が少なくなり、その後の生育が順調になります。
 植えつけはポット苗でニガウリ、オクラ、夏キュウリ、種子まきは、エンツァイやモロヘイヤ、ツルムラサキなど暖地性種がまき時です。
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【特集3】夏向きの草花類

 暑い夏に長く咲き続けてくれる貴重な草花類を紹介します。

ニチニチソウ(キョウチクトウ科)
 マダガスカル原産の多年草ですが、寒さに弱いので、園芸上は一年草扱いされています。日当たりと乾燥を好み、痩せ地に耐えます。最近は、花が小型のもの、花がスパイラルになるものや、パステル調の花色のものなど品種が多くなりました。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。

ポーチュラカ(スベリヒユ科)
 熱帯アメリカ原産といわれる耐暑性の強い宿根草。強健で高温・乾燥に強く、日当たりで元気よく育ってくれます。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。寒さには弱いので、秋早めに挿し芽で苗を作って室内で越冬させます。

インパチエンス(ツリフネソウ科)
 小型で日当たりにも耐えるアフリカホウセンカと、大型で半日陰向きのニューギニアインパチエンスがあります。どちらも水切れに弱いので、注意しましょう。アフリカホウセンカは花壇植えもでき、八重咲き品種も出回っています。ニューギニアインパチエンスは高温に弱い面がありますので、通風のよい場所に置きます。肥料は8月を除き、月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。

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【特集4】育てやすい食虫植物

 植物なのに、虫を捕らえて栄養源にしている食虫植物。その習性の面白さや変わった姿から、注目される存在です。夏に近づくと食虫植物の仲間が出回ります。その中でも、入手しやすく育てやすい種類を紹介します。

<食虫植物栽培のポイント>
 食虫植物は湿地原産のものが多いので乾燥は禁物。植え土(ミズゴケ)を乾かさないように注意しましょう。サラセニア以外は根が強くないので、肥料は避けたほうが無難です。その代わりに、たまに小さな虫をあたえる程度でよいでしょう。たくさん与えるのは葉(捕虫葉)が早く老化するので禁物です。ナメクジが付きやすいので、見付け次第捕殺します。

サラセニア
 サラセニア科の宿根草。北アメリカの東部原産。つぼ型の捕虫葉に落ちた虫を消化して栄養にします。食虫植物の中では根が発達しているので、虫を与えなくても育ちます。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。

ハエトリソウ(ディオネア)
 モウセンゴケ科の宿根草。北アメリカ東部原産。二枚貝の貝に似た捕虫葉の中心近くにある3対ほどの毛(感覚毛)に虫が2回触れたら、目にも止まらぬスピードで葉を閉じるという、驚くべきメカニズムを備えた狩人です。日当たりのよいところで育て(真夏は半日陰)、乾かさないようにします(水やりは1日1回ほど)。滞水を嫌うので、腰水は避けます。植え替えは早春新しく、太めのミズゴケで植え替えます。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。

サスマタモウセンゴケ
 モウセンゴケ科の宿根草。オーストラリア・ニュージーランド原産。モウセンゴケは葉に粘液を出す腺毛が密生し、この葉に触れた虫を絡めとるタイプです。葉先が二又や三叉になり、日本のモウセンゴケよりも背が高くなります。日当たりのよいところで育て、ミズゴケが乾かないように水やりしましょう。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいです。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。種子ができないので、葉挿しでふやします。

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【特集5】シャドーガーデンを作りましょう

 建物や塀の陰や樹木の下などの日陰地を利用してシャドーガーデンを作りましょう。日陰地は緑も単調になりやすいので、耐陰性の強い草花類や葉色に変化のあるカラーリーフを多く用いるのが良いですね。朝晩など多少でも日射の入るところや、半日陰地なら多くの種類が利用できます。

<シャドーガーデンに向く種類>

 花物  インパチエンス、ツルニチニチソウ、クリスマスローズ、エビネ、スズラン、ホトトギス、モナルダ
 葉物  コリウス、ラミウム、ヒューケラ、ギボウシ、ハラン、アイビー、レックスベゴニア、ポトス

<植え付け前の準備>
 建物の陰などの日陰地は土が湿りがちで、ゼニゴケなどが生えやすいので、土質の改良をしましょう。 土をよく耕し、堆肥や腐葉土などの有機物(1uあたり大きめのバケツ2杯)と、苦土石灰(1uあたり一掴みほど)をすきこみます。周囲をレンガなどで囲って、回りの土面よりも少し高くなるようにして、表面をならします。周囲に木が茂っているようなら、枝抜きをして風通しを良くします。

<植え付けと注意>
 丈の高くなる種類(クリスマスローズハランなど)は奥に、丈の低い種類は手前に植えるようにします。株間は15〜20cmほどとっておきます。インパチエンス、ツルニチニチソウ、コリウス、ラミウムなどは、植え付けのときに枝を切り取って挿し芽しておけばすぐに発根するので、株数が少ないときは後から補植すればよいでしょう。
 ハランアイビーは斑入りの品種を選びます。レックスベゴニアポトスは秋になったら掘り上げ室内に移します。

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【特集6】病害虫は早期発見

ケムシ類
 チャドクガが盛りになります。なるべく早めに見つけて、群生しているときに退治しましょう。葉ごと切り取って捕殺するか、スミチオンなどの殺虫剤を散布します。葉裏の卵の痕や脱皮殻もきれいに整理しましょう。サクラやウメ、ハナミズキ、プラタナスなど多くの樹種にアメリカシロヒトリ、ウメケムシなどのケムシ類が、針葉樹でもマツカレハなどのケムシ類が発生します。なるべく発生の初期に発見して退治しましょう。

カキのヘタムシ
 カキの果実が大きくなり始めた初期に落ちてしまうのは、ヘタムシ(カキミガの幼虫)が果実のヘタから侵入して中を食い荒らしたせいです。このヘタムシは5月下旬〜6月と8月の2回発生します。
 対策としては、今の時期に1週間おきに2、3回、スミチオン乳剤などを散布します。トップジンM水和剤を混合散布すれば炭そ病などの予防もできて効果的です。

エカキムシ
 ナスターチウムやレモンバーム、ペチュニアなどの葉に、絵を描いているかのように白い線が入っているのは、エカキムシ(ハムグリバエ類の幼虫)の被害です。被害のひどい葉は摘み取って処分し、スミチオン乳剤かオルトラン水和剤を1週間おきに2、3回散布するようにしましょう。被害が大きい場合は黄色の粘着テープ(ハエ取り紙のようなもの)を低い位置で設置すると効果があります。

アブラムシ
 枝葉が茂ってくると、アブラムシの発生も多くなります。アブラムシは発生が少量ならば指でつぶすのがよいですが、多い場合は殺虫剤(スミチオン、マラソンなど)を散布します。草花類や鉢植えではオルトラン水和剤(鉢物ならば粒剤でよい)やアドマイヤーなどの浸透移行性殺虫剤を散布しましょう。効果は2週間続くので、月に2回散布すれば万全です。

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【特集7】通信販売のご案内

日本園芸協会代理部(日本カタログショッピング)では、庭やベランダでの園芸作業がはかどる園芸資材をご紹介しています。ぜひご利用ください。


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注文先:日本園芸協会 代理部(日本カタログショッピング)
TEL:0120-22-1128
FAX:0120-161-418
E-mail:custom@catalog-shopping.co.jp      

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【特集8】イベント情報

北海道
ゼラニウム〜ゼラニウムコレクション〜 期間:6月4日〜23日(日)
場所:札幌市・百合が原公園
TEL:011-772-3511
URL:https://yuri-park.jp/
茨城県
つくば夏の洋蘭展 期間:6月16日(日)〜23日(日)
場所:つくば市・国立科学博物館 筑波実験植物園
TEL:029-851-5159
URL:https://tbg.kahaku.go.jp/
埼玉県
【歴史と文化】盆栽クロニクル−年代記− 期間:開催中〜7月3日(水)
場所:さいたま市・さいたま市大宮盆栽美術館
TEL:048-780-2091
URL:https://www.bonsai-art-museum.jp
新潟県

「植物と共に生きる?アイヌ文化から学ぶ植物のチカラ?」

期間:開催中〜7月7日(日)
場所:新潟市・新潟県立植物園
TEL:0250-24-6465
URL:https://botanical.greenery-niigata.or.jp
滋賀県
木村尚達作品展(水辺のささやき2) 期間:開催中〜6月9日(日)
場所:草津市・草津市立 水生植物公園みずの森
TEL:077-568-2332
URL:https://www.seibu-la.co.jp/mizunomori/
広島県
アジサイウィーク 期間:開催中〜6月30日(日)
場所:広島市・広島市植物公園
TEL:082-922-3600
URL:http://www.hiroshima-bot.jp
沖縄県
フラワーガイドツアー 期間:毎日開催
場所:国頭郡・海洋博公園熱帯ドリームセンター
TEL:0980-48-2741
URL:https://oki-park.jp/kaiyohaku/
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