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季節の園芸作業

[6月の庭園仕事]

 中国の四川大地震に続き、日本でも岩手県・宮城県が地震に見舞われました。被害にあわれた形に心からお見舞い申し上げます。また、これから雨が多くなると、二次災害の恐れもあります。くれぐれもお気をつけくださいませ。

◆買い物情報◆

カラーリーフのカバープランツ

 夏の庭には地温の上昇を抑えてくれ、夕立など激しい雨による土の跳ね上がりも防止してくれるカバープランツを利用したいですね。中でも黄緑系や赤紫系などのカラーリーフの種類を取り入れると、庭のカラーバリエーションが豊富になります。

 葉が細かいタイプのリシマキア(サクラソウ科)やダイカンドラ(ヒルガオ科)は敷石や飛び石など通路際に、葉が大きくなるイポメア(ヒルガオ科)は広めの裸地を被うのによいものです。梅雨時に入手して挿し芽すれば、盛夏の時期までに十分な量までふやせます。

草花・野菜・ハーブ苗

 高温多湿の日本の夏に耐えて育ってくれる草花や野菜はそう多くないものです。草花ではアメリカンブルー、コンボルブルス、ポーチュラカ(花スベリヒユ)、ニチニチソウ、ヒャクニチソウ、野菜・ハーブではバジル、レモングラス、エンツァイ(朝顔菜)、モロヘイヤ、ツルムラサキがその代表ですね。

 今植えれば、梅雨明け頃には立派な株に育ってくれます。なお、アメリカンブルー、エボルブルス、ポーチュラカ(花スベリヒユ)、ニチニチソウなどは、苗を植えるとき枝を切って挿し芽すると、すぐに発根して新しい苗ができます。

明るい黄緑葉のリシマキア「オーレア」。
耐寒性もある。

銀葉系のダイカンドラ「シルバーフォールス」。
やや寒さに弱いので、関東地方南部まで。

赤紫葉のイポメア。1年草扱いだが、
室内で保護すれば冬越しする。

日照・乾燥に強いポーチュラカ

ヤマアジサイの園芸品種

 可憐で繊細な花姿のヤマアジサイは、アジサイの仲間の中では山草的な味わいで人気があります。最近は、花色や花形が変わった選別種が見出されて販売されるようになりました。性質は比較的強健で、鉢植えでも庭植えでも楽しめます。

<ヤマアジサイの栽培ポイント>
置き場所・植え場所
日向よりもちょっと日陰になるところ。土質は有機質が多く水はけの良い土。
水やり
水切れに弱いので、鉢植えの場合は乾かし過ぎないように注意します。庭植えの場合は、夏場で特に日照りが続いたときは夕方にたっぷりと水やりします。
施肥
春と秋に粒状の配合肥料を少量(小型のスプーン1杯くらい)与えればよいでしょう。
剪定
花が終わったら(7月中に)花の咲いた茎は1/3ほどに、花の咲かなかった茎は1/2ほどに切り詰めます。
冬の管理
冬の初めに、ぷっくりと膨らんだ花芽のところまで茎を切り戻します。寒さには強いほうですが(アジサイと同じくらい)、鉢植えの場合は、強い霜や寒風には当てないほうがよいでしょう。また、水を切らさないように注意します。

シャドーガーデンを作りましょう

 建物や塀の陰や樹木の下などの日陰地を利用してシャドーガーデンを作りましょう。日陰地は緑も単調になりやすいので、耐陰性の強い草花類や葉色に変化のあるカラーリーフを多く用いるのが良いですね。朝晩など多少でも日射の入るところや、半日陰地なら多くの種類が利用できます。

<シャドーガーデンに向く種類>
花物
インパチエンス、ツルニチニチソウ、クリスマスローズ、エビネ、スズラン、ホトトギス、モナルダ
葉物
コリウス、ラミウム、ヒューケラ、ギボウシ、ハラン、アイビー、レックスベゴニア、ポトス
<植え付け前の準備>

 建物の陰などの日陰地は土が湿りがちで、ゼニゴケなどが生えやすいので、土質の改良をしましょう。

 まず、土をよく耕し、堆肥や腐葉土などの有機物を多めに(1uあたり大きめのバケツ2杯)と、苦土石灰(1uあたり一掴みほど)をすきこみます。周囲をレンガなどで囲って、回りの土面よりも少し高くなるようにして、表面をならします。周囲に木が茂っているようなら、枝抜きをして風通りを図ります。

<植え付けと注意>

 丈の高くなる種類(クリスマスローズやハランなど)は奥に、丈の低い種類は手前に植えるようにします。株間は15〜20cmほどとっておきます。株数が少ないときは、インパチエンス、ツルニチニチソウ、コリウス、ラミウムなどは、植え付けのときに枝を切り取って挿し芽しておけば、すぐに発根しますので、後から補植すればよいでしょう。

 ハランやアイビーは斑入りの品種を選びます。レックスベゴニアやポトスは秋になったら掘り上げ室内に移します。

半日陰で生育する
ヒューケラの赤紫葉系品種

大輪の花が楽しめる
ニューギニア・インパチエンス

コリウスは品種が豊富。
これは大葉性の「ゴリラ・スカーレット」

病害虫対策を忘れずに

 今年は春から雨が多く、入梅は例年よりも早かった地方が多かったようです。日照時間が少なかったので、庭の木や花壇の草花では徒長気味のものもみられます。こうした年は病害虫の被害を受けやすいですから注意し、早期発見、早期駆除を心がけましょう。

 うどんこ病や斑点病はカビによるものですから、ベンレートやダイセン類の散布、すえたような匂いがして株全体が腐るようになるのは細菌による病気のことが多いので、この場合は抗生物質(マイシン系の薬剤)か銅水和剤を散布します。

 アブラムシは発生が少量ならば指でつぶすのがよいのですが、多い場合は殺虫剤(スミチオン、マラソンなど)を散布します。草花類や鉢植えではオルトランの粒剤を根元にまいておけば3週間は防除効果があります。晴れの日が続く場合は、牛乳を生のままスプレーしても効果があります(必ず虫の体にかかるように)。

 アオムシやケムシ類は、小さいときはスミチオン乳剤かディプテレックス乳剤を散布すればよいのですが、大きくなってしまうと薬が効きにくくなりますので、箸などでつまんで退治するとよいでしょう。いずれにしろ、なるべく虫が小さな間に退治するのがベストです。

 病害虫の被害を少なくするには、株間を空け、込んだところの枝を抜いて、風通りをよくすることです。そうすれば、発生したときにも見つけやすく、初期に対処できます。最近話題の木酢液や炭の施用は、植物の体質が強化され、病害虫がつきにくくなるといわれます。お試しください。

 なお、薬剤散布は晴れた日が続きそうな時(散布後、雨が降ると効果は激減します)の、風のない気温の低い早朝か夕方に行います。

挿し木の適期です

 春に萌芽した枝の伸びが止まって充実してくる時期が挿し木の適期。これから梅雨時は空中湿度も高く、失敗が少ないのです。ツツジやサツキ、ツバキなどの常緑樹類や、アジサイやムクゲなどの落葉樹類、キャラボクやスギなどの針葉樹類を挿し木してふやしましょう。

<挿し木の仕方>
  1. 挿し穂の選び方 今年伸びた枝で、伸びが止まって充実した部分を10〜15センチほど切り取ります。
  2. 挿し穂の調整
    枝の切口を鋭利なナイフで切り戻し、枝の下1/3の部分の葉は切り取ってから、2時間くらい水揚げします。
  3. 挿し床
    平鉢か平箱。用土は清潔な鹿沼土か川砂。
  4. 挿し方
    挿し床に用土を入れたら、たっぷりと水やりします。落ちついたら、はしなどで穴をあけてから挿し穂を入れ、根元を指で軽く押さえます。なお、ワイヤーで骨組を作って鉢や箱全体をポリエチレン袋やシートで覆って密閉すると活着がよくなります(これを密閉挿しといいます)。
  5. 発根までの管理
    寒冷しゃで直射日光をさえぎってやるか、樹木の下などの半日陰に置きます。特に密閉挿しの場合は、直射日光に当てないようにしましょう。土の表面が、やや乾いてきたら目の細かいジョウロで水やりします(密閉挿しの場合は土が乾きにくいので、あまり必要ない)
  6. その後の管理
    2か月くらいで発根します。秋に植え替えるかそのまま風の強く当たらないところで冬越しさせて春に植え替えます。
    ミントやセージ、オレガノなどのハーブ類、フロックスやトコナツ、ダリアなどの草花類も同様に挿し芽ができます。草物類は発根が早く、3週間くらいで植え替えできます。
    ポトスやゴムノキ、ドラセナなどの観葉植物も今が挿し木、取り木の時期です。

全国アジサイ名所ガイド

 雨が降って庭の仕事ができなくなると、気持ちも暗くなりますね。そうした時は、この季節に目を楽しませてくれるアジサイの名所を訪ねてみましょう。

ヤマアジアイ「東雲(しののめ)」は京都原産。

ヤマアジサイ「清澄沢(きよすみさわ)」千葉県原産。

富士山周辺で見つかったといわれる「富士の滝」。

花の咲き具合を電話で確認してから出かけるようにしましょう。

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