今年の秋は、雨が多かったですね。特に週末になると天気が悪くなったような気がします。秋の園芸作業は無事済まされましたでしょうか。紅葉前線も平地に近づいてきているようです。これからは園芸も室内の植物が中心になってきます。
クリスマス用の花鉢物が豊富に出回り始めています。シクラメンでは中大鉢が多くなり、ポインセチアも従来の大葉系のほか、原種系の小葉でやさしい木姿の品種も多くなっています。リグニア(アッサムニオイザクラ)、クリスマスカクタス(シャコバサボテン、デンマークカクタス)、クリスマスベゴニア(ベゴニア・ヒエマリス)、リーガースベゴニア、カランコエも買いごろです。この時期の草花は、花色が白〜ピンク〜赤〜紫のラインが多いですから、黄色系(黄色系シクラメン、リーガースベゴニアやカランコエの品種)を混ぜて温かさを演出するとよいでしょう。
入手するときの注意 鉢物全般にいえることですが、お店に長く置いてあったもの、店外の吹きさらしの場所に置かれていたものは、水切れや乾燥、風などで傷みがちです。冬のシーズンは、一度調子を落とした鉢物を回復させるのは困難です。なるべく、入荷したてのものを選ぶようにしましょう。
まだ黄色が薄いが人気が高い黄色系シクラメン |
葉が小さくやさしい木姿のポインセチア。人気が出てきた |
この時期の鉢物には黄色の種類は珍しい |
シャコバサボテンやデンマークカクタスは、蕾が大きなものを選ぶようにする |
最近は多肉植物の人気が高くなっています。多肉植物というと夏が中心のような気がしますが、冬にきれいに色づいてくれる種類もあります。セダムなどの耐寒性のある種類は暖地なら露地栽培でき、カランコエなど寒さに弱い種類も室内の窓辺で越冬させられますので、冬の園芸にぜひ取り入れましょう。
種類にもよりますが、立ち性の種類は節間(葉の付く間隔)が短く詰まっているのが良株。ロゼット型の種類は透き間なく葉が付いているものを選びましょう。なるべくよく日の当たるところで、水やりは土が乾いてから1、2日おいてから暖かい日の午前中に行います。
アエオニウム・黒法師(ベンケイソウ科) |
カランコエ「ファング」(ベンケイソウ科) |
パンジーなど冬花壇用の苗の植え付けは、初霜の降りる2週間前くらいまで済ませると、活着もよく、苗傷みが少ないものです。花壇で大きな模様を描く場合は、あらかじめ大雑把なデザインを組んでから、品種ごとにまとめ買いするのがよいでしょう。また、落葉樹下などのナチュラル花壇や、宿根草花壇の飾りに使うときは、箱売りの混合株もの(古くなった株が多いのですが)が割安です。
良苗は、茎のぐらぐらしない根張りの良い株。お店に長く置かれた株は、間伸びしたりアブラムシがついているものがありますので注意しましょう。入荷したての株を選ぶのが得策です。
近年人気が復活したフリルが入った |
キクの盛りの時期です。苗も出回り始めていますので、来年は大輪のキクを咲かせてみませんか。今の時期のキク苗は秋苗(秋挿し苗)といい、9月に挿し芽をして作られたものです。この苗を育てて、来年の5月に挿し芽(この挿し芽株に花を咲かせるのです)をする親株とするものです。
4.5〜5号の駄温鉢に1本植えが基本です。用土は赤玉土4+腐葉土5+くん炭(籾殻を蒸し焼きにしたもの)の混用土ですが、市販のキク用培養土でもよいでしょう。
鉢底に防虫網を敷き、排水用にゴロ土を2列ほど入れ、培養土を入れます。キク苗は大きい蕾は摘み取り(小さな蕾は残しておく)、根を3センチくらいに切りそろえて植えます。植える高さは、苗の根元が鉢の縁より1センチくらい低い程度です。根鉢の表面にもくん炭を1センチほど敷き、粒状の化成肥料を4、5グラムほどばら撒きます(根に当たらないよう土に混ぜてもよい)。最初から肥料を混ぜてあるタイプの市販の培養土の場合は、必要ありません。
植え終わったらたっぷりと水やりします。以後は、土が乾いてきて、葉がしおれ加減になってきたら水やりするようにします。4、5日は強い風の当たらない半日陰に置き、活着したら、よく日の当たる軒下に置きます。
福助仕立ての国華越山(厚物) |
霜が降りる頃になると、長く花を咲かせつづけてくれたコスモスやサルビア、マリーゴールドなどの秋花壇もおさめの時期。草姿も乱れてきていますので、「ご苦労様」とお礼の言葉をかけて整理しましょう。手で抜ける株は手で、コスモスなど根の張っているものはシャベルで掘り上げます。枯れ枝や古根を取り除いた後は、土を掘り返し、堆肥に苦土石灰などをすき込んでから平らにならします。コガネムシの幼虫や夜盗虫がいたら、つまんでビニール袋などに入れて捨てましょう。
色別に分けて植えたパンジーの回りを、草丈の低いクリサンセマム・ノースポールやディジー、ビオラで囲んだパンジー花壇は、失敗なく作れる冬花壇の定番です。ポイントは色を多くしすぎないこと。最低でも1色7、8株はまとめたいもの。配色は冬だけに暖色系の黄色(または赤)を中心にするのが無難です。黄色が引き立つように回りにピンクや薄い紫、白の株を添えればよいでしょう。株間は、最初はやや寂しいくらい(10センチほど)あけて植えると、春になって株が生長したときに慌てなくてすみます。植えてすぐに見ごたえを、という場合は、葉が触れ合わない程度に密に植え、春になって生長したら植え直します。
最近、庭のシンボルツリーに果樹類を選ばれる方が増えているようです。ウメやスモモ、モモ、リンゴ、アンズ、ナシ、柑橘類は花もきれいですし、木姿も風格がありますから、ぜひ庭に何本かは植えておきたいですね。これから早春が落葉果樹苗の植え付けの時期です。あなたも果樹栽培にチャレンジしましょう。暖地では秋冬植え(厳冬時期は除く)、寒冷地では春(早春)植えがよいでしょう(柑橘類など常緑果樹は春植えがよい)。
果樹類は日当たりを好むものですので、できるだけ日当たりの多いところを選びます。植え穴は、最低でも直径1メートル、深さ7、80センチは掘っておきましょう。植え穴はなるべく早めに用意し、有機物を混ぜておきます。
苗木は6、70センチに切り詰め、根をよく広げて、根のあいだに土がよく入るように植えつけます。植えつけた後は支柱を立ててからたっぷりと水やりします。さらに、土の表面に腐葉土などをマルチング(敷きわら)し、乾燥と寒さを防ぎます。なお、その後の水やりは、乾燥が続いて特に土が乾くとき以外は必要ありません。
秋も深まり、そろそろ初霜の心配な時期になりましたね。戸外で管理してきた非耐寒性の鉢物類には、保護が必要になります。低温に強いタイプの洋ラン類(シンビジウム、デンドロビウム、オンシジウムなど)、クンシラン、ノボタンなどの鉢物類なども、霜の降りる前に室内や軒下にとりこみましょう。
なお、室内は通風が悪く、ワタカイガラムシやアブラムシ、ハダニなどが大発生しがちですから、とり入れる前に、殺虫剤や殺ダニ剤を散布して退治しておきましょう。シンビジウムなど葉の付け根にカイガラムシなどが潜んでいることがありますので要注意。また、鉢の底のナメクジにも気をつけましょう。