日本園芸協会〜園芸情報サイト

季節の園芸作業

[8月の庭園仕事]

 梅雨が明けたとたんにじりじりと暑い夏がやってきました。外で作業をするには涼しい時間を選び、帽子をかぶって水分補給をしっかりして熱中症対策をしましょう。

【特集1】買い物情報

クミスクチン(Orthosiphon aristatus)

 アジア原産のシソ科の多年草。「ネコノヒゲ」という和名を持つように、雄しべと雌しべが長く伸びて上向きにぴんと反り返っている、おもしろい花がたくさんつきます。
 いったん花が咲き終わった後に切り戻しておくと、秋にまた開花します。暑さには強く、乾燥に弱いので、夏場は水をたっぷり与えます。


▲クミスクチン
茎葉は健康茶となります

▲ネコノヒゲとは
よく特徴を捉えたものです
クレロデンドルム・ウガンデンセ「ブルーウィング」(Clerodendrum ugandense)

 クマツヅラ科熱帯アフリカ原産の低木。青いグラデーションがかかったような色の、蝶のような形の小さな花が次々と咲き、かわいらしい風情です。暑さに強いのですが、過湿には注意して、日当たりの良い場所で育てます。鉢だけでなく、寄せ植えにも使えます。


▲クレロデンドルム
株周りに蝶が飛ぶように花が咲きます

▲雄しべと雌しべが蝶の
触覚のように見えます
スクテラリア・コスタリカナ (Scutellaria costaricana)

 コスタリカ原産のシソ科の低木です。カンガルーポーのような先がくるんとした唇形状の花と、黄色や赤の鮮やかな色合いが、夏らしく映え、一鉢でも存在感があります。鉢植えで管理します。日当たりを好みますが、夏の30℃以上になるとやや障害をおこしがちになりますので、風通しの良い明るい日陰などに置きます。


▲スクテラリア
夏らしい色み、ボリュームのある花序

▲スクテラリアアップ
筒状から先端が唇形状の花
プティロツス(プチロータス)(Ptilotus exaltatus)

 オーストラリア原産のヒユ科の多年草です。最近日本に出回るようになってきたものです。ブラシのような花は開花期間が長く、夏の高温乾燥にはよく耐えますが、多湿と冬の寒さに弱いので鉢植えで管理します。または同じオーストラリア植物での寄せ植えに使っても、よいアクセントになります。日当たりの良い場所で、水はけのよい土でやや乾燥気味に育てます。


▲プティロツス
チェシャ猫のしっぽのように
ふわふわしています

【特集2】季節の手入れポイント

花壇・ガーデニング

  • 花がらつみ

     咲き終わった花に種子ができないように、花がらをこまめに摘み取ります。コリウスは蕾が出てきたら、花を咲かせないで摘み取ります。

  • 剪定

    混みすぎたところや長く伸びて花が付かなくなった枝は、切り詰めて代わりの枝を出させます。サルビア、ダリアなどで、暑さで弱ってしまった株は、根元から15cmほどで剪定しておくと秋に再生します。

  • 追肥

    液肥(月に2回くらい)か、緩効性の固形肥料をひとつまみ追肥します。

  • 水やり

     トレニアやインパチェンスは水切れに弱いですから、花壇や庭に植えた場合も土の乾き具合を確かめ、雨が降らない場合は、2〜3日に1回くらいたっぷりと水やりしましょう。

  • 挿し芽

     間伸びした株は、挿し芽で作りなおしましょう。ポーチュラカやマツバボタン、アメリカンブルー、ニチニチソウは、枝を切って清潔な砂か赤玉土に挿せば、すぐに発根します。

花木・庭木

 ウメは枝が伸びていても、大きな剪定は我慢しましょう。特に茂りすぎたところの枝の間引きと、根元などから伸びた徒長枝の剪定(半分くらいに切りつめる)にとどめましょう。今の時期に枝を切りつめると、来年の花芽を切り落とすことになります。フジも伸びたつるは先を指でつまむ程度にします。この両種とも、冬に本格的な剪定をします。なお、ツバキではチャドクガの2回目の発生シーズンです。発生を見つけたら、スミチオン乳剤を散布します。

花鉢物・観葉植物

 夏の水やりは温度の高い時間帯は避け、夕方か早朝に行いましょう。うっかり水切れさせてしまって、夕方まで待てない場合は、鉢を日陰に移してからたっぷり水やりし、2〜3日半日陰のところで様子を見るようにします。根詰まりして水のしみこみの悪い鉢は、堅い箸などで鉢底近くまで突き刺し、水の入りをよくしておくとよいでしょう。なお、8月も後半になると、気温は高くても、植物の吸水は少なくなりますから、土の乾き具合を確かめて与えるようにしましょう。

家庭菜園・ハーブ

 夏野菜の収穫の適期です。肥切れさせないように追肥(月に2回ほど)をおこないましょう。ナスは8月の中旬くらいまでに枝の切り戻し(1/3〜2/3ほど)をします。8月の後半からは秋作の準備の時期になります。秋冬野菜の種子まきの目安は、ダイコン(8月下旬〜9月上旬)、ハクサイ(8月中旬〜9月上旬)、レタス(8月下旬〜9月上旬)、シュンギク(9月上旬〜10月上旬)、ホウレンソウ(9月上旬〜10月一杯)です。なお、早めに種子をまいておいたキャベツやブロッコリーは9月上旬に畑に植え付けます。

【特集3】夏に涼を呼ぶ水草の楽しみ方

 庭やベランダに、小さくても池を設けると、雰囲気が変わりますね。その中に、水草などを植えれば、ちょっとしたビオトープガーデンになります。

 本格的な池がなくても陶器の色合いに似せたプラスチック池が出回っています。これを利用するのもよいでしょう。

●植える植物の種類  *( )の中は鑑賞部位

湿地性の種類
ハンゲショウ(葉)、ミソハギ(花)、シラサギスゲ(花)、トクサ(茎)、
セキショウ(葉)
抽水性の種類
パピルス(葉)、フイリヨシ(葉)、ガマ(葉)、フトイ(葉)、オモダカ(葉と花)、
クワイ(葉)、チャワンバス(花と葉)、ポンテデリア(花と葉)
浮遊性の種類:
ボタンウキクサ(葉)、ホテイアオイ(葉と花)、スイレン(花)、コウホネ(葉)、
ウォーターポピー(花)
植え方

  植物は、直接池に植えるのではなく、一つの種類ずつ鉢に植えて、池に入れると管理が楽です。土は田土か荒木田土がよいのですが、なければ赤玉土でもよいでしょう(ただし、表面に小石を敷いておく)。それぞれ、腐葉土を2〜3割ほど混ぜて用います。花物以外は、締めて小さく育てる方が、風情がありますので、肥料は入れません。

鉢の置き方

 鉢の下にレンガを置いたり、高さの違う鉢を用いて、高低の変化をつけましょう。また、湿地性の種類は根元が水面からちょっと出るように、抽水性の種類は鉢の表面が水面から4〜5センチ、浮葉性の種類は水面から10センチほど下になるように配置します。

管理

  ボウフラの予防用に金魚やメダカを飼う場合は、水温が上がり過ぎないように注意しましょう。水が汚れたり藻が繁殖するようなら、2〜3週間に1回、半量くらいずつ水替えします。

【特集4】秋咲き球根の植えつけ

 秋咲き球根には個性的な種類が多く、また植え付けて短期間に花が咲くのもうれしいですね。今の時期に植えられる人気種を紹介します。

アマリリス・ベラドンナ

 大輪・芳香性の花で人気があります。開花時期は9月。球根は、大きくて傷がなく、持ってみて重たく感じられるものを選びます。遅くとも8月中旬頃までに植えつけておきましょう。なお、チッソ分の多い用土を嫌いますので、市販の培養土は禁物。川砂、赤玉土に腐葉土を2割くらい入れた用土がベストで、球根よりもやや大きい程度の小さめの鉢に植えるのがポイントです。やや寒さに弱いので、庭植えは東京以南で、寒風の当たらない南向きの建物脇の花壇などに。

リコリス類

 ヒガンバナの仲間です。開花時期8〜9月。なるべく早めに植えましょう(遅くても8月中旬までに)。植え方はアマリリス・ベラドンナと同じ要領でよいでしょう。秋に葉が出るタイプ(ヒガンバナ、ショウキラン、シロバナマンジュシャゲなど)と春に葉が出るタイプ(ナツズイセン、リコリス・スプレンゲリ)があり、前者は寒さに弱いものが多いので、関東以南では鉢植えにします。ヒガンバナは寒さには比較的耐えられますが、霜が強く降りるところでは落葉樹の下などに。

その他

ネリネ(ダイアモンドリリー)、サフラン、ステルンベルギア、コルチカムは8月いっぱいくらいまでに植えつければよいでしょう。

【特集5】夏の病害虫防除

 夏の猛暑や日照りで株が弱ってくると、病害虫の被害を受けやすくなります。病虫害が出たら早めに見つけて、被害が大きくならないように対処しましょう。

病害虫対策のポイント

 害虫は早期発見、早期駆除。病気は発生しないように丈夫に育てるのがポイントです。油粕などチッソ肥料のやりすぎは、株が軟弱に育ち被害を受けやすくなります。草や木も、繁りすぎたところは枝をすかしてやり、風通しよく育てれば、病害虫の発生も少なく、たとえ発生してもすぐにわかるので早めの対策が取れます。

うどんこ病

  樹木類や草花の葉にうどん粉がまぶされたようになる病気です。サルスベリなどに発生すると、花が咲かなくなります。発生の初期に見つけてベンレートなどの殺菌剤を散布しましょう。ハナミズキなどにも多く発生します。

毛虫や青虫など

 大型の虫は、早めに見つけて箸などでつまんでビニル袋にいれて処理すればよいでしょう。大量に発生したときや、ツバキやサザンカにチャドクガが出たときは、やはり農薬の散布が必要です。虫の体に掛かるようスミチオン乳剤などの殺虫剤を散布します。

アブラムシなど小型の害虫

 牛乳をスプレーで散布すれば退治できます。これは牛乳の脂肪分がアブラムシの体を被って窒息させたり、乾いて圧縮死させるものです。2〜3日後に潅水して牛乳分を洗い流しましょう。

ハダニ

 コーヒーの飲み残しをそのまま散布します。ハーブ類(バジル、チャイブ、トウガラシ、ニンニクなど)の煮出し液も効果があるようです。

【特集6】早めに済ませる台風対策

台風対策は早めに済ませておきましょう。

茂りすぎたところは枝抜きをする

 風が通り抜けるように、茂ったところは枝を間引いておきましょう。また、長く伸びすぎた枝は、切り詰めるようにします。

支柱を立てる

 今年植えたばかりの樹木や細長い苗木、根の少ない老木には支柱を立てます。また、長く伸びたマツの差し枝などは、折れると仕立て直しが困難ですから、ところどころに支えを立ててやりましょう。

鉢植えの対策

 棚など風の強く当たるところから下ろし、背のある植物を植えてある鉢は倒れないように横にしておきます。

台風後の手入れ

 台風は海から離れたところまで、潮風を運んできますので、台風の通った後に塩害対策をしましょう。葉の柔らかい樹木類には、頭からホースで水をかけて洗い流しておきます。また、樹木が風で倒れたときは、無理に起こさず、倒れた反対側を掘り起こし、折れた根を切り詰めて植えなおします。

県名 イベント名 期間・場所・連絡先
東京 ミキモト花蓮展 期間:7月22日〜8月3日
場所:東京都中央区・ミキモト本店
TEL:03-5550-5678
埼玉 花と緑の写真展 期間:7月25日〜8月2日
場所:埼玉県川口市・川口市安行領家
TEL:048-296-4021
岐阜 サマーガーデン 期間:7月3日〜9月13日
場所:岐阜県可児市・花フェスタ記念公園
TEL:0574-63-7373
癒しの植物展 期間:7月17日〜8月29日
場所:岐阜県可児市・花フェスタ記念公園
TEL:0574-63-7373
変化朝顔展 期間:8月頃
場所:岐阜県可児市・花フェスタ記念公園
TEL:0574-63-7373
愛知
石田流サマーオープンセミナー
「COP10開催記念 自然と環境によせて」
期間:8月4日
場所:愛知県名古屋市・青少年文化センター「アートピアホール」
TEL:052-781-2611
食虫植物展 期間:8月17日〜22日
場所:愛知県名古屋市・東山動植物園
TEL:052-782-2111
拓本展 花によせて 期間:8月24日〜29日
場所:愛知県名古屋市・東山動植物園
TEL:052-782-2111
フルーツとフラワーの押し花絵展 期間:8月31日〜9月12日
場所:愛知県名古屋市・東山動植物園
TEL:052-782-2111

サマーフェスティバル 期間:6月10日〜9月7日
場所:愛知県名古屋市・ランの館
TEL:052-243-0511
奈良 多武峯 
談山神社 談山の花會
期間:8月6日〜8日
場所:奈良県桜井市・談山神社
TEL:042-471-4022
大阪 市民協動による
ハンギングバスケット展
期間:7月24日〜8月22日
場所:大阪府大阪市・花と緑と自然の情報センター
TEL:06-6694-8788
兵庫 夏のインドアグリーンフェア 期間:6月19日〜8月13日
場所:兵庫県宝塚市・あいあいパーク
TEL:0797-82-3570
ブルーベリー&果樹フェア 期間:6月19日〜8月29日
場所:兵庫県宝塚市・あいあいパーク
TEL:0797-82-3570
不思議な食虫植物展 期間:7月2日〜9月28日
場所:兵庫県加西市・兵庫県立フラワーセンター
TEL:0790-47-1182
URL:http://www.flower-center.pref.hyogo.jp
バリフラワーショー 期間:7月17日〜9月5日
場所:兵庫県淡路市・淡路夢舞台温室「奇跡の星の植物館」
TEL:0799-74-1200
サマーフェスティバル2010 
バリカーニバル
期間:8月7日〜15日
場所:兵庫県淡路市・淡路夢舞台温室「奇跡の星の植物館」
TEL:0799-74-1200
植物スケッチ展 期間:7月31日〜8月31日
場所:兵庫県加西市・兵庫県立フラワーセンター
TEL:0790-47-1182
鹿児島 夏の全国洋らん逸品展 期間:6月11日〜8月31日
場所:徳島県美馬市・河野メリクロンあんみつ館
TEL:099-286-3184