日本園芸協会

園芸ファン通信 VOL.272 【7月号】

 長い梅雨が終わり、じりじりと焼けつくような暑さです。植物にも過酷な季節ですので、土の渇きに注意してあげましょう。ベランダ園芸の場合は、日射し避けによしずをかけたり、直接コンクリートの上に鉢を置かずに、スノコをはさんだり、ポットフィートをつけてあげるなど工夫しましょう。

★今号の記事一覧★

  1. 【特集1】買い物情報
  2. 【特集2】季節の手入れポイント
  3. 【特集3】夏に涼を呼ぶ水草の楽しみ方
  4. 【特集4】夏の病害虫防除
  5. 【特集5】早めに済ませる台風対策
  6. 【特集6】通信販売のご案内

【特集1】買い物情報

ツルハナナス (Solanum jasminoides)

 南アメリカ原産の、ナス科の半常緑のつる植物です。湿度があれば四季を通してよく咲きます。花は星型でかわいらしく、花壇や寄せ植えにも使えます。また、トレリスやフェンスに絡めても利用できます。日当りがよく、水はけのよい土を好みます。水やりは、土が乾いたらたっぷり与えます。

ツルハナナス
▲ツルハナナス
つるが元気によく伸びます。
ツルハナナス花
▲ツルハナナスの花
ナス科らしい星形の花です。

●ニコチアナ・ムタビリス (Nicotiana mutabilis)

 ブラジル原産のナス科の多年草(日本では1年草扱い)の園芸品種で、花を観賞して楽しみます。暖かい地域の原産なので、夏から秋まで花を咲かせて冬は枯れます。背が高く育ちますので、花壇にボリュームを持たせたいときなどに活用できます。少し葉がべとべとしているので、扱いに注意が必要です。 日当りがよく、水はけのよい土を好みます。水やりは、土が乾いたらたっぷり与えます。

ニコチアナ・ムタビリス
▲ニコチアナ・ムタビリス
背が高く伸びます。
カンパニュラ‘ニコチアナ・ムタビリス花
▲ニコチアナ・ムタビリスの花
白〜濃桃色の花をつけます。

トウゴマ(Ricinus communis)

 熱帯や暖帯に広く分布するトウダイグサ科の一年草です。地植えにすると1〜2mになり、鉢で育てるとコンパクトに育てられます。下写真は‘ブラックナイト’、濃い赤銅色のモミジ葉が特徴的で、花壇や寄せ植えのワンポイントになります。 日当りがよく、水はけのよい土を好みます。水やりは、土が乾いたらたっぷり与えます。

トウゴマ
▲トウゴマ‘ブラックナイト’
モミジのような色と形ですが、樹木ではなく一年草です。
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【特集2】季節の手入れポイント

花壇・ガーデニング
・花がらつみ
 咲き終わった花に種子ができないように、花がらをこまめに摘み取ります。コリウスは蕾が出てきたら、花を咲かせないで摘み取ります。
・剪定
 混みすぎたところや長く伸びて花が付かなくなった枝は、切り詰めて代わりの枝を出させます。サルビア、ダリアなどで、暑さで弱ってしまった株は、根元から15cmほどで剪定しておくと秋に再生します。
・追肥
 液肥(月に2回くらい)か、緩効性の固形肥料をひとつまみ追肥します。
・水やり 
 トレニアやインパチェンスは水切れに弱いですから、花壇や庭に植えた場合も土の乾き具合を確かめ、雨が降らない場合は、2日に1回くらいたっぷりと水やりしましょう。
・挿し芽 
 間伸びした株は、挿し芽で作りなおしましょう。ポーチュラカやマツバボタン、アメリカンブルー、ニチニチソウは、枝を切って清潔な砂か赤玉土に挿せば、すぐに発根します。
<花木・庭木>
 ウメは枝が伸びていても、大きな剪定は我慢しましょう。特に茂りすぎたところの枝の間引きと、根元などから伸びた徒長枝の剪定(半分くらいに切りつめる)にとどめましょう。今の時期に枝を切りつめると、来年の花芽を切り落とすことになります。フジも伸びたつるは先を指でつまむ程度にします。この両種とも、冬に本格的な剪定をします。なお、ツバキではチャドクガの2回目の発生シーズンです。発生を見つけたら、スミチオン乳剤を散布します。
花鉢物・観葉植物
 夏の水やりは温度の高い時間帯は避け、夕方か早朝に行いましょう。うっかり水切れさせてしまって、夕方まで待てない場合は、鉢を日陰に移してからたっぷり水やりし、2〜3日半日陰のところで様子を見るようにします。根詰まりして水のしみこみの悪い鉢は、堅い箸などで鉢底近くまで突き刺し、水の入りをよくしておくとよいでしょう。なお、8月も後半になると、気温は高くても、植物の吸水は少なくなりますから、土の乾き具合を確かめて与えるようにします。
家庭菜園・ハーブ
 夏野菜の収穫の適期です。肥切れさせないように追肥(月に2回ほど)を行いましょう。ナスは8月の中旬くらいまでに枝の切り戻し(1/3〜2/3ほど)をします。8月の後半からは秋作の準備の時期になります。秋冬野菜の種子まきの目安は、ダイコン(8月下旬〜9月上旬)、ハクサイ(8月中旬〜9月上旬)、レタス(8月下旬〜9月上旬)、シュンギク(9月上旬〜10月上旬)、ホウレンソウ(9月上旬〜10月一杯)です。なお、早めに種子をまいておいたキャベツやブロッコリーは9月上旬に畑に植え付けます。
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【特集3】夏に涼を呼ぶ水草の楽しみ方

 庭やベランダに、小さくても池を設けると、雰囲気が変わりますね。その中に、水草などを植えれば、ちょっとしたビオトープガーデンになります。

 本格的な池がなくても陶器の色合いに似せたプラスチック池が出回っています。これを利用するのもよいでしょう。

植える植物の種類  ※( )の中は鑑賞部位 
・湿地性の種類 ハンゲショウ(葉)、ミソハギ(花)、シラサギスゲ(花)、トクサ(茎)、セキショウ(葉)
・抽水性の種類 パピルス(葉)、フイリヨシ(葉)、ガマ(葉)、フトイ(葉)、オモダカ(葉と花)、クワイ(葉)、チャワンバス(花と葉)、ポンテデリア(花と葉)
・浮遊性の種類 ボタンウキクサ(葉)、ホテイアオイ(葉と花)、スイレン(花)、コウホネ(葉)、ウォーターポピー(花)

植え方 植物は、直接池に植えるのではなく、一つの種類ずつ鉢に植えて、池に入れると管理が楽です。土は田土か荒木田土がよいのですが、なければ赤玉土でもよいでしょう(ただし、表面に小石を敷いておく)。それぞれ、腐葉土を2〜3割ほど混ぜて用います。花物以外は、締めて小さく育てる方が、風情がありますので、肥料は入れません。

鉢の置き方 鉢の下にレンガを置いたり、高さの違う鉢を用いて、高低の変化をつけましょう。また、湿地性の種類は根元が水面からちょっと出るように、抽水性の種類は鉢の表面が水面から4〜5センチ、浮葉性の種類は水面から10センチほど下になるように配置します。

●管理 ボウフラの予防用に金魚やメダカを飼う場合は、水温が上がり過ぎないように注意しましょう。水が汚れたり藻が繁殖するようなら、2〜3週間に1回、半量くらいずつ水替えします。

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【特集4】夏の病害虫防除

 夏の猛暑や日照りで株が弱ってくると、病害虫の被害を受けやすくなります。病虫害が出たら早めに見つけて、被害が大きくならないように対処しましょう。

●病害虫対策のポイント 害虫は早期発見、早期駆除。病気は発生しないように丈夫に育てるのがポイントです。油粕などチッソ肥料のやりすぎは、株が軟弱に育ち被害を受けやすくなります。草や木も、茂りすぎたところは枝をすかしてやり、風通しよく育てれば、病害虫の発生も少なく、たとえ発生してもすぐにわかるので早めの対策が取れます。

●うどんこ病 樹木類や草花の葉にうどん粉がまぶされたようになる病気です。サルスベリなどに発生すると、花が咲かなくなります。ハナミズキなどにも多く発生します。発生の初期に見つけてモレスタンなどの殺菌剤を散布しましょう。

●毛虫や青虫など 大型の虫は、早めに見つけて箸などでつまんでビニル袋にいれて処理すればよいでしょう。大量に発生したときや、ツバキやサザンカにチャドクガが出たときは、やはり農薬の散布が必要です。虫の体に掛かるようスミチオン乳剤などの殺虫剤を散布します。

●アブラムシなど小型の害虫 牛乳をスプレーで散布すれば退治できます。これは牛乳の脂肪分がアブラムシの体を被って窒息させたり、乾いて圧縮死させるものです。2〜3日後に潅水して牛乳分を洗い流しましょう。

●ハダニ コーヒーの飲み残しをそのまま散布します。ハーブ類(バジル、チャイブ、トウガラシ、ニンニクなど)の煮出し液も効果があるようです。

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【特集5】早めに済ませる台風対策

 台風対策は早めに済ませておきましょう。

●茂りすぎたところは枝抜きをする
 風が通り抜けるように、茂ったところは枝を間引いておきましょう。また、長く伸びすぎた枝は、切り詰めるようにします。
●支柱を立てる
 今年植えたばかりの樹木や細長い苗木、根の少ない老木には支柱を立てます。また、長く伸びたマツの差し枝などは、折れると仕立て直しが困難ですから、ところどころに支えを立ててやりましょう。
●鉢植えの対策
 棚など風の強く当たるところから下ろし、背のある植物を植えてある鉢は倒れないように横にしておきます。
●台風後の手入れ
 台風は海から離れたところまで、潮風を運んできますので、台風の通った後に塩害対策をしましょう。葉の柔らかい樹木類には、頭からホースで水をかけて洗い流しておきます。また、樹木が風で倒れたときは、無理に起こさず、倒れた反対側を掘り起こし、折れた根を切り詰めて植えなおします。

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【特集6】通信販売のご案内

 日本園芸協会代理部(日本カタログショッピング)では、庭やベランダでの園芸作業がはかどる園芸資材をご紹介しています。ぜひご利用ください。


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注文先:日本園芸協会 代理部(日本カタログショッピング)
TEL:0120-22-1128
FAX:0120-161-418
E-mail:custom@catalog-shopping.co.jp      

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