日本園芸協会季節の園芸作業
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[11月の庭園作業]

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◆晩秋のガーデニング◆

 木枯らし1号も吹いたようで、日ごとに冬型の気圧配置が強まっているような気がします。紅葉前線もだいぶ南下し、街路樹なども色づき始めました。そろそろ庭園・ガーデニングも冬の用意が必要です。

クリスマスベゴニア
クリスマスベゴニア

◆買い物情報◆
  冬の室内を飾ってくれるシクラメン、クリスマスカクタス(シャコバサボテン、デンマークカクタス)、ポインセチア、クリスマスベゴニア(ベゴニア・ヒエマリス)、リーガースベゴニア、カランコエなどが出まわる季節になりました。好みの種類を選んで、部屋に飾れば、暖かい雰囲気を演出してくれるでしょう。この時期の花は、なぜか白〜ピンク〜赤〜紫のラインが多いですから、黄色系(リーガースベゴニアかカランコエの品種)を混ぜると引き立ちます。
 シクラメンは葉張りがしっかりし(葉を手のひらで押さえて、力強い感じのするもの)、次ぎの蕾が葉の下までまんべんなくついているもの、シャコバサボテンは葉色が濃くて茎ががっちりとして、花や蕾が枝先に片寄りなくつき、また蕾がある程度大きく(3センチくらい以上)なっているものを選ぶとよいでしょう。なお、これは鉢物全般にいえることですが、お店に長く置いてあったもの、店外の吹きっさらしの場所に置いてあったものなどは、傷んでいることがありますので注意しましょう。なるべく、入荷したてのものを選ぶのがベストです。
 また、チューリップやクロッカスなどの秋植え球根を植えていない方は、今が最後のチャンス。値段もシーズン初めの半分くらいと安くなっていますので、皮に傷や病斑がなく、重くずっしりと感じられるものを選んですぐに植えつけましょう。

クロッカス
クロッカス

◆秋花壇の始末と冬花壇の植えつけ◆
 霜が降りる頃になると、長く花を咲かせつづけてくれたコスモスやサルビア、マリーゴールドなどの秋花壇もおさめの時期。草姿も乱れてきていますので、「ご苦労様」とお礼の言葉をかけて整理しましょう。手で抜ける株は手で、コスモスなど根の張っているものはシャベルで掘り上げます。枯れ枝や古根を取り除いた後は、土を掘り返し、堆肥に苦土石灰などをすき込んでから平にならします。コガネムシの幼虫や夜盗虫がいたら、つまんでビニール袋などに入れて捨てましょう。
 冬〜春花壇は、品種の豊富なパンジー・ビオラをメインにするのが見栄えがします。パンジーは、花色が単色のもの、黒目が入ったもの、パステルカラーのもの、花の大きさも大輪から中小輪のものまでいろいろな種類が出回っています。品種によって草丈も色々ですから、花の好みだけでなく、できるだけ草丈の揃ったもので花壇を組みましょう。小輪のビオラも花色が多くなりました。草姿も小型ですからパンジーとは分け、ビオラだけで組むのがベストです。
 良苗は、茎のぐらぐらしない根張りの良い株。お店に長く置かれた株は、間延びしたりアブラムシがついているものもありますので注意しましょう。パンジーは花色ごとにまとめて使うものですので、あらかじめ大雑把なデザインを組んでから、品種ごとにまとめて買いましょう。また、落葉樹下などのナチュラル花壇や、宿根草花壇の飾りに使うときは、1箱売りの安くなった混合株もの(古くなった株が多いのですが)が割安です。

<パンジー花壇>
 色別に分けて植えたパンジーの回りを、草丈の低いクリサンセマム・ノースポールやディジー、ビオラで囲んだパンジー花壇は、失敗なく作れる冬花壇の定番です。ポイントは色を多くしすぎないこと。最低でも1色7、8株はまとめたいもの。配色は冬だけに暖色系の黄色(または赤)を中心にするのが無難です。黄色が引き立つように回りにピンクや薄い紫、白の株を添えればよいでしょう。株間は、最初はやや寂しいくらい(10センチほど)あけて植えると、春になって株が生長したときに慌てなくてすみます。植えてすぐに見ごたえを、という場合は、葉が触れ合わない程度に密に植え、春になって生長したら植え直します。

<パンジー・ハボタン花壇>
 ハボタンは、もともとはキャベツの仲間で日本で園芸化された植物です。古くから冬花壇で使われてきましたが、最近は下葉を落として細長く仕立てたスタンダード風のものや、葉張り10〜15センチほどの小株ものが人気です。配植はスタンダード風のものを中心にして回りをパンジーで囲むか、逆にパンジーを中心に回りを小株もので囲むかになります。
  ハボタンは白〜緑〜薄赤〜薄紫とパステルカラー調ですから、パンジーも同じパステルカラーの種類を選ぶとよいでしょう。

◆種子蒔き◆
 そろそろ今年最後の種子まきのときです。スイートピー、ソラマメ、エンドウ、ホウレンソウ、コマツナは11月中旬頃までにまきましょう。
  スイートピー、ソラマメ、エンドウはマメ科で移植を嫌いますので、直まき(畑や花壇に直接まく)かポットに蒔いて、本葉が2、3枚になったら定植します。
  ホウレンソウ、コマツナは直まきし、霜が降りる頃にはビニールでトンネルを作ってやります。


◆鉢物のとり入れ◆
 夏の間、外で育てていた観葉植物、洋ラン類、クンシラン、ノボタンなど寒さに弱い鉢物類などは、霜の下りる前に室内や軒下にとりこみましょう。でも、その前に薬剤散布を。
 室内は通風が悪く、ワタカイガラムシやアブラムシ、ハダニなどが大発生しがちですから、とり入れる前に、殺虫剤、殺ダニ剤を散布しておきましょう。シンビジウムなど葉の付け根にカイガラムシなどが潜んでいることがありますので要注意。また、鉢の底のナメクジにも気をつけましょう。

 一口メモ・冬のハーブ'チャービル'
 チャービル(セリ科)はフランス語でセルフィーユという、葉を利用するハーブで、繊細な香りからスープやドレッシングに人気があります。暑さに弱く、普通は、露地で春(3〜5月)か秋(9〜10月)に種子をまいて育てる1年草です。しかし、半日陰で育てられ、1月半くらいで生長しますので、室内の窓辺を利用すれば冬でも育てられます。今回は、この方法を紹介します。

<チャービルの栽培>……冬の室内栽培

 やや小さめのプランターに市販のハーブ培養土(普通の培養土でもよい)を入れ、水やりしてから、種子をぱらぱらと直まきします。ふく土は種子が隠れる程度。置き場所は窓辺の明るい半日陰。直射日光が当らないようにしてください。10日ほどで発芽しますが、発芽まで乾かないように時々、細かいジョウロで水やりするかスプレーで霧をかけてください。芽が出たら混みすぎたところを間引きし、本葉が2、3枚になったら、2週間に1回くらい薄い液肥をあたえ、15〜20センチの株間に育てます。チャービルは乾燥を嫌いますので、土が乾きかけたら水をやりましょう。室内は乾燥しがちですので、時々、霧をかけてやるのも忘れずに。
 本葉が7、8枚になったら、そろそろ葉が収穫できます(間引き苗も使えます)。ただ、上がってきた花芽を咲かせてしまうと株が枯れてしまうので要注意。花芽はすぐに摘み取るのが長持ちさせるポイントです。また、1か月間隔くらいで随時、種子を蒔いていけば、夏前まで楽しめます。
 チャービルの種子は、大きな園芸店、ハーブショップで売っているはずです。お試しください。


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