日本園芸協会季節の園芸作業
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[12月の庭園作業]

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◆晩秋のガーデニング◆

 今年は例年よりも寒くなるのが早いようで、北日本では本格的な雪化粧のようです。東京近辺でも、郊外ではすでに霜が降りたり氷が張ったところも出ています。また、空気も乾燥し風邪がはやりだしているようですので、お体にはお気をつけくださいませ。

◆買い物情報◆

 室内用の鉢物類が豊富に出回ってきました。値段も手ごろになっていますから、まだ購入されていない方は早めに入手するとよいでしょう。

<お店の選びかた>

 鉢物の入手は、冬に限らず商品の回転の早いショップで購入するのがよいですね。お店に長く置いてあったもの、店外の吹きっさらしの場所に置いてあったものなどは、傷んでいることがありますので注意しましょう。なるべく、入荷したてのものを選ぶのがベストです。

<鉢選びのポイント>

シクラメン
クリスマスベゴニア
黄色系のシクラメン
“キャンディライト”
シャコバサボテン
クリスマスベゴニア
幅広のフリンジ弁に
絞りが入る「リボン」
 今年は黄花系とフリンジ系の品種が注目されているようです。葉張りがしっかりし(葉を手のひらで押さえて、力強い感じのするもの)、次の蕾が葉の下までまんべんなくついているものを選びましょう。
 葉色が濃くて茎ががっちりとし、花や蕾が枝先に片寄りなくつき、蕾がある程度大きく(3センチくらい以上)なっているもの。落下防止の薬剤散布された鉢が無難です。
ポインセチア
クリスマスベゴニア
ポインセチアは水の
やりすぎに注意
シンビジウム
 色の付いた葉(包葉)が生き生きとし、縮れたり傷のついていないもの。根元まで緑の下葉がしっかりと付いているものを選びます。
 花茎が太くて、上のほうの蕾まで膨らんでいるものを選ぶとよいでしょう。シンビジウムは花保ちがよいので、花が咲きだしているものでも問題ありません。

 そのほか、初恋草(オーストラリア原産、クサトベラ科)やアッサムニオイザクラ(ヒマラヤ地方原産、アカネ科)も今頃多くなる鉢物です。ともによく日に当て、鉢の多湿に注意します。

クリスマスベゴニア
初恋草は日当たりで
やや乾かし気味に
クリスマスベゴニア
アッサムニオイザクラは花が
終わったらすぐ切り戻す

<花鉢物の管理方法>

 花鉢物はなるべく、よく日の当るところに置くのが原則。昼間より夜間がやや低温(10度くらいを維持)になるところがベストです。暖房の風の当るところはよくありません。特にシクラメン、プリムラ類、シンビジウムは夜間の温度が高いとよくなく(15度以上にしない)、株が早く衰えることがありますから、注意しましょう。ポインセチアでは水のやりすぎによる根腐れに注意しましょう。水やりは土の表面が乾いてきたらたっぷりと与え、鉢皿には水をためないようにします。アッサムニオイザクラは短日性で、花が終わってすぐに切り戻すと、次の花が上がってきます。

<正月用の鉢物>

 月も後半になると、正月用の松竹梅の寄せ植えや、フクジュソウ、ユキワリソウの鉢植えが出回ります。乾燥した室内に置くと、蕾がしなびて、花が開かなくなることがあるので、朝晩、霧を吹いて湿度を与えるようにします。

庭木・花木の手入れ

マツとヒバ類の手入れ

 マツ類のもみ上げは9月から3月まで行えますが、正月をすっきりとした姿で迎えるためには、今の時期までに行いたいものです。ヒバ類も、やはり今の時期が手入れの好期です。

<マツのもみ上げの方法>

松のもみ上げ
  1. 込みすぎた部分の枝や枯れ枝をはさみで切り落として樹形を整える
  2. 枝先の古い葉(去年でた葉)を手でむしりとってすっきりさせる
    • クロマツは下に垂れている古葉を全て取る(横向き以上の葉を残す)
    • アカマツは垂れ葉を少し残してしなやかな感じ
    • ゴヨウマツは古葉も多少残して葉群をこんもりさせる

このもみ上げは、手袋をして行うと手にヤニがつかないですみます。はさみで葉先を切るのは禁物です。


<ヒバ類の手入れの方法>

  1. 葉のかたまりごと掌ではさんで軽くもみ、古葉をおとす
  2. 長く伸びた枝、垂れすぎた枝や立ち枝をはさみで切り取る
  3. 葉先を丸い感じやイチョウ形に整える

面倒だからといって、葉先をばっさりとはさみで刈りこむのはやめましょう。葉先が赤茶けて見苦しくなります。


<花木の剪定>

梅の剪定
ウメ
 この時期になると、丸い蕾がわかるようになります。長い枝は蕾の位置まで切り戻し、込みすぎたところの枝を抜き、株全体にまんべんなく蕾が残るように枝を配置します。

アジサイの剪定
アジサイ
 秋に花芽分化したアジサイも、このころになると蕾が分かります。丸く太った芽が花芽ですから、この芽の上で枝を切り詰めます。

ハギ
 落葉後に、根際10センチほど上で、茎を刈り取ります。
 

<カエデの手入れ>

 カエデは自然樹形で仕立てますので、枝はあまり切りません。姿を乱す枝や徒長枝、込みすぎたところの枝を切る程度です。樹液の流動が早いので、枝抜きは年内、早めに行います。太い枝を切るときは、根元から切り落とし、切り口にはユゴーザイなどの保護剤を塗ります。

鉢物のとり入れ

 寒さに弱い植物は霜の降りる前に室内や軒下に取り込みましょう。

 寒さに弱い観葉植物、洋ラン類は早めに、室内に取り込み、クジャクサボテン、ゲッカビジン、クンシラン、ノボタンなどは軒下に移動しておき、霜が降りるころになったら室内に移します。

なお、室内は通風が悪く、ワタカイガラムシやアブラムシ、ハダニなどが大発生しがちですから、とり入れる前に、殺虫剤、殺ダニ剤を散布しておきましょう。シンビジウムなど葉の付け根にカイガラムシなどが潜んでいることがありますので要注意。また、鉢の底のナメクジにも気をつけましょう。


シクラメンを中心にした寄せ植え

 霜の降りない地方や、屋根のあるベランダがあるならば、シクラメンの寄せ植えを作りましょう。用いるシクラメンは耐寒性の強い中小輪系。最近出まわってきたガーデンシクラメンは耐寒性が強いのですが、やや開花期が遅いので、なるべく蕾の多く上がった株を選びます。

  1. 植物材料
    • 今回用意したのは、中輪のシクラメン(品種パピヨン)に白黄に黒目のパンジー3株、レモンオレンジのパンジー3株、小株のハボタン(なるべくタケの低いもの)6株です。
  2. 容器と用土
    • 容器はやや大きめのプラスチックポットに市販の培養土。まず、底穴の部分に排水を計る大粒の軽石を入れてから、軽く用土を入れ貝石灰と苦土石灰をまぜ、用土の酸性を緩和します。
  3. 植え方の手順
    • 一番奥にメインのシクラメンを配します。植える深さは、最終的に土を入れたときに、シクラメンの球根が土の上に出るように。少し土を入れてからパンジーを両サイドに入れます。軽く根鉢を崩し、シクラメン、パンジーの間に丁寧に土を入れて行きます。背の低いハボタンは一番手前。パンジーよりもやや低くなるように植えましょう。多少深植えになってもかまいません。最後に水さしで丁寧に水を与えます。
  4. 管理
    • 中輪のシクラメンは寒さには強くありませんので、霜が当らないテラスの日溜りか、室内の日当たりのよいところに置きます。戸外に置く場合は風を当てないようにします。室内に置く場合は、あまり高温になるところはよくありません。風通りのよい低温(6、7℃)の所を選んでください。日当たりが悪いとなお、パンジーが徒長しやすく、アブラムシが発生しがちですから注意しましょう。
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