日本園芸協会季節の園芸作業
ENJOY!

[夏003]

■前回の「季節の園芸作業」を読む■ | ■最新の「季節の園芸作業」を読む■

夏の終わりのガーデニング

 お盆も過ぎましたがまだまだ残暑が厳しく、秋の気配はまだ感じられない時期です。特に今年の夏は暑さが厳しく、夏負けでへばっている方もおいでではないでしょうか。植物たちも暑さで弱っているはずです。気をつけてあげましょう。

◆買い物情報◆
 ポットマム、リンドウ、シュウメイギク、エゾギク(アスター)、カランコエ、シュウカイドウ、ガーリックバインなど、秋を感じさせてくれる鉢物が出回るようになりました。これらの鉢物は蕾数が多く、花首のしっかりしているものが良品です。下葉が黄ばんでいるものは、店頭で一度水切れさせた可能性があります。目に見えないダメージが残っていることが多いので避けたほうが無難です。夏の名残のフヨウやムクゲ、ブーゲンビレア、ランタナなどの花木類で、売れ残りで安くなっているものがあればお買い得です。まだ、しばらくは咲き続けてくれるはずです。ちょっと気をつけたいのはベゴニアの仲間。リーガースベゴニアは短日性(夜が長いと花をつける)ですので、これから冬が盛り。それに対し球根ベゴニアは長日性(昼が長いと蕾を付ける)があるものが多く、あまり秋遅くなってから入手すると、すぐに休眠に入る時期がきてあまり楽しめません。注意しましょう。

リンドウの鉢物
リンドウ
リンドウの鉢物も早めに出回るようになりました。
エゾギク
エゾギク
エゾギクは秋の草花の代表のひとつ。
シュウカイドウ
シュウカイドウ
風情のあるシュウカイドウはベゴニア類では最も耐寒性が強いもの。
リーガース・ベゴニア リーガース・ベゴニア
短日性のリーガース・ベゴニア。

◆秋咲き球根の植えつけ2◆
コルチカム
植えてすぐに花の咲くコルチカム(庭植えにしたもの)
 リコリス類にコルチカムやサフラン、ネリネなど秋咲きの球根類がショップをにぎわすようになりました。コルチカムなどは植えつけなくても、机の上でそのまま花が咲いてくれますが、何年も花を楽しむには、やはり鉢かプランター、庭に植えつけてやりましょう。なるべく早めに入手して、早めに植えつけるのがベストです。8月中には植えつけておきましょう。用土は市販の培養土(ネリネはチッソ分の多い用土を嫌うので川砂、赤玉土に腐葉土を2割くらい入れたもの)でよく、庭に植える場合は冬場に日の当る背の高い落葉樹の下とか、南向きの明るい花壇。寒風の当らないところを選びます。
◆夏花壇の手入れ◆
夏花壇の残りは枝を整理してプランターに植える
夏花壇の残りは枝を整理してプランターに植える
 今年の夏は暑さが厳しかったのですが、適度に夕立があったりして夏花壇は意外と保ったところが多かったようです。このまま、秋まで楽しんでもよいのですが、傷んでしまった花壇などは、この際に整理しましょう。傷んだ株は思いきって引き抜き、土を掘り返し、堆肥に苦土石灰などをすきこんでから均します。このとき、コガネムシの幼虫や夜盗虫が見つかったらそのままにせず、つまんでビニール袋などに入れて始末しましょう。また、まだ勢いのよい株があったら、枝を整理して姿を整え、種類や花色別にプランターなどに植え替えましょう。サルビアやマリーゴールド、ペチュニア、ジニアなどは、秋遅くまで咲き続けてくれます。
 それほど傷んでいない花壇では、折れたり枯れた枝を取り除き、根元の土が流れてしまったものは土寄せしておけばよいでしょう。それぞれ緩効性の固形肥料を1株あたり一つまみほど施しておきます。
◆パンジーの種子蒔き◆
 そろそろ、冷蔵したパンジーを取りだし、種子を蒔く時期ですね。蒔き床はピートバンか平鉢(市販の小粒の種まき用土)、種子が重ならないようにばら蒔きし、種子がかくれる程度、ごく薄く覆土をします。涼しい半日陰の場所に置けば、1週間か10日で発芽するはずです。発芽まで、水を切らさないように注意し、平鉢の場合は腰水にしておくとよいでしょう。発芽して、本葉が1枚になったら移植します。
パンジーの種子は小皿で湿らせて冷蔵しておく 鉢に蒔いたら、発芽まで腰水
パンジーの種子は小皿で湿らせて冷蔵しておく 鉢に蒔いたら、発芽まで腰水

病害虫の防除

img01
トウガラシの煎汁を
小型のアオムシの防除に
 暑さで弱った株は、病害虫もつきやすいもの。早めに見つけて、被害が大きくならないように対処しましょう。害虫は早めに見つけて、早期駆除。病気は発生しないように丈夫に育てるのが大切で、油粕などチッソ肥料のやりすぎは、軟弱に育つ原因になりますので避けましょう。
 草や木も、繁りすぎたところは枝をすかしてやり、風通しよく育てれば、病害虫の発生も少なく、たとえ発生してもすぐにわかるので早めの対策が取れます。毛虫や青虫などの大型の虫は、早めに見つけて箸などでつまんでビニール袋にいれて処理すればよいでしょう。大量に発生したときや、ツバキやサザンカにチャドクガが出たときは、やはり農薬の散布が必要です。虫の体に掛かるようスミチオン乳剤を散布します。アブラムシは、牛乳を生のままスプレーで散布すれば退治できます。これは牛乳の脂肪分がアブラムシの体を被って窒息させたり、圧縮死させるものです。2、3日後に頭から、潅水して牛乳分を洗い流しましょう。ハダニにはコーヒーの飲み残しがききますし、ハーブ類(バジル、チャイブ、トウガラシ、ニンニクなど)の煮出し液もいろいろ効果があるようで、防虫のほか、うどんこ病の予防によいといわれます。
 また、最近話題になっているのが木材を燃やしたときに出る煙の成分を集めた「木酢液」。草花の体質改善や病気の予防に効果があると、無農薬栽培を目指す菜園やハーブ作りの方に好評です。スプレー式のものも出ていますので使いやすいですね。草花類のうどんこ病にも効果があるようです。いずれにしろ、病虫害対策は、早め早め発生を見つけて対策をとるのが大切。こまめに庭に出かけましょう。

■前回の「季節の園芸作業」を読む■ | ■最新の「季節の園芸作業」を読む■
●ガーデニングカタログ(通信販売)へ | ●ガーデニング講座(通信教育)へ

HOMEへ