日本園芸協会季節の園芸作業
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[夏のガーデニング]

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 高温多湿の日本の夏は、熱帯なみの気候です。特に今年は、北九州などの日本海側を除けば空梅雨気味で、暑くなるのも異常に早かったですね。梅雨明けも、普通ならば九州、四国と西から順に明けるのですが、今年は関東甲信越地方がトップ(沖縄地方は別)で、しかも例年よりも9日早いというおかしな陽気です。長く厳しい夏になりそうですね。
 暑さが厳しくなるにつれ、庭の草花で暑さに負けてくる株がでてきます。弱った株は病害虫の発生も多くなりますので、こまめに見て回って、早めに見つけて対策を取るようにしましょう。

◆買い物情報◆

 ムクゲやフヨウ、ハイビスカス、サルスベリ、キョウチクトウ、アベリアなど夏の盛りに咲き続けてくれる花は貴重ですね。こうした鉢物を求めるときは、根元のしっかりしてぐらつかない株を選びましょう。底穴から根が出てきているものは、鉢にびっちりと根が回っていますから、そっと鉢から抜き、一回り大きな鉢に植えなおすと長持ちします。また、長期間咲きつづけるものですから、肥料も必要です。月に1回、マグァンプK(小粒タイプ)など緩効性の固形肥料を一つまみあたえます。
 この時期は、ショップの植物も傷みやすいもの。お店に長くおかれた株は弱っているものがありますので注意しましょう。

小株で花の咲く1才サルスベリ
小株で花の咲く1才サルスベリ
艶やかなフヨウの花
艶やかなフヨウの花

葉がない姿で大輪の花を咲かせるアマリリス・ベラドンナ
葉がない姿で大輪の花を咲かせるアマリリス・ベラドンナ
◆秋咲き球根の植えつけ1◆

 最近、秋咲き球根の人気が高くなっているようです。中でも人気は、秋早くに大輪で香りがよく瀟洒な花を咲かせてくれるアマリリス・ベラドンナ。大きくて傷がなく、持ってみて重たく感じられる球根を選び、遅くとも8月中旬頃までに植えつけておきましょう。
  なお、チッソ分の多い用土を嫌いますので、市販の培養土は禁物。川砂、赤玉土に腐葉土を2割くらい入れた用土がベストです。球根類よりもやや大きい程度の小さめの鉢に植えるのがポイントです。庭植えならば、寒風の当らない南向きの建物脇の花壇などが適します(東京より南の地方)。
 リコリス類(ヒガンバナの仲間)も同じ要領で植えられます。白花ヒガンバナ類を除いて、より寒さに強い種類が多いので、芝庭などにもお勧めです。


サフィニアをメーンとしたハンギング。適時に枝を切り詰めるようにする
サフィニアをメーンとしたハンギング。適時に枝を切り詰めるようにする
◆夏の草花の手入れ◆

 ポーチュラカやバーべナ類(花手毬など)、サフィニア、ジニア類、ニチニチソウなど長く咲きつづけてくれる夏の花壇やハンギングの花。長く咲かせるには、日頃の手入れが大切。花がらはこまめに摘み取り、混みすぎたところは枝を剪定し、月に2回くらい液肥を与えましょう。サルビアなどで、暑さに弱ってしまった株は、根元から15センチほどで剪定しておくと秋に再生します。また、ポーチュラカやマツバボタン、バーベナ、ニチニチソウは、枝を切って清潔な砂か赤玉土に挿せば、すぐに発根します。間延びしてしまった株は、挿し芽で作りなおしましょう。
 なお、トレニアやインパチエンスは水切れに弱いですから、花壇や庭に植えた場合も土の乾き具合を確かめ、雨が降らない場合は、2、3日に1回くらいたっぷりと水やりしてあげましょう。


下の葉を取り除いて調整したニチニチソウの挿し穂
下の葉を取り除いて調整したニチニチソウの挿し穂。
◆パンジーの種子蒔き◆

 晩秋から冬〜春花壇にかかせないパンジーやビオラ。季節になって苗を買うと結構高いですね。今年はパンジーの種子蒔きに挑戦しましょう。 蒔き時期は8月下旬から9月上旬(関東地方標準。寒冷地ならば2週間くらい前、暖地ならばその分遅くします)。この仲間の種子は、低温処理してから蒔くのがポイント(約1か月)です。蒔く時期に合わせて低温処理を始めましょう。低温処理は種子を吸水させてから、冷蔵すること。その方法としては、深めの小皿の底にティシュを畳んで入れ、水を注いで湿らせた上にパンジーなどの種子を置き、吸水させます。小皿の表面をサランラップで覆って密閉し、冷蔵庫の野菜室に保管すればよいのです。低温処理の時間を考え、種子は早めに入手しておきましょう。(種子の蒔き方は次回に紹介します)。


1
ポットの真中よりやや後ろに
アサリナを置く。

2
ポーチュラカを植えこむ

3
2、3日するとポーチュラカが
咲き出してさまになる

★アセリナとポーチュラカの寄せ植え
 日照りに強いので、夏の花壇やハンギングに欠かせないポーチュラカ(スベリヒユ科)。今回はこのポーチュラカと最近、出まわり始めてきたつる植物のアサリナ(ゴマノハグサ科)の寄せ植えを作りましょう。
<材料>
・直径30センチのポット
・ポーチュラカ5株(赤色と白色)
・アセリナ中株
・朝顔支柱1個
・培養土

<作り方>
 ポットの穴に底網を置き、底石用に大粒の軽石を2段くらい並べ、その上に培養土を目分量でポットの半分くらい入れます。真中より、やや後ろにアサリナを配置し、朝顔支柱を立てからませます。次いで、ポーチュラカを敷き詰めます。枝が長いものは、適当な長さで切って、空いた部分に挿せばすぐに発根してくれるはずです。アサリナが活着して、朝顔支柱から垂れて咲いてくれるようになれば完成です。

<その後の管理>
 ポーチュラカは日陰を嫌いますので、アサリナの陰にならないように光の入り具合を考えてポットを置きます。水やりはやや控えめで乾かしぎみに管理し、ハイポネックスなどチッソ分の少ない液肥を2週間に1回くらい与えるようにしましょう。


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