日本園芸協会季節の園芸作業
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[5月]

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◆5月の園芸作業◆

 春先と比べると、ゴールデンウィークの頃からは、何となく気温の低い日が多くなってきているような気がします。こうした陽気のせいか夏風邪?がはやっているようですから、お体にはお気をつけくださいませ。さて、園芸では、春花壇の整理に夏花壇の準備、花木のお礼肥えに病害虫対策と、忙しいシーズンが続きます。

バラ
ツルバラのスタンダード仕立て。このまま垂らしてゆけば、ウィーピングにできる。
◆買い物情報◆
●バラ
 今年はバラも1週間ほど開花が早かったようです。今年はバラに挑戦してみましょう。今、入手できるのは、木バラならば6号位の大鉢に植えられた花付き株か新苗。ミニチュアならばもっと小さな鉢が出ています。品種も多くなり苗も入手しやすくなりました。花の豪華さならば、ハイブリッド・ティですが、香りで選ぶならオールドローズかイングリッシュ・ローズの仲間ですね。ツルバラのスタンダード仕立てなら、2、3年で見事な株になるでしょう。いずれにしても、良株は、葉が切れたりよじれたりしてなく、蕾が真直ぐにすんなり伸びたもの。花の数よりも、枝が多くてしっかりとした株を選びましょう。花付き株は花が終わったら、新苗は蕾を切り取ってすぐに2回りほど大きな鉢に植え直します。人気です。
●アジサイ・ハイドランジア
 日本生まれのアジサイがヨーロッパでカラフルに改良されて里帰りしたのが、ハイドランジア(西洋アジサイ)です。どちらも、品種が多くなりました。アジサイ類は強健で手がかからず、毎年、大きな花を咲かせてくれるのがうれしいですね。紫系の花は中性からややアルカリ性の用土(培養土に苦土石灰を混ぜる)で、赤系の花は弱酸性の用土(酸度調整されてないピートモスを混ぜる)で植えるのが、きれいな花色で咲かせるポイントです。花が咲ききったら、早めに枝を根元から葉を2、3枚残して切り取り、後は切花として楽しみましょう。庭に植える場合は、日向から半日陰程度の、やや湿った土がベスト。ヤマアジサイの系統(やや小型で繊細な感じのする品種)は日向は避け、半日陰のところを選びます。
あじさい
これから梅雨の時期はアジサイの仲間が、ひときわ鮮やかな季節です。
●花壇苗・野菜苗
 各種花壇苗や野菜苗の植付けの時期になりました。苗選びのポイントは、節間がつまってがっしりとした感じで、葉に黄変や縮れがなく、双葉までしっかりついているものが良苗です。1ポットに何株も植えられているものはボリューム感がありますが、分けて植えると根傷みすることがありますので、1ポット1株でボリュームのあるものを選びましょう。

◆ベジタブルガーデンを作りましょう◆
 最近、人気が高いのがベジタブル(野菜)を花壇材料にしたベジタブルガーデン。花壇の楽しみと収穫の楽しみを一緒に味わおうという欲張りなアイデアです。果菜類の苗は今が植え時ですから、ぜひチャレンジしましょう。 作り方のポイントは、背の高くなるトウモロコシやトマト、ナスなどを一番奥に、その手前にジャガイモやピーマン、トウガラシ、エダマメなど中位な種類を、最前列はニンジンやカブ、レタスなど背の低いものを配置します。株と株の間には虫除けになるハーブ類(ミント類やラベンダー、チャイブなど)を植えるのがお勧め。また、野菜だけでなく、花のきれいなボリジやチコリ、カモマイル、オレガノ、葉のきれいなフェンネル類やトリカラーセージ、レッドバジルなどハーブ類を適当に混ぜると、カラフルで変化がある花壇が楽しめます。
畑
今から植えて、夏前に収穫を。
◆春花壇の整理と夏花壇作り◆

 今年は春先に温度が高い日が続き、また風も強い日が多かったので、春花壇は、姿が乱れたり、早めに傷んでしまった所が多くあったようです。傷んだ花壇は、早めに整理して夏花壇を作りましょう。長く伸びたパンジーは、切り取った株は、根元を切り整えて、花瓶やコップなどにさしておけばこれからもしばらく楽しめます。夏花壇用のデザインは、サルビア、アフリカンマリーゴールドなど丈の高くなる種類と、ペチュニア、アゲラタムなど背の低い種類を組み合わせて、彩りを考えるのがよいですね。夏色の黄〜橙〜赤系でまとめるか、シャスターデージーなどを中心に涼しさを演出するホワイトガーデンも人気がありますね。


ホワイトガーデン
夏に涼しさを演出するホワイトガーデン。

◆花木類や鉢物の花後の手入れ◆

 花が咲き終わった花木類(ツバキ、シャクナゲ、ツツジ、ボタン、フジなど)は花がらを摘み、ツバキやボタンは、咲いた枝を元まで切り詰め、込みすぎたところは枝を切り透かしておきましょう。また、お礼肥えを施しておきましょう。肥料は3要素(チッソ、リン酸、カリ)が等量入ったものか、リン酸が多めのものが無難です。チッソだけの肥料(油粕など)の施用は勧められません。なお、生垣に仕立てたツツジ類は花後すぐに刈りこんでおきましょう。
 冬〜春咲きの鉢物類(シンビジウム、クンシラン、アマリリスなど)も花が終わったら花がらを摘み、シンビジウムでは新芽の整理(1バルブ当り1、2本に)も忘れずに。

◆花木類の薬剤散布 ◆
 これから梅雨どきが、病害虫の要注意時期です。
チャドクガ
ツバキ・サザンカ、チャにつく毒蛾です。なるべく、孵化したてで群をなしているうちに見つけて、スミチオン乳剤やディプテレックス乳剤などを散布しましょう。なお、抜け殻や卵の跡なども見つけて始末しないと、風に飛んだりして肌につくとトラブルの元になります。ウメやカリンなどのオビカレハ(ウメケムシ)、サクラなどに多いアメリカシロヒトリなども同じ薬で退治できます。
カイガラムシ
ウメの幹に黒い小さなこぶのようにしがみついていたり、マツなどの枝先に白い粉がふいていたりするのはカイガラムシの仲間です。幹についたものは竹ベラなどでこすり取り、枝先についたものにはエカチンやデナポンの散布をします。殻をかぶってからですと、薬が効き難くなりますので、孵化したての時期に散布するのが、効果的です。
アブラムシ
一度退治しても、すぐに飛んできてまた増えてしまうアブラムシはやっかいですね。鉢物ならばダイシストンやオルトランの粒剤が、庭木ならばエカチン乳剤などの浸透移行性殺虫剤の利用が、効果が長続きして便利です。
バラの病害虫
よい花を咲かせるためには、定期的な薬剤散布が欠かせません。秋までは、黒点病(ダコニールやサプロール)とうどんこ病(ミラネシンなど)の殺菌剤をそれぞれ1週おきに交互に散布し、殺虫剤(エカチンなど)は月2回、梅雨が明けたらやはり月2回殺ダニ剤を散布します。

◆ブックガイド◆
◎最新図解『山野草100育て方』 森和男著
主婦の友社刊 定価1500円+税

 代表的な山野草100種の育て方を、図解中心で分かりやすく解説した山野草園芸の入門書です。人気の種類や気になる山野草はあらかた載っていますので、初心者の方はもちろん、ベテランの方にもお勧めです。イベントなどで入手した山野草の育て方がわからない場合など、疑問はすぐに解消です。

◎やさしく分かる『園芸上手の土つくり』 高橋和彦監修
永岡書店刊 定価1300円+税

 ガーデニング・園芸の基本は土づくりですね。最近、あまり出ていなかった“土”を取り上げた本です。鉢土の再生方法や家庭でできる土づくり方法や、用土の配合の仕方、市販の培養土の選び方など、必要なことがやさしく解説されています。

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