日本園芸協会季節の園芸作業
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[八月下旬]

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夏の終わりのガーデニング

 お盆を過ぎたといえども厳しい残暑が続きますね。私達が夏負けでへばりかけている時期は、植物たちも暑さで弱っているものです。水切れや病虫害など、早めに見つけて手当てしてあげましょう。この秋は、台風の襲来も多そうです。対策は早めに立てておきましょう。

◆買い物情報◆

 年々、秋の鉢物が出回る時期が早くなっているようです。今年もそろそろ、ポットマム、リンドウ、シュウメイギク、カランコエ、ガーリックバインなどの秋の鉢物が出回てきました。また、ノボタン類やシュウカイドウも秋によい花を咲かせてくれます。
 鉢物を選ぶ時は、花数が多く、花首のしっかりしているものを選んで購入しましょう。夏の名残のフヨウやムクゲ、ランタナなどの花木類もしばらくは咲きつづけてくれます。売れ残りで安くなっているものがあればお買い得ですね。
 また、ちょっと気をつけたいのはベゴニアの仲間。リーガースベゴニアは短日性(夜が長いと花をつける)ですので、これから冬が盛り。それに対し球根ベゴニアは長日性(昼が長いと花を付ける)。あまり秋遅くなってから入手すると、すぐに休眠に入る時期がきてあまり楽しめません。注意しましょう。

リンドウの鉢物
リンドウ
リンドウの鉢物も早めに出回るようになりました。
エゾギク
エゾギク
エゾギクは秋の草花の代表のひとつ。
シュウカイドウ
シュウカイドウ
風情のあるシュウカイドウはベゴニア類では最も耐寒性が強いもの。
リーガース・ベゴニア リーガース・ベゴニア
短日性のリーガース・ベゴニア。

◆台風対策を早めに◆

 いよいよ本格的な台風シーズンに入ります。7月中に何号も台風が襲来した今年は、秋も警戒が怠れませんね。台風対策は早めに済ませておきましょう。
  • 茂りすぎたところは枝抜きをする
    風が通り抜けるように、茂ったところは枝を間引いておきましょう。また、長く伸びすぎた枝は、切り詰めるようにします。
  • 支柱を立てる
    今年植えたばかりの樹木や細長い苗木、根の少ない老木には支柱を立てます。また、長く伸びたマツの差し枝などは折れると仕立て直しが困難ですから、ところどころに支えを立ててやりましょう。
  • 鉢植えの対策
    棚など風の強く当たるところから下ろし、背のある植物を植えてある鉢は倒れないように横にしておきます。
  • 台風後の手入れ
    台風は海から離れたところまで、潮風を運んできます。台風の通った後は、塩害対策のため葉の柔らかい樹木類には、頭からホースで水をかけて洗い流しておきます。また、樹木が風で倒れたときは、無理に起こさず、倒れた反対側を掘り起こし、折れた根を切り詰めて植えなおします。

コルチカム
植えてすぐに花の咲くコルチカム(庭植えにしたもの)
◆秋咲き球根の植えつけ2◆

 コルチカムやサフラン、ネリネ、ステルンベルギアなど秋咲きの球根類がショップをにぎわすようになりました。
植え時期
 コルチカムなどは植えつけなくても、机の上でそのまま花が咲いてくれますが、翌年も花を咲かせるには、やはり鉢かプランター、庭に植えつけてやりましょう。なるべく早めに入手して、早めに植えつけるのがベストです。8月中には植えつけておきましょう。
用土と植え場所
 用土は市販の培養土(ネリネはチッソ分の多い用土を嫌うので川砂、赤玉土に腐葉土を2割くらい入れたもの)でよく、庭に植える場合は冬場に日の当る背の高い落葉樹の下とか、南向きの花壇など寒風の当らないところを選びます。
夏花壇の残りは枝を整理してプランターに植える
夏花壇の残りは枝を整理してプランターに植える
◆夏花壇の手入れ◆

 夏の暑さや台風で傷んでしまった夏花壇は秋に向けて手入れをしましょう。
夏花壇の手入れと整理
 それほど傷んでいない花壇では、折れた枝や枯れた枝を取り除き、根元の土が流れてしまったものは土寄せしておけばよいでしょう。緩効性の固形肥料を1株あたり一つまみほど施しておきます。
痛んだ株が多い場合は、草花は思いきって引き抜き、土を掘り返し、石灰類(苦土石灰や炭酸カルシウム)などをすきこんでから均します。このとき、コガネムシの幼虫や夜盗虫が見つかったらそのままにせず、つまんでビニル袋などに入れて捨てましょう。
使える草花の手当て
 まだ勢いのよい株があったら、枝を整理して姿を整え、種類や花色別にプランターなどに植え替えましょう。サルビアやマリーゴールド、ペチュニア、ジニアなどは、秋遅くまで咲きつづけてくれます。夏を飾ってくれたてポーチュラカは、彼岸をすぎますと株の勢いが衰えますから、枝を詰めて鉢に上げて、室内で越冬させる準備をします。
秋花壇の植え込み
 1週間から10日後に堆肥をすきこみ秋花壇の草花を植え込みます。
秋の主役は、やはりコスモス。紫〜桃〜白系が中心ですが、最近はクリーム系も出てきました。それぞれパステルカラー系のやさしい色合いなので、花色を気にせずそのまま群植させてもよいのですが、キバナコスモスの黄色やオレンジを所々、ポイントとして混植させるとインパクトがあります。チョコレートコスモスなども面白いですね。周りには、夏花壇に引き続き、サルビアやマリーゴールド、アゲラタムやケイトウ、ジニア・リネアリス、メランポジウムなどに矮性の品種を植えるとアクセントになります。
◆パンジーの種子蒔き◆

 そろそろ、冷蔵したパンジーを取りだし、種子を蒔く時期ですね。蒔き床はピートバンか平鉢(市販の小粒の種まき用土)、種子が重ならないようにばら蒔きし、種子がかくれる程度、ごく薄く覆土をします。涼しい半日陰の場所に置けば、1週間か10日で発芽するはずです。発芽まで、水を切らさないように注意し、平鉢の場合は腰水にしておくとよいでしょう。発芽して、本葉が1枚になったら移植します。

パンジーの種子は小皿で湿らせて冷蔵しておく
パンジーの種子は小皿で
湿らせて冷蔵しておく
鉢に蒔いたら、発芽まで腰水
鉢に蒔いたら、発芽まで腰水

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トウガラシの煎汁を
小型のアオムシの防除に
◆病害虫の防除◆

 暑さで弱った株は、病害虫もつきやすいもの。早めに見つけて、被害が大きくならないように対処しましょう。害虫は早めに見つけて、早期駆除。病気は発生しないように丈夫に育てるのが大切です。

病害虫の発生を抑える栽培方法
 草や木も、繁りすぎたところは枝をすかしてやり、風通しよく育てれば、病害虫の発生も少なく、たとえ発生してもすぐにわかるので早めの対策が取れます。油粕などチッソ肥料をやりすぎると、株が軟弱に育ち、病害虫の発生の原因になりますので避けましょう。
大型のケムシの対策
 毛虫や青虫などは大きくなると、農薬が効きにくいですから早めに見つけて箸などでつまんでビニル袋にいれて処理すればよいでしょう。大量に発生したときや、ツバキやサザンカにチャドクガが出たときは、ケムシ類が小さなうちに殺虫剤を散布しましょう。虫の体に掛かるように散布するのがポイントです。
アブラムシなど小型の害虫は
 アブラムシは、牛乳を生のままスプレーで散布すれば退治できます。これは牛乳の脂肪分がアブラムシの体を被って窒息・圧縮死させるものです。2、3日後に頭から、潅水して牛乳分を洗い流しましょう。ハダニにはコーヒーの飲み残しをスプレーすると効果があります。
自然農薬を試してみましょう
 ハーブ類(バジル、チャイブ、トウガラシ、ニンニクなど)の煮出し液も効果があり、防虫のほか、うどんこ病の予防によいといわれます。また、最近話題になっているのが木材や竹類を燃やしたときに出る煙の成分を集めた「木酢液」と「竹酢液」。草花の体質改善や病気の予防に効果があると、無農薬栽培を目指す菜園やハーブ作りの方に好評です。
いずれにしろ、病虫害対策は、早め早め発生を見つけて対策をとるのが大切。こまめに庭に出かけましょう。

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