日本園芸協会季節の園芸作業
ENJOY!

[9月]

■前回の「季節の園芸作業」を読む■ | ■最新の「季節の園芸作業」を読む■

9月の園芸作業

 残暑もようやくおさまり、やっと落ち着いて庭のことが考えられる季節になったようです。ただ、今年は台風の発生が多いようで、今後も台風の動向には目が離せませんね。作業のスケジュールが立てにくいのですが、冬春のガーデニングなどを左右する大切な時期ですから、しっかりと計画を立てて行いましょう。

◆買い物情報◆
ミカン 小実性のトウガラシ
色づき始めたカキの鉢植え 小実性のトウガラシ
実物・果樹
 季節柄、秋を感じさせる実を楽しむ鉢ものが出てきました。カキやミカンなどの果樹類、トウガラシやウメモドキ、ムラサキシキブなどが買い時です。実物は花物よりも長く楽しめるものですが、葉の縁などが褐変などしていない健全な葉が多くついたものを選ぶと、より長く楽しめます。
秋花壇用の苗物や秋植え球根
 苗物は発芽時の双葉までついているものが良品で、下葉が黄色くなっているものは、店頭などで水切れをおこさせた可能性がありますので避けましょう。また、苗物はよく日の当る売り場のもの、球根類は直射の当らない店内に置かれているものが傷みが少なくてベストです。
トウガラシ
普通のトウガラシ
ジョウロウホトトギス
ジョウロウホトトギス
秋の山野草
 ジョウロウホトトギスやリンドウ、シュウメイギク、ダイモンジソウなど、秋の風情をやさしい感じの山野草が出回ってきました。シュウメイギクやリンドウはよく日の当る所、ジョウロウホトトギスやダイモンジソウは午前中日の当る所か半日陰のところに置き、水切れに注意して管理しましょう。

◆秋植え球根の植えつけ
 チューリップにクロッカス、ヒアシンス、スイセン、アネモネ、ラナンキュラスなどの秋植え球根が売り出されています。実際の植えつけは10月中旬頃でもよいのですが、気に入った花色のものなどは早めになくなってしまうことがありますから、気がついたときに求めておきましょう。
 良球は皮に傷や病斑がなく、重くずっしりと感じられるもの。用土は市販の普通の培養土でよく、庭植えの場合は日当たりがよく水はけのよいところ。チューリップなどは球根の3倍の深さに植え、株間は球根3個分くらいとればよいでしょう。鉢に植える場合は、球根の先端が出るくらいの浅植えにします。ユリ(オリエンタル系)やフリージアはもう少し遅くなってからが植え時です。
 
ジョウロウホトトギス
チューリプの球根
品種によって大小がある。上は大球性、中は中球性、下は小球性(原種)。大きさも大切だが、傷や病紋のないものを選びたい。
ワンポイントメモ
アネモネは尖った方が下。湿った砂やピートなどに混ぜて、球根が水を吸って膨らんでから植えつけます。
ラナンキュラスも湿った砂やピートなどに混ぜて吸水させ、芽が動き出してから植えつけます。

ジョウロウホトトギス

キンセンカ
キンセンカはいまが蒔き時
◆秋の種子蒔き◆

 ガーデニングは種子まきから始めるのが基本。ご自分で種子をまいて育てれば、愛しさもひとしおで、費用も安く済みますのでお金を気せずに飾ることができます。
 秋の種子まきは残暑もおさまってきた彼岸頃が時期なのですが、今年はまだまだ暑い日が残っていますね。昼間の最高気温が22、2度くらいの日が続く頃を目安にしましょう。ヤグルマソウやキンセンカなどは10月上中旬くらいまでにはまき終わるようにしましょう(スイートピーとヒナゲシはやや遅く10月一杯くらいまでに)。移植を嫌うラークスパーやベニバナなど以外は、平鉢に蒔き、本葉2、3枚程度で最初の移植をして、育ってきたらさらにもう一度移植をして育苗し、春に備えます。

◆秋花壇を作りましょう◆
コスモス
秋を感じさせるコスモス
 夏の暑さや秋の長雨で傷んでしまった夏花壇は、早めに整理して秋花壇に模様替えしましょう。  すでに、春花壇用の秋植え球根も売られだしていますから、秋植え球根を植え込んでから、コスモスなどの秋花壇用の草花苗を植えつけてもよいでしょう。この草花は、秋の終わりにパンジーやハボタンなど冬春花壇のものと差し替えればよいわけです。“季節の園芸作業”の8月下旬号に「秋花壇の植え込み」方法が載っています。ご覧ください。

◆草花類の挿し芽をしましょう◆
 秋の彼岸から10月中旬頃は、草花類や挿し芽の適期です。夏の間に伸びて姿の乱れてしまったトラディスカンチア、ストレプトカーパス、木立ベゴニアなどの宿根草類やハーブ類、熱帯花木(9月いっぱいまで)などは、挿し芽をして苗を作り、仕立て直しをしましょう。この時期に挿せば、寒さの来る前によい苗に育ってくれます。
 穂木は下葉を落して7〜15センチに切り、2時間くらいコップで水揚げします。平鉢に清潔な用土(鹿沼土、川砂、市販の挿し木用土など)を8分めくらい入れ、軽くならします。太めの箸で穴をあけ、その穴に穂木を2、3センチさしいれて、基部の土を軽く押さえるようにすればよいでしょう。挿し終わったら、目の細かいジョウロで底穴から少し水が流れ出す程度水やりし、直射日光の当らない明るい日陰地か、半日陰の所で管理します。草もので2〜2週間、木もので1.5か月くらいで発根してくれるはずです。発根までは土が乾かないように、土の表面が白く乾きかかってきたら水やりします。

右は間伸びしたトラディスカンチア、左は挿し芽で仕立て直した鉢 下葉を落とした穂木。コップで水揚げを 挿し終わったら水を十分あたえる。後ろはストレプトカーパス
右は間伸びしたトラディスカンチア、左は挿し芽で仕立て直した鉢 下葉を落とした穂木。
コップで水揚げを
挿し終わったら水を十分あたえる。後ろはストレプトカーパス

◆果樹・花木のお礼肥え◆
 夏に収穫したブルーベリー、ウメやサクランボ、モモ、早めに収穫の終わったナシやクリなどの果樹類と、夏咲きの花木にはお礼肥えを施しましょう。
肥料の種類は
果樹にはチッ素分の多い即効性の化成肥料を、花木類は3要素等量混合くらいの化成肥料か有機配合肥料を与えます。
施す量と与え方
果樹類では、寒肥の時の半分くらいを、花木では、成木で軽く2握りくらいを根回りに浅く溝を掘って埋め込みます。

◆コスモスの名所案内◆
 秋の花の代表といえば「秋桜」とも呼ばれるコスモス。生まれは遠いメキシコですが、今では、日本の秋を飾る花として欠かせないものになっています。
黒姫高原(長野県上水内郡信濃町)
JR信越本線黒姫駅からバスで15分
コスモス街道(長野県佐久市)
JR小海線中込駅からバスで20分
お水荘コスモス園(徳島県海部郡町)
JR牟岐線由岐駅からバスで30分
北房町のコスモス(岡山県上房郡北房町)
JR伯備線備中高梁駅からバスで40分
大原野コスモス園(大分県玖珠郡玖珠町)
JR久大本線豊後森駅から車で40分
生駒高原(宮崎県小林市)
JR吉都線小林駅からバスで20分
 このほか、昭和記念公園(東京都立川市)、夢の平(富山県礪波市)、般若寺(奈良県奈良市)、遠賀川中の島(福岡県飯塚市)、高峠(鹿児島県垂水市)などもコスモスの名所として知られています。

■前回の「季節の園芸作業」を読む■ | ■最新の「季節の園芸作業」を読む■
●ガーデニングカタログ(通信販売)へ | ●ガーデニング講座(通信教育)へ

HOMEへ