日本園芸協会季節の園芸作業
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[4月の園芸作業]

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◆4月の園芸作業◆

サクラの開花前線は順調に北上しているようで、関東地方までは平年よりもちょっと早いという感じです。ウメが遅かったわりには順調に春が来てくれたようですね。ガーデニング・園芸も本格的にシーズンイン。種まきや球根の植えつけ、花壇の整備などの作業を進めましょう。



ハイドランジア“チェリー”


ガクアジサイタイプの
ハイドランジア
“ユングフラウ・ピンク”



ガーデンショウも
キッチンガーデンが人気
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中鉢作りの
ブーゲンビレア



花径25cm以上にもなる
球根ベゴニア

買い物情報

ハイドランジア

 春先の鉢物として定着していますが、本来の花期は普通のアジサイと同じで梅雨時です。今の時期に売られているものは温室で促成されたもので、来年は元に戻ります。最近は日本のアジサイ類も、同様に生産されて販売されるようになっています。なお、木の大きさのわりに小さな鉢で作られていますので、強い風に当てると水切れしやすいので注意しましょう。花が終わったら、枝を根元の2、3節まで切り詰め、一回り大きな鉢に植え直します。

野菜苗

 キッチンガーデン用の野菜苗やハーブ苗が出回り始めています。良苗は、茎が真っ直ぐで太く節間(葉と葉の間隔)が詰っているもの。大きな苗というよりもがっちりしているものがよいのです。葉が切れていたり縮れているものは避け、下葉まで緑色でしっかりついているものを選びましょう。なお、手抜きをして楽に作りたい場合は、サツマイモやサトイモなど強健なイモ類、短期間で収穫したいならば、サラダ菜やコマツナなどの葉物類、じっくり育てて収穫をという方は、ナスやトマト、キュウリなどの果菜類がお勧めです。ただ、果菜類やハーブでもバジルなどは高温性ですから、4月まで待って定植するほうが安全です。

熱帯花木

 最近はハイビスカスやブーゲンビレアなどの熱帯花木が早い時期から出回るようになりました。今年は、春が暖かいので、夜の寒さをそう気にしないですみそうですね。ただ、遅霜に注意し、夜間10℃を割りそうなときは、室内に取り込むようにしましょう。良株は、根元がぐらつかない葉に変色や傷がないもの。ただ、根詰り気味に仕立てられている鉢が多いので、ブーゲンビレアは花後に、ハイビスカスは5月になったら一回り大きい鉢に植えなおしてあげましょう。

球根ベゴニア

 花の華麗さでトップを争う鉢物です。ハンギングタイプもしゃれていますね。北海道など夏涼しい地方では、秋まで咲き続けますので特にお勧めです。ただ、暖地では夏負けしてしまうことが多くありますので、夏までの鉢物と考え、早めに入手しましょう。良品は、蕾が多くついており、根元がぐらつかない株。入手後はレース越しの窓辺などで慣らしたあと、風通りのよい午前中くらい日の当るところか、木漏れ日のあたるようなところで管理します。フクシアも同様に管理できます。



フクシアの新しい品種
「パステル・ファンタジー」



名前も人気の
要因初恋草



花期が長くて人気
ペーパーカスケード



いかにも砂漠の
植物といった木姿の
クッションブッシュ

オーストラリア産の鉢物の手入れ

 最近、初恋草(レケナウルティア)、ボロニア、ライスフラワー、ホワイトツリー、ペーパーカスケード、イソトマ、アニゴザンツス、クッションブッシュ(カロセファラス)、ブルーファンフラワー(スカエボラ)などオーストラリア原産の植物が目に付きますね。生産者の方も目新しいものということで、今まで導入の少なかったオーストラリアの植物に注目しているようです。

<栽培のポイント>

種類によって性質が違うのですが、概して次のことに気をつけるようにしましょう。
夏の高温多湿を避ける
 乾燥地帯の植物なので日本の夏の高温多湿に弱いものが多いので、夏はなるべく涼しいところで雨を避けて管理します。本来、日当たりを好むものが多いのですが、夏だけ、明るい半日陰のところに置くようにしてもよいでしょう。
水やりは控えめに、肥料は少なめ
 全般的にかさついた感じの種類が多く、多湿を好みません。水はけのよい用土で、水やりを控えめにするのが無難です。肥料はチッ素分の少ない固形肥料を春と秋に少量与えればよいでしょう。
冬は室内で
 鉢物としては、冬から春にかけて出回ることが多いのですが、促成で咲かせたものです。寒さにもあまり強くないものが多いので、だいたい6、7℃が保てる室内の窓辺で管理しましょう。低温期の多湿も禁物です。
寄せ植えの場合
 寄せ植えに使う場合は、乾かし気味に育てるものだけで組みましょう。普通の植物と一緒にすると、根腐れをおこしがちです。また、庭植えや花壇には概してあまり適しません。南アフリカ原産のプロテアやプランバーゴ、レオノチス、リューカデンドロンもほぼ似た性質です。

春花壇・コンテナの手入れ


花壇は花がら摘みと
追肥を忘れずに

 パンジー・ビオラやキンギョソウ、ロベリアなどが花壇やコンテナで咲き誇り、スイセン、チューリップ、ムスカリーなどの球根類も盛りの時期です。
 よい状態を長続きさせるために、花殻をこまめに摘み、いたんだ葉の整理をし、込みすぎているところは枝ごと切り詰めておきましょう。また、肥料も切れるころですから、マグアンプKなどの固形肥料を株元に一つまみほど与えます。液肥ならば2週間に1回くらいです。アブラムシがついた場合は手でつぶすか牛乳を薄めずにスプレーすれば退治できます(晴れた日の午前中がベスト)。虫の体にかかるよう丹念にスプレーしましょう。翌日、頭から水やりして牛乳を洗い流します。

春の挿し芽で苗作り


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 ペチュニア類、バーベナ、ビデンス、トコナツ・ナデシコ類、コエビソウ、ミント類など低温に強い草花類は、春先に挿し芽をして苗を作るのが効果的。今、挿せば5月の初めには立派な苗になります。

<挿し芽の方法>

  1. 枝先を7〜10センチに切り、下のほうの葉を1/3ほど切り取る。
  2. 切り口を鋭利なナイフで切りなおし、1、2時間水揚げする。
  3. 挿し芽の用土は、清潔な川砂か鹿沼土、赤玉土など。
  4. 平鉢やイチゴポット(底に穴を開ける)などに用土をいれ、箸などで挿し穴を開ける。
  5. 水揚げした挿し穂を2、3センチの深さほど挿し穴に挿し、元を指で押さえる。
  6. 挿し終わったら目の細かいジョウロか水差しでたっぷりと水やりし、強い風の当たらない半日陰のところで、管理する。
  7. 新しく芽が動いてきたら、徐々に光に当てるようにする。

 ツバキやアジサイ、サツキ・ツツジ類、イヌツゲ、ジンチョウゲなども同様の方法で挿し木できます。ただ、発根まで時間がかかることが多いので、図のような密閉挿しにするとよいでしょう。

花木・庭木の手入れ

 新芽が伸びだすと、病虫害も始まります。特に芽吹いたばかりの新緑にはアブラムシが付きやすく、被害が出やすいですから注意しましょう。ウメ、サクラ、バラ、モミジ・カエデ類、ツバキ・サザンカ、シャクナゲなどは気をつけましょう。
 また、冬から、春早く咲いてくれた花木類の花後の剪定を済ませていない場合は、早めに行ないます。

<アブラムシ対策>

 アブラムシ類は農薬には弱いので、大体の殺虫剤で退治できますが、1度散布して退治しても、すぐに風に乗って新しい虫がやってきます。やはり、長期間薬効が持続する(1度散布すれば3週間くらいもつ)浸透移行性の殺虫剤(オルトランやエカチンなど)の散布が効率的です。
 なお、ウメやモミジ・カエデ類は薬に弱く、薬害を起こしやすいですから、葉が固まるまで待ってから散布するようにしましょう。小さな木の場合は、手でつぶすのが安全です。

<バラには混合散布>

 バラは病害虫の多い植物です。芽出しから週に1回、殺虫剤(スミチオンなど)と殺菌剤(ダコニールなど)を混合散布しましょう。

<ウメの剪定>

 花ウメは、葉芽のある枝は、芽を2、3芽残して枝を切り戻し、葉芽のない枝は、枝の基部を少し残して切り詰めます。実ウメの場合は、花後剪定はせず、そのまま伸ばします。

<ツバキ・サザンカの剪定>


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 ツバキも花が終わった木から剪定をします。花が咲いた枝は、来年はよい花をつけませんから、枝の基の方に2芽くらい残して枝を切り詰め、花が咲かなかった枝は来年花が咲きますので、大切にします。ただ、残す枝のバランスを見て、混みすぎるようなら、こうした枝も2、3芽残して切り詰めます。サザンカも同様に行ないます。



イベント情報

宝塚植木まつり(兵庫、宝塚市山本・あいあいパーク)
4月10日〜13日(連絡先 Tel:0797-77-2036)
花と緑の園芸博(札幌、中央区・さっぽろ東急百貨店)
4月10日〜16日(連絡先 Tel:011-212-2211)
フラワー&ガーデンショウ大阪鶴見2003(大阪、鶴見区・花博記念公園)
4月11日〜13日(連絡先 Tel:06-6632-8703)
第5回国際バラとガーデニングショウ(埼玉、所沢市・西武ドーム)
5月16日〜21日(連絡先 Tel:03-5551-9542)


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