日本園芸協会季節の園芸作業
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[6月の園芸作業]

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◆6月の園芸作業◆

5月後半はぐずつき気味の日が多く、皐月晴れらしい晴れた日が少なかったですね。最近は何か、このように“例年と違う”ということが定着してしまったような気がします。困ったものですね。
そうした中でも、植物は季節どおりに咲いてくれているようで、ハナショウブやアジサイの花便りが届きました。そろそろ梅雨入りも時間の問題のようです。(沖縄・奄美地方では梅雨明けも近いようですね)。

買い物情報

小果樹の鉢植え

 機能性食品として果物の栄養価が注目されるにつれ、鉢植えでも育てられるブルーベリーやグミ類、スグリ類、ジューンベリー、サルナシなどの小果樹類が人気です。実際ポリフェノールなどの成分はこうした小果樹類のほう多いのですから、うなずけますね。注意したいのは、水切れさせると、果実が早く落ちてしまうこと。小さめの鉢に植えられているものは、根が詰っていて水のしみこみが悪いことがあるので、こうした場合は箸などで土を突いて、底近くまで4、5か所穴をあけてやるとよいでしょう。

スグリの鉢物(左)とラズベリー(右) つる性植物のサルナシの鉢。
スグリの鉢物とラズベリー 珍しいサルナシの鉢。

草花・野菜・ハーブ苗

 真夏の花壇や菜園用の苗の植え時です。高温多湿の日本の夏に耐えてよく育ってくれるアメリカンブルー、コンボルブルス、ポーチュラカ(花スベリヒユ)、ニチニチソウ、ヒャクニチソウ、バジル、レモングラス、エンツァイ(朝顔菜)、モロヘイヤ、ツルムラサキを植えましょう。なお、アメリカンブルー、エボルブルス、ポーチチュラカ(花スベリヒユ)、ニチニチソウなどは、苗を植えるとき枝を切って挿し芽すると、すぐに発根して新しい苗が得られます。

花木鉢物

 そろそろサルスベリ(実生系)やムクゲ、ザクロなど夏の花木が目立つようになりました。季節柄、ハイビスカス、エンジェルトランペット、アブチロン、コエビソウなどの熱帯花木も魅力的ですね。これらの夏咲きの花木は、新しく伸びた枝先に次々に花を咲かせるものですから、葉や茎が生き生きとして力強いものを選ぶようにしましょう。ただ、鉢が小さい感じのものは根詰りを起こしやすいので、入手したらすぐに鉢から抜き、根回りを少しほぐし、一回り大きな鉢に植え替えるとよいでしょう。そうすれば、1夏中花を切らさないで咲いてくれるはずです。

ムクゲ「日の丸」 錦包榴(キンポウリュウ)

人気のワイルドストロベリーの育て方

 最近、話題沸騰ですごい人気になっているワイルドストロベリー。ハーブとしても利用価値の高い野生のイチゴです。鮮緑色の葉に白い可愛らしい花、果実は小さめの真っ赤なイチゴ。鉢植えやプランターでよく育ち、自然風ガーデンの下草としてもよく育ちます。


園芸店でも大人気の
ワイルドストロベリー

[ワイルドストロベリー]

  • 分類 バラ科イチゴ属
  • 原産地 ヨーロッパナド
  • 自生状態 林や原野の下草
  • 性質 常緑の宿根草

<育て方>

植え付け時期
ベストは春(3、4月)と秋(9、10月)です。そのほかの時期に入手した場合は、根鉢を崩さずに植えつけます。
植え場所
日向から少し陰になったところがよく、背の高い落葉樹の下などの半日陰でもよい。日陰過ぎると実がなりにくいので注意しましょう。
用土
排水がよく、やや湿った用土を好みます。庭土や赤玉土に堆肥や腐葉土をすきこんで、石灰分を一握り加えればよいでしょう。
植え方
用土にマグアンプKなどのリン酸とカリ分の多い粒状肥料を一つまみ混ぜてから、根を広げてやや浅めに植え付けます。株間は30センチくらいとりましょう。すぐにランナーを出して茂りますし、密植すると、風通りが悪くなり、病害虫の発生が多くなります。鉢ならば4号鉢に1株植えくらいです。
その後の管理
古くなった葉は切り取り、10月に追肥(マグアンプKなど)をします。寒さには強いので冬も外に出しておいて大丈夫です。冬に暖かい室内に取り込むと、花が咲きにくくなります。
病害虫防除
アブラムシが付いたら生の牛乳を霧吹きでスプレーすればよいでしょう(1週間おきに2、3回)。夏に葉裏にハダニが付いた場合(葉に白っぽい斑点ができる)は牛乳やコーヒーの飲み残しのスプレーか、ホースで葉裏を洗います。葉や果実にカビが生えてきたら(灰色かび病など)、切り取って処分します。果実のない時期なら、殺菌剤(ベンレートなど)の散布。
繁殖
秋に、ランナーの先の子苗を切り取って植えればよく増えます。実生もできます。
利用
果実はイチゴと同様に生食やジャムに。葉(フレッシュまたはドライ)はティーや歯垢取りに。ドライにしてポプリにも使えます。
注意
チッソ肥料(油粕など)を多く施すと、葉だけが大きくなり、花が咲きにくくなります。病害虫の被害も多くなりますから注意。花が黄色の種類はヘビイチゴ類。これも果実(球型)は食べられます。

病害虫対策を忘れずに

球根ベゴニアに出たうどんこ病(葉にでた白い点)。ベンレートかダイセンの散布を
球根ベゴニアに出たうどんこ病
(葉にでた白い点)。
ベンレートかダイセンの散布を

 高温多湿の梅雨時は、病気の多発期で、アブラムシなどの害虫も多くなります。発生の初期に見つけて手当てをしましょう。
 うどんこ病や斑点病はカビによるものですから、ベンレートやダイセン類の散布、すえたような匂いがして株全体が腐るようになるのは細菌による病気のことが多いので、この場合は抗生物質(マイシン系の薬剤)か銅水和剤を散布します。
 アブラムシは発生が少量ならば指でつぶすのがよいのですが、多い場合は殺虫剤(スミチオン、マラソンなど)を散布します。草花類や鉢植えではオルトランの粒剤を根元にまいておけば3週間は防除効果があります。晴れの日が続く場合は、牛乳を生のままスプレーしても効果があります(必ず虫の体にかかるように)。
 アオムシやケムシ類は、小さいときはスミチオン乳剤かディプテレックス乳剤の散布で対処できますが、大きくなってしまうと薬が効かなくなりますので、箸などでつまんで退治することになります。なるべく、小さな間に退治しましょう。
 病害虫の被害を少なくするには、株間を空け、混んだところの枝を抜いて、風通りをよくすることです。そうすれば、発生したときにも見つけやすく、初期に対処できます。最近話題の木酢液や炭の施用は、植物の体質が強化され、病害虫がつきにくくなるといわれます。お試しください。
 なお、薬剤散布は晴れた日が続きそうな時(散布後雨が降ると効果は激減します)の、風のない気温の低い早朝か夕方に行います。


挿し木をしよう

 梅雨時は、ツツジやサツキ、ツバキなどの常緑樹類や、アジサイやムクゲなどの落葉樹類、キャラボクやスギやなどの針葉樹類の挿し木の好期です。梅雨時は、春に萌芽した枝の伸びが止まって充実してくる時期で、空中湿度も高く、失敗が少ないのです。

<挿し木の仕方>
  1. 挿し穂の選び方 
     今年伸びた枝で、伸びが止まって充実した部分
  2. 挿し穂の調整 
     枝の切口を鋭利なナイフで切り戻し、枝の下1/3の部分の葉は切り取ってから、2時間くらい水揚げします。
  3. 挿し床 
     平鉢か平箱。用土は清潔な鹿沼土か川砂。
  4. 挿し方 
     挿し床に用土を入れたら、たっぷりと水やりします。落ちついたら、はしなどで穴をあけてから挿し穂を入れ、根元を指で軽く押さえます。なお、ワイヤーで骨組を作って鉢や箱全体をポリエチレン袋やシートで覆って密閉すると活着がよくなります(これを密閉挿しといいます)。
  5. 発根までの管理 
     寒冷しゃで直射日光をさえぎってやるか、樹木の下などの半日陰に置きます。特に密閉挿しの場合は、直射日光に当てないようにしましょう。土の表面が、やや乾いてきたら目の細かいジョウロで水やりします(密閉挿しの場合は土が乾きにくいので、あまり必要ない)
  6. その後の管理 
      2か月くらいで発根します。新しく芽が動いてきたら、植え替えます。  ミントやセージ、オレガノなどのハーブ類、フロックスやトコナツ、ダリアなどの草花類、ポトスやゴムノキ、ドラセナなどの観葉植物も同様に挿し芽できます。草物類は発根が早く、3週間くらいで植え替えできます。
あじさいの挿し芽
1.挿し穂づくり


2.水あげ


3.挿し方


4

◆お花見情報◆

 ガーデニングには‘鬼門’の梅雨の季節になりました。雨が多くて庭の仕事もできなくなり、気持ちも暗くなりますね。そうした時は、この季節に目を楽しませてくれるアジサイの名所を訪ねてみましょう。

梅雨時に冴える花・アジサイ
    • <アジサイの名所>
  • 笹野観音堂(山形県米沢市 0238-38-5517幸徳院)
  • 麻綿原高原(千葉県大多喜町 0470-85-0330妙法生寺)
  • 本土寺(千葉県松戸市0473-41-0405)
  • 白山神社(東京都文京区 03-3811-6568)
  • 浄慶寺(神奈川県川崎市044-988-1223 妙楽寺044-922-3653も有名)
  • 明月院(神奈川県鎌倉市 0467-24-3437)
  • アジサイ公園(神奈川県葉山町 0468-76-1111葉山町役場)
  • 箱根登山鉄道沿線(神奈川県箱根町 0460-5-5700箱根町観光協会)
  • 下田公園(静岡県下田市 0558-22-1531下田市観光協会)
  • 極楽寺(静岡県森町 0538-89-7407)
  • 護摩堂山紫陽花園(新潟県田上町 0256-57-6222田上町役場)
  • 足羽山公園(福井県福井市 0776-20-5346福井市役所)
  • 矢田寺(奈良県大和郡山市 07435-3-1445)
  • 六甲山森林植物園(兵庫県神戸市 078-591-0253)
  • アジサイの里(兵庫県安富町 0790-66-2300安富町役場)
  • 米子ハイツあじさい園(鳥取県米子市 0859-27-2951)
  • あじさい苑(山口県光市 0833-72-1400光市役所)
  • 観世音寺(福岡県太宰府市 092-921-2121太宰府市役所)
  • アジサイ街道(高知県春野町 0888-94-2311春野町役場)
    • 花の咲き具合を電話で確認してから出かけるようにしましょう。

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