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園芸ファン通信 【Vol.50】 2004年8月9日号
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今年は記録的な猛暑で、そろそろ夏負けしてくる植物も出てきているようで
す。また、台風の発生が例年より多いようですから、海山のレジャーに出かけ
る時は天気予報に気をつけましょう。
■■■■■■■■■■■■■■■今号の目次■■■■■■■■■■■■■■■
(1)夏を乗り切る鉢物管理のコツ
―――水やり、置き場、弱った株の手入れほか
(2)涼しさを呼ぶ観葉植物
―――シマトネリコ、オーストラリアビーンズほか
(3)夏の庭を健康に保つ病害虫防除のポイント
(4)今、植えるとすぐに花が楽しめる
―――リコリス類、ベラドンナリリーなど秋咲き球根の植えつけ管理
(5)夏野菜の手入れと秋の準備
(6)季節の手入れポイント
―――花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園
・ハーブ
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(1)夏を乗り切る鉢物管理のコツ
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日本の夏は、ほとんどの植物にとってつらい季節。鉢物などを枯らすのも、
この時季が多いものです。今年はしっかりと対策をとって、夏を乗り切りま
しょう。
<乾きやすい鉢の対策>
小さい鉢や、鉢に比べて植物が大きい場合は、鉢土が乾きやすい面がありま
す。観察していて、鉢土が乾きやすいものには次の対策をとりましょう。
(1)半日陰に移す
(2)鉢ごと庭に埋め込む(水やりを忘れないように)
(3)二重鉢にする
2回りほど大きな鉢に入れ、鉢と鉢の間に土や川砂、ミズゴケを詰める
(4)根鉢を崩さないように1回り大きな鉢に植え替える
<夏の水やりのコツ>
水やりは、鉢の土が乾いてきてから与えるのが基本です(目安は土の色が白
く変わってきたら)。朝、水やりして、昼間に葉が萎れてきても、土にまだ湿
り気があれば、気温が下がれば自然に回復します。この場合を追加の水やりは
不要で、夕方、軽く葉水をやる程度でよいでしょう。ただ、昼すぎのもっとも
高温になる時期に鉢内に水分が多いと、根痛みのもとになります。山野草など、
高温に弱いものは水やりを夕方に変えてみるのもよいでしょう。
<夏の肥料やりのポイント>
アサガオやニチニチソウ、ハイビスカス、ムクゲなど、夏でも元気よく成長
し、花を咲かせ続ける種類には、定期的な追肥が必要です。暑さで花が止まっ
たものや生育を休んでいる普通の鉢物には、夏は施肥を控えます。過肥は根痛
みの原因になります。
<水切れさせてしまった鉢の手当て>
まず涼しい日陰に移し、鉢の温度が下がってから、たっぷり水やりします。
(水を入れたバケツに鉢ごとつけてもよい。鉢の土が水を吸ったら、鉢を出す)
回復した鉢は、3、4日半日陰のところで養生させます。葉が萎れて枯れた
ものでも、養生を続ければ、新しく芽を吹くこともあります。
<急に葉が萎れてきた株の手当て>
水切れさせたわけでもなく、病害虫がついたわけでもないのに、葉が萎れて
きた場合は、根痛みか暑さ負けの可能性があります。とりあえず、半日陰の涼
しい場所に移し、水やりは控えめにし(鉢の土が乾いてきてから水やり)、し
ばらく様子を見ましょう。肥料は絶対に与えないようにします。
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(2)夏向きの涼しげな観葉植物
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鉢物がひとつ、部屋の中にあるだけで、涼しく感じられますね。なかでも小
葉で優しげな風情の観葉植物や草物ですと、ひときわです。
●シマトネリコ(モクセイ科)
つやのある小葉が羽状複葉になり、観葉植物として最近人気が高い。もとも
とは暖地性(琉球諸島以南)だが、寒さには比較的強く、関東南部以南では露
地で越冬できる。半落葉性。
●オーストラリアビーンズ(マメ科)
学名はCastanospermum australe。「ジャックと豆の木」の名前で、大型の
豆からの芽生えが売られている。もともとは40mになる大型の樹木。日当
たりに置くと成長が早いので、長く鑑賞するためには、半日陰のところで、
越冬温度7〜8度。
●ジャガランダ(マメ科)
本来は大木になる熱帯花木だが、小葉で淡い緑色の葉の様子から、観葉植物
として使われている。肥料は控えめにし、あまり大きくしないように。本来は
日当たりを好むので、3、4日室内で鑑賞したら、外に出し半日陰から日向で
培養する。冬の最低温度は4度。
●アスパラガス(ユリ科)
野菜のアスパラガスの仲間だが、つる性で鮮緑色の葉が涼しげ。吊鉢にもよ
いが、あまりつるを伸ばすととげが出ることがあるので、早めに枝先を摘む。
●アジアンタム(シダ類)
小葉のシダの代表種。乾燥した風が当たると葉が枯れるので、空調の近くに
は置かないこと。水切れに注意し、葉水を与える。直射日光も不可。通年室内
で管理。
●フウチソウ(イネ科)
柔らかな葉姿から人気がある和物観葉。吊鉢や水盤つくりもよい。丈夫で育
てやすい。水はけのよい用土で植えること。斑入りや紅紫色葉の種類もある。
本来は日当たりを好むので、3、4日室内で鑑賞したら、外に出し半日陰から
日向で培養する。冬は戸外でよい。
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(3)庭木・果樹の病害虫防除
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梅雨が明けると、樹木類では病気は少なくなりますが、害虫の防除は怠れま
せん。特にこの時期は幹に侵入して中を食い荒らす害虫の発生時期です。
●コスカシバ
幼虫が樹木類の幹に侵入して中を食い荒らすガの仲間。侵入跡には樹脂やカ
スがついているので、それらを取り除き、スポイトなどでスミチオンを30倍
くらいに薄めて注入する。予防にはサッチューコートSなどを幹に塗布。サク
ラ、ウメ、モモなどは特に注意。
●テッポウムシ
カミキリムシの幼虫で、やはり幹や根に進入して食い荒らす。対策や予防は
コスカシバと同様。シイ・カシ類、クリ、イチジク、ブドウ、カエデ類に注意。
●アブラムシ・カイガラムシ
枝が茂ると発見が遅れて被害が大きくなるので注意。浸透移行性のオルトラ
ンか、スミチオンの散布。
●ハダニ
高温乾燥期に被害が大きくなる。水やりのときに葉裏まで強く散水すると効
果がある。または殺ダニ剤の散布。
●カキのヘタ虫
8月中にスミチオンを2回散布。
●チャドクガ
発生したらスミチオン乳剤を散布。ツバキ・サザンカ・チャに注意。
●ベニモンアオリンガ
せっかくついた蕾を内から食い荒らすガの仲間(幼虫)。ツツジ・サツキ類、
シャクナゲ類が蕾のままで咲かないで終わるのは、これの被害が多い。8、9
月にスミチオンを月2回散布。
このほか、病気ではハナミズキ、サルスベリ、サンシュユのうどんこ病が目
立ちます(モレスタン水和剤、ベンレート水和剤を散布)。
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(4)秋咲き球根の植えつけ
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土の中から、いきなり蕾をもたげて鮮やかな花を咲かせてくれるリコリスや
アマリリス・ベラドンナは、庭の表情を一変させてくれる魔法の球根類です。
今が、この秋咲き球根の植え付け時期です。
●リコリス類
ヒガンバナの仲間で、英語では花びらが細長いのでスパイダーリリー。日本
や中国原産なのに、エキゾティックな感じがします。欧米の改良種が出回るよ
うになってバラエティーが増えました。
<植え場所>
日当たりと水はけがよい肥沃地。夏に乾燥しないところがベストです。明る
い落葉樹の下などでもよい。日本原産のショウキランやシロバナヒガンバナは
関東地方以南の暖地向き。
<植え時期>
なるべく早く、8月中旬には植え付ける。
<植え方>
植える前にあらかじめ堆肥をすきこんでおき、根を広げて植えること(リコ
リス類は休眠中も根が生きているので、根を切らないように)。株間は10〜
15センチ、覆土は球根1球分。
<管理>
花後に有機配合肥料を1掴み株元にすきこむ。
<鉢植え>
6、7号鉢に3〜5球植え。ナツズイセンなど大球性の種類は1〜3球。
植え替えは毎年か2年に1回。夏も土をあまり乾かさないように。
※協会のホームページ“季節の園芸作業”にリコリスの植え方のイラストが載
っています。ご覧ください。
⇒ http://www.gardening.or.jp/colum/index.html
●アマリリス・ベラドンナ
南アフリカ原産で、香りのよい大輪で瀟洒な花で人気があり、別名はベラド
ンナリリー。リコリス類よりも寒さに弱いので鉢植えが無難です。関東地方以
南の暖地ならば庭植えもできます。
<植え時期>
早めに植えつけ、遅くとも8月中旬頃までに植えつける。
<用土と鉢>
チッソ分の多い用土を嫌うので、市販の培養土ではなく、川砂、赤玉土に腐
葉土を2割くらい入れた用土を調合。鉢は、球根類よりもやや大きい程度の小
さめの鉢。
<植え方>
球根の先が出るくらいの浅植え。
<管理>
花が咲いたら葉が出てくるので、冬までは日当たりで管理。霜が降りる前に、
室内の凍らない日当たりに取り入れ、春また外に出す。
<施肥と植え替え>
肥料は春と秋にハイポネックスの液肥を月2回ほどでよく、植え替えは好ま
ないので3、4年に1回。
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(5)夏野菜の手入れと秋の準備
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ご自分で栽培し、完熟させたトマトやスイートコーンは本当においしいです
ね。こうした夏野菜こそ、家庭菜園の醍醐味のような気がします。ただ、トマ
トやキュウリは夏に弱りやすく、暑さが続くと、果実が小さかったり、奇形果
になりやすいものです。収穫の終わったトウモロコシやサヤインゲンともども、
畑を整理して、秋の準備にかかりましょう。
●畑を片付ける目安
種子まきの目安はダイコン(8月下旬〜9月上旬)、ハクサイ(8月中旬〜
9月上旬)、キャベツ・ブロッコリー(7月下旬〜8月上旬)、レタス(8月
下旬〜9月上旬)です。ハクサイやキャベツ類、レタスはポットにまいて育苗
するのですが、ダイコンは直播になります。ですから、ダイコンの種子まき時
期にあわせて、8月の中旬には畑を空け、準備をします。
●畑のならしと準備
(1)夏野菜を引き抜き、畑をよく掘り起こす。
(2)引き抜いた野菜の株や掘り起こした根は、すべて処分する。
(3)苦土石灰を1平方メートル当たり100〜200gばら撒き、スコップ
などでよく混ぜ合わせ、表面を平らにならす。
(4)1週間後に、1平方メートル当たり堆肥2kg、配合肥料100gくら
いを混ぜ合わせる。
●種子まき
まくのが少量の場合は、3号ポットに4、5粒まいて、発芽したら3芽に間
引く。用土は市販の培養土。時期的にアオムシ類がつきやすいので、寒冷紗の
トンネルをかぶせるとよい。
肥料は、発芽したら週1回液肥を与えるか、種子まき用土に配合肥料を少量
まぜておく。
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(6)季節の手入れポイント
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<花壇・ガーデニング>
日本の夏は高温多湿で、熱帯産の草花も夏負け気味です。暑さで弱って花数
が少なくなったペチュニア類、サルビア、マリーゴールドは枝を切り戻してお
きましょう。乾燥が続くときは、早朝や夕方にたっぷりと水やりします。特に
インパチエンス、トレニア、宿根バーベナは水切れに弱いですから注意しまし
ょう。ただ、水を頭からかけると、蒸れの原因になります。特に日が高くなっ
てからの水やりでは注意し、根元に与えるようにするのが肝腎です。
※協会のホームページ“季節の園芸作業[夏の園芸作業]”でハボタン、パン
ジー・ビオラの種子まきの方法を紹介しています。ご参照ください。
⇒ http://www.gardening.or.jp/colum/index.html
<花木・庭木>
夏は春咲きの花木類の花芽分化の時期です。ですから、今の時期に春咲きの
花木類の剪定をすると、花芽分化がうまく行えなくなったり、枝の中で出来た
花芽を切り落としてしまうことになります。夏の剪定は、徒長枝の切り詰めや
特に茂りすぎたところの枝を間引きにとどめます。
<花鉢物・観葉植物>
高温に高くなると、鉢の乾きが早くなり、水切れさせたときのダメージも大
きくなります。日当たりに出してある鉢は注意し、特に風の強い日は要注意で
す。水やりは朝早めにたっぷりと行います。鉢土が夕方までに乾いてしまう場
合は、夕方にも与えます。まだ土に多少湿り気が残っている場合は、葉水を与
える程度でよいでしょう。
また、暑さに強く、夏中花を咲かせ続けるハイビスカスやアブチロン、サン
タンカ、アメリカンブルー、ポーチュラカ、デュランタなどの鉢物は、肥切れ
しないように定期的に追肥しましょう。
<家庭菜園・ハーブ>
夏野菜の収穫の盛期です。株に元気がある間は、肥切れさせないよう2〜3
週間おきに定期的に追肥をあたえ、根元に土寄せしましょう。また、晴天が続
くときは土が乾燥しすぎないように、涼しい朝か夕方にたっぷりと水やりしま
しょう。
なお、ナスは枝が込み合ってくると収穫が悪くなります。枝を順次1/2
〜1/3ほど切り戻してやると、秋によいナスが収穫できます。併せて株元か
ら30〜40センチ離してスコップを突き刺して根切りし、1株あたり化成
肥料を1握りほど追肥しておきましょう。
暑さが続くと、トマトやキュウリ、サヤインゲンなどは弱ってきて、よい
果実が取れなくなります。そろそろ、次作の準備の時期になります。
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「第7回全国ガーデニングコンテスト2004」へたくさんのご応募ありが
とうございました。この場をお借りして、ご応募いただいた皆様に厚く御礼申
し上げます。
審査結果は、9月の中旬に、日本園芸協会のホームページなどで発表いたし
ます。
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