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2004年8月28日号 トップページへ 最新号

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    園芸ファン通信      【Vol.52】  2004年9月27日号

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 浅間山の噴火に、紀伊半島・東海沖の双子地震と続くと、ちょっと物騒な感
じがしますね。台風の襲来が多いのも気になります。そうこうしているうちに、
気温もだいぶ落ち着いてきた感じで、秋の園芸シーズンも佳境に入ったようです。

■■■■■■■■■■■■■■■今号の目次■■■■■■■■■■■■■■■

(1)家庭菜園の強い味方
    ―――コンパニオンプランツを利用しよう 

 (2)クリスマスをきれいに色付かせる
  ―――ポインセチアの短日処理

 (3)花壇や菜園病害虫がてきめんに少なくなる
  ―――冬の天地返しの上手なやり方

 (4)来年も一杯収穫するための果樹のお礼肥え
  
 (5)これで今年もよい花が咲く
  ―――夏越ししたシクラメンの植え替え

(6)季節の手入れポイント
  ―――花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、
          家庭菜園・ハーブの手入れ管理ほか

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(1)コンパニオンプランツを利用しよう 
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 一緒に植えておくと病害虫の発生が抑えられたり、生育がよくなる植物の組
み合わせがあります。これをコンパニオンプランツ(共栄植物)といいます。

 コンパニオンプランツにはハーブ類やタマネギ・ニラ・ニンニクなど、香り
が強い種類が知られています。その香り成分が害虫を忌避させたり、病気の発
生を抑えてくれるようです。ただ、植物の組み合わせによっては、逆効果とな
る場合もありますので、注意しましょう。今年は、コンパニオンプランツを使
って、上手に野菜を栽培しましょう。

<コンパニオンプランツの例>
・キャベツ類と相性のよい種類―カモマイル・ミント類、タイム、ローズマリー
・イチゴと相性のよい種類――タマネギ、ボリジ、ナスターチウム
・ニンジンと相性のよい種類――チャイブ、コリアンダー、セージ
・タマネギ――カモマイル
・エンドウ(マメ類)――ローズマリー、ワイルドストロベリー

<相性の悪い例>
・キャベツとボリジ 
・タマネギ(ネギ類)とマメ類

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(2)ポインセチアの短日処理
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 去年のクリスマスから冬の間に楽しんだポインセチアを、今年もきれいに色
づかせるには、短日処理を行うのが確実です。

<短日処理とは?>
 1日のうちで、夜が長いときを短日といい、逆に昼の長いときを長日といい
ます。ポインセチアのように、夜の期間が長くなると花を付ける性質の植物を、
短日性植物といいます。

<短日処理をするわけ>
 短日性の植物は、秋になると自然に花芽をつけるのですが、ポインセチアな
どは、建物の照明や街路灯などに反応して短日になったのに気が付かず、クリ
スマスまでにうまく色づいてくれないことが多くあります。そこで、人工的に
光を遮断して確実に短日状態にすることが必要になります。

<短日処理の方法>
 夕方の5時から朝の9時くらいまでの間、株がすんなり入る程度の大きいダ
ンボールをかぶせて光を遮断します。これを毎日繰り返します。そうすると、
1か月から1か月半もすると、花芽ができ、包葉が色づいてきます。そうした
らもう、光に当ててかまいません。

 なお、あまり株が大きいとダンボールをかぶせにくくなるので、初夏に挿し
芽をして株を更新し、その株を育てて8月中下旬に摘芯をして枝を出させるよ
うにすると手ごろな大きさに仕上がります。

<カランコエの場合は>
 同じ短日性植物のカランコエも同じ時期に短日処理をすると、クリスマスこ
ろに花を咲かせることができます。短日処理の期間は1か月でよいでしょう。

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(3)宿根草や熱帯花木の挿し芽・挿し木 
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 残暑がひと段落すると、挿し芽・挿し木の時期です。宿根草類や熱帯花木の
伸びすぎた枝や茂りすぎた枝は、切り取って挿してふやしましょう。また、ニ
ューギニア・インパチエンスやポーチュラカなど寒さに弱い宿根草は、秋に挿
し芽した苗で越冬させると、場所をとらず便利です。

<挿し芽・挿し木できる種類>
 ユーリオプシス・デージー、マーガレット、木立ベゴニア、ストレプトカー
パス、トラディスカンチア、ヘリオトロープ、ニューギニア・インパチエンス、
クジャクサボテン、ハイビスカス、フクシア、ハーブのミント類、タイム類、
セージ類、マジョラム、ラベンダー類、ローズマリーなど

<挿し芽の仕方>
・用土 
 清潔な川砂、バーミキュライト、鹿沼土など 

・挿し床 
 駄温の平鉢、イチゴパック(底に水抜きの穴を開ける)

・穂木の調整と水揚げ 
 切り口を刃の鋭いナイフやカミソリで切り戻し、穂木の長さを7、8センチ
に調節します。茎の下1/3ほどの葉を切り除き、1時間ほど水を入れたコップ
などに差して水揚げします。

・挿し方 
 箸などで穴を開けてから、穂木を1/4〜1/3挿しこみ、元を指で押えます。

・挿し芽後の管理 
 細かめのジョウロで、たっぷりと水やりし、あとは強い風の当たらない半日
陰のところで管理します。挿し床の表面が乾きかけてきたら、細かめのジョウ
ロで水やりします。早いものなら2、3週間、遅いものでも1か月半ほどで発
根します。

・発根後の管理 
 新しく芽が動いてきたら、根が出ていることを確かめ(根元の土を少し掘っ
てみる)、薄い液肥(規定の2倍)を与えます。冬はそのままの鉢で冬越しさ
せます。寒さに弱い種類は室内で、寒さに強い種類も、風の当たらないところ
で保護したほうがよいでしょう。

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(4)果樹・花木のお礼肥え
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 ブルーベリー、ウメやサクランボ、モモ、早めに収穫の終わったナシやクリ
などの果樹類と、夏咲きの花木にはお礼肥えを施しましょう。

<施す肥料の種類>
 果樹にはチッ素分の多い即効性の化成肥料を、花木類は3要素等量混合くら
いの化成肥料か有機配合肥料を与えます。

<施す量と与え方>
 果樹類では、寒肥の時の半分くらいを、花木では、成木で軽く2握りくらい
を根回りに浅く溝を掘って埋め込みます。

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(5)夏越ししたシクラメンの植え替え
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 暮れから春まで長期間咲き続けてくれたシクラメン、うまく夏越しできまし
たか。今の時期に植え替えれば、暮れから1月ころに花が上がりだします。購
入株と比べると、花は小輪になりますが、上手に管理すれば、ボリュームたっ
ぷりのシクラメンが楽しめます。

<水やりしないで休眠させた株> 
 球根が硬くしまっていれば、夏越し成功です。9月上中旬に新しい用土で植
え替えます。

●植え替えの方法
(1)株を鉢から抜きます
(2)古い土を根を引っ張らないように丁寧に落とします
(3)土を落としたら、根の先を1/3ほど切り詰めます
(4)新しい用土(赤玉土6に腐葉土または完熟堆肥4の混用土、または市販
   の培養土でもよい、いずれもネニサンソなどの根腐れ防止剤を1掴みほ
   ど混ぜ込みます)を用意します
(5)底にごろ土を1/4くらい入れ、土を少し入れます
(6)根を広げて、根の間に土がよく入るように植えます
(7)植える深さは、球根の1/2〜2/3が土から出る程度です
(8)球根の最上部が鉢の縁よりほんの少し低くなるようにします
(9)植え終わったらたっぷりと水やりします

●植え替え後の管理
 半日陰の場所で1週間くらい養生させます。その後は、よく日の当たる雨の
当たらない場所で管理します。

●肥料の与え方
 シクラメンは肥料を好みますので、肥切れしないように与えます。まず、植
え替え時にマグアンプK(小粒)などの緩効性の固形肥料を2つまみほど土に
混ぜて元肥とし、芽が動いてきたらハイポネックスなどの液体肥料を週に1回
追肥します。

<休眠させなかった株>
 葉が多数付いていて、球根の頂上部に新しい葉芽や花芽が動き出していれば
夏越し成功です。

●植え替えの仕方
 根鉢を崩さないようにそっと鉢から抜き、無理なく落とせる土だけを落とし
(1/3程度)、一回り大きい鉢に新しい用土で植え直します。
 用土は、前記のものでよいでしょう。植え替え後の管理や肥料の与え方も同
様にしてください。
  
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(6)季節の手入れポイント
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<花壇・ガーデニング>
 そろそろ、来年の春花壇の設計を決める時期で、普通はチューリップやスイ
センなどの秋植え球根を中心にすることが多いのですが、望みのものがうまく
入手できるかが問題です。メーンの球根に、どの草花を組み合わせるか、また、
花色や草丈など、案を複数作っておくとよいでしょう。
 また、秋の種子まきは、日中の最高気温が25℃以下になったころが目安で
す(例年ですと、9月15日前ごろ)。早めに準備をしておきましょう。

*協会のホームページ“季節の園芸作業”の9月号に「秋植え球根の植え方」
と「秋の種子まき」が載っています。ご覧ください。
⇒ http://www.gardening.or.jp/colum/index.html

<花木・庭木>
 台風にはまだまだ警戒が必要ですね。これからの時期は、台風のきにくかっ
た東日本も警戒が必要になります。台風対策を済ませていないかたは、早めに
済ませましょう。

 クチナシ類ではオオスカシバの発生期です。油断すると丸裸にされてしまい
ますから、スズメバチに似たガが飛んでいたら要注意です。

<花鉢物・観葉植物>
 シュウメイギクの鉢物を入手した場合は、すぐに二回りほど大きな鉢に、土
をあまり崩さずに植え替えるのが得策です。そうすれば、根詰まりよる水切れ
が防げて、花が長く楽しめます。

 短日(夜が長くなる)で花芽形成するポットマムやポインセチア、初恋草、
カランコエには夜間の照明を避けましょう。ミヤコワスレやシャコバサボテン
も花芽形成時期です。よく日に当てるようにし、水やりを控えめにします。や
はり充実期のノビル系デンドロビウムやオンシジウムも同様の管理です。夏の
間、半日陰に移しておいた鉢物類も、直射日光に弱いもの以外は日向に出すよ
うにします。

 <家庭菜園・ハーブ>
 今月も秋冬野菜の種まきの時期。ダイコン、ハクサイ、レタスは9月上旬ま
でにまくようにしましょう。シュンギクは10月上旬、ホウレンソウは10月
一杯にまけばよいでしょう。キャベツやブロッコリーの苗は9月上旬に畑に定
植します。ナス、ピーマン、オクラは中旬に化成肥料を追肥し、土寄せしてお
きます。

 ハーブでも残暑が収まり、気温が25度以下になったら種子まき、挿し木が
できます。また、花茎の出てきたバジルや夏越しできたナスターチウムは、切
り戻ししておきましょう。

【花見案内】
*協会のホームページ“季節の園芸作業”の9月号に「コスモスの名所案内」
が載っています。ご覧ください。
⇒ http://www.gardening.or.jp/colum/index.html

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 『植物博物館』は、日本園芸協会が運営するインターネット上の博物館です。
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最後までお読みいただいてありがとうございます。

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