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    園芸ファン通信      【Vol.33】  2003年7月28日号

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 今年の梅雨は例年よりも長く、気温も低かったようですね。でも、そろそろ
全国的に梅雨明けになりそうな気配です。

 さて、「梅雨明け10日」と言うように、梅雨明け直後の10日間は天気が
安定し、晴れの日が続くことが多いものです。急に強い日差しがさすようにな
ると、鉢植えなどでは、葉焼けや、水の蒸散が多くなって水切れをおこすこと
があります。注意しましょう。

 今回は、留守の多くなる夏のお出かけ前の鉢物のお手入れ、涼しい夏を演出
する小さな池の作り方、梅雨明けの病害虫の駆除法、秋咲き球根の植え付け、
夏野菜の手入れと秋に向けての畑の準備などについてお届けします。

■■■■■■■■■■■■■■■今号の目次■■■■■■■■■■■■■■■

(1)旅行中もこれで万全!!
  ―――鉢物の水切れ対策

(2)夏を涼しく演出!!
  ―――小さな池を作って水草を育てる

(3)幹を食い荒らすテッポウムシに注意!!
  ―――大切な木を枯らさないための夏の害虫防除

(4)今植えれば、すぐ秋に花が咲く
  ―――リコリス類、アマリリス・ベラドンナの植え付け

(5)早めの準備が秋に実る
  ―――夏野菜の収穫と秋の菜園の準備

(6)季節の手入れポイント
  ―――花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・
     ハーブ

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(1)旅行中の鉢物の水やりは大丈夫ですか?
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 夏は、帰省や家族旅行などで家を空けることが多いものです。1、2日なら
ばよいのですが、長くなるようなら、鉢物の水切れ対策を考えておきましょう。

 <比較的乾きに強い観葉植物や洋ラン類>
 ゴムノキ、ベンジャミン、シェフレラ、カトレア、シンビジウム、デンドロ
ビウムなど比較的乾きに強い植物は、出かける前に2、3日たっぷりと水やり
してから、木陰や棚下など直射日光が当たらない場所に移せばよいでしょう。

 帰ってきたら、またたっぷりと水やりをしましょう。葉の大きな観葉植物で
は、葉を多少切っておくのも効果的です。

 <普通の鉢物>
 普通の鉢物は水が切れると、立ち直れませんから気をつけましょう。特に鉢
が小さいと危険です。こうしたものは、庭の半日陰のところに鉢より一回り大
きくやや深めの穴を掘り、その中に鉢をいれてからたっぷり水やりします。

 穴の底から水が抜けるのを確認してから、土を戻して鉢を埋め、もう一度たっ
ぷり水をやります。1週間ぐらいなら、これで保つはずです。帰ってきたら掘
り出して、土が乾いているようなら、水やりしてから元の場所に戻します。

 <ベランダなどで、庭がない場合>
 強い直射日光が当たらない場所があれば、タライや大きめのバケツに雑巾な
どを敷き詰め、その上に鉢を置き、水を鉢の底が1/5くらい浸るように入れ
ます。これでだいたい2〜4日くらい持たせることができるはずです。あらか
じめ、どのくらい保つか試しておきましょう。

 直射日光が当たる場所しかない場合は、室内のなるべく温度が低い場所に上
記のセットを作ることになります。室内は蒸れやすいのですが、完全に水切れ
させて枯らすよりは、まだましでしょう。風呂場や台所のシンクなどで、タイ
マーで換気扇を動かせるようですと、蒸れも少なくなります。

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(2)夏に涼しげな水草をつくろう
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 庭やベランダに、小さくても池を設けると、雰囲気が変わりますね。その中
に、水草などを植えれば、ちょっとしたビオトープガーデンになります。

 <池>
 本格的ならばスイレン鉢がよいのですが、最近は陶器の色合いに似せたプラ
スチック池が出回っていますので、これを利用するのもよいですね。

 <植える植物の種類> *括弧の中は鑑賞部位
・湿地性の種類
 ハンゲショウ(葉)、ミソハギ(花)、シラサギスゲ(花)、トクサ(茎)、
セキショウ(葉)

・抽水性の種類
 パピルス(葉)、フイリヨシ(葉)、ガマ(葉)、フトイ(葉)、オモダカ
(葉と花)、クワイ(葉)、チャワンバス(花と葉)

・浮遊性の種類
 ボタンウキクサ(葉)、ホテイアオイ(葉と花)

・浮葉性の種類
 スイレン(花)、コウホネ(葉)、ウォーターポピー(花)

 <植え方>
 植物は、直接池に植えるのではなく、一つの種類ずつ鉢に植えて、池に入れ
ると管理が楽です。土は田土か荒木田土がよいのですが、なければ赤玉土でも
よいでしょう。それぞれ、腐葉土を2、3割ほど混ぜて用います。花物以外は、
締めて小さく育てる方が風情がありますので、肥料は入れません。

 <鉢の置き方>
 鉢の下にレンガを置いたり、高さの違う鉢を用いて、高低の変化をつけましょ
う。また、湿地性の種類は根元が水面からちょっと出るように、抽水性の種類
は鉢の表面が水面から4、5センチ、浮葉性の種類は水面から10センチほど
下になるように配置します。

 <管理>
 日光が直接、水面に当たると水温が高くなりますので、葉が茂ってくるまで
は注意しましょう。水が汚れたり藻が繁殖するようなら2、3週間に1回、半
量くらいずつ水替えします。

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(3)庭木・果樹の病害虫防除
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 梅雨が明けても、害虫の防除は怠れません。特にこの時期は、幹に侵入して
中を食い荒らす害虫の発生時期で、要チェックです。

 <コスカシバ>
 幼虫が樹木類の幹に侵入して、中を食い荒らすガの類です。幹に樹脂が出て
いたり、ノコカスみたいなものが付いていたら要注意です。

 樹脂やカスを取り除き、出てきた穴にスポイトなどでスミチオン乳剤(50
倍液)を注入しましょう。予防にはサッチューコートSなどを幹に塗布します。
サクラ、ウメ、モモなどは特に注意です。

 <テッポウムシ>
 カミキリムシの幼虫で、やはり幹や根に進入して食い荒らす害虫です。対策・
予防はコスカシバと同じです。シイ・カシ類、クリ、イチジク、ブドウ、カエ
デ類は注意しましょう。

 <アブラムシ・カイガラムシ>
 枝が茂っていると発見が遅れて被害が大きくなるので気をつけましょう。浸
透移行性のエカチン乳剤か、スミチオン乳剤(ウメ、カエデは薬害が出やすい
ので避ける)を散布します。

 <ハダニ>
 高温乾燥期は大きな被害がでます。水やりのときに、葉裏まで強くスプレー
すると効果があります。または殺ダニ剤の散布をします。

 <カキのヘタ虫>
 8月中にスミチオン乳剤を2回散布しましょう。

 <チャドクガ>
 夏が2回目の発生時期です。早めに見つけてスミチオン乳剤を散布します。
ツバキ・サザンカ・チャに注意しましょう。

 <ベニモンアオリンガ>
 ツツジ・サツキ類、シャクナゲ類で、開花時期になっても蕾が開かないで終
わってしまうのは、この害虫が蕾に食入し中を食い荒らしたからです。予防の
ため8、9月にスミチオン乳剤を月2回散布しましょう。

 このほか、病気ではサルスベリやサンシュユのうどんこ病(モレスタン水和
剤、ベンレート水和剤)が目立ちます。なお、薬剤の散布は、風のない晴れた
日の気温の低い早朝か夕方に行いましょう。

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(4)秋咲き球根の植え付け
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 土の中から、いきなり蕾をもたげて鮮やかな花を咲かせてくれるリコリスや
アマリリス・ベラドンナは、庭の表情を一変させてくれる魔法の球根類です。
今がこの秋咲き球根の植え付け時期です。

 <リコリス類>
 ヒガンバナの仲間で、英語では花びらが細長いのでスパイダーリリーと言い
ます。日本や中国原産なのに、エキゾティックな感じがします。欧米の改良種
が出回るようになってバラエティーが増えました。

・植え場所
 日当たりと水はけがよい肥沃地に植えます。夏に乾燥しないところがベスト
です。明るい落葉樹の下などでもよいでしょう。日本原産のショウキランやシ
ロバナヒガンバナは関東地方以南の暖地向きです。

・植え時期
 なるべく早めに、8月中旬には植え付けます。

・植え方
 植える前にあらかじめ堆肥をすきこんでおき、根を広げて植えます(リコリ
ス類は休眠中も根が生きているので、根を切らないように)。株間は10〜15
センチ、覆土は球根1球分です。

・管理
 花後に、有機配合肥料を1掴み株元にすきこめばよいでしょう。

・鉢植え
 6、7号鉢に3〜5球植えます。ナツズイセンなど大球性の種類は1〜3球
がよいでしょう。植え替えは毎年か2年に1回で、夏も土をあまり乾かさない
ようにしましょう。

*協会のホームページ“季節の園芸作業”にリコリスの植え方のイラストが
載っています。ご覧ください。
=> http://www.gardening.or.jp/colum/index.html#lyco

 <アマリリス・ベラドンナ>
 南アフリカ原産で、香りのよい大輪で瀟洒な花で人気があり、別名はベラド
ンナリリーと言います。リコリス類よりも寒さに弱いので鉢植えが無難です。
関東地方以南の暖地ならば庭植えもできます。

・植え時期
 早い時期がよく、遅くとも8月中旬頃までに植え付けます。

・用土と鉢
 チッソ分の多い用土を嫌うので、市販の培養土ではなく、川砂か赤玉土に腐
葉土を2割くらい入れた用土を調合します。鉢は、球根類よりもやや大きい程
度の小さめの鉢にします。

・植え方
 球根の先が出るくらいの浅植えにします。

・管理
 花が咲いたら葉が出てくるので、冬までは戸外の日当たりで管理します。霜
が降りる前に、室内の凍らない日当たりに取り入れ、春にまた外に出します。
葉が枯れてきたら、日の当たらない涼しい場所に移し、水やりも月に1回くら
いにします。

・施肥と植え替え
 肥料は春と秋にハイポネックスの液肥を月2回ほど与えればよく、植え替え
は好まないので3、4年に1回でよいでしょう。

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(5)夏野菜の手入れと秋の準備
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 夏野菜の最盛期ですね。採りたてのトマトやスイートコーンの味はいかがで
したか。夏野菜こそ、家庭菜園の醍醐味のような気がいたします。

 ただ、トマトやキュウリは夏に弱りやすく、暑さが続くと、果実が太らなかっ
たり、奇形果になりやすいものです。よい果実がならなくなったら、早めに畑
を整理して、秋の準備にかかりましょう。

 <畑を片付ける目安>
 種子まきの目安は、ダイコン(8月下旬〜9月上旬)、ハクサイ(8月中旬
〜9月上旬)、キャベツ・ブロッコリー(7月下旬〜8月上旬)、レタス(8
月下旬〜9月上旬)です。

 ハクサイやキャベツ類、レタスはポットにまいて育苗するのですが、ダイコ
ンは直まきですから、ダイコンの種子まき時期にあわせて、8月の中旬には畑
を空け、準備をするとよいでしょう。

 <畑のならしと準備>
1.夏野菜を引き抜き、畑をよく掘り起こします。

2.引き抜いた野菜の株や掘り起こした根は、すべて処分します。

3.苦土石灰を1平方メートル当たり100〜200グラムばらまき、スコッ
  プなどでよく混ぜ合わせ、表面を平らにならします。

4.1週間後に1平方メートル当たり堆肥2キログラム、配合肥料100グラ
  ムくらいを混ぜ合わせます。

 <種子まき>
 まくのが少量の場合は、3号ポットに4、5粒まいて、発芽したら3芽に間
引きます。用土は市販の培養土です。時期的にアオムシ類がつきやすいので、
寒冷紗のトンネルをかぶせるとよいでしょう。

 肥料は発芽したら週1回、液肥を与えるか、種子まき用土に配合肥料を少量
まぜておきましょう。

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(6)季節の手入れポイント
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 <花壇・ガーデニング>
 日本の夏は高温多湿で、熱帯産の草花も夏負け気味です。暑さで弱って花数
が少なくなったペチュニア類、サルビア、マリーゴールドは枝を切り戻してお
きましょう。

 乾燥が続くときは、早朝や夕方にたっぷりと水やりします。特に宿根バーベ
ナやトレニアは水切れに弱いですから注意しましょう。ただ、水を頭からかけ
ると、蒸れの原因になります。特に日が高くなってからの水やりでは注意し、
根元に与えるようにするのが肝腎です。

*秋冬花壇用のハボタンの種子まきの方法、パンジー・ビオラの種子の種まき
前の冷蔵処理の方法を前号で紹介しています。ご参照ください。
=> http://www.gardening.or.jp/colum/index39.html#tane

 <花木・庭木>
 今年の梅雨は長かったですね。その分、病気の発生も多かったようです。病
気が出た場合、薬剤散布を行い、病葉や落葉はきれいに始末しておきましょう。

 また、台風対策のため、茂りすぎたところの枝は間引きして風通りをよくし、
今年植え付けた木や根が弱っているものには、しっかりとした支柱を立ててお
きます。

*協会のホームページ“季節の園芸作業”に夏の病害虫防除のポイントが載っ
ています。ご覧ください。
=> http://www.gardening.or.jp/colum/index.html#bojyo

 <花鉢物・観葉植物>
 日当たりに出してある鉢は、水切れに注意しましょう。水やりは朝早めにたっ
ぷりと行います。鉢土が夕方までに乾いてしまう場合は、夕方にも与えます。
まだ土に多少湿り気が残っている場合は、葉水を与える程度でよいでしょう。

 鉢土が早く乾きすぎる場合は、鉢一杯に根が回っているか、地上部に比べて
鉢が小さすぎるものですので、根鉢を崩さないように一回り大きな鉢に植えな
おすとよいでしょう。

 暑さに強く、夏中花を咲かせ続けるハイビスカスやアブチロン、サンタンカ、
アメリカンブルー、ポーチュラカ、ヂュランタなどの鉢物は、肥切れしないよ
うに定期的に追肥しましょう。

 <家庭菜園・ハーブ>
 夏野菜の収穫の盛期です。株に元気がある間は、肥切れさせないよう、2〜
3週間おきに定期的に追肥をあたえ、根元に土寄せしましょう。また、晴天が
続くときは土が乾燥しすぎないように、涼しい朝か夕方にたっぷりと水やりし
ましょう。

 なお、ナスは枝が込み合ってくると、収穫が悪くなります。枝を順次1/2
〜1/3ほど切り戻してやると、秋によいナスが収穫できます。併せて株元か
ら3、40センチ離してスコップを突き刺して根切りをし、1株あたり化成肥
料を1握りほど追肥しておきましょう。

 暑さが続くと、トマトやキュウリ、サヤインゲンなどは弱ってきて、よい果
実が取れなくなります。そろそろ、次作の準備の時期になります。

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