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2003年11月28日号 トップページへ 最新号

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    園芸ファン通信      【Vol.40】  2003年12月19日号

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 年の瀬も押しせまってまいりました。今年も、新型インフルエンザの流行に、
イラク戦争やテロ、日本では冷夏による米不作など、いろいろな出来事があり
ましたね。園芸・ガーデニング世界では、あまり大きなトピックスはなかった
ようですが、あなたの場合はいかがでしたでしょうか。

■■■■■■■■■■■■■■■今号の目次■■■■■■■■■■■■■■■

(1)追肥、葉組み、花がら摘みで長く咲かせる!!
    ―――シクラメン、プリムラ類、シンビジウム、ベゴニア類の管理

(2)年内にぜひ行いたい庭の手入れ
    ―――モミジ・カエデ類の剪定

 (3)湿度保持が決めて
    ―――正月用ウメ盆栽の咲かせ方

(4)人気の花・クリスマスローズ
    ―――交配親に用いたい種類!?

(5)季節の手入れポイント
  ―――花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

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(1)花鉢物の手入れ 
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 入手した花鉢物には、1週間位したら、追肥を施しましょう(シンビジウム、
ポインセチア、クリスマスカクタスなどの1季咲きの種類には不要)。
液肥なら、2週間に1回、緩効性固形肥料なら月に1回一つまみほどです。
また、花がらはまめに摘み、株の負担を少なくすることも大切です。

●シクラメン 
葉組みをしましょう。花を真中に集め、代わりに大きな葉を外側に持ってゆき
ます。そうすると光が中にまで入るようになり、葉の交代もスムーズで花が途
切れなく咲きつづけてくれます。

枯れた花や黄色になった葉は、強引に引っ張って抜かず、萎れて抜けるように
なってから整理しましょう。

●プリムラ類 
オブコニカはシクラメンと同じく葉組みをしましょう。ポリアンサは、葉の
裏から花が上がることがありますから、花を真中に集めるようにし、終わっ
た花は先の細いハサミで、下のほうから切り取ります。

また、オブコニカやマラコイデスで、花茎が多く上がってきたら、先に咲いた
茎から切りとって切花にして楽しむようにすると、順調に咲きつづけてくれます。

●シンビジウム 
花はだいぶ咲き進みましたか。最後の蕾が開くまではよく日に当てるようにし
て、全部開いたら場所を移してもよいでしょう。この段階で切花にすると、株
の回復が早くなります。また、萎れた花は1つずつこまめに摘み取りましょう。

●ベゴニア類 
クリスマスベゴニアやエラチオールベゴニアも、春まで長く咲きつづけてくれ
る種類です。花がらをこまめに摘み、追肥も必ず行います。なお、ベゴニア類
は上の3種よりも、高めの温度(12、3℃以上)を好みますので、やや暖かい
部屋に置きましょう。

(これから購入される場合は、協会のホ−ムページ・季節の庭園仕事12月号
か11月号をご覧ください。購入するときのチェックポイントが載っています)
=> http://www.gardening.or.jp/colum/index.html
=> http://www.gardening.or.jp/colum/index55.html

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(2)モミジ・カエデ類の剪定
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 庭木・花木のお手入れはおすみですか。まだ行っていない場合は協会の
ホ−ムページ・季節の庭園仕事12月号をご覧ください。マツやヒバの手入れ、
ウメやアジサイの剪定の仕方が載っています。
=> http://www.gardening.or.jp/colum/index.html#hachi

 年内に、ぜひ済ませておきたいのは、モミジ・カエデ類の剪定です。
 モミジ・カエデ類は根の活動が早く樹液の流れが早いので、剪定は落葉後早
めに、なるべく年内にすませておきたい種類なのです(遅くても1月いっぱい
くらい)。

 モミジ・カエデ類は、自然樹形で育てる樹種ですから、あまり強い剪定は必
要ないのですが、夏に出た徒長枝や立ち枝は基から間引き、伸びすぎた枝は2、
3節で切り詰めます。込みすぎたところの枝も整理しましょう。

太い枝を切る場合は、枝が枯れ込んで腐れが入って洞(うろ)になってしまう
ことがありますから、なるべく枝の根元から切り、切口にはツギロウやトップ
ジンMなどの癒合剤を塗るようにします。

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(3)正月用の鉢物の手入れ 
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 お正月が近くなると、和風の鉢物が多くなります。
 梅、放春花(ボケ)、福寿草、松竹梅や七草の寄せ植え、千両、万両、唐橘
(カラタチバナ)など、名前だけで目出たさが漂うような気がしますね。

<入手した鉢の手入れポイント>
●置き場所
よく日が当り、強い風の当らないところ。室内に置く場合は、直接暖房の風が
当らないところを選びます。センリョウ、マンリョウ、カラタチバナなど緑の
葉のきれいな種類は、観葉植物的にリビングにおいても楽しめます。

●暖房に注意 
ウメなどで蕾が大きくなっている鉢は、温かい室内に置いておくと正月前に咲
いてしまうことがあります。この場合は、やや温度の低いところで管理します。

●水やり 
土の表面が乾いてきたら、たっぷりとあたえます。

●霧吹き 
ウメは、空気が乾燥している室内に置くと蕾が落ちたり、うまく蕾が開かない
場合がありますが、これは湿度不足。朝晩、霧吹きで軽くスプレーしたり、夜
間だけ、頭からビニール袋を被せて保湿すれば、ちゃんと咲いてくれるはずで
す。
フクジュソウの固い蕾は、ピンセットなどで蕾の先を少し開いてやると、咲き
やすくなります。

●花後の管理 
花が終わった鉢は、外に出しましょう。マンリョウなどは関東以北では寒がり
ますので、室内の明るい窓辺などで春まですごさせます。果実はそのままつけ
ておくと、株が弱りますので、2月になったら切り取るようにします。

≪注意≫
フクジュソウの長い根を切り詰めて、無理やり鉢におさめた寄せ植えに気をつ
けましょう。根から水が吸えず、花が開かないで終わってしまうのです。見た
目で見分けるのは、まずできません(ちょっと蕾が元気なく萎れ加減ですが)。
いつも利用している、信用できるお店で求めるようにしましょう。
なお、フクジュソウの鉢植えは、春になったら一回り大きな鉢か庭に下ろします。

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(4)クリスマスローズの話  
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 今、もっとも盛り上がっている花というと、クリスマスローズの仲間
(キンポウゲ科ヘレボルス属Helleborus)ですね。今年の春には、
神代植物公園などで単独の展示会が開かれていました。これから花の
少なくなる冬のシーズンに、庭で咲いてくれるのですから貴重な種類です。
今回は、このクリスマスローズの話題を探ってみました。


●本当にクリスマスローズ? 
ご存知のように、「クリスマスローズ」という名前なのにクリスマスの時期に
は、あまりこの花を見かけませんね。

これは、クリスマスローズの名前のもとになったニゲル(H.niger)という種類は、
低温の期間を経験しないと花が開かない性質があるため、日本では、クリスマ
スシーズンに花が間に合わないことが多いのです(ヨーロッパではクリスマス
頃に咲きます)。

その上、ニゲルは小株性で花も小輪で、やや地味なためということもあります
(個人的には、花は純白色で可愛らしいと思うのですが)。

●クリスマスローズの人気種
ヘレボルスの中のオリエンタリス(H.orientalis)という原種を中心に交配改
良された「ヘレボルス・オリエンタリス・ハイブリッド」という交雑種が現在
の主流です。

この系統は強健で育てやすく、花は大輪で花色も豊富、花期は早春(2〜3月)
です。最近は、改良が進み、八重咲きや覆輪などの品種も出回って人気を呼ん
でいます。

●クリスマスローズの秘密!! 
強健で育てやすい種類が多いクリスマスローズですが、日本の普通の植物とは
ちょっと違った性質があります。それは、「冬成長型」の植物ということ。

「冬成長型」の植物は、秋から春までが生育期で、冬、温暖で雨の多い地中海
性気候の植物に多くみられます。代表格は、よくご存知のシクラメン。チュー
リップやクロッカスなどの秋植え球根もこの性質です。ただ、クリスマスローズ
は一年中、葉が付いている多年草なので、夏も完全には休眠していないのです。

栽培は、この「冬成長型」ということを理解すると、よくできます。

●長い花期のわけ  
クリスマスローズがなかなか散らないのには驚きますね。それには、実は“わけ”
があるのです。

クリスマスローズの花びらに見えるのは、じつは「がく片」で、本来の花びらは
退化しています。この「がく片」が、開花後も落ちず残っていて2か月くらい
退色しないのです。

キンポウゲ科の植物には、花びらのない花を咲かせる種類が多いのですが
(クレマチスやアネモネの仲間など)、これほど鑑賞期間の長いものはありません。

●自分だけの花を咲かそうー実生の勧め 
クリスマスローズは種子をまくと、大体3年で花が咲きます。交配実生して、
あなただけの花を作出しましょう(交配の仕方や種のまき方は、時期にあわせ
てお知らせします。

なお早咲きのニゲルを交配に使う場合は、花粉をパラフィン紙などにつぶさない
ように包み、冷蔵庫で保管して用います)。

<交配に使いたい種類>
●ヘレボルス・チベタヌス( H.thibetanus )
ヘレボルスの中では珍しい夏に落葉する種類で、花色は明るい桃色か白色で
優しい感じの花姿。うまく交配育成できれば、これまでのクリスマスローズの
イメージを一新した花が咲いてくれるのではと、期待できます。

このチベタヌスは、ほかのヘレボルスがヨーロッパ・西アジアに分布するのに、
唯一つ中国(中国西南部)に自生する種類で、1991年に再発見されました
(最初は1869年に発見)。栽培方法は、まだはっきりとは分っていませんが、
雨避けをして、やや乾かし気味にした株は夏越ししてくれました。

…余談ですが、ハリーポッターの映画で有名になったマンドラゴラも主に南
ヨーロッパ原産で、冬成長型の植物です。ヘレボルスと同様に1種だけ中国に
分布する(M.caulescens)というのも不思議ですね。

●ヘレボルス・オドルス( H.odorus )
ヘレボルスの中では貴重な芳香性原種。花は黄緑色。バルカン半島原産。
クリスマスローズがよい香りを放つようになれば素晴らしいですね(すでに、
オドルスはオリエンタルハイブリッドの交配に使われていますが、まだ芳香の
強い品種は生まれていないようです)。

この2種は大きな園芸店やクリスマスローズ専門店、ネットショップ(園芸
ネットなど)を探すと、見つかるはずです。

<クリスマスローズの栽培ポイント>
(1)適地は半日陰の水はけのよい肥沃地、落葉樹の下など。
   風通りがよく、夏涼しいところ。

(2)用土には腐葉土か堆肥をすきこんでおき、石灰を一掴み混ぜる

(3)鉢植えは根が大きいのでやや大きめの深鉢に植え、2年で植え替える

(4)鉢植えは、夏はやや水やりを控える

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(5)季節の手入れポイント 
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<花壇・ガーデニング>
今年は雪の降り出しが遅かったようですが、さすがに寒波が張り出して、西高
東低の気圧配置の日が増えてきました。北の地方では、根雪になってしまった
たところも多いようです。

南の地方では、冬花壇を作ってしまえば、とりあえず春まで作業は一休みです。
陽だまりの花壇では、アブラムシがつくことがありますので、見つけ次第、
指でつぶすかスミチオン乳剤などの薬剤を散布して退治しましょう。

<花木・庭木>
落葉樹は葉を落とし、常緑広葉樹や針葉樹も休眠に入ると冬の剪定シーズンに
なります。お正月をすっきりとした庭で迎えるためにも、マツやヒバ類などの
針葉樹や落葉の花木・果樹などの剪定をすませましょう。

また冬の薬剤散布の適期に入ります。年内にマシン油乳剤を散布し、1ヵ月
ローテーションをとって石灰硫黄合剤を散布するスケジュールが考えられます。

<花鉢物>
鉢物の種類が多くなる時期です。ただ、値段はクリスマスシーズンの盛期で
一番高いですから、いっそうクリスマスが終わるまで待って、値段が落ちてから
購入したほうがよいかもしれませんね。ただ、その分、品種や色数は少なく
なりますが。

また、ウメや松竹梅、フクジュソウなど、正月を飾る和風の鉢物が出まわる
ようになります。花ものは、寒風にさらされていない場所のものを選ぶように
しましょう。

<家庭菜園・ハーブ>
暖地でも霜が降り出してきたようで、そろそろ露地の畑はお仕舞いの時期です。
まだ畑においておくものには、ビニールトンネルやべたがけシートをかけて
霜よけしましょう。小量なら、ワラや竹、木の枝などの簡単な霜よけをするだけ
でも効果があります。

空いた畑は、シャベルで掘り返し、下の土を上に出して寒風にさらす「天地
返し」をしましょう。病害虫の予防になります。

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